育休を取得して感じたこと。二人三脚で考える、夫婦のキャリア形成

 渡邊達明(nabettu)
家族との一枚

休日はよく5歳の娘と家族3人で出かけています

はじめまして。渡邊達明(@nabettu)と申します。

現在妻と協力して5歳の娘を育てながらWebエンジニアとして働いています。妻と二人で「株式会社クリモ」という会社を経営しています。

今回は、共働きが珍しくなくなったこの時代だからこそ、夫婦がお互いにキャリア形成をする上でリスクを分散していくことが大切なんじゃないかと思うまでに至った経緯を、簡単な自己紹介とともに書いていこうと思います。

結婚・出産からの夫婦での育児休暇の取得

元々、妻とは新卒入社した会社の同期同士で結婚しました。

結婚して子供が生まれたんですが、生まれたばかりの娘に不整脈が見つかり、検査のために1カ月入院となりました。無事に退院はしたものの、継続的に毎月2回、家から1時間以上かかる病院に行って検査が必要に。

妻の実家は大阪、私の実家は宮城。

お互いの両親に頼れない状況の中、慣れない子育てに加えて通院も必要になったため、育休中の妻に加えて私も育休を半年取得することに。

会社の上司にはこのような事情を話して、親身になって相談にのっていただき代替案なども話しつつ、育休の取得自体はすんなりとできました。

しかし、私の両親にその旨を話すと「どうしてそんな事をする必要があるの?」とあまり好意的に思っていない様子でした。

父は就職してからずっと同じ会社に40年に勤めていて、そういった事例もあまり見聞きせずに働いてきたので、意外だったのかもしれません。ただ、結果として育休中に宮城に帰る期間もとれ、父も孫と過ごせて喜んでいたので、良かったと思っています。

育休取得前はキャリア中断への不安があった

家事も育児も、不慣れな状況からのスタート。ただ、二人で取得できたことで、ゆっくりと順応することができました。

また、夜泣きも交代で対応するなど、どちらか片方に負担がかかり過ぎないようにできたのも、一緒に育休をとっていてよかったなと感じるポイントです。私が育児を担当して妻が遊びに行くような日もつくれていましたし、家事も育児も夫婦どちらでも問題なくこなせる状態で復職できました。

これは家庭におけるリスク分散という意味では非常に大きいと思っていまして、家事育児を妻任せにしてしまっていて、もしダウンしたらてんやわんやしてしまう方も多いのではないでしょうか。

とはいえ、私も取得前はキャリアが中断されてしまうという不安から、育休をマイナスに考えていました。

しかし、二人一緒に育休をとったことで一人で取るよりも時間的な余裕ができ、私も改めて自分のキャリアについて考え直すきっかけになりました。

元々ものづくりに興味があり「ものづくりならメーカー」という考えで新卒入社してからPC部門の部署にずっと所属していました。一方で、Webサービス開発などに挑戦したいという思いもありました。そこで、育休でできた時間を使って勉強し、Webサイトを制作するスキルを身に付け始めます。

すると復職してから、それまでと違ったWeb関連の業務も任されるようになるなど幅が広がりました。その後、転職する際にもそのスキルが足がかりとなるなど、マイナスだけだと思っていた育休を逆にプラスへと転換できました。

共働きをしてみて・する上で思ったこと

ただ、実際に共働きをしてみて、このキャリアの中断という不安は、現状の社会だとやはり女性がより強いと感じます。

仕事をバリバリやりたい女性だとしても、出産を機にそれが思うようにできない。また、時短勤務をするのは女性の方が多い。出産は物理的なことだけでなく、こういった社会的な面でも女性に負担がかかってしまいがちで、妻も妊娠時にそれをとても悩んでいました。

妻とは新卒入社の時の同期。妻も私も仕事はできるならガッツリやっていきたいというスタンスでしたし、仕事に対して一生懸命に取り組む姿を近くで見ていたため、そんな彼女のキャリアが一時中断してしまうことに対し、どこか負い目のようなものを感じていました。

妻は育休が明け復職後、しばらくしてフリーランスとして独立。妊娠を機に始めたブログが徐々に読者を増やしていたこともあり、その運営を中心にメディア事業を進めていました。そして、「新しくメディアを立ち上げてそれに本腰を入れたい」という相談を受けます。

キャリア形成の面で妻に対し負い目のようなものを感じていたこともあり、彼女が前向きに「やりたい」と思ったことを今度は自分がサポートしていきたいと考え、私の働き方を見直すことにしました。まずはフルタイムから週3勤務に。その後、退職して二人で法人化し現在に至ります。

新規メディアの立ち上げでは、私も技術面を担当・妻は編集長としてサイト設計やデザインなども含めて協業し、夫婦で一緒にメディアを制作していきました。

新しい技術が目まぐるしく出てくるWebエンジニアとして働く上で、実務から離れることは少しリスキーだと思いますが、メディア立ち上げまでの1年ほどは自分のキャリアよりも妻のやりたい事を優先して動いていました(最近は落ち着いたため私は私でフリーランス的な形で受託開発を行っています)。実際経験してみると、実務から離れて浦島太郎状態になってしまったとしても、基礎ができていれば取り返しもそこまで時間がかからないのかなと感じました。

ちなみに妻が立ち上げたWebメディアは、保育士さんの仕事の負担を減らすための情報メディアです。産休育休から復帰する際に保育園に子どもを預けなければならない中、所謂保活をしないとなかなか保育園に入れないのが首都圏の現状です。私たちも非常に苦労した経験があったため、保育園に入れない原因の一つである保育士不足を少しでも変えられないかという思いからスタートしています。

夫婦のキャリア形成を片方に寄せず、柔軟に

これからの時代、今までよりももっと"共働き夫婦"の割合が増えていくと思います。

そうなってきたとき、例えば「子どもが産まれたら、女性が時短勤務で働く」と固定するのではなく、「夫も時短勤務にして妻のキャリア形成のための期間をつくる」など、柔軟に対応するほど夫婦でのキャリア形成の幅が広がるのではないでしょうか。

「夫が稼いで妻が家を守る」という考え方も一つの選択としていいとは思います。しかし夫婦ともにしっかり稼げるような状態をキープしておくことで、さまざまな選択肢をとれるようになるため、双方にとってメリットがあるのではないでしょうか。

私自身が育休や共働きを通じて夫婦でのキャリア形成について考えてたことは、まとめると次のようになるのかなと思います。

  • 育休はマイナスだと思っていたが、自分のキャリアを見つめ直す機会にもなった
  • 共働きが多くなった時代だからこそ、夫婦でバランスをとって家庭や仕事について積み上げていく必要がある
  • また、それによって働き方の幅が広がることもある


この記事が、夫婦で働くということを考える上での材料になれば幸いです。

著者:渡邊達明

渡邊達明

Webサイトやアプリを作るフロントエンドエンジニア。妻と株式会社クリモという会社を経営しています。「ためしがき」というサービスや「tabmemo」というアプリをつくっています。ものづくりとマンガが大好き
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次回の更新は、2019年5月8日(水)の予定です。

編集/はてな編集部