おやつってだいすきです。ごはんと同じくらい、生活に彩りを与えてくれるもの。旅行もすきです。自分の知らない食文化を知ることができるから。

きっと、全国にはまだまだ知らないおやつがたくさんあるはず。ネットで検索するだけでは出てこない、土地に根付いたおやつも食べ尽くしたい……。

そんな食いしん坊な視点で、ローカルプレイヤーの皆さんにおすすめおやつを聞いてみると、おいしさが増すエピソードと共に教えてくれました。

日本各地のおやつを集めていつか図鑑をつくりたい、そんな連載です!

 

おやつを紹介してくれた人:黒田杏子さん

岐阜県出身。愛知県名古屋市の動植物園の近くで、 夫婦で本屋「ON READING」と出版レーベル「ELVIS PRESS」を営んでいます。 店名は、アンドレ・ケルテスの同名の写真集から。 愉快な猫二匹と暮らしています。
X:@on_reading
Instagram:@on_reading
https://onreading.jp/

 

愛知県・覚王山吉芋の「吉芋花火」

名古屋の書店「ON READING」。ここで本を買うために名古屋旅行を計画したくなる、かっこいいお店です。

そんな「ON READING」の黒田杏子さんがおすすめしてくれたおやつは、名古屋市の覚王山エリアにお店を構える「覚王山吉芋」芋けんぴ「吉芋花火」

「吉芋の生芋けんぴ「花火」は、直径2、3ミリの超極細スタイル。長さはまちまちで、たまに超ロングにあたるとなんとなく嬉しいんですよね(計ってみたら16センチありました!)。

パッケージに「生剣先(けんぴ)」とあるように、通常の芋けんぴはうっかりすると口に刺さりそうなくらい、しっかり硬いものが多いのですが、ここのはカリっとしつつもしっとりしていて食べやすい。甘すぎないので、おやつにはもちろん晩のおかずとして食卓に並べるのもアリです。

味は、自家製蜜をからめた「花火」と、甘じょっぱい「塩花火」の二種類。カリポリと食感も楽しく、少しだけ…と思って食べ始めても、止まらなくなって結局1パックぺろりと食べきっちゃうことも多い、困ったやつです」

芋けんぴの他、大学芋「拍子木」も人気のメニュー!

「初めて「花火」を食べたのはいつのことだったか。これまでに食べたことのある昔ながらの素朴なおやつの「芋けんぴ」とは全く違う食べ物だ!と、衝撃を受けたことを覚えています。

以来、どこかに行って誰かと会う時は「花火」をお土産にして、その魅力を普及したい!と思っています(「花火」の蜜のタイプは消費期限が短いため、すぐに会える人にしか渡せないのですが……)。この方には是非食べてほしい!と思って「花火」を渡した方から「現状、No.1芋けんぴです」とメールが来た時には思わずガッツポーズがでました。

また、地元でもよく話題になるのが「蜜か塩か」論争。やっぱり定番は蜜だよね、塩はつまみにもいいんだよな、一周回ってやっぱり蜜……などと、この話は尽きません。夫に久しぶりに「今はどっち派?」と聞いてみたら、「最近は”拍子木”かな~」とのこと。そう、吉芋には大学芋など「花火」以外のメニューもあるんです。これもまた美味しいんですよね」

 

覚王山吉芋

https://www.kichiimo.com/
愛知県名古屋市千種区日進通5-2-4

イラスト:植田まほ子