共働き家庭が子どもの小学校入学について考えるとき、特に気になるのが「学童(学童保育)」のことではないでしょうか。
民間と公立どちらを選ぶべきか、子どもはなじめるのか、長期休みのお昼ご飯はどうするのか、習い事と両立できるのか、そもそも住んでいる自治体の学童の空き状況は……? などなど、悩みや疑問はつきません。
今回は、現在学童を利用している3人の保護者に、これらの悩みとどう向き合ったのかを聞いてみました。
情報収集は入学前の夏ごろから。選択肢があるなら、子どもとの相性もチェック
しずさん(以下、しず) 私は年長クラスの夏ごろから情報を集め始めました。就学前健診などで学童のパンフレットが配布されたので、入学する小学校と対応している公立の学童を調べ、評判などをチェックしていました。
ただ、Webサイトだと情報がどうしても少なくて、先輩保護者さんからの「あそこは外遊びが多い」「おやつはこんな感じ」といったリアルな情報が心強かったです。ところが、家庭の都合で入学直前に隣の市に引っ越してしまったので、リサーチは新天地で再スタートになってしまったのですが……。
しず 元の居住地で就学や学童利用をするつもりでいたので、急いで引っ越し先で学童を探す必要がありました。とはいえ、引っ越し後すぐにママ友などもいない中で情報を集めるのは難しく、見学もできなくて「もうそこに申し込むしかない!」という感じで。
でも新居のあるエリアは、子どもの数が非常に多く学童申し込みの激戦区だった前の居住地と比べると余裕があり、結果として学童に入るのに苦労せずに済んだのはプラスだったかもしれません。
あきおさん(以下、あきお) うちも年長クラスの7月ごろからリサーチを始めました。先輩保護者から「ランドセルよりも先に学童だよ!」とアドバイスをもらったこともあって、市から配布されたパンフレットやネット検索を活用しながら2~3カ所をピックアップして、9月ごろに見学をしました。預けたい時間が長いことと、職場と家からの距離を考えて公立よりも民間を検討していました。
あきお まだ一人で行動させるのが不安だったので「学校から学童までの送迎がある」は必須でした。それと職場と家からの距離で2カ所に絞られましたが、最終的には長女との相性でしたね。どちらかといえば落ち着いた性格なので、にぎやかなところよりも学習時間をしっかり取れそうな、学習教室が併設されている学童を選びました。
とろろさん(以下、とろろ) 私たちが住んでいる自治体(品川区)では、区立の学校施設を活用して児童に放課後の居場所を提供する「すまいるスクール」という事業を行っています。登録すれば誰でも*1、通っている小学校の「すまいるスクール」が利用できるんです。施設によって預けられる時間などの条件が異なるところもありますが、確実に入ることはできます。
なので、入学前の説明会でもらった資料を少し確認した程度で、これといった情報収集はしていませんでした。ただ、事前にママ友から評判を聞いたりはしていました。
あきお 私たち家族が住んでいる場所は、民間なら希望者はほぼ問題なく入れていると思います。
ただ公立は、少し事情が違いそうです。長女の通う小学校の隣に市内でも大きめの児童館があり、公立の学童も併設されているんですが、学童の定員が埋まっているのか、保護者がお迎えに来るまで児童館での利用者として過ごしている子も多いようです。また、1年生の優先順位が高いので、学年が上がるにつれて退所になってしまうこともあると聞きました。
しず 引っ越し前のエリアは激戦区で、児童数が多い公立小学校の近くにある学童は、希望しても入れない方がいたようです。そのこともあって、引っ越し後すぐ学童について市役所に問い合わせたのですが「1年生ならまず間違いなく入れます」と言われ、拍子抜けしたのを覚えています。
通い始めて分かった学童のいいところ、気になるところ
あきお 比較的小規模の学童なので全体でも40人ほどしかおらず、一人ひとりを細かく見てくれるので安心しています。学習教室が併設されていることもあり、学力診断テストも受けることができます。また、工作などの制作活動が比較的多めです。学童で教わってきたことを自宅でも取り組んでいる姿を見るので、娘には合っていたのかなと。
逆に言うと、長女の通っているところは勉強や細かな作業が苦手なタイプの子には苦しいかもしれません。こればかりは相性ですが……。あと、学童の入っているビルが古めなので、階段が狭かったり、駐車場が停めにくかったりといったハード面の不満はあります。
とろろ 公立の学童は“放置状態”が多いと聞いていましたが、長男の通っているところは職員の方も十分な人数が確保されていて、見守ってくださっているように感じています。長男はのびのびした雰囲気で楽しんでくれているようです。
宿題もみんなでやる時間が設けられていて、漢字ドリルや計算ドリルについてはすまいるスクールで解いて持って帰って来るのはありがたいです。丸付けはこちらでする必要がありますが。
しず 長女が通っている学童は、どちらかというと「放置」気味かなと思います。敷地内なので安全面では満足ですが、年配の職員の方が多いこともあり、外遊びの範囲に制限があったり、世代による“育児の常識の違い”のようなものを感じたりすることもあります。ただ、子どもたちと私たち保護者の顔をよく覚えてくださっていて、しっかり見てくれているなと感じます。
それから、不定期に利用する子どもも多いためか、出欠確認のためのアプリが導入されて便利になりました。子どもが入室するとアプリに通知がくるようになっていて、より安心して預けられるようになったなと。
とろろ 通知がくるアプリは、うちの学童にも導入されていますね。私も安心できると感じています。
習い事との両立はできる? 子どものスケジュール管理
あきお 平日は学童に週4日通い、残り1日はおばあちゃんにお迎えをお願いして、そろばん塾に行っています。土曜日には、そろばん塾と習字にも通っています。
とろろ 平日は週5日、学童に通っています。習い事は平日に週2回、学童から送迎がある英会話のレッスンに参加しているのと、土日にダンスとスイミングに通っています。
しず 最初は週5日とも学童に行っていましたが、引っ越してきて知らない子ばかりの環境だったことや、苦手なタイプの子がいたりもして「行きたくない」という日が出てきたので、今は夫が休みで家にいる日だけ、週に1回の「お休みの日」にしています。
習い事はしていませんが、子ども会の太鼓チームに参加していて、その練習が月に2回ほど、土曜日にあります。平日は親も子どももバタバタなので、土日はなるべくゆっくり過ごしています。
とろろ 土日、ゆっくりしたいですよね! どのご家庭も土日に習い事を入れるから混雑するのがネックで……。学童から引率・送迎してもらえる習い事が増えたら分散できていいのですが。学年が上がったら、自力で通える平日の習い事を始めてもいいなと考えています。
長期休みのお弁当は「冷凍食品」に頼って乗り切る!
しず 冷凍食品をフル活用して乗り切りました! カップに入った小さいドリアや一口サイズの揚げ物など、娘と一緒に買い物に行って「どれにする?」なんて選んでもらったり。
学童でも、土曜日や長期休暇中限定でお弁当の宅配が利用できるようになったそうなので、少し試してみようかなと思っています。500円と割高ではあるのですが。
あきお うちの学童も、夏休みは1日500円くらいでお弁当を準備してもらえました! ただ、子どもの好むようなおかずが少なく、また娘がもともと偏食傾向なこともあり、「食べられないから学童に行きたくない」とまで言うようになってしまって……。結局、私が毎回お弁当を作るようになりました。
娘の場合は食べられるものがほぼ決まっているので、私も冷凍食品を駆使したり、メニューを毎日同じにしたりして作る負荷を下げています。
とろろ わが家は家事分担の関係で、夫がお弁当係です。冷凍食品や、冷蔵庫に入っているちょっとした常備菜などを組み合わせて作っています。すまいるスクールではお弁当サービスがなくて、切実に希望しているところ(笑)。ただ、導入を検討している動きもあるようなので、期待しています!
“学童卒業”のタイミングは? 子どもは前向きに通えている?
あきお わが家は長女と長男が3歳差で、長女が4年生になるタイミングで長男が入学します。だから、彼が慣れるまでの期間は二人一緒に学童に通うことになるかなと。
それをいつまで続けるかですが、長女が「自分はもういい」と言ったらそのときかなと、今は考えています。もしまだ1人での留守番に不安を感じたら、おばあちゃんの家に預かってもらったり、習い事を併用したりしていこうかなって。
しず 「自分は、何歳ごろから一人で留守番できていたかな」と考えますよね。私は4年生くらいだったように思うので、そのくらいになったら本人の意思に任せてもいいかなと考えています。
うちも3歳差で、長女が4年生になるタイミングで次女が入学するので、1年間は一緒に学童に行ってもらうかもしれません。ただもし平日を自宅で過ごすことになっても、長期休暇中だけは心配なので学童にお願いしたいですね。
とろろ うちは2歳差ですが、下の子が入学してから1~2年の間は一緒に学童に行ってもらえたらいいなと思っています。学童をやめるとしたら、預かり時間の延長ができなくなる4年生からかな。私が在宅勤務できる仕事なので、家にいてもいいといえばいいのですが……。
家にいるとずっと同じゲームばかりで遊びがちなので、家ではできないいろいろな遊びを、学童で経験してきてくれたらいいなと思っていますね。
あきお 行き渋りなどは特になく、楽しんで行けていると思います。もとが真面目なタイプなので、「やると言われたらやるものだ」と受け止めているのかもしれません。
入学前に母子で参加する学童の説明会があったので、「春からはここにいるみんなと一緒に学童で過ごすんだよ」と話したりはしましたが、あらたまって「学童とは……」みたいな話はしませんでした。保育園の次は小学校+学童、とスライドしていくようなイメージで伝えていました。
とろろ うちも「保育園からスライド」という感じでした。それから「いやなことや気になることがあったら言っていいんだよ」とは伝えました。お友達とのトラブルも予想されるので、そこはしっかりと伝えるように意識していましたね。
今のところ、学童でものびのび過ごしているようで、楽しそうです。親がやっておいてよかったなと思うのは、他の保護者とのつながりを持っておくこと! 学校生活に関する情報交換もできて助かっています。
しず うちは引っ越しを挟んだこともあり、学童のことまで話すと子どものメンタルにも影響があるような気がして、あえて深く話すことはしませんでした。子どもって、前もって情報を与え過ぎると過剰に怖がったり、身構えたりしてしまうなと思うので……。
就学前健診で小学校に行く機会があったので「春からはここに通うよ、ここが学童だよ」と教えた程度ですね。先ほども話した通り行き渋りも経験しましたが、親子で折り合いをつけながら過ごしています。
取材・文:藤堂真衣
イラスト:caco
編集:はてな編集部
「子どもの小学校生活と仕事の両立」に悩んだら
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*1:2024年3月現在、すまいるスクール利用登録対象者は「1.品川区立学校および義務教育学校(前期課程)に就学、在学する児童」「2.区内在住で、区立学校以外の小学校等(特別支援学校および各種学校を含む)に就学、在学する児童」となっており「区立学校に在籍する児童で、医療的ケアを必要とする場合」は事前の相談が必要となっています。参考:品川区「令和6年度すまいるスクールの手続きおよび必要書類について」