お皿を変えるだけで食事がもっと楽しくなる。おうち時間にぴったりの「初めてのうつわ選び」

イイホシユミコ unjour apres midi plate 220のruri

外出を控え、自宅でごはんを食べる機会が増えている方も多いかと思います。毎食丁寧に作るのは大変だから、簡単に済ませるために手軽なメニューに偏ったり、総菜のパックでそのまま食べたり……ということもありがち。そこで、おうち時間での食事をより快適に楽しく過ごすために、食べ物を乗せる「器」に気を配ってみてはいかがでしょうか?

食からインテリアまで、広く雑誌や書籍、Webでライフスタイルの提案を手掛けるテーブルコーディネーター・プロップスタイリストの菅野有希子さんに、うつわの選び方、盛り付け方について紹介いただきました。


こんにちは、スタイリストの菅野有希子です。雑誌や書籍、Webでお料理やインテリアといった暮らしにまつわる提案のスタイリングを手がけています。公私ともに“うつわマニア”で、食器選びの情報発信をするInstagramマガジン『はじめてのうつわえらび』の運営や、オリジナル食器の開発にも携わっています。

実は私、テーブルコーディネートを仕事にしていながら、料理はあまり好きではありません。仕事柄、「料理の写真撮影のお仕事が多いのに!?」とよく驚かれます。でも、特別に料理上手ではないからこそ、ちょっと手抜きをしたレシピでも美味しそうに見える“うつわの魔法”にハマっているのだと思います。

料理を始めた頃は、キッチンに立つことだって大仕事。そこで何とか自分のモチベーションを上げられないかと取り組んだのが、「食卓を整える」ことでした。今日は晩酌に合わせて小さな小鉢に盛り付けてみようとか、週末の朝はホットサンドを木のボードに乗せてみようとか。そんな小さな食器選びによって、自分で作った拙いごはんが、まるでお店で食べるみたいに素敵に見え、びっくりしたのを覚えています。

何より「片付けなければいけないタスク」として料理に取り組むのと「食事の時間や空間という楽しみをつくる」と思いながら向き合うのとでは、テンションが全く違うものです。うつわはその大きな手助けになってくれます。

日々のリフレッシュやモチベーションアップにうつわの力を

このご時世、在宅勤務を導入したり、外出を控えたりして、自炊の機会も増えているのではないでしょうか。私も以前に増して自宅で料理をしていますが、正直に言って、毎日3食きちんとしたものを作り続けるのは至難の技。時には手抜きレシピやレンジでチンするだけの食事になることもあるのが本音です。そんな時でもお気に入りのお皿に盛り付けて食べると、充実感は全然違うなと感じています。

また、毎日家で仕事をしていると、仕事の止め時を失ってしまったり、逆についダラダラしてしまったりすることも。自分の意思の力だけで生活のオンオフを切り替えることは難しいですが、毎日必ず訪れる食事の時間はチャンス! 散らかったテーブルを片付け、きちんとうつわを並べるという景色の変化それ自体が、私にとってスイッチを切り替える儀式のようになっています。うつわ1つで時間も空間もリフレッシュされるのを感じます。

何より美しく素敵な空間は自分を癒やし、力づけてくれます。

食器にこだわるというと何やら「料理が趣味の人のもの」というように受け取られる場合もあるかもしれませんが、むしろ料理が得意でない人や自炊を始めたばかりの方にこそ、ごはんを美味しそうに見せるグッズとして、日々のモチベーションアップのために使ってほしい。そして、何だか生活にメリハリがないなあと感じている方にも、オンオフを整える手段として食器を取り入れてみてほしいなと思います。

うつわ初心者が手に取りやすい“最初のお皿”

食器を生活に取り入れてみようと思っても、「何からそろえればいいのか分からない」という方も多いことでしょう。そこで、うつわ初心者でも手に取りやすいおすすめの“最初の1枚”についてお話ししたいと思います。

1枚でサマになる20cm前後のプレートから

大きなうつわから小皿までいろいろなサイズや形があって選べないというときは、まずおおよそ20cm前後の中皿と呼ばれるサイズから手に取ってみてはいかがでしょうか。和食器では「7寸」(約21cm)にあたるこのサイズは、大き過ぎず小さ過ぎず、日常的に使う頻度の多いお皿になります。いつものおかずを乗せるにもパスタやカレーといった一皿料理にもちょうどいいサイズ感です。

20cm前後、「7寸」と呼ばれる中皿

大き過ぎるうつわを選ぶと余白が余り過ぎ、バランスよく盛り付けるのに苦労することも。中皿なら一人分のおかずを乗せるのにちょうどいい大きさなので、頭を悩ませなくても上手に盛り付けられます。

特に上記写真のようなリムとよばれる縁のあるお皿は、若干の汁気やタレがある時にもしっかりとどめてくれるので便利。リムのないお皿だと流れ出して見た目が汚くなってしまうこともあるのですが、そういった心配もありません。また、リムの中におさめるよう盛り付けると美しく仕上がるので、目印としても役に立ってくれます。

センスや料理になかなか自信が持てないという方は、まずリムありのお皿から始めてみるといいかもしれません。

使いまわせるのはスーツのようなベーシックカラー

お皿で迷うポイントといえば色ですよね。ついつい「何にでも合いそう」と無難な白を選んでばかりだと、地味になり過ぎてパッとしないなんてことも。私もお皿選びを始めた頃は、どんなうつわがオシャレか分からず失敗が怖くて白ばかり選んでいましたが、白いお皿ばかり並ぶテーブルは給食みたいでちょっと味気ないなあと感じていました。

実は白は万能な色ではなく、うつわの質感やフォルムなどセンスと目利きを問われる難しい色です。ファッショナブルな方が「白いシャツこそ着こなしが難しい」と言うのと同じように、白いうつわこそ奥深いもの。もちろん質感や色のニュアンスにこだわった白いうつわほどステキなものはありませんが、ツルツル真っ白のお皿は初心者さんには個人的にあまりおすすめしません。

実際に料理を盛り付けて美味しそうに見えるお皿の色は必ずしも白ばかりではありません。かえって黒やグレー、ネイビー、ブルー、ブラウンなどのダークカラーはお料理をぐっと引き立てて食欲をそそると思います。色選びに迷ったら“ビジネススーツの色”と思えば覚えやすいですよね。

「20cm前後・スーツカラー」のお皿にごはんを盛り付けるとこうなる!

今回選んだのは、20cm前後、かつスーツカラーの平皿である「イイホシユミコ unjour apres midi plate 220」の「ruri」という色です。

シンプルなデザインなので、朝でも夜でも和食でも洋食でも使えます。いかにも洋食器といった薄くて繊細なものや昔ながらの絵付けの和食器なども素敵なのですが、シーンを選ばず使い回せる食器が欲しいなら、まずはこのようなカジュアルな食器から手に取って、いろいろと試してみるのが良いかと思います。

どんなふうに使えるのか、実際の盛り付け例を見てみましょう!

気持ちよくスタートを切る朝ごはんに

在宅勤務が続くと、パジャマやベッドのある空間とシームレスに仕事をする場所がつながってしまい、何だかやる気が出ないことも。そんな時こそ朝ごはんで気持ちもシャキッと切り替えてみませんか。

もちろん朝は何かと忙しいですから、そんなに手間をかけられないと思います。だからこそ食器の出番。パン1枚、おにぎり1つでもお気に入りの食器に盛り付けるだけで気持ちは上がります。

朝ごはんの盛り付け例

目玉焼きを乗せたトーストと付け合わせの簡単サラダを盛り付けてみました。ブルーのお皿に目玉焼きの黄色がよく映えます。このお皿ならクロワッサンとハムの盛り合わせも似合いますし、フレンチトーストやパンケーキをこんもり盛り付けてもかわいいですね。朝から和食派の方なら焼き魚を乗せても、卵焼きを乗せても似合うと思います。

朝はヨーグルトや果物など水分の多いものも食べる機会が多いと思いますが、そうした場合はこのプレート以外に小さなボウルを用意されると良いと思います。ガラス製や、少しカラフルなものを合わせてもかわいいですよ。メインのプレートをベーシックカラーで抑えたからこそ、小さな食器やマグカップは少し遊びのあるデザインを合わせても大丈夫。食卓の良いアクセントになってくれます。

ほっと一息つける晩ごはんに

ついつい仕事のことが頭を離れない夜。ながら食べしたりおざなりな食事になったりする時もありますが、セルフケアの一環として食事の時間をきちんと取り、ほっと一息つくことも必要です。同じお皿で晩ごはんなら、どう変わるでしょうか。

定番おかずのハンバーグに、付け合わせの副菜も一緒にぎゅぎゅっと盛り付けて。

晩ごはんの盛り付け例

1人前のおかずを盛り付けるのにちょうど良いサイズ感がよく分かるのではないでしょうか。

品数多く、彩りよくとハードルを上げ過ぎなくても大丈夫。おうちごはんによく登場しがちな茶色いおかずも、ブルーのお皿ならぐっと華やかに見せてくれます。また、ブルーは食材の色にはない色なので、お料理とバッティングすることもありません。白い料理を白いお皿に盛り付けると一体化して分かりにくいなんてこともありますが、ブルーのお皿でそういった可能性はほぼないのです。難しいことを考えなくても失敗しないのがいいところですね。

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お総菜のパックからそのままごはんを食べるのも、お気に入りのお皿で気分を上げて食べるのも、同じ一食。

「何となく最近生活にメリハリがないな」「自炊のモチベーションがいまいち上がらないな」という時、日々の一食から自分のリズムを整えるために、まずはお皿1枚から始めてみませんか?

著者:菅野有希子

菅野有希子

テーブルコーディネーター/プロップスタイリスト。雑誌や書籍、WEBで、食や住といったライフスタイル提案のスタイリングを手がけています。商品撮影のスタイリング、撮影、VMD、コラム執筆、レッスン講師など。 東京在住、リノベマンションに一人暮らし。

note:菅野有希子|note
Twitter:@yukiko130
Instagram:@utsuwaerabi

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編集/はてな編集部