皆さんこんにちは!
株式会社人間の歯並びが悪い女、社領エミ(しゃりょう えみ)です! 矯正してぇ〜!
みなさん……百貨店って、素敵ですよね。
きらびやかな空間にピカピカの商品が並び、最高の接客が受けられる素敵な空間『百貨店』。
実は、そんな百貨店に「外商部門」と呼ばれる存在があるそうなんです。エリート販売員である彼らがお相手するのは、特別な上顧客……『外商顧客』。
なんと百貨店は、
「外商顧客」というとんでもないお金持ちによって支えられていた
ということをご存知ですか?
噂によると、外商顧客は……
マ、マジで~!?
これって本当なの?是非確かめてみたい!
ということで……
ジャーン!!
今回はこちら、とある百貨店のカリスマ販売員
Aさんをお呼びしました〜!!
「今日は絶対にバラしちゃいけない『外商顧客』さんについてバラしに来ました! バレたら99%クビですので、ここから先の話はあくまで一部の百貨店のみでの話で、というか僕自体の存在がフィクションで、全て嘘の話だと思って聞いてください」
「ガチのヤバい暴露が始まるっぽいぞ〜!!」
「早速ですがAさん。さっきの『外商顧客』の噂って、全部本当なんですか?」
「はい、割と本当です」
「マジか〜〜〜!?!?!?」
※この記事ではAさんの言葉通り「外商部門がお相手をする、年間必ず一定額以上の高額な買い物をするお客=外商顧客」とします
※今回の記事では、Aさんの身長・スタイル・風貌などからの身バレを防ぐため過度な写真加工を行っております。予めご了承ください。
百貨店の経営を支える超セレブな秘密のお得意様「外商顧客」さん
「そもそも、外商顧客って何なんですか?」
「要するに、百貨店でたくさんお買い物をしてくださるお得意様のことですね。具体的に言うと…」
「という感じの、いわゆる公にはされていない制度です」
「こ、こんなセレブ日本に存在するの〜!!? でも、なんで秘密なんですか?」
「一般のお客様に、お金持ちを贔屓してるように見えては困りますからね。では順に詳しく説明していきましょうか」
普通のお金持ちと外商顧客さんの線引きって?
「まず外商顧客さんとは細かく言うと、『お得意様カード』という各百貨店のクレジットカードを持っている方のことを指します。カードを手にいれる方法は百貨店によってさまざまで、『外商顧客さんからの紹介のみ』とか、『沢山買い物をしていると百貨店から招待が来る』とか……」
「なるほど。『沢山買い物』というのは、だいたいおいくらくらいでしょうか」
「僕の主観的な目安ですが、最低でも年間100万円以上お買い物される方ですね」
「私の貯金より断然多いですわ〜〜! 外商顧客さんは、業界全体で何人くらいいるんですか?」
「外商顧客さんについては従業員である僕達もあまり詳しい事を知らないのですが、売り場で接客する中では『ごく一部のお客様』という印象です。
また、外商顧客さんには『個人』と『法人』の2種類があります。法人ですとお歳暮やお中元、高校の制服とかを商っていますね。制服のタグに百貨店の名前が書いてあるものは、外商顧客さんの商品ですよ」
百貨店の売り上げを6割支える金持ちたち!
「百貨店全体の売り上げのうち、およそ6割を外商顧客さんが担っているといわれています。特にレアケースですが、個人のお客様でお一人で年間数億お買い物をする方もいらっしゃるみたいです」
「そんな買うもんあるかーーー!?!? 何買ってたらそんな値段に!?」
「噂によると、あのハイブランドを週1で棚買いしちゃうとか……」
「私、スーパーですら棚買いできないぞ」
「ほかにも、個人の外商顧客様だとハイファッションや宝石が中心に売れていますね。また一部の百貨店では、絵や車、家なども扱っています」
「えっ、家? 百貨店でですか?」
「はい。通年扱っているわけではないですが、有名建築家に頼むことができます」
「それより外国に小学校でも建てろ〜!!」
「そのように経営を支えてくださる外商顧客さんには、百貨店側から様々な待遇をさせて頂いています!」
金持ち待遇1:好みとサイズを完全に把握してくれる担当者
「外商顧客さんの中でもかなりのお得意様には、ご自身のサイズや好みを完全に把握した担当者がつきます。外商顧客さんの好みドンピシャのものが入荷すると、担当者がご自宅に直接商品を持って出向くこともありますよ」
「す、すごい。お母さんでもそこまでしてくれない!」
「担当者にはお客様との信頼関係が必須なので、百貨店の中でもトップレベルの接客担当が伺います。中には、お客様のタンスの中身を完全に把握していたり、お食事に呼ばれすぎて家に専用の茶碗がある担当者もいるとか」
金持ち待遇2:ゆったり買い物ができる広くてラグジュアリーなサロン
「百貨店には、外商顧客さんをお招きするためのこんな感じのサロンがあります」
「おおおお!! ラグジュアリーだ!!」
「ほかにも、各フロアには通常より1.5倍ほど広い試着室を外商顧客さん専用に設けてあります。有名な方や政治関連の方といった、顔を見られたくない方が事前に予約してご利用になられますね」
「タレントさんもそういうところを使ったりするんですか?」
「タレントさんはあまり使いませんね。意外にふらっと来られたりしますよ」
金持ち待遇3:30万以上の商品しかないセレブ専用販売会
「規模の大きい百貨店では、年に2回外商顧客さん向けの販売会を行っています。」
「特に限られたお得意様をお招きするこの日は、入口で黒服を着た従業員が数十人ずらりと並んでお客様をお出迎えします。外商顧客さん同士の社交場にもなる、年2回のちょっとしたパーティーですね」
「たった2万の財布を買うために節約してる私がアホらしくなってきたぞ……。 しかし、こんなパーティーする場所日本にあるんですか?」
「ウン千万の現ナマを持ち寄られるお客様もいらっしゃいますので、さすがに場所は言えません。取材もカメラも一切なしの厳戒態勢で行われます。というより、公には『こういう場自体無いもの』として扱っていますね」
ハイブランドは普段商品が売れなくてもやっていける!?
「……とこのように、外商顧客さんとその仕組みを説明させて頂きました。ほかに質問はありますか?」
「はい!普段街中を歩いていてもそんなお金持ちは見かけたことがないと思うんですが、セレブの見た目の判断基準ってありますか?」
「平日の人が少ない時間帯に、百貨店内で靴と鞄が明らかに高そうな人を探してみてください。その中でも担当者がべったりついて離れないって人はビンゴです、かなりの確率で外商顧客さんですね」
「うお〜〜! 今度平日の百貨店行ってみよ〜〜!!」
「あと、噂で聞いたんですが、ハイブランドのお店って普段商品が売れなくても経営が成り立つって本当ですか?」
「まぁ、本当ですね。ハイブランドは年に2回のコレクションで、お金持ちが気に入ったものをごっそり買うからやっていけてるんです。言わば、クリスマスだけドカ売れする某フライドチキンの店と一緒ですね」
「なので、普段の営業日は1日に2〜3点売れたらラッキーという感じかと」
「私たち庶民は所詮金持ちの余り物を買っているのか……」
「いえ、決してそうではありません! そこで接客して商品を気に入っていただいて、最終的にコレクションに来るまでのファンになればすごいじゃないですか」
「なるほど。普段の接客は営業活動みたいなものなんですね」
『百貨店はステータス』の時代は終盤に……厳しくなりゆく百貨店業界
「しかし……外商顧客さんは年々減り続けていて、正直百貨店業界はかなりピンチです」
「そうなんですか!? さっきの話だけ聞くとめっちゃ景気良さそうなのに」
「それがですね、お金を落としてくれる外商顧客さんたちがどんどん高齢化されて、百貨店にいらっしゃることが少なくなり……」
「現在百貨店を支えている外商顧客さんのほとんどが50代以上。それは、昔は百貨店にしか贅沢品がなかったので、50代以上のお金持ちには今でも『百貨店で買い物すること=ステータス』という認識が根付いているからなんです。
しかし若い世代のお金持ちはそうではありません。インターネットが出現してから、百貨店の在り方が大きく変わってしまいまして……」
「あ、なるほど!みんな通販するようになったのか!?」
「その通り。何でも手に入るネットのおかげで、30〜40代のお金持ちのお金の使い道が分散してしまいました」
「ヤバいじゃないですか。百貨店業界、導火線に火ついた感じですね」
「はい。という感じで百貨店業界が厳しくなり始め、00年代後半に大きく業界再編を行いました。三越と伊勢丹、大丸と松坂屋、阪急と阪神の合併です」
「ちなみに、現在の業界の売り上げランキングとしてはこんな感じ」
※ Aさん独自調べ
「関西の皆さんに朗報なのですが、店舗別売り上げだと全国トップの伊勢丹新宿と二番手の阪急うめだが僅差です!」
「マジか! これは関西人として嬉しい〜!!」
「また、もう少し踏み込んだ話をしますと……現在は、会社同士が個々で競っているだけではありません。タイプの違う2種類の百貨店が、生き残りをかけてバトルをしているのです」
※ Aさんの分析です
「最終的にどちらが生き残るか、言うなればサドンデス状態です」
みんな! 気軽に百貨店に集まれ~っ!
「というわけで、現在の百貨店業界は『既存顧客以外にどう来てもらうか』に力を入れています。特に去年からは、現状維持が許されないおかげで奇抜な企画が通りやすくなっており、三越は艦これとコラボしたり、高島屋は繁華街ど真ん中にポケモンセンターを構える等、前代未聞の企画を多く行いました」
「普段百貨店に行かない層にアプローチしたわけですね。 でもそういうオタク層って、百貨店が必要とするお客さんと全然違ったタイプのように感じるんですが」
「それでいいんです! まずは一度店に足を運んでもらって、百貨店の場所と空間と接客を若い方に見て頂きたい。そこで何か発見を与えられたらと思っています」
「なるほどなぁ。しかしAさん。ここまで聞いといてなんですが、正直百貨店っていつ行けば良いか全然わかりません! 高価なものしかないし、なんか煌びやかだし、一時間に一回『うんこ』と言いたくなる自分にはキツいです!」
「なるほど。『うんこ』と言うのはひとまず我慢いただくとして、僕は、百貨店はお礼やお祝い事などの贈り物をしたい時に相談に来ていただけると絶対に満足頂ける場所だと思います!」
「ほうほう」
「呉服系百貨店の社員はまず”物”が好き。店を横断して商品を把握しているため、ご要望に合う商品を百貨店の全フロアからご提案することができます。中には、『駅前のあの店にならあったかも……』と、自分の店以外のものを提案することも……」
「すげえ! 自分のとこの売り上げ無視!? しかし、予算3000円の貧乏人の相手をしてもらうのは申し訳ないし、何より店員さんが怖いんですが……!!」
「気にせず来てください! 百貨店は”接客”と”人”が好きな社員しか居ませんので、お客様に話しかけられると喜びますよ。また、商品について面白く伝えられる人しか採用していないので、軽く相談してみるだけでも楽しんで頂けると思います。最終的に買わなくても構いませんし!」
「買わなくてもいいの〜!?」
「良いんです。ぜひ、気楽な気持ちで来てください! 店員を友達だと思って、連れ回してもらえると嬉しいです」
「百貨店ってとっつきにくい印象だったけど、思ったより若者にフレンドリーなんだなぁ。Aさん、今日は本当にありがとうございました!」
おわりに
みなさん、「外商顧客」さんのお話は楽しんで頂けましたでしょうか?
日本にも優雅なセレブっていたんですね〜〜! ハイブランド大人買いとか、まるで漫画の世界ですよ。そんなセレブはイケパラとか花男とか氷帝学園にしか居ないと思っていたので、本当にビックリでした(年齢がバレる例えですみません)。
私もこれを機に百貨店にちょくちょく通おうと思いました。接客のプロが集まる百貨店業界、縮小し続けるのはあまりにも惜しい! みなさんも是非足を運んでみてくださいね。
ちなみに再三申し上げますが、この記事は全て架空の人物Aさんの”嘘”ということで! 面白半分でお読みいただけたなら幸いです。
さて、平日に買い物をするセレブに偶然を装ってぶつかって、仲良くなって嫁いで家でも建ててもらうとするか〜!
“嘘”です! 社領エミでした。
(写真提供:フリー素材屋Hoshino)
合わせて読みたい
この記事を書いたライター
1990年生まれのアホなフリーライター。取っつきにくいことをわかりやすく噛み砕いたり、みんなが気になることをインタビューしたりしています。 HP|http://sharyoemi.hatenablog.com/