それは全ての人間に平等に訪れる、人類の永遠の課題。
そして歳を取ることは同時に
『老害』
と呼ばれることに対する恐怖との戦いでもあります。
今や老人だけではなく、三十代後半~四十代程度の年齢でも、老害呼ばわりされることがあるのです。
できることなら、誰にも煙たがられず、人気者として年を重ねていきたい……
「自分だけは老害と呼ばれたくない!」
今回は、そんな強い意志を持った大人が集まり
『年齢を重ねて感じるようになったこと』
そして、
『老害と呼ばれないためにどうしたらいいのか』
について話し合ってもらいました。
参加者はこちらの4名
▼参加者紹介
ヨッピー|おでかけ体験型メディアSPOT編集長
1980年生まれ(40歳)。数々の論戦を繰り広げてきた印象があるため、若いライターには「怖い人なんじゃないか?」と思われ距離を取られている長島|バーグハンバーグバーグ取締役社長
1980年生まれ(40歳)。「社長」という責任ある立場なので、若いライターには「失礼があってはならない」と思われ距離を取られているギャラクシー|ジモコロ編集長
1974年生まれ(47歳)最年長。若いライターとあまりにも年齢差があるため、「父親と同じ年齢www」と思われ距離を取られている加藤|バーグハンバーグバーグ執行役員
1985年生まれ(35歳)。つい最近まで若手の立場だったが、そろそろ自分が老害と呼ばれる危機感を感じ始めた
ではさっそく語り合ってもらいましょう!
※この記事の撮影は2020年12月に行われました
老いを感じる瞬間あるある
毛根や髪質の変化
「まずはウォーミングアップとして、みなさんが歳を取ったな~と感じる瞬間……『老いあるある』的な話を聞かせてください」
「それなら僕はこれですね。ある年齢以上のすべての男性が気にしてることだと思いますが」
「最近、AGAの薬を使いはじめました」
※AGA=男性型脱毛症(Androgenetic Alopecia)の略
「えー! ヨッピーさん、髪の毛が少ない印象は全くないけどなぁ」
「いやいや、そんなことないのよ実は。昔から毛量少ない方だったんだけど、この歳になって頭皮の余白がめっちゃ広がってる気がしたんですよね」
「長島さん、ハゲの先輩としてどうですか?」
「来る時はイッキに来るんで、予防はしたほうがいいでしょうね。早ければ早いほど良い」
「実際効果はあるんですか? 僕もかなり気になってるんですが」
「効果は……どうなんだろ。シャワー後の排水溝に大量の髪の毛が落ちてて恐怖する、みたいなことは少なくなったような……気はします」
「実際に効果があるかはそんなに問題じゃなくて、『ハゲてきてる……?』という恐怖に対して、とにかくなんらかの行動をおこして自分を安心させたいみたいな感じなのかな?」
「髪に関しては、どんな人でも若い頃とまったく同じ毛量・髪質ということはないので、誰もが感じる老いあるあるですよね」
「髪の毛が多いと、今度は白髪に悩まされたりね」
腰がヤバい
「続いて、僕の場合はこんなあるあるに悩まされているんですが、みなさんどうでしょう?」
「定期的にギックリ腰になってるんですが、もう腰が怖くて落ちたものを拾う動作がすごくダサくなった」
「あ~~。僕もギックリ腰だからめっちゃ分かる」
「僕も腰が悪いんでめちゃめちゃわかる」
「僕は腰に関しては大丈夫なのでわからないんですが、拾う動作が“ダサく”なるってどういうこと?」
「昔は執事が挨拶するごとく、スタイリッシュにこう……」
スッ……
「―って感じで拾えたんですが、今はこうです」
よいしょっと
「ダサい」
「一番いいのは、こうらしいですよ」
落としたものの真横に立って―
まっすぐ―
こう!
「落としたものを拾う動作を、こんなに何枚も写真使って紹介する記事ある?」
「腰を曲げずに、膝でいくんですね」
「そう。ただ、僕の場合は膝も痛くなってきてるんですよね」
「八方ふさがりじゃないですか」
「この話題に似てるんですが、『急に』何かをするっていうのが無理になったっていうの、ありません?」
「急に立ち上がるとか、急に走るとかでしょ? 僕も同じかも」
「わからないな~。なんで最年長と最年少がそんなに共感してるの」
「もう電車が来た~!って時、昔は瞬時にダッシュできたんですが、今それやると足首が痛くなったりするんです。だから歩いてる速度からゆっくりゆっくり加速していって最終的に『走る』っていう状態にもっていく感じ」
「『徐々に』動かす感じになっていきますよね。歳取ると、毎日どこかしらが不調っていうのがデフォルトになってくるから、身体をビックリさせたくない」
「僕はまだそこまでじゃないな。でも高速で動くおじいちゃんとか見たことないから、誰もがそうなるってことですよね。怖~」
性に関すること
「次は、僕のあるあるです」
「分かる分かる」
「これはマジでそうなんだよなぁ」
「『この人が熟女!?若いじゃん!』ってすごい思うようになった」
「今や自分より全然若い人が出てる」
「若い頃って年上のお姉さんみたいなAV女優が好きで、お世話になるじゃないですか。でも年上だと思ってたその年齢っていつのまにか同い年くらいになって、最近ではもう自分の娘世代になって……辛い」
「もうイイ歳なのに、それでも年上(?)の美人女子大生にかわいがられたいって欲求は変わらないんだよなぁ……」
老眼どうなの?
「歳を取った指針としてわかりやすいのが老眼かなって思うんですが、みなさんは『あれ』を見る時どうしてますか?」
「『あれ』とは……????」
「なんだっけあの……四角くて電話とかできるやつ。あ、スマホだ」
「“スマホ”がパッっと出てこなくなったら、いよいよ終わりよ?」
「僕は全く老眼始まってないですね」
「僕も目に関しては全然大丈夫かな」
「老眼って四十代くらいから始まるので、みなさんもそろそろかなと。しかも最終的にほとんどの人がなるらしいです。僕は至近距離の細かい文字とかが判別しにくくなってまして……スマホとの距離はこれくらいです」
ギャラクシーがスマホを見る時の距離。普段の生活では困らないそうですが、至近距離で見ざるを得ない状況(ちょっと混んだ電車など)だと判読しづらいそう
最年少の加藤はこれくらい。笑顔が満点の気持ち悪さですが記事には関係ないので気にしないでください
長島はこれくらい。「目に関しては全然大丈夫」と言っていましたが、やはり加藤よりは遠いですね
ヨッピーはこれくら……え!? 遠くね!?? おそらくカメラを向けた時に偶然この距離感だっただけで、こうじゃないと見えないってわけではないと思われます
「老眼って急にはじまるんですよね?」
「いや、徐々に進行していって、ある時『見にくい』のラインを超えて『見えない』に変わった瞬間、これが老眼か!って気づく感じ」
「最近はスマホの文字を基準にできるから、気づきやすいかもしれないですね」
「目って『今見てるこの光景がデフォルト』と思ってるから、徐々に衰えても自覚しにくいんでしょうね。自分もいつか老眼鏡が必要になるのかな」
脳の衰えが一番怖い
「“たま~に会う程度”のライターとか、名前を簡単に忘れる。誰だっけ?ほら、あいつあいつって」
「わかる!名前って全然出てこない」
「それ、老化のせいなのか元からそういう性格なのか分からないからタチが悪いんですよ」
「でも芸能人とかを覚える記憶力は、明らかに若い頃より劣ったなーって思いません? 好きな女優なのに名前が思い出せないとかザラにある」
「それは……ある」
「あと自分の年齢聞かれてもすぐに出てこないってこと、ないですか? 30……いくつだったかな?って」
「あるある。歳取ると1年なんてあっという間だから、『こないだ46歳になったばかりなのに、こんなに早く47歳になるわけないしなぁ……』って感じで疑心暗鬼になっちゃう」
「思い出せないと言えば、こんなことありません?」
「最近あった出来事とかを周りの人に喋る時、誰に話して誰に話してないのかが分かんなくなる。毎回保険で、『あの話ってしたっけ?』って前置き入れちゃう」
「うわ~、わかる!」
「ありすぎる」
「めっちゃ分かる……」
「で、『その話なら聞いたよ』って言われても、結局もう一回話したくなるよね」
「結局ね。ただ、それも老化のせいなのかもしれない」
「オカンとかそんな感じですよね。『その話 何回目だよ!』って言っても、結局もう一回話す」
「脳の構造が変わるってことかな。他にも―」
「若い時はテレビ点けながらゲームしてメールに返信して、みたいにマルチでこなせてたけど、今は一個しかできなくなってきた。ひとつに集中しないと処理できなくなってきてる」
「ひとつのタスク処理ですら、途中で別のことを挟んだらもう難しい」
「分かる。こういう脳の衰えみたいなものって一番怖くないですか? 自分がヤバい状態かどうかの判定も脳がおこなってるわけだから、もとが衰えたら判定できないじゃん」
「そして、周囲からすると気軽に指摘できないってのもまた怖い」
「今日集まったメンバー同士は、『本当にヤバい時』は教え合うことにしましょう」
食の好みが変わる
「味覚とかは結構変わってきてる気がします。肉よりも野菜とか魚の方が美味しいとか」
「あ~~分かる。昔は肉のことしか考えてなかった」
「サバ味噌とか、年々おいしさが増してません?」
「分かるわぁ。取材先の地方で美味しい物を食べまくってるのも影響がありそうな気がする」
「若い頃はそもそもお金がなくて、地方のおいしい料理とか魚とか、あんまり食べられなかった」
「食の好みが枯れた感じになるのは“あるある”ですけど……一方で、皆さんはマクドナルドとか行きます?」
「行きますね」
「全然行く。めっちゃ美味い」
「許されるならポテトを大量に食べたいくらい。太るのが嫌で避けてるけど」
「歳を取ったらハンバーガーとか食べなくなるんだろうなーって考えてたんですが、僕も普通によく行くんですよね。だから味覚が変わるというか、『枯れたものもイケるようになる』だけなのかも」
「食の習慣としては、同じ料理を毎日食えなくなってることに最近気付きました。味を変えることを覚えちゃってるというか」
「分かる分かる。昔は3日連続カレーでも全然平気だったけど、今は無理。味を変えたい」
「いや、僕はいけるかも……」
「僕もいける気がする」
「え~~、人それぞれなの……? この二人が特別なだけ?」
老害と思われないように心がけていること
偉そうにしない
「さて、いよいよ本題です。皆さんが『老害と言われないように実践していること』について話をしていきましょう。まずは僕から」
「あ~~わかる!!!」
「昭和のドラマみたいに『おい吉岡! 会議の資料できてるか?』みたいな感じは偉そうなので、基本的に『〇〇くん』『○○さん』って呼ぶようにしてます」
「僕らの場合はライターという特殊な業界だから、世間とはちょっと違うかもだけど。僕は本名じゃなくて芸名っぽい名前の人は呼び捨てにしてますね」
「同じく、ニックネームっぽい人は呼び捨てで、ちゃんとした名字っぽい人には『さん付け』かも。とにかく偉そうにしたくない。ある程度老人になると、若い人に優しくしてもらわないと困るのはこっちだから」
「偉そうにするメリットって何があるんだろう? 女性の前で威勢を張れるとか?」
「いやぁ、偉そうにしてる人、モテないでしょ」
「ただあまりにも年下の人を“さん付け”で呼ぶと、逆に相手に気を使わせたりするんですよね……同じ理由でガチガチの敬語も恐縮させてしまうので、ちょっとくだけた敬語~礼儀正しいタメ口くらいのレベルにしてます」
「まあ、わかる。こっちが年下にへりくだり過ぎると、向こうが恐縮しちゃいますよね」
「みなさん共通して『偉そうにしたくない』ということですが、長島さんは社長として、社員をビシッと怒らないといけない場面もありますよね? つまり『偉さ』が必要な時もある。どうしてるんですか?」
「正直、めちゃくちゃ言いにくいです。でも社長だから言わなきゃいけないし、毎回困ってしまう。特に、叱ったばかりなのにもう一度叱らないといけない状況っていうのがたまにあって、それは言うのがつらいです……」
「ちゃんとしてあげてよ!」
「社員を代表して言いますが、ごめんなさい」
「でも『これは社長が言うしかない』って思ってるんで、頑張ってますね」
「僕も人を叱れなくて困ってます。叱り慣れてないから、下手なんですよね。加減がわからない。20代後半~30代前半で『叱り方』を学んでおかないと、もっと歳を取った時にワケのわからない叱り方しちゃうのかもしれない」
「叱り方が下手って表現、わかるなぁ。僕も含め、ヨッピーさんも加藤さんもメディアの編集長経験がありますが……ライターに対して、締め切り守らないとかの悪い部分を怒ったりします?」
「怒るとしたら淡々とって感じですね。基本は注意する程度。ライターは取引先みたいなものだから怒ることはほとんどないかな。付き合い長い人なら後でコソッっと『あれはアカンと思うよ』って程度ですかね」
「締切に関しては、みなさん『間に合わないなら自分で書いちゃう』ってタイプだからでは?」
「それはあるかも。20パーセントくらい完成してたら、『じゃあ後は僕の方でちょっと足しときますね』って、残り80パーセント書いちゃう」
「そういうの多いかも。叱れないから自分でやっちゃう」
「あるなぁ。そういう記事がウケたら、実際ほとんど書いてないライターに他の媒体から仕事の依頼がいって、書いた記事がダダ滑りしてることありますよね。『引っかかったな! あの記事はほとんど俺が書いてるのに』って」
「『他の媒体』が気の毒すぎる」
「今って『とにかく叱っちゃだめ』みたいな風潮ですけど、叱らないことで周囲にも迷惑がかかってしまう状況ってあるから、悩ましいですよね」
「あるなー。でも叱れない。自分が若い頃は、例え正当な理由によるものでも『叱る人』は自動的に『老害』認定してたから、そう思われたくない」
「それは、普段どう思われてるかっていうのが重要だと思ってて、僕はこういうこと心がけてます」
「何もしないくせに偉そうにしていると思われたくないので、とにかく頑張ってます。自分の基準だけで頑張るというより、定量的にみんなから頑張り具合が目に見える形で」
「若い人の方が優秀な可能性もありますからね」
「そうなのよ。いつハシゴ外されるか分からないですから……。必要なオッサンだと思われるように必死ですね」
「老害にならないためには、自分が持っている武器を棚卸した方がいいと思うんですよ。若い人の方が元気だし体力もあって、飲み会を盛り上げるのも勝てない。自分が持っている武器はなんだろうって」
「ヨッピーさん色んな武器持ってそうですね」
「僕は飲みに誘われても1人で行かないんですよ。サシ飲みならいきますけど、基本は『人のお土産』を用意します」
「人の……お土産???」
「例えば、飲みに行く予定の人がTwitterでフォローしている一覧を見て、自分と仲の良い人がいないか探します。もしいたら、『この人知ってるよー』って、連れていって紹介してあげる」
「ええーそんなすごいことしてるんですか!? めちゃめちゃありがたいな」
「ヨッピーさんは人脈が武器ですからね」
「僕のようなオッサンを誘ってくれたからには、何かしらのメリットを提供してあげたい。人と、あとお金とかも頑張らないとなぁって」
お金の使い方
「お金の話が出たので、次は僕が心がけてることを言わせてください」
「20代の人がいる飲み会に誘われると嬉しいんで、お金を払う準備はしてますね」
「めっちゃ分かる! 嬉しいですよね。『お金を期待されているのかな?』って思ってしまうけど、だとしても別に嫌じゃない」
「若い人と行くと、『お金目当てだと思われると嫌です~』とか言ってくるんですけど、結局おごって終わることが多いな」
「実は僕、逆なんですよね」
「え~~~!?」
「わかる。僕も加藤さんと同じで、過度におごらないようにしてます。おごりすぎると気を使わせちゃう」
「昔ヨッピーさんとよく飲んでた頃、お金ポンポン出してくれるから、逆に誘いづらくなっちゃって。誘ったらまたお金を払わせてしまうから」
「これ、加藤さんに魅力があるから成立してる気がする。普通は何の魅力もないオッサンが誘われる時は、ある程度お金を期待されるのでは?」
「完全におごりじゃない場合、年長者が支払う適正価格ってどのくらいなんですかね。例えば自分含めて5人(30代2人、20代2人)で飲んで、お会計3万円だった場合」
「自分が2万円払って、30代2人は5千円ずつ、20代2人は無料とか……?」
「いい感じですね」
「何にせよ、歳を取ると『お金は他人に使う方が楽しい』って考え方になってくるから、若い人は『お金目当てと思われるんじゃないか』とか考えず、ガンガンおじさんを飲みに誘っていいと思う」
と言いつつギャラクシーは「僕は飲めないので断りますけどね」とのこと
「お金を落としたいって思うようになりますよね。最近、あるアイドルのファンクラブに入りまして。忙しいからファンクラブの恩恵にはまったく預かってないんですけど、この子らにお金が落ちてるならいいか……って」
「子供がいたら子供に注げたりするんでしょうね」
「自分に使うお金って浪費しかないから、服とかすごく買っちゃう。だってお金持っててもしょうがなくないですか?」
「いや、老後に必要になるって」
「自分が年取ってから周りに迷惑かける老害にならないように、ある程度はお金は自分で用意しないと」
「葬儀代を親戚が肩代わりすることになったら嫌ですからね」
「老後は、歳を取るごとに考えるようになったなぁ」
「けどまぁ最悪、野垂れ死んだらそれでいいかなって」
「それ尖った高校生が言うことじゃん!」
アンチエイジング
「僕ももう40歳ですから、身だしなみとか気にしないとな、というわけで、最近 僕が意識しているのはこれですね」
「僕、元々は『昭和の男がカッコいい』みたいな価値観の人間だったんですよ。普段は酒ばっかり飲んで、洗顔フォームとか化粧水なんかいらんやろって思ってました」
「なんでそんなに変わったんですか?」
「自粛期間中に仕事が全部無くなって、やること無いし遊びにもいけない……このままダラダラしてたらヤバいなぁと思って、『そうだ、アンチエイジングしよう!』って」
「暇つぶしという視点で考えると、確かに永久に取り組めるから良いのかもしれない」
「冒頭で言ったけど育毛剤も使ってるし、ダイエットしたし、マウスピースで歯列矯正もしてるし、最近は縮毛矯正しました」
「たしかに雰囲気変わった気がする! 肌がつるんとしてません!?」
「これ言うの、めちゃくちゃ恥ずかしい」
「いや、今の子は全く気にしないと思いますよ。むしろ美容に意識高いおじさんって、ポイント高いと思う」
「そうそう。だって、見る側に気を使ってくれているわけですもん」
「まさかヨッピーさんがアンチエイジングに目覚めるとは……」
若者とのコミュニケーション
「すべてのオッサンが感じていることだと思うんですが、年上だからってあまり気を使われたくないんですよね。なのでこういうことを心がけてます」
「『わからない・できない』を素直に言ったり……つまり油断や隙を隠さないようにしてます。もっと気軽に、失礼なくらいの温度感で接してほしいから。でもなかなか難しいですよね」
「めっちゃ分かかる」
「僕も異常に気を使われすぎるんで困ってます。もっと雑に扱ってくれればいいのに」
「居酒屋で座るとき、手をこんな感じで出しながら『ヨッピーさん、どうぞこちらへ!』とか。本当にやめてほしい」
「ヨッピーさんに関しては、周囲が気を使っちゃうのはある程度仕方ないかな」
「例えば長島さんが、ツッコミとして『おいハゲ!』って言われたらどうですか?」
「嬉しい。全然悪い気しないですね」
「ですよね。そんな扱いをされたいんです。ただ……同じ『おいハゲ!』というセリフでも、『あ、こいつ本気でバカにしてるな』っていう人は、すぐ分かりません?」
「分かります! 愛がない人はすぐわかる」
「あぁ~、わかるわ」
「それは……イヤなんですよ。ややこしいんですが、『年上だけど雑に扱ってくれる』のは嬉しいけど、『ただただバカとして扱われたい』わけじゃないんですよ」
「めんどくさ~」
「僕は基本的に、めちゃくちゃなめられた方がいいって思います」
「僕はギャラクシーさんの言うこと、なんとなくわかるなぁ」
趣味・流行りもの
「趣味や流行り物に関してはどうですか? 僕、ファッションで気をつけていることがあるんですけど」
「昔、エイプ(A Bathing Ape)っていうファッションブランドが好きだったんですけど、おじさんがよく着るようになってから、周りが一気に冷めたんですよ。その時、若者の文化をおじさんが邪魔しちゃだめだなって思った」
「今の若者の文化って、例えばどういうのがあるの?」
「最近だとシュプリーム(Supreme)とか好きだったんだけど、これも若者の物だなと。今はウィンドウショッピングはするけど買わないようにしてます」
「欲しいとも思わない?」
「……欲しい」
「それなら買った方がいいですって」
「僕、昔からずーっと同じ格好なんですけど、今や『若作り』って言われるんですよね。もっとオッサンらしい格好の方がいいのかな。ジャケットとかセーターとか……」
「若者っぽい服を着たら『若作りwww』って言われるし、地味な服を着たら『ジジイwww』って言われますよね。どちらにせよ何か言われるんだから、自分が好きな服を着た方がいいと思う」
「僕は完全に好きな服着てます」
「周りもいじりやすいし、その方がいいかもしれないですね」
「シュプリーム買おうかな」
「流行の話で言うと、僕はこういうことを心がけてます」
「話題になってるゲームとか映画にはできるだけ触れるようにしてます」
「ライターという商売柄、新しいものには触れといたほうがいいですよね」
「僕はその辺にはあんまり興味ないかも。ただ、若い人たちとの会話のネタになるから貴重だと思います」
「テレビとかはどうですか? 僕は最近、芸人さんがやってる最先端おもしろ番組みたいなのが苦手になってきて。『鉄腕DASH』くらいの、笑いが本業ではない人がやってる温度感が一番心地いい」
「あーなんとなく言いたいことは分かります。笑いの圧が強すぎるって感じ」
「その感覚はまだないな~」
「音楽とか他の文化も、飲み込むのに時間がかかったり理解できなかったりするんですが……でも若者の文化を否定するのは絶対しないようにはしてます」
「否定するメリットは何ひとつないですからね」
「例えばAっていうミュージシャンの良さがまったく理解できなかったとしますよね。でも正直に『全然良いと思わない』って言うと、『老人だから分からないだけだ』って感じになるじゃないですか」
「つらい。それは単に好みの問題であって、老いとは別の話なのに……」
「若者の中にも『Aの曲、嫌いだわ~』って思ってる人、結構いるはずなんですよ。でも年寄りが言うとカドが立つから、『こういうのもアリだよね~』ってわかったフリしてます」
「長島さんはその歳で、今まさに若いアイドルを好きになってるみたいですけど」
「歳を取るごとにアイドルが好きになってきてます」
「アイドルは全然わからなないなぁ」
「長島さんみたいに新しい物を取り入れていかないと、年々若い人に通じる話題がなくなっていく……」
「分かるな~。こないだ、元首相の小泉さんに関連した企画をやろうとしたんですけど、若い人から見たら僕らにとっての竹下内閣みたいな感じで全く分からないのか!?ってハッとなりました」
「物心つく前の総理大臣なんて覚えてないよね。名前だけは知ってるかもしれないけど、何の思い入れも実感もない」
「今やシティーハンターとか幽遊白書も、若い子に通じないですからね」
「え、宇宙刑事ギャバンとかヤヌスの鏡も?」
「それは僕らですらわかりません」
まとめ
「というわけで長いこと喋りましたが、ここらでシメましょうか」
「そもそも僕らのこの会話も、若い人から見たらピンときてない気がする。老害と呼ばれる恐怖って、歳を取らないとわからないよね」
「『老害と呼ばれたくないなら、老害にならなきゃいいじゃん』って感じなんですかね。このオッサン4人は何を恐れてこんなに喋ってるんだ?みたいな」
「でも立場上 叱らなきゃいけないことも増えるし、年齢のせいで名前が憶えられなかったりとかするし、どうしても老いとは向き合わなきゃいけないんですよね」
「はぁ……結局僕らは、どうすれば老害と呼ばれないんでしょうね」
「いやあ、分からない……」
「どうなんだろう……」
「分からんなぁ……」
長々と喋ってきましたが、結局
『老害にならないためにはどうするべきなのか?』
この問いに対する正解は出ませんでした。
みなさんの中で「自分は老害と呼ばれないようにこういうことを実践している」というのがあれば、ぜひ我々に教えて頂けないでしょうか。
以上、老害と思われたくない男たちの座談会でした。
※↓この下の画像ギャラリーでは、記事には入り切らなかった「老いあるある」や「老害と呼ばれないために気をつけていること」をまとめていますよ。見てね!
TEXT|らむ屋敷
あわせて読みたい
画像ギャラリー
この記事を書いたライター
株式会社バーグハンバーグバーグです。ふざけたWEBコンテンツを制作・運営、映像制作、執筆業務、水を火にかけてお湯にする仕事などをしています。