はたらく女性の深呼吸マガジン

イーアイデム

私たちが普通に、もっと楽しく働くために必要なのは?【シゴト座談会】

集合写真

(写真左から)kobeniさん、ひらりささん、梓さん

仕事は楽しい。これといった不満もない。でも、ふとした瞬間「私って、なんのために働いているんだろう」「今の働き方で本当にいいのかな」と疑問が浮かんでくることはありませんか? そんなとき、参考になるのは同世代の仕事観や働き方ではないでしょうか。

そこで今回は、さまざまな経験を経て「自分らしい働き方」を見つけてきたという20代、30代、40代の3名による座談会を実施。それぞれの働き方について、語っていただきました。

***

<<参加者プロフィール>>

ひらりささん(28歳)

ひらりささん

弁護士を目指し大学院を志すも、大学卒業2ヶ月前に進路を就職に変える。最初の就職先となるベンチャー企業は、「社長のブログを読んで楽しそうだから」と会いに行き、そのままスカウトされ採用。その後200人規模のゲーム会社、現在勤務するITベンチャーへ転職。ビジネス職として勤務するかたわら副業でライター業もしている。同人サークル「劇団雌猫」メンバーとしても活動中。一人暮らし。

梓さん(37歳)

梓さん

新卒で大手医療系企業に正社員として勤め、26歳で退職。30歳になる年に2社目を退職し医療関係企業で派遣社員(営業職)として働きはじめるが、派遣先が組織変更でなくなり契約終了。その後、転職エージェントから「似たような仕事」とすすめられ、現在の会社へ転職。契約社員として営業職に従事している。並行して近所の居酒屋でアルバイトもしている。ジャニーズとお笑いが好きで、ブログで日々その思いをつづっている。夫と2人暮らし。

kobeniさん(40歳)

kobeniさん

広告系企業で、インターネットの記事やWebサイトの制作を担当。新卒で入社して以来、転職経験はなし。夫と子ども(4歳と9歳)、猫一匹と東京の郊外に在住。リモートワークを取り入れながら仕事をしている。子育てにまつわるブログの執筆をはじめ、「サイボウズ式」などのメディアでコラムの連載も持つ。

仕事は面白いかどうかで判断。でも長時間の勤務はしんどい

本日は、三者三様の働き方をしている皆さんにお集まりいただきました。早速ですが、仕事をする上で、優先度を高く設定されていることを教えてください。

kobeni(敬称略、以下同) 私は、「面白いと思えるか」ですね。仕事がつまらないと思ってしまうと、眠くなってしまうんです……。だからできれば、仕事をしていて楽しいと思えることをやっていたいなって。

梓 同意です! 私の場合、人と喋ることが好きだし、「面白い」と思うタイプです。それと、薬や疾患のことを勉強するのが楽しいので、医薬系の営業をしています。

ひらりさ 仕事をしていて「面白い」「楽しい」と思えるかは、私も重視しています。今はIT企業のビジネス職に就いていて、社内の数字を見ながら取引先からの問い合わせに対応する、という仕事をしています。インターネットやメディアについての自分の趣味を生かせる会社なので、楽しいです。

ちなみに、皆さんそれぞれライターやブロガーとしても活動されていますよね? 本業とは別に趣味として割り切っているのでしょうか?

梓 私の場合、自分が考えていることをブログで垂れ流したいだけなので、基本的に自分のことしか書けないんですよね。なので、創作的な仕事をしたいわけではありません。「仕事として」稼ぎを得るには、営業という仕事が一番向いているのかなと思っています。

ひらりさ 私はフリーライターになろうかなと思ったこともありました。でも、毎日締め切りに追われるのは、マジで無理だなと(笑)。書くことは好きですが、それだけで「稼ぐ」となると、楽しめなくなってしまいそうで。自分を出したいところは副業で充実させて、本業はもう少し、自分の人格と密着し過ぎない業務を行う方がいいだろうと思い、今の仕事を選びました。

kobeni もともと文章を書くことや雑誌が好きだったので、就職活動時は編集者になりたくて出版社やマスコミを志望していました。でも、受かったところが今の会社しかなく……。

梓 そうだったんですね!

kobeni でも、今の仕事はそこそこ「楽しい」と思えているので、このまま続けたいなと考えています。あと、夫が数年前にフリーランスになり収入が安定しないこともあって、子どもを食べさせていくためにも、私が稼ぎ頭として今の会社で頑張るしかないと腹を決めた感じですね。

座談会イメージ

じゃあ、皆さん割とモチベーション高くお仕事されていらっしゃる?

kobeni 仕事は楽しいですけど、最近遅くまで働くのがつらくて。体力的にも精神的にも、本当に難しい……。

梓 私もです。正社員の頃は、22時くらいまで仕事して、深夜0時にご飯食べる……とかが珍しくなかったんですけど、今は9時から17時が精いっぱい。晩ご飯を食べて、だら~っとする時間がないとダメになっちゃう。

ひらりさ 私は前々職、前職ともにゴリゴリのベンチャーだったこともあり、裁量労働制で働きまくっていました。実際、働けるだけ働いていると成果も上がりますし、評価に反映されます。でも、数年働いて実感したのは、労働時間どうこうよりも、会社員モードの時間が長過ぎると、精神の消耗は著しいということ。だから、本業の就業後に家に帰って、副業のライター業をする、とかは余裕です。

kobeni 別の仕事をしていると、本業に生かせませんか?

ひらりさ それはありますね。ただ、私の場合はどちらかというと、貧乏性っていうか予定が空いていると嫌だっていうのもあって。飲み会にもよく顔を出しますし、最近はジムに行くようにしてます。節約が苦手なので、節約を考えるくらいなら所得を増やす方向で仕事をしていきたいです。

自分にとって向いている仕事を見極められるかは大事

イメージ

では、これは自分に向いていないだろうなっていう仕事はありますか?

梓 私は報告書を作成したり、資料をファイリングしたりする内勤業務がとにかく苦手で。なので、今は仕事内容がある程度限定できる「契約社員の営業職」という働き方を選択しています。と言っても、事務作業がまったくなくなったわけではありませんが……(笑)。精神的にはかなり楽になりました。企業にもよるかもしれませんが、正社員としての働き方は自分には合わないな、と思っています。

kobeni 一度異動になったことがあって、それまで全くやったことのなかった、Excelでの集計作業が中心の部署でした。正直、そこでの私は全く使えない人でした……。以前の部署に戻してもらえたからよかったものの、あのままだったら厳しかったかもしれないです。

ひらりさ 無理に続けると、心身に悪影響が出ますよね。

人それぞれ得意分野があるので、それに合った仕事をできているかは大事ですよね。ひらりささんは、いかがでしょう?

ひらりさ 私は、ピンポイントにどの職種っていうよりも、“やる意味を見いだせない仕事”はしたくないな、と思います。

kobeni ハンコをいっぱいもらわないと物事が進まない……みたいな仕事ですかね。建前や慣習だけが先行した、生産性のない作業が続くのは嫌ですよね。

ひらりさ そうですね。合理的意味が感じられないことに時間を割かないといけないのは苦痛です。最初から分かっていたわけではなく、転職を2回して、ようやく居心地のいい会社を見つけられた感じです。新卒時からベンチャー企業で、最初の4年間くらいを100倍速のような感じで働けたので、取捨選択の目利きができるようになったのかなとは思います。IT系のベンチャーという、転職が当たり前な環境は私に合っていたのかも。

梓 28歳で向き不向きに気付けているのはうらやましい!

kobeni お二人と違って、私は新卒からずっと同じ会社に勤めていますが、今の会社は働きやすさをしっかり考えていこうという心意気があり、実際風通しもいいですね。だからこそ、今日まで頑張ってこれたのかも。

仕事と収入のバランスは、やっぱり難しい

仕事とは切り離せない「お金」の面についてはどんな考えをお持ちでしょうか。梓さんの場合、大企業の正社員から契約社員への転職ということで、収入に不安はありませんでしたか?

梓 確かに、収入は減りました。今はとにかくお金がないです(笑)。なので、近くの居酒屋でアルバイトしています。でも、「明日死ぬかもしれない」って思いながら毎日生きているんで、そんなに先のことはあんまり考えていないんですよね。

ひらりさ 仕事と収入のバランスって難しいですよね。私の友人の弁護士は年収1000万円以上もらっているそうですが、その代わり、朝の5時から夜中の3時まで働く、みたいな生活のようで。

梓 大変過ぎる……。でも、収入が多い人はやっぱりそれなりの働きをしているんですよね。私も大企業に勤めていた頃は、給料もそれなりによかったです。けど、忙しかったし、しんどいなという気持ちの方が大きくて。結局、今もらえている給料が身の丈なんだろうなと。

座談会イメージ

とはいえ、仕事に対する評価として、適正なお金は欲しいですよね。

ひらりさ 会社の余力もあるかもしれないですけど、きちんと評価を給料に反映してくれる会社がいいです。でも、お金について言えば、不労所得が欲しい!

kobeni それね!

ひらりさ ライター業のギャラってどうしても、「書いた分に対する対価」がメインなんですよね。書籍の構成をして増刷がかかれば印税が入りますけど、必ず入るわけではない。原稿を書くのが楽しいので、つい時間をかけてしまうのですが、本当は手を動かす時間をもっと抑えてお金を得て、それで浮いた時間を勉強なり将来への投資に使いたいです。それで、株式投資はやってみていますが、なかなかうまくいかない(笑)。

kobeni 不労所得があると、ピュアに「やりたいこと」が抽出されますしね。ちなみに、今、友人が趣味で漫画をものすごいスピードで描いてるんです。週に30ページくらい。

梓 すごい。週刊作家レベルのスピード感ですね。

kobeni ホントそう(笑)。でも、その子には本業もあって、漫画だけ描いて生活したいけど専業作家って売れない限りもうからないよね~って、ちゃんと現実を理解してるんです。本当にやりたいことでしっかり稼ぐのって、やっぱり難しいですよね。どうにか、彼女が漫画だけに集中できるユートピアが誕生しないものか……。

ひらりさ 生活していくにはそれなりの収入が必要で、お金が大事。でもお金にはならないけど自分がやりたいことを、思いきりやりたい。「お金を大切に想う気持ちを乗り越えるためにもお金が欲しい」みたいな感じですよね。

梓 哲学的ですね(笑)。結局、お金に余裕がある人って心にも余裕がある。で、そんな余裕がある人たちのところへ、ますます富が集中していくんですよね。

kobeni あと、ある程度キャリアを重ねると、考え方が“マーケティング脳”になり過ぎることがあるというか……。採算とか、そういうことを気にし過ぎてしまう。仕事に取り掛かる前から、「これはあまり評価されなさそうだな……」とか思ってしまう。純粋に理想だけを追い求めるのが難しくなってくると思うんです。でも、いい仕事をしたいという情熱は、いくつになっても持ち続けたいですよね。

座談会イメージ

自分が生きていけるだけのお金は、自分の手で稼ぎたい

ただ、中にはそうした社員の情熱につけこむようなこともありますよね。

kobeni 私が20代の頃って、特に「やりがい搾取」が横行していた気がします。やりがいのある仕事に就けても、心身を壊してしまう友人や同僚が本当に多かったです。でも今は、「とにかく夢や好きなことで食べていきたい」という価値観から「人間らしい生活を守りつつ、自分らしく働く」という方向にシフトしているんじゃないかなって。やりがい搾取から身を守る、そんな価値観が広がっているように感じます。

少し話が飛躍するかもしれませんが、せっかくAIの発達もあることだし、「働かなくていい世界をつくる」みたいなことを言いだすリーダーがいてもいいんじゃないかなって思うんです。365日まったく働かない、というのは難しくても、「今日は推しのアイドルのことだけ考えていたいので休みます」っていうのを認めてもらえる世の中はこないものでしょうか(笑)。

ひらりさ それ、賛成です(笑)。特段の理由がないと休めない雰囲気があるのって、ちょっと窮屈ですよね。産休や育休だけでなく、子どもがいてもいなくても、男でも女でも、休みたいときは休みたい。そういうバイオリズムって誰にでもあるから、「理由なき休日」はもっと広まってほしい。もちろん有給休暇は取得理由を言わずに使えるわけですけど、周りを見ていると「なんでもないのに休む」をのびのびやってる人は少ないんじゃないかな。

梓 それが実現したら、心身の不調に悩まされる人も激減しそう。我慢せずに、我慢させられずに、自分が生きていけるだけのお金を自分の手で稼ぐ、そんな“普通に働ける”ってことが一律に保証されている世の中が理想ですよね。

ひらりさ “普通に働く”ことの定義って難しいですよね。でも、一つは「自分の実力や性質に応じて仕事ができていること」だと思います。私は前の会社で、「女なんだからおじさんをうまく転がして仕事しなよ」って言われたことがあって、今でも許していません。そういう、女性だからとか男性だから、みたいな古い価値観を押し付けられている状態で、普通に働けていると言えるんだろうかって。男女関係なく、その人ならではの性質があるんだから、その性質に合った仕事ができる環境かどうか判断しないとですよね。

「自分の心に従う」ことで答えが見えてくる

最後に、日々働くことに何かしらの疑問を抱えている人がいたら、どんな言葉をかけますか?

ひらりさ 今の時代って、SNSを通してさまざまな人生や価値観が可視化されていますよね。見たくなくても見えてしまうから、うらやましく思ったり、自分と他人を比べてしまうことも多いと思うんです。でも、それは参考にする程度で、あまり影響されない方がいい

梓 私から言えるのは、もし働くことが苦痛になったら身体に出るので、それを察知してほしいということです。本当に無理なときは体が動かなくなるので、それは自分のキャパを超えているサイン。もし、そのサインが出たら、一回立ち止まってみて考えてみる。そうすれば、自分は本当のところ何に向いているのか、自然に答えが出てくるんじゃないかなって。

ひらりさ あとは、もし職場の人間関係で悩んでいるなら、「1ヶ月後に自分が死ぬならどうしていたいか」って考えてみるといいと思います。それで、今の職場にいたくないって思うなら、転職を考えてもいいんじゃないかと。逆に、この職場じゃないとダメって思い込んでいるときほど、他に選択肢はないのか考え直した方がいいかもしれません。恋愛だって最初に付き合った人と結婚する人って少数派で、いろいろな経験を経て自分に合っている人が見つかるようになるものですよね。職場もそうじゃないかな。

梓 ちなみに、私の場合は今本当にお金がなくて困っていますが(笑)、心は健康的なので20代の頃よりも今の方が超幸せですってハッキリと言えます。

kobeni 私も、自分の心に従ってほしいなと。私は2人の子どもがいますが、ワーキングマザーの中には、本当はやりたい仕事があるのに我慢しないといけないって考えている人が少なくないと思うんです。子どもを産んだのは自分だし、正直やりたくない仕事でも、時短だし子育てしやすい部署だしと、自分に言い聞かせて納得させてしまう。自分でも、自分をごまかしてるのは分かっているので、ことあるごとに「本当にこれ私がやりたい仕事なのかな」「もともと何を夢見ていたんだっけ」「何が好きだったんだっけ」みたいな疑問が、つらくなったときに顔を出してきてしまうんです。

でも、子育てしているからと、ぎゅっと心に蓋をするのは本当にやめた方がいいです。自分の気持ちをごまかし続けると、それはいつか心や体に悪い影響を及ぼす気がします。もちろん、行動を起こすタイミングを見計らうことは大事です。けれど出来る限り、自分の心には正直でいてほしいと思います。

自分が我慢せず働けているか見つめ直すことで、ネガティブな気持ちもすっと軽くなるのかもしれませんね。本日はありがとうございました!
座談会イメージ
取材・文/末吉陽子(やじろべえ)
撮影/関口佳代

※座談会参加者のプロフィールは、取材時点(2018年5月)のものです

次回の更新は、2018年7月4日(水)の予定です。

編集/はてな編集部