結婚しても子どもを持っても「自分の人生を生きる」という軸はぶらさない

 どんぐりのママ

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小学生の頃、「結婚はしない、子どもも産まない」と決めていたはてなブロガーのどんぐりのママさん。ある転機によって、その考えが変わったそう。そんな彼女は、結婚しても子どもが産まれても「自分の人生」を歩むための選択をしてきました。

過去の自分に「結婚」の選択肢はなかった

43歳で結婚、44歳に第一子を出産し、お母さん歴2年になるどんぐりのママと申します。

子どもが9カ月になった頃、時短勤務で職場復帰すると同時に、初年度に保育園の父母会の役員も引き受けました。約1年、よく乗り越えられたな……と思うのと同時に、もう1年たってしまったのかと、感慨深いです。

私は晩婚&高齢出産でしたが、ずっと「結婚」は自分の選択肢にありませんでした。

きっかけは、小学生の頃に受けた社会科の授業です。

「地球温暖化」
「石油資源の枯渇」
「日本の少子高齢化」

この3つを習った際に、「今後はどんどん大変な世の中になっていくんだ……生きていくのはしんどそう……ずっと後に産まれる自分たちの子どもの世代は、もっと大変だろうな……」と子どもながらに絶望してしまったのです。

今なら結婚したからといって必ずしも子どもを持つという訳ではないと分かるのですが、小学生の頃は結婚=子どもを持つこと、と思っていました。なので、「子どもを産まないから、結婚もしない」と、小学生のうちに決めて親にも宣言していました。

あの時、先生がもう少し明るい展望を見せてくれていたら、考え方も違っていたかもしれません。

震災がきっかけで「自分の家族」というイメージが持てた

大人になっても結婚する気はなかったので、人生=仕事というぐらい、仕事漬けで過ごしてきました。

しかし、身を置く業界はめちゃくちゃ激務だったため、「これを60歳まで続けることはできない」と思うように。そこで、30歳になった時にライフプラン&マネープランを制作。「太く短く」を合言葉に、がっつり稼いで早期リタイアを目指すことにしました。

ちょうどその頃、ずっと憧れていた茶道の稽古に通い始めました。仕事以外の人間関係と和やかな空間に癒され、「リタイア後は茶道の先生をしたい」という夢を持ちました。

茶道教室の図

静かな茶室で、釜が“シュンシュン”と松風の音をたてているのを聞くと、心が落ち着きます

仕事漬けだった私に転機が訪れたのは38歳の時。

東日本大震災が起き、一時的に妹が私の家に同居しました。就職してすぐに一人暮らしをはじめたので、誰かと一緒に暮らすのは約18年ぶり。家に帰ると明かりがついていて、話をしながら食卓を囲む。不安だった時期に、家族が待つ家に帰る安心感と幸せを再認識しました。

その後、弟の家族に2人目の子どもが生まれ、妹も結婚。自分の「家族」だったメンバーが、それぞれ結婚して、新しい家族を作って自立していく。それまで「父・母・私・妹・弟」の5人で「私の家族」は完結していると思っていましたが、ゆるぎないと信じでいた自分にとっての家族が変わっていくのを見て、「私も自分の家族が欲しい」と、結婚を意識するようになりました。

さらに、甥姪と接することで、今までの「子どもを持たない」という考えに変化が。

楽しく遊んでいるうちは、私に「ねぇーねが一番大好き。お母さんより好き」と言ってくれるのに、転んだりして泣いた途端、私じゃダメで、泣き止まない。お母さん・お父さんに全幅の信頼を寄せて、泣きながら親の胸に飛び込んでいく姿を見て、「どんなに懐いてくれていても普段一緒に過ごしている家族には敵わないんだな」と感じました。子どもを「かわいい」と思うようになっただけでなく、「こんな関係を築ける存在が欲しい」と思うようになったのです。

確かに、今でも地球や社会というマクロの問題から個人単位のミクロの問題まで、人生は山あり谷ありです。しかし私自身の生活を振り返ってみれば、子どもの頃に想像していた程の絶望的な未来ではなく、つらいことより楽しいことの方が多い日々でした。それもあって、「私が小学生でイメージしたような未来に必ずなる訳ではないし、そうならないように努力することはできる」と考えを変えることができたんだと思います。

家族を持ちたいと思うも迷いが生まれる

ただこれまで、一人暮らしで誰にはばかることもなく徹夜や休日出勤をして仕事中心の生活をしてきてしまったので、誰かと一緒に暮らしていくイメージはなかなか持てませんでした。

繁忙期には毎日深夜帰りになる生活だし、この状態で一緒に暮らしたら、私がしてあげられることより、してもらうことの方が多いはずで、相手に迷惑をかけるだけだなぁと、尻込みしました。

でも、こんな仕事漬けの生活をしていたら、家事なんてできない。今ですらいっぱいいっぱいなのに……と悶々と悩む中で、「世間では、共働きだったとしても女性の方がまだまだ家事育児負担は多いとされている。結婚で得られるものはリスクばかりでメリットがないのでは?」と考えてしまうこともありました(今なら、メリット・デメリットで考えることはナンセンスだと言えるのですが……)。

ずっと「食い扶持は自分で稼ぐ」の気持ちで働いてきたので、今まで努力して築いてきたキャリアを手放すことは正直、考えられませんでした。

だったら、私にとって結婚は人生設計のマストではない。結婚して家族を持ちたいという気持ちはあれど、幸せにしたいと思える相手、万一相手が失業などしても自分が支えてあげたいと思える程の人に出会えなければ、当初の予定通り、結婚しない人生を送ろうと決めました。

さらに、「将来は茶道の先生になるため、稼げるうちに稼いでセミリタイアをする」という自分の人生設計を受け入れてくれる人というのも絶対条件でした。

茶道の先生は、職業として成り立たせるのは困難で、先生になった後の方が何かと物入りになります。自分自身のお稽古にかかる費用、茶道教室維持にかかる費用、仲間内でお茶事に呼ばれて参加する際の費用などを自分で捻出するためには、とにかく働けるうちに働いておかなければなりません。

本当に運よく、理解してくれる人に出会い、結婚。夫は、「結婚後も仕事は続けてほしい。家事は半々で」と言い、有言実行してくれています。家事の役割分担はあえてせず、できる方ができる時にやるというルールです。二人で家計を担い、二人で家庭を回す。対等な関係を築けており、一緒にいてお互い居心地のいい生活だと思っています。

主体的に選択してきた私が直面したこと

晩婚だったので子どもは諦め半分でしたが、幸運にも妊娠することができました。しかし、「高齢出産のリスク」ばかりは、もうどうにもなりません。安定期に入るまで、毎日毎日子どもがおなかの中で順調に育っているのか心配でした。

NIPT*1の検査を受けて陰性の結果をもらい、安定期に入り、ようやく一安心。しかし、あと1週間ほどで産休に入るというときに緊急入院。33週に帝王切開で出産しました。子どもは1,700gほどの大きさで生まれたためにNICUに1カ月入院していました。退院するまでずっと心配で、そばにいてあげられないことがつらかったです。

今までは「進む道は自分で方向を定め、切り開く」という気持ちで過ごしてきましたが、家族を持つと、自分自身では制御しきれないことが起こるということを思い知りました。

でも、夫に依存してしまったり、子どものために……と言いながら、望む道を諦めたりはしたくありません。自分の人生の主役は自分だと思っていますし、自ら舵取りを行いたいです。

その為に、30歳で作ったライフプランとマネープランは、新しい状況を鑑みつつアップデートし続けています。結婚しても、子どもが生まれても、自分が定めていた夢は諦めていません。

私の年齢や環境を考えると「結婚や出産を機に仕事を辞めた場合、将来『茶道の先生になる』という夢の実現は不可能に近くなる。なので、辞める選択肢はない」と判断し、仕事に復帰しました。

もちろん、これはあくまで私の場合、になります。人によって価値観や、将来の目標は違うため「どんな判断をするか」は、ひとりひとり異なると思っています。

ただ「将来自分がどうありたいか」が定まっていれば、人生の分岐点で進む道を悩むことも、道を選んだ後で後悔することもないと思っています。

将来の夢を基点に、自分がどう動けばいいのかを考えていく

時短勤務で復帰して1年。復帰当初にあった不安や、心の揺らぎはなくなりました。

夜泣きで寝不足が続いたり、仕事がキャパオーバーになったりするたび「辞めたい」となりますが、そのたびにライフプランを見て将来の目標を再確認することで、思いとどまりました。

「将来の夢」を基点に、どう動くべきかを逆算して考えることは、突発的な衝動を抑えるのにも役に立つと思います。

ただ復帰して身に沁みたのは「自分の時間を仕事に100%費やせていた頃のようには働けない」ということ。……当たり前なんですが。

残業ができないという時間制限と、脳のキャパシティの限界により、思っていた以上に仕事ができない現実に直面しています。

会社にいれば「もっとがっつり働きたい」、家に帰って子どもに向き合えば「やはり子どもとの時間をなるべく確保したい」と考えてしまいます。相反する希望にどう折り合いをつけるかが、今後の課題です。

今は時短勤務になりながらもこれまでのキャリアを生かして稼ぎ「太く短く」働くというライフプランを設計していますが、子どもが小学校に入る頃には「細く長く」の働き方にシフトしていくのかもしれません。

ただ、状況が変わったら、その都度軌道修正をしていけばいい。そんな気持ちで日々を楽しみながら、夢に向かって歩んでいきたいと思います。

著者:どんぐりのママ (id:donguri_1)

どんぐりのママさん

土曜日は子どもと2人で近所の公園めぐり。子どもの無謀な挑戦に毎回ハラハラしつつも、わんぱくだった自分の過去を思い出し、過干渉にならないようセーブ中。

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編集/はてな編集部

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*1:新型出生前診断