Juice=Juice『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』共感がすごい

 小沢あや

日常生活で「音楽」が欠かせないという人も多いのでは? 最近は「聴く」だけでなく、MVと一緒に楽しむ人も少なくないように思います。中でも、ダンスやメンバーのビジュアルも楽しめるアイドルグループは、MVを見ているだけでも気分転換になるはず。

今回は、女性アイドルを長年愛し続けるライター・小沢あやさんに「最近、アツい!」と激推しするアイドルグループ・Juice=Juiceの魅力とおすすめ楽曲、また、「追いかけやすい」と語るハロプロのこと、そして「アイドルに熱中する理由」について語っていただきました。

 

『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』MV/Juice=Juice

歌って踊る女の子が大好きな、小沢あやです。約20年、女性アイドルを夢中で追いかけています。

さて、りっすん編集部から「小沢さん、働く女性におすすめの女性アイドルについて書いてもらえませんか?」と依頼を受けてこの原稿を書いているのですが、特にイチオシのハロー!プロジェクト*1(以下、ハロプロ)だけでも長い歴史と膨大なアーカイブがあるので1記事で語り尽くすのは不可能! 10万字は欲しい! なんなら本にしたい! となってしまうので、今回は「りっすん」読者向けに、ハロプロ所属のアイドルグループ「Juice=Juice(読み:じゅーすじゅーす)」をメインで紹介させてください。

Juice=Juiceが今アツい!

JJ

(写真左上から)段原瑠々、宮本佳林、稲場愛香、植村あかり
(写真左下から)高木紗友希、松永里愛、工藤由愛、金澤朋子


Juice=Juiceは金澤朋子、高木紗友希、宮本佳林、植村あかり、段原瑠々、稲場愛香、工藤由愛、松永里愛の8人組(敬称略)。2013年2月に結成され、同年9月にメジャーデビューした実力派グループ。最近リリースしたシングルは2作連続でゴールドディスクに認定され、今波に乗っています。ダンスと歌唱力がズバ抜けていて、女性の色気を振りまいている、ハロプロの中ではお姉さん色が強いグループです。

2019年夏、NHK『うたコン』に生歌で出演後、すごい勢いで追い風が吹いているように思います。どれくらいのインパクトかというと、同番組出演後、発売からiTunes売り上げランキングも急浮上。私の身の回りでも、『うたコン』でJuice=Juiceを初めて観た友人(非アイドルファン)から「Juice=Juiceってアイドル、歌うますぎ! iTunesで即買いしたよ!」と前のめりに連絡をしてきたほど。同年、国内最大の野外音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019」にも出演。ついに世間に見つかった!

『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』が刺さりまくり


前述のNHK『うたコン』出演時に披露した楽曲は『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』(以下:ひとそれ)

前提として、全人類に聴いてほしいんですけどね。働く女として、タイトルからもう共感がすごい。「自立」をモットーに育てられてきたし、誰かに支えられないと立てないような人間にはなりたくない。けれど、「ひとりで生きられそう」と他人から言われてしまうとムッとしちゃう感じ、わかりみがすごくないですか? 

Juice=Juiceの楽曲って、真面目だけどどこか不器用な女性を描いていることが多くて、歌詞に心揺さぶられるんです。公式MVに歌詞字幕があるので、まずは聴いてみてください。

「私、頑張ってるでしょ?」という意識とプライドがしっかりある一方で、「甘え上手なか弱い女ばかりがサッサと幸せを手にしていく」世の中に対して、どこか不平等を感じてふてくされている。とにかく人間くさいんですよね。最終的には「いや、でもひとりで生きられるのって素晴らしいことじゃない? 私も胸を張って誰か愛したい!」と、たくましく締めくくってるのも最高です。

『ひとそれ』新規は、Juice=Juiceのこれ聴いて!


よく『ひとそれ』でファンになった方々から「おすすめの曲教えてください」と問い合わせを受けるので、ここでおすすめの楽曲をいくつか紹介します。Juice=Juice、最近メンバーの卒業・加入が続いていることもあって「なにから聴いていいか分からない問題」があるんですよね。

毛色がまったく違うコミカルな楽曲もたくさんあるのですが、「セクシーでかっこいい曲」「切ない女の心情を歌った曲」かつ、YouTube上に公式MVが存在する曲に絞ってみました。

『微炭酸』(2019年)


炭酸がしゅわしゅわ静かに弾ける様子を、失恋と重ねている本作。ずっと片思いしていた相手(幼なじみの男の子)から彼女ができたと報告をされて、「なんで好きって言い出せなかったんだろう」と後悔するストーリーが切ないんです。歌詞を見てみると、主人公は早起きしてネイル塗ったけど結局恥ずかしくなって袖口に隠しちゃうくらいにシャイ。思春期になっても幼馴染の女とつるむ男、少なからず好意があるだろうし勝ち戦なのに。そりゃまったく伝わらんわ……まあ次の恋頑張れ! という気持ちになってきます。「言うべきときは言わなきゃだめ」というあたりまえのことを思い出させてくれますね。シングル曲としてはこの曲から参加した稲場愛香さんのダンスも必見。

『Fiesta! Fiesta!』(2017年)


私、シングルではこれが一番好きです。人目を気にしてびびってないで、さっさと本性醒ましちゃいな? 早く連れ出して! と、色気だけでなく性欲解き放ちまくってるんですよ。圧が強い。歌の表現力によって、それぞれ違うタイプの女を演じている感じも最高なんです。段原瑠々(だんばらるる)さんはゴリゴリ自分から口説くタイプの女、宮本佳林さんはその吸引力で口説かせる女、といったところでしょうか。金澤朋子さんのハスキーな声質も、強力なスパイスになっています。ハロプロで今も歌い継がれる名曲『ガタメキラ*2』に匹敵するくらいのギラついた女の欲を爆発させてる一曲。

『イジワルしないで 抱きしめてよ』(2013年)


つんく♂さん作詞作曲で2013年にリリースされた楽曲。タイトルからハロプロみがすごい曲ですよね。私が考える最近の「ハロプロみ」とは「地味な女に見えるかもしれないけど、私って結構すごいんだからね。口説いてみなさい!」の圧です。つんく♂さん、面倒くさい女の描写、宇宙一! 当時、まだあどけない10代のメンバーが、切なげな表情で踊る様子にグッときます。

12月には、グループ最大キャパでの単独公演となる、国立代々木競技場第一体育館でのコンサートも決定。新メンバーも2人加入したばかりなので、今こそ! 知ってほしいです。

「ハロプロ」はライフステージが変わっても続けられる趣味

アイドルを追いかけるのは体力と時間が必要ですが(特に実際に生で見たい! という場合)、意外と社会人になっても追いかけられます。義務教育中のメンバーが所属するグループは平日日中の稼働が少ないですし、「学業優先」をうたっている事務所に所属するアイドルであれば、なおさらです。

Juice=Juiceも所属するハロプロのアイドルも、おすすめしたい! ハロプロは年間スケジュールの見通しが立てやすいのが特徴です。ツアー日程はかなり早く公開されるし、「東京公演会場のキャパが狭いってことは、最後に追加公演が発表されそうだな……」と、予測しやすいんです。全通は大変だけど、「ホール公演は押さえておきたい」という人にはちょうどいい現場数。「行けたら行く」ではなく、事前にチケットをとってプライベートの予定をどんどん入れる癖をつけていくと、仕事のメリハリもつけやすいです。

実はハロプロは容赦なく平日に重要な公演を打ってくるのですが、有休を駆使すれば大丈夫です。私は、有休を分割して取得し、午後休を駆使する作戦で会社員とオタク活動を両立してきました。

ライフステージが変わっても追いかけ続けられるのも、ハロプロの強みです。一部のライブハウス公演を除き、「女性限定エリア」や「ファミリー席(着席で観覧)」があるんです。これが本当にありがたい! 2時間のコンサートを立ちっぱなしってしんどいんですよね。仕事帰りにヒールで駆けつける女性にも、おすすめです。また、土日に行われるコンサートはだいたい昼・夜の2回公演なので、「夜は動きにくい」という育児中の人も参加しやすく、助かります。

在宅で楽しめるコンテンツが多いもハロプロの魅力のひとつ。YouTubeを通して配信される番組が、毎週3本以上あります。ライブ映像やスペシャル企画などを公開する「ハロ!ステ」は水曜配信。レコーディング映像やヘアメイクの工程を公開する「アプカミ」は木曜に配信。現役・OGメンバーとまことのトーク番組「tiny tiny」は金曜配信。「OMAKE CHANNEL」ではショート動画を随時配信。本当にタダでいいんですかね……!? と、不安になるくらいです。

***

アイドルはどうしても「卒業」がつきまとうので、今見ておかないと! と、思わせてくれます。仕事以外の「いつかやりたいこと」を先伸ばしにしてしまいがちな人こそ、アイドルをおすすめしたいです。

なぜこんなに女性アイドルに惹かれるのか? それは、何者でもなかった普通の女の子たちが、努力しながらさらに輝いていく過程を見ていられるのが楽しいからです。

仕事や人間関係に悩んだとき、前向きなアイドルソングを聴いていると、そっと背中を押してもらえる。私には、アイドルを応援している感覚はありません。私の人生をアイドルに応援してもらっているんです。

※番組情報、メンバー情報は2019年9月時点でのものになります

著者:小沢あや ( id:achico_w)

小沢あや

フリーランスのコンテンツプランナー / 編集者。音楽レーベルで営業とPRを経験後、IT企業を経て、2018年に独立。エッセイのほか、女性アイドルやミュージシャン、経営者のインタビューを多数執筆。Engadget日本版にて「ワーママのガジェット育児日記」連載中。豊島区公認の池袋愛好家としても活動している。
Blog:TOKYO 3H Twitter:@hibicoto

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編集/はてな編集部

*1:アップフロントグループ系列の芸能事務所に所属する女性アイドルグループ・女性タレントの総称。モーニング娘。19、アンジュルム、Juice=Juiceなどが所属

*2:ハロー!プロジェクトの一員として活動していた太陽とシスコムーンが1999年に発表した楽曲。