
YouTubeが私たちの生活にすっかり定着してきました。今さらですが私、ライターの大北も半年前にYouTubeを気合を入れて始めてみましたが……再生数はきっちり伸びてません。
今さらYouTubeをやっても成功することってあるんでしょうか? そんな疑問を携え、YouTubeを始めて1年強で登録者数6万人を超えたYouTuberに話を聞きに来ました。

ここで収録をしている「積読チャンネル」の飯田光平さんはバリューブックスというネット書店の社員でもあり、業務の一つとしてYouTubeをやっているそうです。

毎回、面白い本を紹介して“あなたの積読を増やす”というコンセプトのYouTubeチャンネル

積読チャンネルの飯田光平さん(右)。YouTubeチャンネルのパートナーである堀元 見さん(左)は「ゆる言語学ラジオ」というYouTubeチャンネルなどでも活躍中。
飯田さんに話を聞くと、リアルなYouTuberの面白さと難しさ、そして現代の闇と病みを覗いた感じでした。ひえええ……どうぞごらんください。
登録者6万人超え、1時間の動画8本で月100万円

──積読チャンネルのチャンネル登録者数は、今どれくらいなんですか?
6.1万人です(※2月末時点)。スタートしてちょうど1年の2024年末で5万人に滑り込んで、その後の1ヶ月で7000人増えましたね。伸び率も上がってるので、2025年中には銀の盾(※登録者数10万人の記念品)ももらえるんじゃないかなと。
──するとまだ伸びてる途中なんですね。YouTubeで得られる収益というのはどれくらいなんですか?
広告収益はざっくり月100万円ぐらいです。基本は週2更新で、月8本更新ですね。
──月100万円! 夢があります。1再生あたりの広告収益っていくらなんですか?
諸説あるし、チャンネルによって違うんですよ。再生時間が長い動画ほど広告が何度も入るので、単価は上がりやすい。世の中では1再生あたり0.1円と言われてますけど、積読チャンネルは9〜10倍ぐらいあるんじゃないかなぁ。

1時間弱の動画が多い積読チャンネル
基本的にはYouTube全体の広告収益が下がってきてるんで、最近のYouTuberは長い動画を出して収益上げようとしている傾向にありますね。有名YouTuberのヒカルさんとかは、2時間を超える動画も全然あります。
──ほんとだ、3〜4時間の動画を出してる。再生数は堅実に伸びていってるんですか?
GoogleのSEOと同じような感じで、急に再生数が落ち込んだり、その逆もありますね。急に再生数が落ちたときに焦っていたら「ボーナスタイムが終わっただけだから心配しなくていい」と一緒にやってる堀元さんに言われて。YouTubeのアルゴリズムでおすすめに表示されてたから伸びてたけど、それが終わったんだと。1人でやってたらわからなくて動揺してたでしょうね。
──YouTubeに詳しい相方がいるのは助かりますね。
あと、僕は編集者もやってるので思うんですけど、ウェブメディアって記事のPVは基本、公開されないじゃないですか。でも、YouTubeの再生数は全部オープンになってて怖いんですよ。自分の成績表が世の中に公開されてるんですよね。
──怖すぎますね。気持ちを保つのが大変そう。
YouTubeは超優秀なマネージャー

積読チャンネル収録の様子。この日は11時から12時間で5本撮り(!)したそう
YouTube って、僕らの活動をすごく細かく見てくれているんですよ。
──見てくれている?
管理画面を開くと、直近1ヶ月の視聴回数やチャンネル登録者数が見えるんです。正確な数字は規約上お伝えできないので大体のイメージになりますが、「視聴回数 60万↑」「チャンネル登録者数 +5,000✓」「推定収益 ¥100万↑」て感じで。
──数字だけじゃなくて、「✓」や「↑」といったマークも末尾に付くんですね。
これ、YouTubeが褒めてくれてるんですよ。「いいね」くらいの数字ならチェックのマークで、「すごい伸びてるよ!」という数字の場合、こうやって上向きの矢印を出してくれるんですよ。
しかも、直近1ヶ月の成績だけでなく、アップロードした動画ひとつひとつについても、公開から1時間後にはフィードバックが返ってきます。いつもより伸びがいいと紙吹雪が舞うようなエフェクトも表示されて(笑)。
マネジメントまでしてくれる優れたプラットフォームなんです。ふつうはプロジェクトがうまくいったかの分析をするのは自分たちだけど、YouTubeは動画公開の数時間後には「うまくいったね」ってフィードバックをくれる。超優秀なマネージャーなんですよね。
──そんな風になってたんだ。
すると「じゃあ次はこうしよう」ってこっちがPDCAを回す速度もすごく速くなるんですよ。もうこの「YouTubeという上司」に褒めてもらいたいために頑張って働く感じですよ。

でもね、良いものを作ろうと自然とモチベートされるからこそ、YouTuberはみんな途中で燃え尽きちゃうんだと思うんです。
──燃え尽きる!?
YouTuberが急に「お休みします」という動画を上げること、よくあるじゃないですか。
──あー、よく見ますね。
PDCAを速く回せるのはいいことでもあるけど、消費や消耗のスピードが速いってことでもある。それで、疲れちゃうのも早くなってると思うんですよね。
──YouTubeっていう上司は土日も休まず働き続けるし。いわばYouTubeがYouTuberを消費してるんですね……。
そこはYouTube公式側も気にかけてるっぽくて、英語版ですけど「燃え尽きないようにプライベートの時間もちゃんと確保しなさい」って注意喚起の動画も出してるんですよ。プラットフォーム的にはどんどんやってもらった方がいいんですけど、それだと人間であるYouTuberが潰れる。
──成功すると気持ちいいからどんどん没入しそうですよね。修羅の道だ。
YouTuberは自分を演じて病んでいく

病んでいくYouTuberでもある飯田さん
YouTuber病みやすい問題において一番ヤバいところなんですけど、YouTuberって“自分を演じる”ことが多いんですよ。
──自分を演じる?
役者さんって役柄を演じるじゃないですか。でも、YouTuberは自分とまったく違う役柄じゃなく、自分をブーストしたキャラクターで動画に出るケースが多い気がしていて。僕自身がそうで、ものすごい負荷なんですよ。オンとオフの境目が消えてくる。
──自分を演じると、しんどい。なぜなんでしょう。
僕は初めての収録の時、自分はテンション高めに喋ったつもりでも、動画を見ると全然だったんですよね。もっとキャラを増幅させないと画面越しに見た時、響いてこないんだなって、そこでわかった。
今の積読チャンネルを見て「この人たちテンション高いな」って思われたなら、実際はものすごいテンションで喋ってるんですよ。リアクションも大きくなるし、話もズバズバッと断言するし、そもそも声がでかくなります。
するとプライベートもそういう喋り方になってくるんです。時々ふと気が付くんですよね。「おれこんなすごい荒々しい感じだったっけ…」みたいな。
──普段の自分にも影響してくる!
妻には「私の知ってる飯田さんじゃないからYouTube見れない」って言われましたね(笑)。
──すごい。知られざるYouTuberの内面だ。小説化決定ですよ。でも奥さんの気持ちもわかるなあ。
そこら辺は諦めてきてます。でも不思議なんですよね。僕は今も昔もただの一般人なのに、YouTubeをやっているだけでチャンネルのファンの方から「サインしてください」って言われることもあるんです。これが危ない。芸能人でもないのに。芸能人みたいな扱いになるんですよ。
──6万人強のファンがいるわけですもんね。
調子に乗らないようにめちゃくちゃ気をつけてますけど、YouTuberがファンに手を出したり、やらかしちゃう理由がわかりました。
ファンの方が見ているのは、僕の演じてる「積読チャンネルの飯田」という役。自分と完全に別のキャラクターじゃない分、オンとオフがぐちゃぐちゃになりやすくて「俺の時代が来た」って思いやすいのかもと思います。
──病む問題でいうと、ネガティブなコメントが来ても傷つきそうですよね。
リーチする人が増えれば増えるほど批判は来るので、それは当然なんです。衝撃だったのが、そのダメージは“割合”じゃないこと。
99件コメントで褒めてくれても、たった1件がネガティブだっただけでショックは受けるんですよ。しかも、これが倍の198人から褒められて2人からネガティブな反応があったとしたら、辛さは2倍なんですよ。
──単純に2回殴られてるんだ!? 割合ってそういうことか。
198回なでなでしてもらえても、2回殴られることは相殺されないですよね(笑)。ネガティブな言葉はポジティブな言葉で浄化されないのに、動画が伸びるほどネガティブな言葉は増える。どんどん傷つきます。
たぶん、全YouTuberがこれに困ってますね。YouTuberって傷ついてるんですよ。

飯田さんが自己をブーストさせた笑顔。がんばってほしい…
──YouTubeをやっていて、普段の時間をどう使ってるのかも気になりました。
僕は映像の撮影や編集は外注してますけど、それでもしんどいですよ。まず本を読む時間が必要ですよね。気になった部分のメモもとるし、台本を作る段階になると、引用箇所を写して並んだメモから構成を考える。動画1本の台本を作るのに、なんだかんだ3時間ぐらいかかったりします。
基本いろんなジャンルを扱いたいので、もう毎日必ず本を読んでます。この前はサウナで本を読んでたら怒られました。
──ははは(笑)。そうなると、趣味で本を読むってもうなくなりますよね。
ないです。もう本を読むときは「これを動画にするとしたら…」ってコンテンツに落とし込むつもりで読んでるんですよ。で、これが常態化してくると「この本は面白いんだけど動画にするのは難しそうだ」って思ったら、読むのやめてしまうんです。僕個人は面白がってるのに。これが一番つらいですね(笑)。
──うわー、ほんとに自分を犠牲にしてますね、大変だ。
オンラインサロンは今や小さなSNS

──広告収益以外ではどんな収益があるんですか?
積読チャンネルでは月1000円のオンラインコミュニティがあって、今700人強の参加者がいるんです。積読チャンネル視聴者というよりは「本が好きな人たち」が対象で、そこではオーナーの僕がすごいなにかを提供しているというわけではないんですけど。
──オンラインサロンと呼ばれるやつだ。メンバー同士の交流みたいなのがあるってことですか。
そうです。Discord上にいくつかのチャンネル(特定のテーマで話し合う場)があって、読書ツールの紹介だとか、読書に関してすごく細分化されてます。例えば本屋に来たことを報告するチャンネルもあれば、買ったことを報告するところ、買ったものを読みに来たこと、読み終えたこと、最終的に読んだ本を売った報告するチャンネルまであります。
──売るとこまで!?
他にも僕がすごく好きなのが「読書中」ってボイスチャンネル(音声で発言し合う場)です。ボイスチャンネルって本来はおしゃべりするものなんですけど、「読書中」では強制的にミュートになるんですよね。ここに入ると一緒に本を読んでる人がいるということだけがわかる。読書専用の喫茶店が世の中にありますけど、あれのオンライン版みたいな感じですね。

──読書という行為を最大化して味わうみたいな場所ですね。サロンって誰かを崇拝するような場所をイメージしてました。
僕もそうだったんですけど、相方の堀元さんがやってる「ゆる言語学ラジオ」のコミュニティに自分で入ってわかりました。これはSNSなんです。気の合う人たちだけがいるTwitterなんですよ。
──Twitterに人がいなくなったなと思ったら、みんなこういう小さいところにそれぞれいるんだ。サロン以外の収益はどんなのがありますか?
積読チャンネルは僕の働いているバリューブックスの事業なので、チャンネルで紹介した本が、バリューブックスから売れるのも超重要なんです。この売上が、最初の1年間で4200万円ありました。他の本を一緒に買う人もいるので、そこも含めれば売上はもっとある。
とはいえ、本を売って書店に残る利益って大体2割なので、年間売上が4200万円あっても利益は840万円、月でいうと70万円なんですけど……。
──本の利益って2割しかないんですね!
衝撃ですよね。たとえば、1つの本が100冊売れるって、本屋からするとちょっとした事件なんです。最初に積読チャンネルから本が100冊売れたとき「よし、これでなんぼ儲かったんや!」と計算したら2万3000円で爆笑しました。
──切ない。現在の収益のバランスっていうのはどんな感じなんですか。
単純化すればギリギリ、トントンくらいです。毎月ざっくり200万くらいの制作費がかかって、100万の広告収益があって、本の利益が70万ぐらいで、サロンの収益を入れてトントン、みたいな。でもこれはバリューブックス側の人件費を無視してますね。僕自身や、倉庫業務をやってくれているスタッフさんたちもいるので。
──積読チャンネルは会社の事業みたいなものじゃないですか。本屋さんで新事業を立ち上げて年間売り上げがそれくらいって、十分すごいと思いますけどね。
それは僕自身も意外でした。思ったより速いスピードで伸びてるなって。
Amazonに頼らないために立ち上げるも、結果的に儲けさせる

──そもそもオンライン書店の社員がYouTubeをやることになったきっかけってなんですか?
いくつかあるんですけど、会社の面から言うと本を売るため。バリューブックスは基本的にAmazonさんに出品して本を売ってたんですよ。売ってくれるAmazonさんには手数料を払うんですが、この手数料がどんどん上がっていくんですよね。今年の4月にまた上がるので、単純計算すると最大で年間3億円が吹っ飛びます。
──おおおお。年間3億。
余裕で大赤字です(笑)。数年前から自社サイトで本を売り始めたんですけど、ネットで本を買う人はやっぱりAmazonか楽天で買ってしまう。そこでバリューブックスで本を買うお客さんを新たに呼び込むために、いろんなコラボや企画をやってきた流れで、自分たちでもYouTubeという発信の場を作ろうと。
本屋って、自社商品がないんですよね。本を仕入れて売ってるわけなので、お客さん側からすれば、どこで買っても同じ本なんです。実際、積読チャンネルで紹介した本のAmazonランキングがめっちゃ上がるとかもある。「Amazonランキング1位取ったぞ~」ってギャグにしてるんですけど(笑)。
──他の店の売上に貢献している(笑)。
僕がnoteでも紹介した事例で、1本の動画で8000冊の本を売ったことがあるんです。
医師兼漫画家の永田礼路さんによる漫画『螺旋じかけの海』を紹介した回。1〜2巻までで一度刊行が止まるも、多くのファンからの声を受け、永田さんが自費出版で完成させた全5巻の作品
6000円の漫画セットで、合計1000万くらいの売り上げだったんですけど、あれはAmazonで売ってなかった本なんですよね。普段紹介する本も、ほんとはそれぐらい動いてるのかもとか思ってしまいますけど、何かしら発信をしないとバリューブックスで本を買ってもらえないので。

あとは、個人的なきっかけもあって。YouTubeやTikTokが出てきてたことで、元々お喋りだった僕は、喋りで本を紹介することができるんだって感動したんですよ。同時に、似たジャンルの先輩である「ゆる言語学ラジオ」や「コテンラジオ」の方たちと仕事をしてると、こうすればYouTube動画って撮れるんだなってこともわかってきた。
といっても僕自身が「YouTuberでやってくんだ」って覚悟を持ったわけでもなく、「ちゃんとやればいけるな」っていう感覚ですね。
──今の時代、発信ならPodcastって選択肢もありますよね?
僕がしてるのって、言ってしまえば「ジャパネットたかた」なんです。動画を再生してもらうだけじゃなく、最後に本を買うというアクションをとってほしい。なのでぐっと相手の時間と意識を奪いたくて、耳だけじゃなく目にも訴える「動画」を選択しています。
今や面白さは飽和したので友達になるしかない

──今でもどこかの会社では「うちの商品を紹介するためにYouTubeやってよ」と言われてる人がいるわけですよね。
僕がYouTubeをやって思ったのが、やるからには本気でやらないと意味がない。片手間でやっても何にもならない。その上で、うまくいくかはギャンブルですね。
──それでもやらないといけなくなったら……。
会社でYouTubeやるとなったら全部自分たちでやってしまいがちなんですけど、外部の目は絶対にあった方がいいと思います。視聴者の気持ちがわからないと、視聴者に刺さるものは作れない。自分たちだけだと外からの視点に気づきにくいんですよね。
本屋で平置きされている話題の本を積読チャンネルで紹介した時に、「どうせみんな知ってるもんな」と思ってたのが2日で400冊売れたんですよ。「毎月本を買うけど、本屋には行かない」人がたくさんいたんですよね。
本好きは本屋に行くものと僕は思い込んでたし、この話を出版社の人にするとみんな驚く。やっぱりその業種の人には一般感覚がわからなくなりがちなんです。
──企業のオウンドメディアも同じかもしれませんね。編集者やライターの外部視点が入ることで、企業のよさが言語化されたりする。

あと、最初は僕は本の面白さをそのまま伝えることが重要だと思ってたんですけど、そうすると売れないんですよ。
──そうなんですか!?
僕の仮説なんですけど、もう面白い情報はみんなお腹いっぱいなんです。Netflixでまだ見てない映画のリストをみんな抱えてたり、面白いものが足りてない人はいない。逆にコンテンツを消費する時間が足りない状況だと思うんです。
その解決策の1つ目として、それまで自分は黒子でいいと思ってたけど、やっぱり僕自身を好きになってもらう必要があると思ったんです。どれだけすごいシェフにプレゼンされるより、信頼してる友達から「この前行って美味しかったよ」って言われた方のレストランに行きますよね。やっぱり見てる人にとっての友達にならなきゃなって思ったんです。
──「この人のおすすめは信頼できる」と思える人は友達。なるほど。
もう1つは、視聴者がその本を読むべき理由を作ること。その本が「面白いこと」とそれを「読まなきゃいけないこと」は関係ないですよね。
以前、近未来SFの本を紹介したんです。「面白いSF小説です」と言っても刺さる人は限られている。だから「これは近未来が舞台だけど、【家族との絆は呪いかもしれない】というテーマを描いている」と紹介したんです。その方が自分ごとに捉えてくれる人が多くなる。本の面白さだけじゃなくて「あなたが読むべきなんだ」と伝わるように、いかに伝えるかが大事だと気付いたんですよね。

──飯田さんは始めて一年と思えないほどノウハウがありそうですけど、どうやって得ていったんですか?
僕の場合、会社のお金を注ぎ込んで積読チャンネルをやってるのが良かったと思っていて。早く黒字の事業に持ってかなきゃという切迫感があるんですよ。僕がこれを趣味でやってたら絶対伸びてない。
──するとYouTubeで伸びていくには退路を断つことが近道?
僕の場合はそうでしたね。ただ、YouTubeの数字が伸びたらそりゃあ嬉しいですけど、伸びなくてもいいと思うんですよね。ゆるくやる選択肢も全然あると思います。ただ、今はゆるくやるのか、再生数の戦場に身を投げるかで、その中間がない気がしてます。
中間を目指すのが一番辛いと思います。「ちょっと伸びたらいいな~」だとずっと伸びない。でも「伸びたらいいな」と思ってる分、辛いんですよね。
──すっぱり諦めるか、戦場に身を投げるか。
YouTubeはもう成熟しちゃったんで、昔みたいに素人が大物になるYouTubeドリームはほぼないと思います。これってネガティブに聞こえるかもしれないですけど、そうでもなくて。スマホ一つで動画を撮って発信できるって、本で言うなら文学フリマやZINEのムーブメントと同じだと思うんですよ。
自分の思いの丈を本にして人に届けることに喜びを感じるのって、素晴らしいと思うんですよ。動画もそれと同じじゃないかなと。ビジネスの文脈においては「成功かどうか」が問われる面もありますけど、別にそれだけじゃないとも思ってます。
おわりに

なんてよく考えてるんだ!と、私は飯田さんの明快なおしゃべりに感銘を受けましたが、この飯田さんはYouTubeに人格改造された後なんでした。悲しい!
でもおかげで現在のYouTubeの裏側が見えてきました。
私たち視聴者はYouTuberが料理して飯を食べてるのを見て自分の欲望を満足させ、YouTuberはYouTubeに駆り立てられて病み、YouTubeはYouTuberを使い捨て……人の欲望をガソリンにして消費をぶん回すのが資本主義の特徴だとしたら、YouTubeはまさに現代の象徴じゃないですか。
でも今やこの燃え盛るエンジンは私たちの生活と隣合わせなので付き合っていくしかない。せめて「こうしたら危ない」ということを知って適切な距離を保つしかないですな~なんてことを考えたお話でした。
「積読チャンネル」https://www.youtube.com/@tsundoku-ch
(撮影協力)ゆる学徒カフェ https://yurugakuto.studio.site/






























