はたらく女性の深呼吸マガジン

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空っぽだった新社会人に、さまざまな趣味との出会いが「新しい世界」を見せてくれた

 もぐもぐ
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今年も就活の話題をちらほら聞く時期になってきた。この春から社会人になったんです、という人にも会った。

ということは、また1年が巡ったのか。早いなぁ。いつの間にか大学にいた年数よりも、社会に出てからの方が長くなっている。

まともにエントリーシートを書いていない自分にできる就活のアドバイスは何もないけれど、「私は社会人になってから(大人になってから)の方が人生楽しいよ」という個人の感想は何度も何度も何度も言っていきたい。それはつまり、人生を楽しくする方法を会得したということでもある。

やりたいことが何もない

今でこそ、こう楽観的に言えるけど、私自身大学を卒業するときはめちゃくちゃ憂鬱(ゆううつ)だった。怠惰な生活でゆるみまくった精神を叩き直せる自信がなかった。

毎朝同じ時間に起きるだけでつらい。同じ時間に通勤するのもつらい。週5日拘束されるのがそもそもつらい!!

新卒で入社したのはIT系企業。いざ社会人生活をスタートしてみたら意外になんとかなったのだけど、それでも勢いで乗り切っている感が拭えなかった。慣れない環境でじわじわとHPは減っていく。

1週間は7日しかない。5日働いたら残りは2日だ。そこでなんとか楽しいエネルギーを充電しないと、気持ちを前向きにしないと、そのサイクルをうまく作れないと、遅かれ早かれ体力も気力も尽きてしまうと思った。

そこでようやく気付いたのが、私は今まで「やりたいこと」が特段なかった、ということだった。空っぽだった。空白を与えられて、そこで何をしたらいいのか分からなかった。趣味って一体なんなんだ? 自然に見つかるものなのか? いつ? どうやって? 少なくとも、22歳の私にはピンとこなかった。

思い返せば、学生生活の中では趣味のないことはそこまで大きなハンデにならなかった気がする。勉強、部活、学校行事……与えられる選択肢の中から「やること」はある程度選べたからだ。

なので、「なんでも自由にどうぞ」という環境になって途方に暮れた。今までよく考えたことがなかった。空白の2日間。使えるお金は学生時代よりはずっとある。

私は何がやりたいんだろう?

その問いの先に何もないことはこれまで薄く薄くコンプレックスでもあったのだと、そのとき、ほとんど初めて自覚した(あるいは、ようやく直視した)。

空白の休日と趣味探しの旅

さて、空っぽな私が何をしたかというと、趣味を持つ友人に倣うことだった。

とにかく見よう見まねで、まねごとでもいいから、何かを楽しむ“ふり”から始めてみようと思ったのだ。偉い。タイムマシンがあったら当時の自分を褒めてあげたい。

かくして、私の趣味探し行脚が始まった。

秋葉原のAKB48劇場、ジャニーズの東京ドームコンサート、日比谷の東京宝塚劇場、登山、釣り、美術館巡り、料理、ヨガ、短歌……。脈絡なく、いろいろなジャンルの扉を叩いた。

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初めてAKB48劇場に行ったときの帰り。手にも、謎のブレスレット(あるいは髪ゴム)にも若さを感じる……

当然相性がいいものもそうでないものもあったけど、やってみなかったらそれすら知る機会がなかったので、プラマイプラスだ。オッケーオッケー。

「今夢中になっているもののことを教えて」とせがむと、たいていの人は優しくアテンドしてくれた。実際に連れて行ってくれたり、本を紹介してくれたり、長々とYouTube動画やDVDのリストを送ってくれたり。オタクは優しい。

今までほとんど読んだことがなかったBLマンガや小説も買ったし、アニメもたくさん録画した。休日を埋めるだけのつもりが、平日の帰宅後の時間も“勉強”することが増えてしまった。うれしい悲鳴だ。

新しいことを学ぶ日々は、精神的にもすごくよかった。「知らない」「分からない」ことに対するネガティブな気持ちがなくなっていくからだ。

無知はハンデではなくて、「これから知っていける状態」だと分かったことは、休日だけでなく、物事全部への向き合い方を確実に変えたと思う。

知らない世界に足を踏み入れるときは、正面からきちんと「教えて下さい」とお願いする。先入観で決めつけないでフラットな気持ちで向き合う。付け焼き刃の知識で知ったかぶりをしない。質問や疑問は早めに素直に伝える。

そういう姿勢は「社会人1年生」として仕事をする上でも役に立った気がする。

世界は意外に面白い

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東京だけでなく、兵庫の宝塚大劇場にも気軽に行くようになった。衣装が間近で見られて幸せ

私が特におもしろく感じたのはアイドルや演劇などのエンターテインメント分野だったので、さらに深くに手を伸ばした。

お客さんが10人くらいしかいない地下アイドルのイベントに行った。東京に点在する劇場たちを小さいものから大きいものまでスタンプラリーみたいに巡った。

握手会も、ぶっちゃけ行くまでは何が楽しいのか全然分からなかったけど、実際やってみたら「こういうことか!」と身体で実感した。たった数秒でも好きな子と直接コミュニケーションできるのはこんなにわくわくするのか!という衝撃。

「こんなことにお金をかけるのか……」とバカにしちゃうのは簡単だけど、その先にある体験や感情を理解すると物事の違う面が見えてくる。

「興味ない」「関係ない」「理解できない」。

今までそうやって切り捨ててきたものがどれくらいあっただろう、と反省した。いや違う、結果的に「理解できない」は別にいいんです。そういうものも当然ある。ただ、最初からシャットアウトしちゃうのはもったいなかったな、という話。

それと、趣味を通して出会う人たちは年齢も職業もバックグラウンドもいろいろで、それがすごくよかった。「こんな人もいるんだなぁ」という人間関係ができると、うまくリスク分散(?)できて情緒が安定しやすくなった。

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Perfumeのために行った金沢。旅行もいっぱいするようになった

楽しむ気があれば楽しめるのだ

女性アイドルもジャニーズも宝塚も全部好き!な欲張りな姿勢のまま5年くらい経った。休日何しよう、なんて迷う日はほとんどなくなった。ハッピー!

「休日にアレが待ってる!」と思うと平日を過ごすモチベーションがまったく変わる。幸せになるための資金を得ていると思うと、ただ漫然と労働するより全然やる気が出る。マジで。

現金な話だけど、娯楽費をきちんと確保するためにより勤勉に働かなくては、とも思うようになった。どんなに朝やる気がなくても、1日頑張ればそのお給料であのライブに行ける!とダイレクトに頭に浮かぶ喜びよ!

あの頃よりは頻度は下がったけど、今も意識して年に何度かはまったく新しい場所に行ってみている。

去年(2017年)は初めてプロ野球とサッカー観戦をしてすごく楽しかった。ルールすらよく分からなくても、誰一人選手を知らなくても、青空の下でビールを飲むだけで楽しいし、同じチームを応援している人たちに囲まれて応援歌や声援を聞いていると愉快な気持ちになる。

野球観戦

きっと昔の自分だったら行かなかっただろう。だって、知らないもんね。でも、知らなくても楽しむ気があれば楽しめるんだよね。本当に。

今では誰かに好きなものの話をしてもらうこと自体が趣味になってしまって、ネットで知り合った友人たちと劇団雌猫という同人サークルを始め、偏愛の話を集めた同人誌を作ったら、さまざまな偶然が重なって『浪費図鑑 ―悪友たちのないしょ話―』(小学館)として書籍化までしてしまった。

blog.hatenablog.com

数年前の自分には遠過ぎる世界だ。真っ白なカレンダーを見て途方に暮れていた私には!

趣味は後天的に作れる

趣味は後天的に作れる。気の合う友達は大人になってからも出会える。

世の中、自分がその気になれば楽しいことはたくさんある。

大人になってからそのことを知れたのはすごくラッキーだったなと思う。この数年で出会った人には「多趣味だよね」と言われるけど、別に昔からそういう気質なわけではなくて、ただ単純にこの数年意識的にやってきた結果なのだ。

28歳となった今は、周囲のお姉さまたちに「30代楽しいよ〜!」と言われるのでわくわくしている。もっと若いときはうっすらと加齢への恐れのようなものがあったけど、きっと歳を重ねたら重ねたで新しい世界が見えるんだろうな、って普通にまっすぐにポジティブに思えるようになった。

だって実際、華の17歳より、20歳の女子大生より、28歳の今がいちばん楽しいもんね!!

まぁ、とはいえ毎日生きてていいことだけじゃない。しんどいこともムカつくこともだるいこともそりゃ山ほどある。それでも私は、大人は楽しいですよ!って大声で言っていきたい。これからもそう言えるように頑張る。

楽しく生きるための楽しい努力は楽しい。10年後はまた全然違う趣味を楽しんでいるかもしれないね。待ってろよ、まだ知らない世界。



著者:もぐもぐ (id:haruna26)

もぐもぐ

平成元年生まれ、インターネット育ち。アイドル、宝塚、2.5次元舞台、エンタメ全般が大好き。だいたい毎日幸せです。オタク女子集団「劇団雌猫」で同人誌「悪友」シリーズ、「浪費図鑑」(小学館)を発売中。

ブログ:インターネットもぐもぐ Twitter:@mgmgnet

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編集/はてな編集部