飲食ビジネスが急成長!? 2020年東京オリンピックのインバウンド需要について学ぼう!

2015.12.21

飲食ビジネスが急成長!? 2020年東京オリンピックのインバウンド需要について学ぼう!

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「ローカル」と「テクノロジー」に詳しいライターのモリジュンヤが、年間約350本をこなす取材で得た知識や経験を1つのテーマに絞って毎月お届けするコラムです。コレを読めばちょっとだけ頭が良くなること間違いナシ!


 

「忘年会で使えそうなお店はどこかにないかな」ーーそんなことを考えた多くの人がとる行動は、スマートフォンを取り出して検索することだろう。

筆者は中学生のころにはガラケーを持つ同級生も珍しくなかった世代。インターネットがなかった時代に、どうやってお店を探していたのか想像することも難しくなっている。

飲食店を「検索」するという新しい手法を用いてサービスを提供し、多大な人気を獲得したのが飲食店情報サイト『ぐるなび』だ。

1996年に株式会社エヌケービーの一事業部としてスタートした同サービスは、19年が経過した今では、有料加盟店は5万3000店を突破。全国の飲食店の約1割をカバーする一大サービスとなっている。

そんな『ぐるなび』は、2015年4~6月期の連結純利益が前年同期比44%増の10億円と過去最高を更新。さらに飛躍しようとしている。その成長の鍵となるのが、訪日外国人の需要を取り込むことだ。

 

f:id:kakijiro:20151215160218j:plain「はじめまして。モリジュンヤです」

 

インバウンド需要が飲食店に変化をもたらす

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訪日外国人客数は右肩上がりに伸びている。日本政府観光局の発表によれば、2015年1~8月の期間における訪日外国人客数は前年同期比49%増の1287万人。これは、2014年の年間の訪日外国人客数である1341万人に匹敵する数字だ。

国土交通省観光庁は、インバウンド(訪日外国人旅行客誘致)政策に注力しており、成長戦略等にもその内容が盛り込まれている。こうした背景もあり、ぐるなびの久保征一郎社長は2015年3月期の決算において「今年は当社にとってインバウンド元年になります」と語っている。

この宣言どおり、ぐるなびは東急や東京メトロなどと組んで訪日外国人客向けの観光情報サービス「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO」を2016年春に開始予定であることや、海外を中心に月間約3億5千万人が利用する旅行情報サイト大手の米トリップアドバイザーとパートナーシップ契約を発表している

こうした動向は、日本国内の飲食店に影響を与える。多様な国籍の顧客が来店するとなれば、現場の動き方にも影響が出てくることは想像に難くない。人手が不足したり、オペレーションが回らないといったことが起こりうる。

 

f:id:kakijiro:20151215160218j:plain「英語ができないと外国人観光客に“おもてなし”をできない可能性が…!」

 

東京オリンピックによる経済インパクト

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さらに、東京は2020年にオリンピックの開催を控えている。かつて、日本が成長期であった1964年に開催された東京オリンピックでは、新幹線、高速道路、空港などの交通インフラ、国立競技場に代表されるスポーツ施設などが作られ、安定的な雇用が生まれた。

現在、日本は成熟期に突入しており、かつてのような物質的な恩恵を見込むことは難しいが、それでもオリンピックの開催に合わせて人材ニーズは上昇し、全国で81.5万人の雇用を生むと予測されている(出典リクルートワークス「東京オリンピックがもたらす雇用インパクト(PDF)」)。このレポートでは、建設業で約33万人、サービス業で約16万人、飲食・宿泊業では約3万6千人の雇用ニーズが生まれると推計している。

オリンピックの開催は、開催中の直接的な影響だけではなく、開催を契機に長期的なインバウンド需要の増加をもたらす。2000年のオーストラリア、2004年のギリシャ、2008年の中国、2012年のイギリス、いずれも右肩上がりで観光客が増加している(みずほ総合研究所「2020東京オリンピックの経済効果(PDF)」)。

オリンピックの開催は、人材ニーズを高めることに加え、先述したインバウンド需要を後押しすることで、飲食業やサービス業の現場にも大きな変化を求めることになる。激しい変化が求められている中、従来の人材採用や育成の仕組みでは、対応することが困難なケースも予想される。

変化することなく、現場に無理を強いることになってしまっては、「すき家」のように過重労働の問題が生じてしまうことも起こりうる。そうならないよう、飲食店も変化していかなければならないのではないだろうか。

 

f:id:kakijiro:20151215160218j:plain「ある意味チャンスだから、変化に対応した企業が勝ち残れるはず!

 

テクノロジーが現場の課題を解決するか

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かつて、「ぐるなび」がインターネットを活用して、飲食店検索という行動にイノベーションをもたらしたように、採用や育成といった領域においてもテクノロジーを用いたソリューションが登場してきている。

 

たとえば、ジェネックスソリューションズという会社が開発しているのは、現場のマネジメントを改善するためのツールだ。同社が開発している「ClipLine(クリップライン)」は、これまで「対面」で行われてきた業務に関するスタッフの指導や、売上向上のための施策の伝達、品質維持のためのマネジメント等を、30秒程度の動画と管理サービスを通して可能にするプラットフォーム。

iPadのアプリを通じて仕事に必要なことを伝達し、各現場で生み出されたノウハウも同様に動画で他の店舗へと共有される。飲食店は新規スタッフの育成にコストがかかる一方で、辞めてしまう確率も高かった。育成を効率化することで、コストを下げ、離職率を低下させようというサービスだ。

トレタという会社は長く紙とペンを使用していた飲食店における予約台帳の代替となるサービスを開発。サービスの提供開始から2年ほどで、4000店舗以上に導入されている。Showcase Gigという会社は、スマートフォンから事前に注文と決済を完了させることが可能な「O:der」というアプリを開発している。飲食店の現場の負担を下げるためのソリューションが続々と登場している。

 

一方で、新しいソリューションを使いこなすのはハードルが高い面もある。Showcase Gigは、新たなソリューションを使いこなすことができる人材の採用もサポートするべく、メディア一体型求人サービス「Counter’s(カウンターズ)」を立ち上げている。

社会の流れとテクノロジーの進歩。この2つが重なっている以上、この領域において大きな変化が訪れる可能性は高い。2020年を迎えるころには、飲食店で働くという経験も、今とは変わったものになっているかもしれない。

 

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イラスト:室木おすし

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イラストレーター。イラスト・マンガ・GIFアニメ等を使用して活動中。オモコロライターとしても活動。特技「たべっ子どうぶつ盲牌」がフジテレビの番組「ジマング」で取り上げられて、そのことをたまに思い出してはニヤけている。お仕事常に募集中!お気軽に! 公式サイト:スシックスタジオ(http://www.susics.com)/ Twitter ID:@susics2011

 

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この記事を書いた人

モリ ジュンヤ

ジャーナリスト、編集デザインファーム「inquire」代表。1987年2月生まれ、岐阜県美濃加茂市出身。横浜国立大学経済学部卒業後、『greenz.jp』編集部を経て独立。『THE BRIDGE』『マチノコト』『IDENTITY名古屋』『soar』など複数のメディア運営に携わる。テクノロジー、イノベーション、起業、都市、地域などについて幅広く取材・執筆活動を行っている。

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