
周囲や自身の結婚・出産、転職などの影響で仲の良かった友人と疎遠になったり、逆に人間関係がどんどん限定的になったり......。
ライフステージの変化が大きい30歳前後は、人付き合いの悩みを抱えやすい時期でもあります。
そんな中“アラサー”で上京を決め、心機一転新しい友達作りを始めたというマンガ家のつづ井さん。気の合う旧友との交流も変わらず続けているつづ井さんに「アラサー以降の人付き合い」のコツを伺いました。
積極的に動かないとアラサーの人間関係は広がらない
- 旧友と過ごすだけでは「コミュニケーションの筋肉」が衰える
- 新しい人間関係の波を起こすために、思い切って上京を決意
つづ井:上京前の数年は実家の犬の介護のため一人暮らしをやめて地元に戻り、老犬中心の生活をしていたんです。
無事に犬を看取ることができたとき、ふと「これからは全部自分ひとりのために時間を使っていいんだ」と気がついて。
もちろん、大好きな犬と過ごせた時間は幸せだったのですが、せっかく自分のために24時間を使えるなら、行ったことのない東京に出てみたいな、と思ったんですよね。

つづ井:最近はオンラインで集合することが増えていたので、寂しさや不安はあまりありませんでした。
物理的に距離は離れていたとしても自分たちの関係が切れてしまうことはないんだな、とここ数年で再確認できたというか。
むしろこれ以上ない友人たちに囲まれているからこそ、このままでは「コミュニケーションの筋肉」が衰えてしまいそう......と思ったんです。
つづ井:はい。付き合いの長い友人たちとはお互いのことをよく知っているからこそ、あれこれと気を回さなくてもコミュニケーションがとれてしまいます。
それは本当に恵まれたことなのですが、一方でまったく知らない人たちと気を使い合いながらも仲良くなっていく経験も避けたくないなとも思って。

私はフリーランスなのでお仕事においても関わる人が限定されがちで、自分から積極的に動かないと人間関係って広がっていかないものなんだな、と30代を迎えて強く感じるようになりました。
だからこそ、思いきって上京して、自分の周りの人間関係に新たな波を起こしてみたいなと思ったんです。
大人だからこそ「友達になってください」とストレートに伝えてみる
- 「新しく友達をつくる!」と宣言し、フットワーク軽く出かけることを意識
- 大人になってからの「友達になってください!」は意外と喜ばれる
つづ井:うれしいことに、少しずつですが増えている気がします。
「新しく友達をつくる!」と周りに宣言して上京したこともあって、まずはフットワーク軽くいろいろな場所に行ってみよう、と意識してきました。
中でもうれしかったのが、マンガ家の地球のお魚ぽんちゃん先生と仲良くなれたことですね。
先日、地球のお魚ぽんちゃん先生『霧尾ファンクラブ』刊行記念のトークイベントへ行ってきました❣️♪
— つづ井 (@wacchoichoi) 2022年12月21日
とっても楽しかった〜ぽんちゃん先生が思い描かれている物語の最後の最後まで絶対読みたい‼️ファンです‼️ pic.twitter.com/0dNPvCiCAx
私がいちファンとしてぽんちゃん先生のトークイベントへ参加したのをきっかけに、私から「友達になってください!」と伝えてみたんです。
それからは、月に1回ほどのペースでお茶する仲になりました。
つづ井:大人になると「友達になってください」って言うことも言われることもあまりないですよね(笑)。だからこそ、喜んでくださる方が多いように感じています。
他にも行きつけのお店をきっかけに、休日に一緒に遊びに出かけるような年上のお友達も何人かできました。
「上京したばかりなんです」と伝えると、先輩方がいろいろな体験談を聞かせてくれて勉強になります。
相手にも自分にも負担をかけない「システマティックな誘い方」
- 相手の気持ちは本人にしか分からないから、考え過ぎずシステマティックに誘う
- 「断りやすい雰囲気」で誘うと、自分も傷つきにくい
- 「10回中1回来られるか来られないかでOK」のスタンスでたくさん誘う
つづ井:あるあるですよね……。
やっぱり30代になると結婚したり子どもを産んだりする人が増えてくるので、「夜に誘うのは迷惑かな......」とか。
そんなとき「自分が相手の立場だったらどう思うだろう」と想像をめぐらすことしかできないですけど、「誘われたら嫌かな」とか「負担になっちゃうかな」とか相手の気持ちをネガティブな方向に想像してもキリがないとも感じるんですよね……。
もちろん相手に配慮はしたいけど、結局、人の心の中って他人には見えないじゃないですか。
だから相手の気持ちを考え過ぎて沼にはまってしまうくらいなら、ある種システマティックに誘う部分があってもいいのかな、と。
つづ井:例えば「久しぶりに会ってお茶しない?」ではなくて、「このアニメのイベントに行くんだけど、もし興味あったら一緒に行かない?」と誘ってみる。
誘う側としては一緒にイベントに行けたらもちろんうれしいけど、仮に断られたとしてもどの道イベントには行くつもりだからショックを受けにくい。
相手にとっても「そのアニメ、知らないんだよね」とか「興味がないから」といった理由で断りやすいんじゃないかと思います。

他にも「来られるときはこのスタンプ、来られないときはこのスタンプで返事ちょうだい!」と伝えたり。
相手が断りやすい雰囲気であれば、こちらも考え過ぎずに声をかけられると思うんです。
つづ井:はい。あと、私は「めっちゃ遊びに誘ってくるけど、めっちゃ断りやすいやつ」でいたいなとも思っていて。
「たくさん誘うけど10回中1回来られるか来られないかで全然OKだから!」という姿勢で声をかけています。
「しばらくは行けないからそんなに誘われても困る」ってことであれば、それも言ってくれていいからねと伝えるようにもしています。
ライフステージが変わっても無理に話題を合わせようとしなくていい
- 変化が多い年齢だからこそ「変わらない友達」でいることも大事
- 昔からの友達と今も仲がいいのは、とても幸せなこと
つづ井:基本的には、無理に相手に合わせて話題を選ぶことはしないように意識しています。
特に女性はライフステージが目まぐるしく変わるので、「私たちってしゃべる内容、昔から全然変わんないよね」っていう友達がいるのも悪くはないんじゃないかなって。
友達が結婚したり子どもを生んだりしても、私はいつまでも学生時代の思い出話や地元の話ができる存在でありたいなと思っています。

つづ井:年齢とともに自分の価値観もどんどん変化していく中で、「昔からの友達といまも一緒に楽しく過ごせている」ってすごいことだなとよく思うんです。
「こんなにいい友達がいるなんて!」と自分自身のことも少し好きになれます。
私はこれまで、友達とのやりとりをたくさんコミックエッセイにしてきましたが、あえて作品にはせず「自分たちだけの思い出」として大切に取って置いてある思い出も実はたくさんあって。
それもとても幸せなことだと思っています。

取材・文:生湯葉シホ
編集:はてな編集部
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