お坊さん大好き
こんにちは。
兵庫県在住、株式会社人間の社領エミ(しゃりょう えみ)です。この度、ジモコロでライターをさせていただくことになりました。よろしくお願いします!
突然ですが、私は若くてピチピチな男の子が好きです。
その中でも、とりわけお坊さんが大好きです。
お坊さんの、誠実なところが好きです。
お坊さんの、優しくてひたむきなところが好きです。
お坊さんの、意外とワイルドでマッチョが多いところが好きです。
お坊さんが好きです…。
お坊さん……。
お坊さんに会いた~~い!!!
高野山にやってきた
ということで、お坊さんの聖地である「高野山」にやって来ました!
関西以外の方にご説明申し上げますと、高野山は和歌山県高野町に存在する日本仏教の一大聖地です。ちなみに聖地とは、宗教等において重要な意味を持つ聖なる地、又は神聖とされる自然地域のことで、関西における知名度は相当なものがあります。
この高野山、山頂にぽつんと存在する小さな町でありながら…
寺!
寺!
寺〜〜!!!
寺だらけなんです!!
高野山に存在するお寺だけで、なんとその数100カ寺以上!
まさに「犬も歩けば寺に入る」状態。
そしてこの高野山、真言宗の宗祖”弘法大師”さんによって開かれてから今年でちょうど1200年記念だとか。な、長~い!!
そんな高野山開創1200年を記念して、高野山では様々なお祝い事が行われています。この10月には、金堂の御本尊が前代未聞のご開帳をされたり、徳川家霊台の内部が特別公開されたりだとか。さらに4月に行われた大法会には、なんと秋篠宮ご夫妻もご出席なさったそうですよ〜!
いや〜、すごいです。高野山各地のお寺でも、1200年を祝して御本尊をドカドカ公開してるようなので、御本尊マニアの方は今年のうちに行くしかないぞ!
取材にやってきた今日は平日なので閑散としていましたが、土日は観光客の方も多いそうです。心なしか、海外からの観光客の方もちらほら見受けられ…
気を抜くと写メられたりします。
いや~めでたい時期に高野山に来てしまいました。
そして…。
噂によるとこの高野山にはおよそ1000人のお坊さんがお勤めしているんだとか…。
ゴクリ…。
た、楽しみじゃ~~~っ!!
お坊さんにインタビューするぞ!
今回お坊さんにインタビューさせていただくのは、高野山にあるお寺のなかのひとつ熊谷寺(くまがいじ)。熊谷寺さんは、西暦837年に建立した歴史の長いお寺で、熊谷直実公が平敦盛の供養をこのお寺で大々的に行ったことから、熊谷寺と呼ばれるようになったんだとか。
熊谷寺さんの門!
庭、デカ〜〜〜ッ!!!
そしてこちらが、熊谷寺でお勤めなさっている宮田さん!
お坊さんだ〜〜〜っ!!!
「こんにちは!今日はよろしくお願いします!」
「はい、よろしくお願いします」
お坊さんってどんなお仕事?
「では早速。年齢と役職を教えてください!」
「宮田と申します。ここ熊谷寺で住み込みをしながら働いていて、今年で28歳です。役職は『役僧(やくそう)』といいます」
「役僧とは?」
「『お役目のある僧』ということです。普段は、法要を営んだり、熊谷寺にいらっしゃった方に法話をしたり、住職が忙しくてできないお仕事を請け負ったりなど。あと、増えているのがネット対応ですね」
「ネ、ネット対応…!?」
「はい。高野山にあるお寺の多くは、僧侶や参拝者の方が寝泊まりする施設、宿坊を併設しているんですが…」
「このお寺に泊まれるんですか」
「泊まれます。寺に寝泊まりというと質素に聞こえますが、水周りが共用という以外は旅館とあまり変わりないですよ。個室にお布団、テレビ、浴衣もありますし、プランによっては夕食・朝食もつけることができます」
「えー、気になる! お坊さんとひとつ屋根の下で夜を明かしたい!!!」」
「あ、はい…。ともかく、そんな旅館のようなものを運営しているのだからインターネットに登録しろ、と副住職から仰せがありまして。3年前から、楽天トラベルに掲載しております」
「楽天トラベル!? どれどれ…あ〜!」
「の、載ってる〜!!」
「評価高っ!!」
「恐れ多いです。おかげ様でお客様がどっと増えて、多い時では一度に70名様にご宿泊いただくこともあります。最近は、そのネット対応に追われることが多いですね」
「最近の僧侶はネット対応に追われているのか…」
休みの日のお坊さんの過ごし方
「ところで、普通の質問なんですけど。 私なんかは普段、家でゴロゴロしたりアニメを見たりしながら楽しみを得ているのですが、高野山のお坊さんも同じなのでしょうか。お休みの日は何をされてるんですか?」
「ラーメンを食べにいきます!」
「趣味がラーメンなんですね」
「ここから少し下に行くと橋本という町があるので、そこでラーメンを食べたり…大阪まで出てラーメンを食べたりします。あとは…最近、うちのお坊さんたちみんなでモンハン4にハマってます」
「あれ、めっちゃ殺生するゲームじゃん!! やっぱり通信対戦とかするんですか? 」
「いえ、オンラインはマナーが良くないのでちょっと…」
「お坊さんらしい遊び方だな~」
やっぱりお坊さんはストイックだった
「宮田さん、出すぎたことをお聞きしますが、ご結婚は…?」
「いえ、していません」
「あ、そうなんですね。ちなみにお坊さんって恋愛禁止だったりするんでしょうか」
「いや、そんなことはないですよ。修行の妨げにならなければ恋愛も結婚も自由ですが…」
「ですが? ?実は…お、男を好きになってしまった…とか?」
「違います。私は、自分の修行に専念してるので今は大丈夫かなと」
「えー!き、禁欲的~! お坊さんって需要ありそうなのに…。やっぱり、女の子と付き合えないくらい毎日修行しないといけないんですか?」
「そうですね。一般的に言われる修行のような滝行や水行といった身体的に厳しいものを毎日行っているわけではないんです。ただし、お坊さんは色々な知識を備えなければいけないので、日々勉強しなければなりません。それが私の指す修行です。まず書道、そして漢文も読めなければいけません。ほかにも建物のこと、お茶のこと、陶器のことなど…。仏教だけのことに関わらず、日本文化を全般的に学ぶことで少しずつお坊さんにそぐう人物になるものだと考えているので、私はまだまだ毎日修行で忙しいですね」
いろいろ書いて説明して下さる宮田さん
「じゃあ、いま関心のある事柄を学びきったときは、修行が終わるのでしょうか」
「お坊さんにとってのプロ意識は、全ての疑問に答えることができるということ。答えられなかったら調べ直して再度勉強します。なんとしても答えられるようにするのが私たちの仕事なので、この世に人がいて疑問がある限り、私たちは修行をし続けなければなりません」
「す、すげえ~~!超ストイック~~!! 減量中の力石徹か! じゃあ、今までで一番答えづらかった質問ってなんですか?」
「答えづらかった質問ですか? うーん…」
「………」
「無い、ですね」
「めっちゃストイックに考えてくれる~!!」
お坊さんの夢って何?
「では、最後に質問です。夢ってなんですか?」
「自分の寺を持つことです」
「へ~!住職になるということですか?」
「そうです。住職になるにはその寺の養子に入ることが一般的なのですが、私は宮田の姓で住職になりたいので、自分が住職になれる空き寺を探しています。お寺の中でも、住職が不在で別の住職が兼任している空き寺というものがあって、縁があれば入れたり、住職に紹介頂くタイミングが稀にありまして…。今のように人の寺を借りながら拝むのではなく、ちゃんと自分の道場を持って、自分の道場で拝みたいですね」
「それは、お坊さんの中ではけっこう共通の認識なんでしょうか」
「たまに住職希望じゃない人もいますが、ほとんどがそうですね。なので、今はただひたすらそれを待っています」
「なるほど。土地の希望はあるんですか?」
「そうですね、私は実家が大分なので九州が理想です」
「早く良いお寺が見つかるといいですね!」
九州にお住まいのみなさ〜ん!
空き寺の情報お待ちしております!
「ところで、今日はこの後どうしましょうか。よかったら精進料理を食べていかれますか?」
「え、いいんですか!?」
「ええ、是非」
「やった〜!」
※通常熊谷寺さんで精進料理を頂くには、事前予約が必要です!
質素なイメージの精進料理を食べるぞ
「ということで、精進料理を食べるぞ〜!」
ワクワク
「失礼します!」
「は〜い!」
お料理お持ちしました!
「わ、若いお坊さんじゃ〜〜〜っ!!!!!」
「ひ、ひええ……わ、わしの大好きな若いお坊さんじゃ……若いお坊さんじゃ~!!」
「君…い……いくつ?」
「21です!」
ピチピチや〜〜〜っ!!!!!!!
精進料理は予想外な豪華さ
こちらが、熊谷寺さんの精進料理。
めっちゃ豪華〜ッ!!
精進料理とは、殺生・肉食が禁じられている僧侶のための、肉・魚・卵を一切排除した料理のこと。え…僧侶…え!? これ、僧侶のための料理なの!?
めちゃくちゃ美味しそう!
「ほんとにお肉使ってないんですか!」
「はい!お坊さんが修行中に食べるものと全く同じではないですが、れっきとした精進料理です。肉・魚・卵は一切使われていませんよ」
「す、すごい!」
みなさん気になる精進料理のメニューはこちら。
《本膳》(写真左側)
胡麻豆腐、旬の天ぷら、お漬物、肉もどき、ご飯、結び湯葉と手まり麩のお吸い物
《二の膳》(写真右側)
生麩・高野豆腐・しいたけの旬寒、わらびの酢の物、湯葉のお刺身、トマトのワイン煮込み、デザート
「わ~~すごいおいしそ………トマトのワイン煮込み?」
「西洋すぎません?」
「肉・魚・卵は使用していないので、これも精進料理になります」
「そんなもんなのか…。まぁいいや、いただきまーす! では、さっそく本膳のメイン、天ぷらから!」
ヒューうまそ〜! いただきます!
ぱくり
う、うま〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
「なんだこれ!!滅茶苦茶うまいんですけど~!!」
「あ、ほんとですか、よかったです。」
「野菜本来の味を生かしたかぼちゃの風味…。トマトのワイン煮込みのお上品な甘さ…。あー全部うまい! 全部うまい!」
「いやー」
来てよかった〜!!
若いお坊さんにインタビューするぞ
「ということで、ここで会ったのも何かの縁です。インタビューさせてください! まずはお名前と年齢をどうぞ」
「はい、僕でよければ。名前は小脇、年齢は21歳です」
「小脇さん。野に咲く花のような良い名前ですね。役職は何ですか?」
「今は…役職といいますか、ただの小僧をしています」
「小僧!? 若いお坊さんって小僧っていうんだ…。どうして熊谷寺に?」
「高校進学時、お坊さんになりたくて地元の岡山からこちらに出てきまして、そのご縁です。今は、お坊さんを育てる大学 高野山大学に通いながら、住み込みで熊谷寺にお勤めしています」
「お坊さんを育てる大学!?」
「はい。仏教や仏像、漢文などについて専門的な勉強ができる大学です。もちろんお坊さんになりたい人だけが通っているわけではないですが、ほとんどがお坊さん志望の生徒ですよ。昼間は学校で勉強して、その他の時間はお寺で仕事を手伝っています」
「へ~!どうして高野山に? やっぱりお寺の息子なんですか?」
「いえ。僕は在家、いわゆる一般家庭の生まれです。中学校の時、高野山高校のオープンスクールで体験した瞑想にとても惹かれるものがありまして…。また、人生の中で一度は親から離れて暮らさなければという意識もありましたので、そのまま高野山高校に進学して今に至ります」
「15歳そこらで人生を決めている…! 偉すぎる! 私なんて、まだ実家暮らしなんですけど…」
大学生のお坊さんっていつも何してるの?
「大学に行くと若いお坊さん同士で仲良くワイワイするんですよね。若いお坊さんのなかで流行っているものってありますか?」
「そうですね、うーん…お坊さんの間だけで流行っているものは、あまりないかもしれません。結構、その時代時代で流行っているものに乗ってるような…」
「というと、アプリとか?」
「パズドラとかモンストとかですかね」
「学校終わって→お勤め終わって→モンスト!?」
「そうですね(笑)」
「な、なんかキャワイイ!! 休みの日は何してるんですか?」
「山から下りて、お菓子を買いに行ったり…。あとはカラオケとかボウリングに行ったりしますね」
「僧侶のカラオケ、僧侶のボウリング…。なんかシュールですね。ちなみにカラオケは何を歌うんですか?」
「行く人にもよるんですが、だいたいJ-POPとか…ボカロとか…」
「ニコニコ動画を見てるんですか」
「見ます」
「めっちゃ普通の大学生~!!」
「あとは、レンタルビデオ屋さんでCDを借りてきたりもします。ただ、この頻度で山から下りられるようになったのも今年からなんですよね。去年までは帰省するとき位しかお休みがなかったですし、今年からいただけるようになった休みも、本来は卒論のための休みなので」
「え、もしかして、お坊さんってかなり忙しいんですか…?」
「朝6時に起きて、何もなければ夜20時までお勤めなので…これを毎日です」
「すごい社畜じゃないですか」
「いえ、これも立派なお坊さんになるための修行です」
「立派だなぁ…」
やっぱり気になる、お坊さんの恋愛話
「あの、非常に個人的な質問なんですが…彼女いますか?」
「いません」
「うお~~~~!!!!!」
「え?」
「あの、どんな子がタイプですか?」
「タイプですか?うーん…」
「好きなタレントとかでも!」
「うーん……」
「……本田翼」
「正統派~~!! やっぱりお坊さんって自分と一緒の宗派の子が理想!とかはあるんでしょうか?」
「いえ、特にありませんが。結婚を前提とした時に考えるんでしょうね。なるべく同じ宗派の方が良いかなとは思いますが…。ただ、僕も実家が真言宗という訳ではありませんので、恋愛に対してそんなに制限を感じてはいないですね」
「マジか!」
皆さん聞きました!?
お坊さんって、恋愛に対してそんなに制限を感じていないそうですよ!
小僧にとっての進路とは?
「卒業後はだいたいみなさん何をされるんですか?」
「学校を卒業した後は、100日間の修行をします。それを終えてやっと灌頂(かんじょう)という住職になる権利を持つので、そこからそれぞれの進路に進みます。
だいたい半分以上が僧侶になるのですが、教員免許がとれる科もありますので、公務員だったり一般企業に就職する子もいたり、進路の判断は様々ですね」
「へぇ~。その100日間の修行というのは、どういったことを?」
「これはですね…とても厳しい修行なんですが、人には言えないんです」
「山奥で僧侶の男達が人には言えないことを…!? 座禅を組んでると先輩僧侶に『おいおい…もうこんなになってんのか?この背筋は…』とかって言われるってことですか?」
「そ、それはちょっと違いますね。なんでBLっぽい展開に持っていくんですか。とにかく厳しい修行です。あとは…すぐ実家の寺に戻る人もいるのですが、僕は一年間ほどはこの熊谷寺でお礼奉公をしようと思っています。そこからは、自分の寺を持てるよう修行の毎日かと」
「では、自分の寺を持ったあとに叶えたい夢はなんですか?」
「これもお坊さんになりたいと思った理由のひとつなんですが、愛知県の岡崎市というところに、不登校や引きこもりなどの問題を抱える子供たちを預かって共同生活で更生を行う、浄土宗のお寺があるんです。中学生の時、その住職さんにとても憧れて、お坊さんになることを決めたので…。問題を抱える子供達の内からのケアができる、そんな寺を持ちたいですね」
「り、立派な小僧だ〜!!」
あー精進料理も美味しかったし、小僧さんも素敵だった〜
「という訳で小脇さん、今日は本当にありがとうございました!」
またいつか!
熊谷寺さん、お世話になりました〜!
お坊さんのインタビューを終えて
みなさんいかがでしたでしょうか。お坊さん好きの私も、これまで知ることのできなかったパーソナルな部分を知ることができて良かったです。まさか恋愛自由、ラーメン食い放題、モンハンやモンストに興じているだなんて。厳しい日々のなかで見出す娯楽は、私たちと同じ普通の人なんですね。
私は若い男の子が大好きというのもありますが、自分が生きているこの世界、この時間でも、こんな暮らしをしている人がいるということに、とてもワクワクしました。
深い森に囲まれた高野山。標高900mのひんやりした新鮮な空気が、山を降りながら名残惜しくもあります…。
これからは、もっとお坊さんに親しみを持って接することができそうですね。
またいつか、絶対に高野山に来たい! そう、心から思えた1日でした。
いつまでこのままなん?
写真撮影:@sakotsu
この記事を書いたライター
1990年生まれのアホなフリーライター。取っつきにくいことをわかりやすく噛み砕いたり、みんなが気になることをインタビューしたりしています。 HP|http://sharyoemi.hatenablog.com/