テレワークの息抜きに“紅茶”という選択を。プロが教える、簡単で美味しい紅茶のいれ方


在宅勤務やおうち時間が増えてくる中で、自宅で飲み物を飲む機会が多くなった方もいるのではないかと思います。ただ、毎日同じものを飲んでいるとどうしても飽きが来てしまいがち。そんなとき、普段から飲んでいるものにひと工夫してみるだけでも、良い気分転換になるかもしれません。

そこで今回は、自宅でのカフェタイムでの定番の一つ「紅茶」にフォーカス。神奈川県横浜市中区にある「紅茶専門店ラ・テイエール」店長の小濱純さんに、自宅で簡単にできる紅茶のいれ方、茶葉の種類、アレンジメニューについて紹介いただきました。

「紅茶を飲む時は簡単に買えるティーバッグばかり」「なんだかハードルが高い気がして手が出せない」という人でも大丈夫。自宅で手軽、かつ簡単に紅茶を楽しむために、ティーバッグで美味しくいれるコツ、特別なテクニックや道具がなくても手軽に飲めるヒントを得てみませんか?


はじめまして。神奈川県横浜市の「紅茶専門店ラ・テイエール」店長・小濱純と申します。紅茶を通じて皆様のライフスタイルを豊かにするためのお手伝いをしております。

新型コロナウイルスの影響で、生活様式の変化を余儀なくされた方も多いのではないかと存じます。当店でも、テレワークや在宅勤務の普及でおうちにいる時間が増え、お茶を飲む機会が増えたことで、紅茶への関心が高まっているお客さまや「自宅でも美味しく紅茶を楽しみたい」というお客さまが増えている印象があります


紅茶専門店ラ・テイエール

従来の嗜好(しこう)品としての紅茶は、優雅できらびやかな文化的イメージが強く、若干のハードルの高さを感じる側面もあったように思います。しかし、現在では、味わいや種類のバリエーションも多様化しており、ご自身の気分や体調に合わせて紅茶を探してみると相性の良いものが見つかるかもしれません。

また、紅茶のいれ方についても「茶葉を使ってティーポットでルールにのっとりきちんと抽出することが至高である」と捉えられがちですが、私としては専門店、百貨店、あるいは近くのスーパーやコンビニなど、どこで手に入る紅茶でも、ちょっとした工夫をすることで美味しく楽しめる素敵な飲み物であることを知っていただけたらうれしく思います。

もちろん、ひと口に「紅茶」といっても、品種、製法、産地によって紅茶の持つ特性は多岐にわたります。今回は紅茶のいれ方の「基本」として押さえるといいポイントをいくつかご紹介いたします。これらのポイントを少しだけ気にしてみていただければ、ご自宅で美味しく召し上がれますよ。

【ひと工夫で味が変わる!】ティーバッグの紅茶を美味しくいれるコツ4つ

まずは熱湯を注ぐだけで早く簡単に出来上がる、手軽で便利な「ティーバッグ」から。茶葉からいれるリーフティーよりも私たちの日常になじみがあると思います。

ティーバッグの商品の多くは、茶液が濃く出るよう、また一定のサイズに茶葉が収まるように細かく加工されています。そのため、茶葉から紅茶をいれる時と比べると、紅茶に含まれる渋みが出やすいのです。

そんなティーバッグの紅茶を美味しく楽しむコツを、お店のお客さまからもご質問の多い事項とあわせて、4点ご紹介します。


1. お湯の温度はどれくらいにすればいい?

紅茶はいわゆる強発酵茶(紅茶の発酵は酸化酵素の働きによるもので、一般的な発酵飲料などとは異なります)に該当します。この製法で生産された茶の成分を引き出すためには「しっかりと沸騰させた熱湯」が適しています。

くみたての水道水、つまり「空気」をたくさん含んだお水をしっかりと強火で沸騰させます。具体的には、5円玉くらいの泡がぼこぼこと沸き立っているくらいのイメージです。

ただし、沸かし過ぎのお湯や電気ポットなどに入れっぱなしにしているお水を再度沸かすのは、空気が抜けてしまうので避けましょう。

たくさんの空気を含んだ新鮮なお水を使うことで紅茶に含まれる香り成分も引き出しやすくなり、お水を沸騰させることでお水の質が紅茶の風味を引き立たせやすくなってくれます。


2. カップの中に入れるのは、ティーバッグが先か、お湯が先か?

ティーバッグを先に入れてからお湯を注ぐと、ティーバッグのメッシュ部分に空気が入ってしまい、ティーバッグ全体が浮かんでしまうので、茶液をしっかり抽出しにくくなります。

熱湯を入れたマグカップにそっとティーバッグを入れると全体がつかり、まんべんなく茶の味を引き出せます。マグカップはあらかじめ湯通しして温めておき、熱湯を注いだ時にお湯の温度が下がりにくくなるようにしておきましょう。


3. ティーバッグを取り出す際はメッシュに残った茶液を絞り出すべき?

メッシュの部分に残った茶液を無理に絞り出そうとすると渋み・苦味が出やすくなります。抽出時間が終わったら、静かにマグカップから取り出すと、すっきりとした味わいで楽しむことができます。


4. ポットでいれる時はふたをして蒸らすのに、ティーバッグは蒸らさなくていいの?

そう、ティーバッグの紅茶を美味しくいれるための最大のポイントはこちら。ティーポットでいれる紅茶は通常、茶葉を「蒸らす」ことで香りや味わいを引き出します。ティーバッグの場合、マグカップに入れっぱなしでは、風味も飛んでいってしまいます。

よって、マグカップにもふたをしてあげてティーバッグを「蒸らす」状態を作ってあげると、美味しさや香りがひと味もふた味も変わってくると思います。ふたはお家にあるソーサーや食器など何でもOK。最近はふた付きのマグカップも幅広く販売されていますので、好みのものを探してみるのも良いかもしれませんね。

ティーバッグでいれた紅茶

【3つの基本を押さえればOK】リーフティーのいれ方のポイント

次に、リーフティーを茶葉でいれる時のポイントについて紹介します。ティーバッグよりも難しそうな印象があるかと思いますが、基本のポイントさえ把握しておけば、美味しい紅茶をいれられますよ。

紅茶をいれる際に必要な最低限の道具は、以下の4つです。最初からそろっていなくても、身近な道具での代用でも構いません。

  • ティーポット(手元になければ、ガラス製のポットでも大丈夫)
  • ティースプーン(大さじ程度のスプーンがおすすめ)
  • ティーストレーナー(茶こし)
  • タイマー(時間が計れるものであれば何でもOK)

【ポイントその1】しっかり沸騰させたお湯を使う

ティーバッグでのいれ方でも触れた通り、「空気」をたくさん含んだくみたての水道水を、しっかりと強火で沸騰させましょう。

【ポイントその2】茶葉の量の目安はカップ1杯に対して「3g」

お湯の温度と同様に大事なのが、「茶葉の量」です。ついつい目分量にしてしまいがちですが、「美味しい紅茶を飲みたい!」を叶えるためには、飲む分量に応じた茶葉の量の目安を知っておくといいかもしれません。

茶葉の種類は大別して下記の3種類に分類されます。茶葉の大きさもさまざまで、形によって味わいが異なります。


ホールリーフ(OP)

一般的に私たちが日頃イメージする紅茶の茶葉の形がこちら。主にオーソドックス製法と呼ばれる製法で製茶されます。ストレートティーで飲むと、紅茶の持つ本質的な味わいを楽しめます。


ブロークンオレンジペコ(BOP)

ホールリーフに対して、茶葉のサイズを細かくしたタイプがブロークンオレンジペコ。こちらは主にスリランカの茶葉に多く見られます。ストレート、ミルクティー、アレンジティーなどに幅広く使えます。


CTC*1

茶葉を粉砕し球状に加工した茶葉を指します。茶液の成分を濃く抽出できるように製茶する製法。煮出して作るミルクティーやチャイにも最適です。

これらの種類に共通して、カップ1杯180ml〜200mlに対して「3g」を目安にします。

ティースプーンで、ホールリーフは大盛り、ブロークンオレンジペコやCTCはすりきりをイメージして量ってみてください。

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【ポイントその3】茶液の抽出時間(蒸らし時間)は、「3分」をベースに好みに応じて

最後に、紅茶の味わいを決める茶液の抽出時間について。

基本はどの紅茶の種類でも「3分」とご案内する場合が多いのですが、実は紅茶の抽出時間は「3分たってから」カップに注ぎ始めるのか、「カップに注ぎ終えるまでを3分」とするのかで、味わいが異なってきます

3分を抽出時間の目安とすると、2分半くらい過ぎたタイミングからカップに注ぎ始めれば、バランスの良いお茶を召し上がれます。

逆に少し濃厚な味わいにしたい場合(ミルクティーにしたい時など)は、きっちり3分たってからカップに注ぎ始めると良いと思います。

「3分」を基準として、「あっさり飲みたいか」「しっかり飲みたいか」をイメージして、好みに応じてぜひ茶液の抽出時間をいろいろと調整してみてください。

【お気に入りの探し方】茶葉は「味わい」「香り」どちらを楽しみたいかで選ぼう

前述の通り、「紅茶」は品種、製法、産地、ブレンド内容、加工の仕方によって味わいが多岐にわたります。

例えば「イングリッシュブレックファスト」という銘柄の紅茶を良く目にすることがあります。これには統一的な定義があるわけではなく、紅茶メーカーが趣向を凝らし、さまざまな茶葉をブレンドした上で商品化しています。もちろんその名の通り「朝食に合う」味わいのブレンドになっています。

イングリッシュブレックファスト

また、有名な「アールグレイ」も、アールグレイという種類の紅茶があるわけではなく、ベルガモット(果物)のフレーバーを施した紅茶の総称を指します。そのベースとなる茶葉は、メーカーやお店によってさまざまなのです。ちなみに、アールグレイという名前は人名「グレイ伯爵」に由来しています。

好みの紅茶を見つける大きなポイントとして、以下の2点についてざっくりと意識して探してみると良いでしょう。


「紅茶本来の味わいをじっくり楽しみたい」……クラシックティー

「さまざまなフレーバーを気分によって楽しみたい」……フレーバードティー(着香茶)

クラシックティーは、産地がそのまま銘柄になっている場合が多いです。気になった産地のものを飲み比べてみると、それぞれの特徴の違いや好みの度合いを比較することができます。

一方、フレーバードティーは好みがはっきりと分かれます。よって、お店にサンプル等がある場合は、香りが自分に合うかどうか直感的に選んでみても良いと思います。サンプルで感じた香りと実際に茶液を抽出した香りや味わいは同じになるわけではありませんが、私の経験上、茶葉の状態で感じた香りが嫌でなければ、味もきっと楽しめるはずです。

人の好みはその日の体調や気分、あるいは年齢や環境によっても変化します。好みだと思っていた味が急に苦手になってしまうこともあります。大事なのは先入観を持たずにフラットな目線で選んでみること。自分でも気付かなかったお気に入りの紅茶を見つけることができるかもしれませんよ。

【アイデア次第でアレンジも】基本となるアイスロイヤルミルクティーのレシピ

アイデア次第で飲み方を増やせるのも紅茶の楽しいところ。そこで最後に、これからの暑い時期になってきたらぜひ試してみてほしい、基本のアイスロイヤルミルクティーの作り方を紹介します。

アイスロイヤルミルクティー


アイスロイヤルミルクティーのレシピ

1. 濃い目に出る茶葉を6g程度用意し、150ccの熱湯でおよそ約3分間抽出します。

2. 抽出した茶液をあらかじめ氷をたくさん入れたグラスに注ぎます。茶液が冷えたら、素早く氷だけをグラスから取り出しておきましょう。牛乳と合わせた時に溶けて水っぽくなることを防げます。

3. あらためて新しい氷をグラスに入れ、冷たい牛乳を約100cc注いで完成!

基本のアイスロイヤルミルクティーに生クリームを浮かべたり、スパイスを加えてアイスチャイにしたり、アイデア次第でお好みのアイスティーにすることができますよ。甘みを付けたい場合は、濃い茶液を冷やす前にガムシロップなどを加えるとよいでしょう。

結びに~紅茶はきっかけ作り~

紅茶の基本についてご紹介してきましたが、人の好みは十人十色。基本の部分を知っていただけたら、あとは皆さまの好みに合わせてぜひ美味しい紅茶をお召し上がりください。

店頭でも自身のブログなどでもお客さまにいつもお伝えするのですが、紅茶の一番の魅力は「きっかけ作り」だと私は思っています。

インスタント飲料や清涼飲料水と異なり、前述の通りどのような形態の紅茶でも美味しくいれるには一定の「待つ時間」が生まれます。日々せわしなく過ごす現代の私たちにあっては、なかなかそういった時間さえ確保できないことの方が多いでしょう。

しかし、あえて少しだけ、手間を掛けて丁寧に紅茶をいれる時間を作ってみてください。

そうすることで自分の心に余裕が生まれます。それは、家族や大切な人との団らんや会話をするきっかけになります。あるいは、ご自身をゆっくりと見つめ直すきっかけにもなります。

コロナ禍の社会は決して良いことばかりではありませんが、紅茶を美味しく楽しむことで心が整い、身体も整っていく――そんな素敵なきっかけを紅茶は作ってくれます。

そして、アフタヌーンティーなどしっかりとした場所で贅沢に、ティーバッグで仕事の合間に、休日のひとときにスイーツと共に……シチュエーションによってさまざまな楽しみ方ができるのも紅茶の大きな魅力のひとつです。


私が店長を務める紅茶専門店ラ・テイエールは「あなたにお似合いの紅茶がきっとみつかる」がコンセプト。オリジナルティーをはじめ、旬の時期のプレミアムティーからハーブティーまで幅広いお茶をご紹介しています。ご来店いただいた際は、美味しいいれ方や紅茶にまつわる疑問などぜひご質問ください。

そして紅茶をきっかけにして、皆さまのライフスタイルがより豊かになることをいつも願っています。私もいち紅茶ファンとして、これからも紅茶の楽しみ方を追究していきたいと思います。


著者:小濱純

小濱純

大学在学中にルピシア自由が丘本店サロンの立ち上げに参加する傍ら、日本紅茶協会認定ティーインストラクターの資格を取得。紅茶のワークショップやティーサロンのオペレーション支援なども行っている。現在は横浜にある紅茶専門店ラ・テイエール店長。

Web:横浜元町紅茶専門店ラ・テイエール
ブログ:横浜・元町 紅茶専門店ラ・テイエール ブログ
Twitter:@La_Theiere
Instagram:@latheiere_tea

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編集/はてな編集部

*1:クラッシュ・テアー・カールの略。