おやつってだいすきです。ごはんと同じくらい、生活に彩りを与えてくれるもの。旅行もすきです。自分の知らない食文化を知ることができるから。

きっと、全国にはまだまだ知らないおやつがたくさんあるはず。ネットで検索するだけでは出てこない、土地に根付いたおやつも食べ尽くしたい……。

そんな食いしん坊な視点で、ローカルプレイヤーの皆さんにおすすめおやつを聞いてみると、おいしさが増すエピソードと共に教えてくれました。

日本各地のおやつを集めていつか図鑑をつくりたい、そんな新連載です!

 

おやつを紹介してくれた人:斎藤和真さん

2014年に山梨県富士吉田市の地域おこし協力隊に就任。2016年に富士吉田市を中心に高校生の教育プログラムを企画運営する〈かえる舎〉を設立。川とラーメンが好き。

 

24時間、いつでも「あんこ」。倉沢製餡所のあんこ自販機

山梨県・富士吉田市に移住して10年目になります。大好き、富士吉田。今、一押しの富士吉田のスイーツは、月江寺駅からほど近い場所にある「あんこ自販機」

倉沢製餡所という地元の老舗あんこ屋さんがお店の脇に設置した自販機で、つぶあん、こしあん、うぐいすあん、他にも最中付きのあんこ「最中ちゃん」や、「トースト用のあんこ」なんかも販売してます。最近はいろいろな種類の自販機を街中で見かけますが、あんこ専門の自販機って他ではあんまり見ないですよね。

 

この「あんこ自販機」がつくられたのには理由があって。「昔は、町に必ずひとつあんこ屋さんがあった」っていうくらい、以前はあんこが日常生活のなかで使われたり、神事にもあんこが使われていたそうなんです。今よりもっと「あんこ」が身近な食べものだったんですね。

 

だから「いつでも、誰でも、あんこが買えるように」と、倉沢製餡所は毎日休まずお店を開いていた。そうやって地域の人のことを考えていて、ほんと、すっごく優しいし強いなって思います。

でも、お店をやっていたおばあちゃんも高齢になってきて、毎日お店を開けるのが厳しくなってきちゃって。それにね、お孫さんが「おばあちゃんと旅行に行きたい」って言ったそうなんです。それでみんなでどうしたらいいか考えて、生まれたのが「あんこ自販機」。みんながやりたいこと、ぜんぶこの自販機のおかげで叶っているんですよ。すごくないですか?

 

倉沢製餡所のあんこは、絶妙な塩梅の塩味がすごく美味しいです。おしることか、あんこって、冬に食べるイメージが強いじゃないですか。でも、倉沢製餡所のあんこは塩気がポイント。今の時期は、夏バテ対策としておやつに選ぶ人もいるみたい。長持ちするから非常食にも。災害時、カンパンに飽きちゃったら上にあんこを乗せるだけでちょっと嬉しくなるはず。

自販機にはたくさんの種類のあんこがあるので、次はどのあんこを買おうか、通うのが楽しみになるんですよね。僕もハマっちゃって、足繁く通っていた時期がありました。

 

僕が地元の高校生の子たちと一緒にやっている『ふじよしだ図鑑』という富士吉田市の名産品を取材・紹介するメディアがありますが、倉沢製餡所のあんこを取り上げたら、ふるさと納税の担当者が見つけてくれて、返礼品の仲間入りをしたんです。そしたらびっくりするくらい注文が入って、すごい人気商品になったんですよ!

ちなみに返礼品に付ける商品説明も、『ふじよしだ図鑑』で取材した高校生たちが市から依頼を受けてつくってます。

 

今では、地域の人はもちろん、富士吉田をたくさん訪れる外国人観光客の方もあんこ自販機に吸い寄せられていきます。パリパリ食感の最中は、お土産に買って帰っても楽しいんじゃないかな。富士吉田市の自慢のあんこです!

 

倉沢製餡所

〒403-0013
山梨県富士吉田市緑ヶ丘1-1-17
「月江寺駅」より徒歩1分

イラスト:植田まほ子