コロナ禍をきっかけに急速に浸透したテレワーク(リモートワーク・在宅勤務)。これまでは一部の職種や事由がある人しか活用できなかった……という企業が、会社全体としてテレワークを推進したり、利用できる頻度が広がったりしたということも少なくないはずです。
2人のお子さんを育てながら働くブロガー・みるくさんは約5年前からリモートワークを活用中。しかし利用当初はできる業務が限られる、またリモートワークをする人が少数派であったことによる「申し訳なさ」を感じることもあったそうです。
しかし、会社全体がリモートワークを推奨するようになってからは、これまでネックだった働きづらさなどが解消されたとのこと。さらにフルリモートも可能になったことで長らく続けていた時短勤務を解除し、フルタイム勤務に戻せたと語ります。リモートワークは「少数」だった時期も経験したみるくさんが同僚の多くがリモートワークを活用するようになった現在までを通して感じたことを書いていただきました。
初めまして。共働きで7歳・2歳の姉妹を育てているブロガー・みるくと申します。
都内の会社でバックエンドエンジニアとして自社サイトの開発・運用をしていて、普段は保育園に通う次女の送迎をしながら自宅でリモートワークしています。
第一子の育休復職時はフルタイムで働いていましたが、郊外への引っ越しをきっかけに通勤時間が長くなり、保育園送迎などの兼ね合いから時短勤務を選択せざるを得ない形に。その後第二子の産休育休を経て、復帰後もしばらく時短勤務をしていましたが、コロナ禍で会社がリモートワーク主体となったことが追い風となり、長女の小学校就学とともにフルタイムに戻しました。現在はそれから約1年が経過しており、フルリモート生活にもだいぶなじんできています。
私のリモートワーク歴は約5年。会社全体がリモートを推進するようになったのはここ2年ほどですが、この5年で感じた変化について紹介しようと思います。
リモートワーク「少数派」だった時期に感じたこと
長女の育休復帰から1年余りが経った頃、開発部門の一部でリモートワーク導入トライアルが始まり、上司の勧めもあって参加しました。
しかし、このとき会社としてのメインはあくまで出社だったので、在宅で仕事をしていたのは週1程度だったと思います。週1でも静かな環境で落ち着いて仕事ができるのは個人的にリモートワークのよさだと感じましたが、当時はオフィス環境でないと入れないシステムもあり、在宅でできる業務が限定されていました。この頃私は複数プロジェクトを動かしていたり、プロジェクトの本番リリース作業がリモートではできなかったりすることもあり、いずれにせよリリースがある日は出社せざるを得ませんでした。
実はこのトライアルが始まる前からも、育児・介護事由で例外的に在宅勤務できる制度は存在していましたが、このケースではさらにできる業務が限られてしまう。そのため、やむを得ないときだけ利用していました*1。
環境整備が進むも「申し訳なさ」を感じる
その後、開発部門だけでなく複数の部署でリモートワークが正式導入されていき、育児・介護事由でなくとも、希望者は最大週4日までリモートワークができるように(週1日は出社必須)。トライアル期で浮上した改善点を踏まえ、ほとんどのことは出社時と同等にできるようシステムが整備されていきました。
リモートワークはデメリットもあるものの、自分にとってはメリットがそれを上回ると感じていました。満員電車の苦痛から解放されますし、作業中不意に話しかけられて集中を乱されることもなく*2非常に快適です。
特に育児している人にとってはやはりリモートワークの恩恵は大きいのではないでしょうか。送迎負担が軽減したり、浮いた通勤時間分を家事に充てられたり、挙げればきりがありません。
しかし、当時は(一部部署を除き)週4でリモートしている人は少数で、ほとんどは週1~2か、全くしない人が多数。私も初めは遠慮して週1程度でした。
本当はもっとしたかったのですが、会議で自分のためだけにビデオ通話のセッティングをしてもらうなど、申し訳なさを感じる場面も多々あったのです。
私の場合はチームメンバーに週4リモートする方がいた影響もあって、次女を妊娠したあたりからは徐々に週4でリモートワークするようになっていきましたが、当時は事前申請制だったり、パソコンを前日に持ち帰る必要があったり、作業内容報告書の提出があったりと、「リモートワークをするため」の手続きが大変だったのも、なかなか浸透しない障壁になっていたように感じます。
職場でリモートワークが「当たり前」になって感じた変化
2020年2月、コロナ禍を機に全社員が原則リモートワークに切り替わり、「週1日出社」という縛りもなくなったことでフルリモートが可能に。すでにリモートワークを正式導入していたことが功を奏し、切り替え自体は特に大きな混乱はなかった*3ように思います。
私は同年夏に次女の育休から時短勤務で復帰。初日にパソコンを会社で受け取ってからは、ずっと家でのリモートワークが続きました。初対面のメンバーとはずっと画面越しでしか顔を合わせたことがありませんが、大きなトラブルもありませんでした。
リモートメインの人が少数派だった頃と違い、ほぼ全員がリモートになると色んなことが「リモート前提」で動きます。これはとても快適でした。例えば会議もそれぞれがWeb会議用のURLにアクセスすればすぐにできます。以前のようなテレビ会議ができる会議室を予約して機器をつないで……といった自分のためだけに発生する作業もなくなり、変な遠慮が不要になりました。
2022年現在は出社/リモートを自由に選択できますが、開発部門など自分の周囲は週5フルリモートが多数派になっています。
以前はリモートワークが少数派だったこと、できる業務が限定されることなどで周りに対する「申し訳なさ」を感じていました。しかし、リモート前提となった今では皆が同じ状況下にあるため、こういった心理的障壁はなくなりました。
また、私の場合はフルリモートが可能になったことでの変化もありました。
私の場合、家から保育園まで片道10分な一方で、会社から保育園までは片道1時間半ほどかかります。週4で在宅勤務をしていた頃、週1出社であれば、この日だけ勤務時間をずらしてフルタイムで……というのができないかとも思っていましたが、会社の規定でそれはできませんでした。また、1時間単位での時間休が取得できたものの、通院やお迎え・早退などでも時間休を活用していたため、出社時の勤務時間をずらすために使ってしまうと、あっという間に有給がなくなってしまいます。そのため、コロナ前は「週1出社する」というルールがネックとなり時短勤務せざるを得ませんでした。
しかし、「フルリモートになった今ならできるかも……!」と思いきってフルタイム勤務に戻しました。時短からフルタイムになったのは実に5年ぶりです。
5年ぶりに時短からフルタイムに戻してみて
フルタイムに戻すことに躊躇いが全くなかったわけではありません。生活時間が後ろにずれ込む、自分の体力がもたない……など様々な葛藤はありました。でも個人的には、フルタイムに戻せてよかったなと思っています。
かつては最大で90分の時短を取っていたため、思った以上に激減していた給料。それがフルタイムになったことで復活し、仕事のモチベーションが上がりました。「いつ保育園からお迎えコールが来るかわからない」という緊張感は相変わらずありますが、定時まで働けるようになったことで少しばかり気持ちのゆとりも持てました。
育休から復帰した仲間の中には、フルリモートが導入される前からフレックスで1時間早くずらして働く人や、リモートワークのパートナーと協力してフルタイムに戻した人もいます。私の場合は時間を早めて働くのが体力的に自信がなかったのと、夫の仕事の都合上、フルタイムに戻せるのは当分先のことだろうとなんとなく思っていました。
しかし長女の「小1の壁」対策についても考えなければ……と思った矢先、思いがけない会社のフルリモート化によって、小1の壁の解決だけでなく、フルタイム勤務に戻すことができました。
今の会社は子供が小学校に入学してからも一定の期間は時短勤務ができるなど、ありがたいことに育児をしながら働きやすい環境だと思います。ただ、いつかはフルタイムに戻したいとは思っていたものの、コロナ以前の状況であったならば、あくまでわが家の場合では、小学生と未就学児がいる中でフルタイムに戻す選択をとるのは難しく、下の子が就学するまでは時短を選択していたように思います。
働き方の選択肢がもっと広がるといい
もちろん職種によってリモートワークに向く・向かない/できる・できないがあると思いますが、昨今の情勢からリモートワークを導入したりフルリモートへ舵を切る会社も増えてきているはずです。
勤務形態や家庭事情などによらず、誰でも気兼ねなくリモートが選択できると働き方の選択肢はもっと広がるように思います。実際、リモートワークが限定的だった5年前に比べると、私の会社では特別な事情がなくてもリモートができるようになり、さらにフルリモート可にもなりました。
時短勤務をする理由は色々あると思いますが、もう少し働きたい、と思っている場合に柔軟な働き方が選択できる世の中になるといいなぁと思っています。
テレワークの困りごとはある?
著者:みるく