こんにちは! 元お笑い芸人のライター倉沢学です。

 

右が芸人時代の倉沢

 

みなさんは「構成作家」ってご存知でしょうか?

テレビやラジオの企画を作ったり、台本を書いたりする、主にお笑いやバラエティ番組には欠かせない職業です……が、一般の方にはあまり馴染みの無い職業かもしれません。

 

そこで今回は、みなさんにもわかりやすく「構成作家とはどういう仕事なのか」を紹介するために―

 

https://twitter.com/huwahuwananyo/status/1472202692676440073

―ここ最近、賞レースで優勝した芸人がこぞってTwitterでその名前を連呼している、今もっとも旬な作家に話を聞いてみました。

 

それがこの人、平島太郎さんです!

平島太郎

吉本のお笑い学校NSCの作家コース出身の構成作家。

2022年現在ついている芸人はオズワルド、空気階段、マヂカルラブリーなど。

ついた芸人がお笑いの賞レースで多く好成績をおさめ、話題の構成作家として注目されている。

公式Twitter

 

構成作家ってどんなお仕事?

「今日はよろしくお願いします! “この作家がついた芸人が、次々にお笑いの賞レースで優勝している”というツイートを見かけて、平島さんに話を聞きたいなと」

 

「マヂカルラブリーの野田クリスタルさんがぼくに関するツイートをしてくれて、最近はこんな風に僕なんかが取材されるようになってきちゃいましたね」

「現在担当している芸人さんって、どなたなんでしょう?」

「今は、空気階段、オズワルド、単独ライブはマヂカルラブリーさんもついています」

「今をときめく売れっ子ばっかり! 何をきっかけに、作家としてその芸人さんに関わるようになるんでしょうか?」

「基本はぼくの方から、芸人や上の作家さんにお手伝いしたい……と言いますね」

「作家さんから行くんですね! 単独ライブでの作家さんの関わり方はどんな感じなんでしょう?」

「例えば空気階段の単独ライブは作家が3人いて、制作段階から毎日のように会っていましたね」

 

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「一組の芸人に3人もついてるんだ!?」

「それも人によります。第1回の単独ライブではまだぼく一人でした」

「空気階段さんが売れっ子になったから、3人に増えたということですか?」

「そうですね。空気階段は若手の頃からぼくはおもしろいなと思っていて『単独やる時は作家で入れて!』って言っていたので、声をかけてくれたんです」

「そもそも構成作家という職業自体が一般の方にはあまり馴染みがないと思うんですが、『作家として入る』ってどういう仕事を指すんでしょうか?」

「最初に言っておくと構成作家にも色んな方がいて、テレビやラジオばかりやっている人、ライブをやっている人、YOUTUBEなどなど様々な仕事があって、ぼくはライブを中心にやっています」

「ネタ作りに関しても作家が関わっているんでしょうか?」

「芸人によって全然違いますが、作家が一人で芸人のネタを書くということはほぼ無いです。基本は芸人本人が考えてますね。よくあるのはネタの相談で、ネタを見てどう思うか、作家が意見を言う…というのが多いですね」

「ライターでいう編集者のようなポジションですかね?」

「そうですね。書かれたものを見て”この方が見やすいんじゃないか”とか」

「ネタをボツにするようなこともありますか?」

「作家側に強制力があるわけではないので、ボツにするとかはないですね。ただ率直な意見を求められた場合は、本音を言います」

「おぉ……ちょっと良くないと思う、みたいなことですか」

「ただ作家にも好みの傾向とかはあるので、『ぼくが面白いと思っていないパターンのネタ』ってだけだと思いますよ。その場合、そのネタを面白いと思う作家に見てもらった方がいいですよね」

「笑いってクイズのような正解があるわけじゃないからな…。そのアドバイスには、お金って発生するんですか?」

「しないですね。逆にぼくが面白いと思う芸人なら、ぼくから関わりたいくらいです。仕事というよりは、”もっとこうしたら絶対面白くなるのに!”って言いたくなっちゃうんです」

「そういったアドバイスで実際にウケるようになったら、周りに言いふらしたくならないですか? あれ考えたのオレ! って」

ネタに関してはすべて芸人の力です! ただまぁ、ライブで僕が考えた部分がウケたら……コッソリは言いますよね」

コッソリは言うんだ。芸人がライブで新ネタをする前に作家に見てもらう”ネタ見せ”というのがありますが、それなんかもやるんでしょうか?」

「ぼくはあんまりないですね」

「芸人時代、たくさんの作家さんにネタを見てもらってきましたが、正直作家さんのおかげでネタが劇的によくなった……という経験があんまりないんですよ。単なる僕らの力不足なんですが」

 

ネタを試行錯誤していた時代の倉沢

 

「ネタ見せメインでやっている作家さんにいろいろ言われ過ぎて、ネタをめちゃくちゃ変えてしまい、結局おもしろくなくなってしまった芸人とか、確かに居ますね。それはかわいそうだし、そんなに言うこと聞かなくていいのにな……って思いますね」

「僕らはわりと言われた通りにネタを直すタイプだったんですね。逆に直すのが苦手だったり作家の意見を無視する芸人……例えば同じライブで切磋琢磨した芸人の中では三四郎なんかがそのタイプだったんですが、彼らの方はドーンと売れたりして」

「自分が面白いと思うことをやるために始めた芸人なのに、言われた通りにやるだけじゃ結局何がやりたいんだろうって思っちゃいますよね。やっぱり芸人は自分が面白いと思ったことを貫かないと。なのでぼくは”ネタを変えろ”とは言いたくないんです」

「となると、どういう形のアドバイスになるんですか?」

「例えば“こうした方があなたの笑いは伝わりやすい”というような言い方をします。作家にネタを強く変えるまでの権限は無いんじゃないかって考えなので。ぼくが芸人側だったら、『じゃあお前がやればいいじゃん』って言いたくなると思うんですよ」

「たしかに……裏方としての立ち位置をすごく意識されてるんですね」

 

芸人によって関わり方が変わる”構成作家”

「芸人が単独ライブをやる時は基本、作家さんの力が必要になるんですね」

「吉本に関してはそうですね」

「単独ライブでのお仕事もネタのアドバイスということでしょうか?」

「単独の場合はもう少し深く、“一緒にライブを作る”という感じですかね。ネタだけじゃなく、色々と準備もあるので…。」

「色々な準備というと?」

「吉本の場合だと、音を用意したり小道具を用意したりするのも作家の仕事です」

 

「へ~! ”作家”といっても、書いたり考えたりだけじゃないんですね…!」

「要は“ライブを成立させる仕事”ですね。音響や照明のきっかけのために台本は絶対に必要だし、音楽や小道具探し、色々な連絡などを作家がやるパターンが多いです。企画コーナーがあれば、作家が全部考える場合もあります」

「なんでも屋みたいな感じなんですね」

「それもやはり芸人さんによるので、例えば野田クリスタルさんのようにすべて芸人さんが考える場合もあるし、空気階段のように企画段階から関わる場合もあります」

「逆に、作家さんに丸投げの芸人さんもいるんでしょうか?」

ライブの主催が作家であれば全て作家が考えますね。ぼくも最近やっていて、基本はコーナーとかよりも好きな芸人さんにネタをしてもらっています」

「次のスターはそこから生まれるのか…!?」

 

構成作家に必要な能力とは

「構成作家に必要な能力ってなんでしょうか?」

「もちろん面白いネタや企画を書けるのも大事ですが、“その場を盛り上げる”のも重要な能力のひとつですね。みんなにイジられて笑いが起きることも、社交的であることも重要」

その人が場にいることで、芸人がやりやすくなる能力ということですね。ムードメーカー的な」

「僕なんかは声も低いしボソボソ喋るので、盛り上げられる作家さんを見るとすごいなって思います」

「いろんなタイプの作家さんが活躍してるんですね。平島さんの最終的な目標はなんですか?」

「今は本当に単独ライブが楽しくて、芸人が売れたことでライブギャラも上がりました。このままライブだけで仕事を続けられるようになるのが夢ですね」

「いずれテレビやラジオをメインに……というわけではないんですね」

「もちろん好きな芸人とはいろいろなことをやっていきたいし、空気階段やオズワルドとは実際にテレビやラジオをやれる機会があって、最近はテンション上がっています!」

 

▼平島さんが作家を担当する番組

ほら!ここがオズワルドさんち!

空気階段の空気観察

 

一緒に育った芸人との絆

「売れない頃からついていた芸人さんが、賞レースで優勝した時ってどんな感覚なんでしょう?」

ネタに関わっていればいるほどうれしいですよ! 空気階段がキングオブコントを取った時は、それこそ舞台袖にいてぼくが音出しをしていたんですよ」

「えっ!? テレビの場合、スタジオにいる音響さんが出すんじゃないんだ!?」

「ミスった場合、責任が取れないから音出しも芸人側で用意するんです」

「その日で人生が変わるかもしれないわけだからな…! ボタンひとつ押すのもすごいプレッシャーですよね…」

「芸人さんによってはプロの音響さんを呼ぶ場合もあるんですが、その時はぼくがしましたね。だからそれを成功させたのもあって、よりうれしかったです! とはいえ、すべて芸人の力ですけどね」

「でもオズワルドの伊藤さんはじめ、たくさんの芸人が平島さんの名前を出していますよね」

 

 

「なんでですかね~、昔よくお酒をおごったからですかね?」

「そんな単純なこと!? 絶対違うでしょ」

「伊藤に関しては、おそらく人から”おもしろい”とあまり言われていなかった頃に、僕がおもしろいって言ったからかもしれないですね。”最初から見ていてくれた人”のように思ってくれているのかも」

「良い関係ですね! お酒を飲みに行ったりもするんですか?」

「飲んでいる時もお笑いの熱い話をしたりしていましたね。伊藤は『おもしろい人はみんな食えるようになればいいなぁ』とか言ってましたよ」

「芸人の飲み会って、他の芸人の悪口とか言うもんだと思ってた」

「まぁそれもありますけど」

「あるんだ。反対に、自分が目をかけていた芸人が上手くいかずにやめてしまった、なんてこともあるんでしょうか?」

「昔はぼくも歴が浅かったので、自分のライブを開催できなかった。その時期におもしろいと思っていた芸人がやめてしまいましたね。当時のぼくにもうちょっと力があれば……」

「う~ん、難しい問題ですね……」

「でもそれもそいつの人生だし、続けたからといって成功したかはわからない。僕に力があったからってどうなることでもないかもしれない。でもやっぱり悔しいですよ」

「芸人からしたら、作家さんから気に入られるってうれしいことですよ」

「それは作家もそうですよ。芸人がおもしろいと言ってくれてるから救われるし、必要とされているから自分にもおもしろい所があるんだ、と認識させてもらっているというか」

「持ちつ持たれつの関係性ですね」

「番組の会議で出した案をケチョンケチョンにされていた時期、愚痴で空気階段のかたまりにそれを見せたら『ぼくはおもしろいと思いますよ』と言ってくれて。噓かもしれませんけど、当時のぼくはそれでなんとか自信を持てましたね」

「良い話! 今日は話を聞かせてもらってありがとうございました。これからもおもしろいライブをたくさん作ってください!」

「ありがとうございました!」

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

構成作家さんは、イメージする「作家さん」というよりも芸人をサポートするよき理解者、という存在のようです。

あなたの好きな芸人さんにも、陰で支える作家さんがいるかも? 彼らに注目してみたら、また違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。

 

未来のスターを発掘しに、平島さんの主催ライブにもぜひ行ってみてください!