皆さんこんにちは。『毎日のホットクックレシピ』『忙しい人のホットクックレシピ』(日東書院本社)など、シャープの自動調理鍋「ホットクック」のレシピ本を書いている、料理研究家の阪下千恵です。
ホットクックといえば、材料を切って鍋に入れてスイッチを入れて待つだけでさまざまな料理ができる、忙しい人にぴったりな調理家電。しかしせっかく買ったものの「ほぼカレーマシーンになっている」とか、「買ったけど最近使ってないな……」とか、うまく活用できていない人もいるかもしれません。
ホットクックはカレーやシチューなどはもちろんですが、普通の鍋で作るには手間のかかる煮込み料理からパパッとできるごはんもの、さらには炒めものや汁物まで、さまざまな料理に対応しています。
コロナ禍で家で過ごす時間が増え、さらに在宅ワークの普及もあり家でごはんを作る機会が増えた今こそ、働き方やライフスタイルに合わせてフル活用すれば、毎日の自炊をグッと楽に、さらにレパートリーも増やしてくれます。
今回は働く人のライフスタイルと調理の仕込みがしやすいタイミングに合わせて、「朝ごはんのついでに仕込む」「昼休み中に仕込む」「帰宅後にパパッと作る」という3つのパターンで、平日の夕飯に活用しやすいレシピを用意しました。さらには、もっとレシピのバリエーションを増やしていける「使いこなしのコツ」もあわせてご紹介します。
ホットクックは持っていないけど気になっている人、購入検討中の人も、ホットクックが家にあるとこんなふうに活用できるんだと、記事を読みながらぜひ想像してみてください!
朝ごはんのついでに下準備をすれば、帰宅後すぐできる「豚のレモンクリーム煮」
まずは朝、朝食やお弁当を用意するついでに5分~10分ほどの時間があれば下準備ができる「豚のレモンクリーム煮」です。
忙しい朝に仕込むなら、こんなふうに切る材料が少ないメニューがぴったり。材料を切って、調味料を計量して冷蔵庫に入れておけば、帰宅後は全てをホットクックに入れてスイッチを押すだけで完成します。
簡単なのに、レモンのさわやかな酸味と生クリームのコクで、ちょっと特別感のある味わいです。
豚のレモンクリーム煮の材料(4人分)
- 豚薄切り肉(又は生姜焼き用肉):400g
- 玉ねぎ:1/2個
- マッシュルーム:4~6個(1パック)※しめじやエリンギなどでもOK
- レモンの薄切り:3~4枚(または市販のレモン汁:大さじ1~1・1/2)
- 塩:小さじ1/3
- こしょう:少々
- 薄力粉:大さじ1・1/2
- A
- 生クリーム:150ml
- 酒(あれば白ワイン):大さじ1
- バター:10g
- パセリみじん切り(あれば):適量
豚のレモンクリーム煮の作り方
- 1.豚肉に塩、こしょう、薄力粉をまぶす。くっつかないよう、少しずらすようにして並べて食品用保存袋に入れるか、バットなどに並べてしっかりと密封する。(もしくは、豚肉はパックのまま保存しておき、作る直前に塩、こしょう、薄力粉をまぶしてもOK。薄力粉は直前に振った方が肉同士くっつきづらいというメリットがあるが、自分が楽な方でよい)
- 2.玉ねぎは薄切りにする。マッシュルームは汚れをふいておく(変色を防ぐため、あとで加熱の直前に割く)。野菜類を保存袋に入れる。生のレモンを使う場合は、それも保存袋に入れる。
- 3.Aは合わせて器に入れ、1、2と一緒に冷蔵庫に入れておく。保存方法は、バットにまとめて並べたり、保存容器に入れたりとお好みの方法で。
- 4.調理する直前に1と2を冷蔵庫から取り出し、ホットクックの内鍋に入れる。マッシュルームは軸から手で2等分に割いて入れる。加熱すると肉がくっつきやすいので、肉と肉の間に野菜とマッシュルームを挟むようにして交互に並べるとよい。上からレモン、Aを加える。
- 5.ホットクックのふたの内側にまぜ技ユニットを付け、メニューから「自動調理→煮物→野菜→白菜のクリーム煮 約20分」を選択し、スタートボタンを押して加熱する。加熱後、肉の火の通りが弱いときは5~7分延長する。出来上がったら器に盛り付け、お好みで刻んだパセリをかける。
👉長時間の保温には適していないレシピなので、このように材料の下準備だけ先にして冷蔵庫に入れておき、食べるタイミングに合わせて調理を開始しましょう。
また、実はこのレシピは「朝時間がない」という方でも大丈夫! 休日や時間があるときに材料を切って、調味料と一緒に冷凍保存OKのチャック付き袋に入れて冷凍しておけば、自家製の「冷凍ミールキット」としても使えます。帰宅後、袋ごと流水で少し溶かしてほぐし、ホットクックに入れて、後は同じようにスイッチを押すだけ。冷凍されていた分、合計調理時間は少し長くなりますが、同じキー操作で時間はホットクックが自動で調節してくれるので安心です。
ホットクックが加熱している間は、余裕があればその間にもう一品サラダや副菜を作ったり、もしくはお風呂に入ったりと、ゆったりと時間を使えます。
在宅ワークの昼休み中からじっくり仕込む、味の染みた「おでん」
コロナ禍の影響もあり、在宅ワークがメインとなった方も多いですよね。自宅勤務なら、昼休みに仕込んでそのまま調理開始することも可能。せっかくなので、手間は少なく、長時間煮込むことでおいしくなる煮込み料理や、作ってしばらくおいた方が味が染みておいしい料理などにチャレンジしましょう。ホットクックは自動的に食材の火の通り具合を見て火加減を調節してくれるので、中まで味が染みたおいしい煮込み料理が作れます。
今回ご紹介するのは、秋冬にぴったりな「おでん」。市販の白だしを使えば手軽に作れて、下ゆで無しでも柔らかくて味が染みた大根や練り物のおいしさは格別です。夕飯にはもちろん、家飲みのお供にもぴったりです。
おでんの材料(4人分)
- 大根:1/3~1/2本(約500g)
- じゃがいも:2個
- こんにゃく:小1枚
- 焼きちくわ:2本
- さつま揚げ:4枚
- 結び早煮昆布:4~6個
- ウィンナー:4個
- 卵:4個
- A
- 白だし(10倍濃縮タイプ):70ml
- 水:4カップ
おでんの作り方
- 1.大根は皮をむいて厚さ2㎝の輪切りにする。じゃがいもは皮をむき、水にさっとさらして水気を切る。ちくわは斜め半分に切る。こんにゃくは三角形になるよう4等分に切り、表面に浅く5mm幅間隔で格子状に切り込みを入れる。(またはおでん用のこんにゃく、玉こんにゃくでもOK)
- 2.ホットクックでゆで卵を作る。卵と水1/2カップを内鍋に入れ、自動調理キーの「ゆで卵」で加熱する。約15分でスイッチが切れるので、冷水に取り、殻をむく。
- 3.ホットクックの内鍋に1の大根、こんにゃく、結び昆布、練り物、じゃがいも、ゆで卵の順に入れて、Aを注ぐ。水位線の下になるよう水分量は調節する。(ウィンナーは味が抜けてしまうので、できれば後で加える)ゆで卵もあまり固くしたくない場合はここで入れず、一旦冷蔵庫に入れておく。
- 4.「自動調理メニュー→煮物→おでん」で加熱する。約1時間5分でスイッチが切れる。ウィンナーは、残り時間10~5分前になったら一時停止して加えるか、もしくはスイッチが切れた後に加えて5分延長する。(ゆで卵を冷蔵庫に入れていた場合も、このタイミングで加える)
- 5.食べるタイミングで器に盛り、お好みで練りがらしを添える。
👉じゃがいもやウィンナーは、お子さんのいるご家庭にもおすすめの具材。煮崩れを防ぐためにはメークインなどを使うか、もしくは大きめのものを丸ごと加えるといいでしょう。加熱後に、半分に割って取り分けます。
具材は材料に挙げたもの以外でもお好みでOKですが、鍋の容量を超えないようにし、膨らみやすい練り物の入れ過ぎにはご注意を。特にはんぺんなどはだしを吸うと膨らんでふきこぼれの原因となるので、ホットクックで作る場合は入れないようにしてください。
昼休み中に仕込んでおくレシピとしては、おでんのほかに煮豚、ビーフシチュー、ブイヤベースなどのメニューも、ホットクックでの加熱時間は長いものの鍋に入れるまでの準備は簡単なのでおすすめです。
帰宅後すぐできる「トマトリゾット」は、ごはんを炊いていないときにも!
最後は、朝や昼間に仕込む時間がなく、帰宅後に短時間で完成させたい人におすすめの「トマトリゾット」です。
リゾット、パスタなどのメニューは、短時間でできる上に「主食がない!」という時に大助かりのメニュー。特にリゾットは、フライパンなどで生の米から作るのはハードルが高いのですが、ホットクックなら失敗なしで20分前後で完成します。
トマトリゾットの材料(2~3人分の作りやすい分量)
- 米:1合
- ベーコン:3枚
- ブロッコリー:6房
- A
- トマト水煮缶(カットタイプ):200g
- 水:2カップ
- コンソメ(顆粒):小さじ3
- にんにくすりおろし(又はみじん切り):小さじ1
- オリーブ油:大さじ1
- 塩、ブラックペッパー、粉チーズ:各適量
トマトリゾットの作り方
- 1.米は洗ってざるに上げて水けを切り、内鍋に入れる。
- 2.ベーコンは2cm幅に切り、ブロッコリーは小房に分け、1に加える。さらにAも加える。
- 3.「自動調理メニュー→煮物→米→トマトリゾット(約20分)」で加熱する。
- 4.スイッチが切れたら塩で味を調え、器に盛り、粉チーズとブラックペッパーをかける。
👉ベーコンの代わりにハムやウィンナーでも、ブロッコリーの代わりに冷凍ミックスベジタブル、アスパラ、いんげんなどでもOK。
スピード仕上げのためには、切る手間が少ない食材やカット野菜などを活用するのもおすすめです。
ホットクックで作れるレパートリーを増やす、使いこなしのコツ
ホットクックを活用するには、とにかく最初に「調理機能別に、一度はいくつかの料理をレシピを見ながら作ってみる」のがおすすめです。最初に使わないまま時間がたってしまった機能は何となく分からないまま、その先も使わずに終わってしまう、というのは、調理家電ではよくありますよね。
ホットクックは「普通の鍋に比べて水分量が少なくて済む」という特徴があるため、レシピ通りではなく自分なりのアレンジを加えて使いこなそうとすると、加減がなかなか分からないものです。なので、何度か公式レシピやレシピ本の料理を作ってみて、加熱時間や機能の特徴をつかんでみてください。
例えば、一度は作ってほしいものは、以下のラインアップです。
- 野菜の水分のみで長時間煮込んで作る無水カレー
- 野菜スープ、ポタージュなどのスープ類
- 肉じゃが、筑前煮などの煮物系
- 煮豚など、長時間煮込む料理
- ホイコーローなどの炒め物
- パスタ
- リゾット
- (余裕があれば)ケーキ、蒸しパン類
- そのほか、予約調理メニュー(公式レシピからお好みのものを)
いろいろな機能を使っているうちに、ホットクックの特徴や、材料、調味料、水分、使う自動調理キーと加熱時間の特徴がだいぶ理解できるはずです。
特に、意外と使えるので活用してほしいのが「炒める」機能と「蒸す」機能です。
炒める機能は煮物や煮込みなどのキーで調理するときよりも、高温でしっかり混ぜてくれるのが特徴です。あまり水分を出さずに調理したい炒め物などに使えます。
蒸す機能はホットクックの内鍋に水を入れ、上に付属の蒸しトレイを乗せて蒸し器やせいろのように使います。野菜、肉、魚、なんでも蒸して下ごしらえしておくと、サラダ、和え物、スープの具などにアレンジしやすいおかずの素ができます。蒸すことで、おいしさもアップしますよ!
シャープの公式サイトでも新しいレシピが随時更新されているので、お好みのレシピを検索してみるのも良いですし、困ったら私の著書も参考にしてくださいね。
忙しい日々の夕飯作りを楽にしてくれるのはもちろん、献立のバリエーションも豊かなホットクック。ぜひ、おうちごはんを充実させて、毎日を乗り切るパワーにつなげてみてください。
編集/はてな編集部