青森に新スター誕生⁉︎「はやぶさ連結おじさん」が起こした10年越しの奇跡

2018.11.09

青森に新スター誕生⁉︎「はやぶさ連結おじさん」が起こした10年越しの奇跡

青森県にある七戸十和田駅で、新幹線に扮して乗客を出迎える「はやぶさおじさん」こと七戸はやぶさPR隊。彼らは何者? 10年前から活動してるって本当? 函館はやぶさPR隊にジェラシーを感じてる? 本人たちに聞いてきました。

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    皆さん、連結してますか?

     

    こんにちは!青森出身ライターのタカダハルナです。

    わたしはいま、とある”おじさん”と連結しているのですが……

     

    ギラギラ

     

    プリッ

     

    どどーーん

     

    彼らは「はやぶさおじさん」こと「七戸はやぶさPR隊」の皆さんです!

     

    つい先日、七戸十和田駅でお出迎えする姿がツイッターで話題になりました。「青森の本気」「ムカデ人間を彷彿させる」なんてコメントがちらほら。

    こちらの動画、11月9日時点で1.3万リツイートされていて、いいねの数はなんと2万個!

     

    さらに「ねとらぼ」さんの記事で紹介されたほか、「LINEニュース」ではトップページに「はやぶさおじさん」の文字が…。

     

     

    それにしても、このフォルム、完成度……本当に謎ですよね。

     

    さらに、七戸はやぶさPR隊には

    ・ヤフーのトップページに2回載ったことがある

    ・パフォーマンス、被り物、タイツは進化してる

    ・もともと七戸十和田駅に、はやぶさは停まっていなかった

    こんな噂もあるんです。

     

    ちなみに、七戸十和田駅はこのあたり。

     

    いま青森県には新幹線の停車する駅が、新青森、八戸、七戸十和田、奥津軽いまべつ、と4つあるのですが、七戸十和田駅でいったい何が起きているのか、その謎を今日は解いていこ……

     

    行っくどー!!!!

     

    ほいほいほい

     

    うえーい

     

    千手観音さま???

     

    ちょっと、おじさんたち!!一回黙って~~~~!!!

    …それでは気を取り直して、謎に包まれた「七戸はやぶさPR隊」の話、スタートです!

     

    初めてファンだと言われた相手が「キャバクラの姉ちゃん」

    「ひと仕事終わったあとのビールうめえ~!!!」

     

    「………」

    「今日はよく来てくれたね~! あれ、どうした?」

    「……あ、あの。ゆるキャラの中身というか、見てはいけない姿を見てしまったような……」

     

    話を伺った、七戸はやぶさPR隊隊長・菅岡哲郎さん(写真右)、副隊長・田中清一さん(写真左)のお二人

     

    「おじさんの生着替えがキツかった!?ごめんごめん」

    「いや!こんなにもオープンなんですね(笑)」

    「どこかで着替えるときはいつもこうなの。我々はNG無いから」

     

    早着替えはたったの40秒。舞台俳優並みの早さ

     

    「そういえば、この間のツイートの反響はどうでしたか」

    「すんごかった」

    「普段あんまり連絡来ない県外の友達から『ネットニュースに載ってたよ』ってメールがきたり」

    「かなり話題になってましたもんね」

    うちのメンバーで、キャバクラ行ったら『ファンです』って言われたやつもいるよ

    「おっと!?」

    「はやぶさおじさん知ってますか?って姉ちゃんに聞かれたんだって」

    「はいはいはい!!」

    「そしたら急に『ファンなんですよ~』なんて話すもんだから、『俺、七戸はやぶさPR隊だよ?』ってメンバーが言ったらしいんだけど、信じてもらえなかったみたいで」

    「えーーー?(でもたしかに、みんなタイツを脱げば…)」

    「スーツの下にタイツ仕込んでおけば良かったのにな(笑)」

     

    「でも、本人は初めてファンですって言って貰えて嬉しかったみたい」

    「それにしても、キャバクラのお姉さんまで皆さんのことを知っているなんて、すごい知名度」

    これまで、ヤフーニュースには2回載ったことがあるんだよ

    「そうなんですか!?」

    「ひとつめは、函館へ講演会をしに行ったとき。函館公園にある『やまびこ号』っていう子供用の乗り物に我々が乗ったら、北海道のマスコミにバシャバシャって写真を撮られてさ(笑)」

    「あともうひとつは、津軽vs南部の綱引き大会に南部代表として参加したとき。青森は大きく津軽、南部、下北の3つに分かれるからね」

    「みなさん、ツイートで話題になる前からすでに有名人だったんですね」

    「かなり長く活動してるからね。来年で10年目になるな~」

    「そんなにベテランだったとは……」

     

    2014年、函館公園にて「やまびこ号」乗車しているところをマスコミに撮られる

     

    ぶっつけ本番は当たり前!こんな自分たちに家族は……

    隣の宴会場にいた七戸町長さんを取り囲む、はやぶさおじさん。威圧感があります

     

    「さっき、いきなりパフォーマンスしてくれましたけど、普段はどのくらい練習してるんですか?」

    ほぼ、ぶっつけ本番

    何をやるかは先頭車両次第なの。先頭がなにかやると、後ろが付いていく感じ」

    「それであのクオリティ!?すごい」

    「先頭車両って大変なんだよ!!! 何かを起こさないといけないっていうプレッシャーがあるから

    「ああ~、それはたしかに辛そうです」

    「さっきの千手観音さまどうだった?」

    「やり慣れてる感ありました」

     

    「今日初めてやったんだよ」

     

    「うそーーー!」

    「本当に即興だよね」

    「ツイートのときもさ『写真ターイム』って言ってるけど、あれも即興」

    「なにかやらなきゃーって苦しんだうえで出てきたのが『写真ターイム』だったんだろうね(笑)」

    「みなさんは、常に進化してるってことですか。かっこいい」

    「そう?ありがとう。ちなみに、被り物とタイツも進化してる」

    「へええ!!」

     

    「被り物は手作りなんだよ。これが初代で、要らない部分をくり抜いたの」

    「本当だ!軽量化してる」

     

    二代目の被り物。中が空洞になってます

     

    「それでも重いから、次は中を全部空洞にしちゃった」

    「重さは変わりましたか?」

     

    「こーんな体が斜めになっちゃうくらい違う」

     

    「すごい変わってる(笑)。その被り物を被りたいっていうお客さんもたくさんいそうですね」

    「いるいる。被せてあげるよ。なんでお客さんに被せるかわかる?」

    「喜んでくれるからでしょ!」

    お客さんに被せれば自分が楽だからだよ。その間休める(笑)

    「おじさんだから中腰が辛くてね。隊長なんてすぐだよ、『いいですよ!どうぞ』って」

    「あんなに元気でも、やっぱりおじさんなんですね」

    「年齢には勝てないさ。あ、タイツは伸縮性のいいやつに変えたんだよ」

    「その格好をするとき、いい年して~とか家族に言われてそう…」

    何も言われない

    「暗黙の了解みたいな。初めからそんな感じなんですか?」

    「もし着る前に家族に言ってたら絶対止められるよ(笑)。テレビとか見たときに家族が『あっ…』ってなって察するみたいな」

    「多くを語らない感じ、青森人っぽいですね。たまんないな」

     

    はやぶさが停まるまで、俺たちは止まらない

    2010年12月4日、開業した七戸十和田駅にて

     

    「そもそも、みなさんはどうして結成されたんですか?」

    「きっかけは、地元テレビ局が主催する大会。県内の市町村がそれぞれ地元のCMを作って、その大賞を決めるっていうやつなんだけどさ」

    「俺がプロデュースして、人型の七戸新幹線が七戸の名所を巡っていくよっていう内容のCMを作ったんだけど、結果準優勝しちゃって。それで、いまの形が生まれたわけよね(笑)」

    「へえ~。その大会だけで終わる予定とかではなかったんですね」

    いや、一回ぽっきりの予定だったの。でも、CMが結構話題になったしやめるのはもったいないなってことで、七戸十和田駅開業に向けて七戸はやぶさPR隊を結成することになったんだ」

    「そうなんですか!いまこんなに話題になってるんですから、やめなくて良かったですね!」

    「でもさ~、わりと辛かったんだぞ?」

    「鏡で自分のタイツ姿を見るのが?」

    「それもあるけど(笑)。『お前らは通過駅なんだから』って隣の八戸市に結構言われたの

     

    「どういうことですか」

    「はやぶさが来るから新しく駅ができるよってなったとき、県は青森市にある『新青森駅』をメインで作ってさ。七戸十和田駅は『よーいドン』の時点から通過駅だったの」

    せっかく駅を作っても、はやぶさが停まらない…?

    「それに、八戸っていう名前は良く知られてるけど、七戸ってなった途端になにそれ?って言われちゃう。だからまずは七戸っていう名前を認知してもらいたいなって」

    「じゃあどうしようかってなったときに、自分らで体を張って頑張らないとって思ったのが、俺らのスタート

    「はやぶさおじさん、かっこいい!!」

     

    「七戸十和田駅が開業したときは、車で八戸まで行って八戸駅から新幹線に乗って七戸十和田駅に降りるっていうのを企画したんだよ(笑)」

    「まだ、はやぶさが停まらないから違う新幹線に乗ってね」

    「新幹線から新幹線が出てくるって、面白いじゃないですか!!!」

    「駅開業のときに七戸十和田に降りるお客さんが少ない!何とかしなきゃだめだって。当日、全国ネットのテレビ局がたくさん取材に来てくれてたから、〇号車から出てテレビ映るぞ!!とか、やったなあ」

    「戦略的(笑)」

    「2011年には、はやぶさがデビューしたんだけど七戸には停まらなくて。悔しい気持ちを何とかしようと思って、七戸を通り過ぎる新幹線に手を振ったんだ」

     

    通り過ぎるはやぶさに、全力で手を振るはやぶさおじさん

     

    「ちょっと楽しそうですけど、何とも言えない気持ちですよね」

    「そうなんだよな~。それで2013年3月11日。はやぶさが初停車することになった

    「ついに!!!」

    「みんなで開業を祝おうよって町民とかを巻き込んでさ、全員で万歳したの。ゴールインした桃鉄みたいな感じだ」

    「みんなで『止まれ』って書いた旗を作ってね」

    「へえ~。でも、止まるのはわかってましたよね?」

    「そうなんだけど…これまで停まらなかったから、『止まれ』って書かずにはいられなかった」

    「そっかあ、泣けてきちゃいますね」

    「予算がなかったから、前の日に『止まれ』って書いた紙をコピーして割りばしにひとつひとつ挟んで、みんなに持ってもらってさ」

    「初めは100人で歓迎しようって話だったんだけど、結果500人くらい集まってくれてね。七戸の全保育園・幼稚園の子たちと、小学生にも来てもらったな」

    「うわあ…」

     

    「止まれ」と書いた自作の旗を振る、はやぶさおじさん

     

    「認知度はない、停まったところで誰も駅を使わない。そう言われてきたからね。だから、はやぶさが目の前で停まったときは、まじめに感動した」

    なんとしてでも、はやぶさを停めさせてやるって。『はやぶさが停まるまで、俺たちは止まらない』を合言葉に頑張ったよな

    「それで、はやぶさが停まることになってからは『はやぶさは停まったけど、俺たちは止まらない』に変えたよね(笑)」

    「前言撤回が、はやーい!」

     

    おわりに

    明るく、楽しく、自分の住む街に強い愛を持った、素敵なおじさんたちでした!

     

    生で会いたい~という人もいると思うのですが、残念ながら七戸はやぶさPR隊さんのパフォーマンスは不定期なんだそうです。彼らのFacebookページがあるので、それをこまめにチェックしていれば会えるチャンスが巡ってくるかもしれません!

     

    それにしても、「街を有名にしたいから!」という純粋な理由で、ここまで出来ちゃうはやぶさおじさんは凄いです。勇気を出して、一歩踏み出すのって大切ですね~。

     

    感動してしまったので、わたしも…一歩踏み出そうかと思います。

     

    「あ、あの!」

    「どうした?」

    「…わたしも、仲間に入れてもらえませんか!?」

    「おう!いいよ!このタイツ着て!」

    「軽っ!!!!」

     

    ゴソモソ…

     

    シャキーーン!!!

     

    「これで皆さんの仲間入りができます!!一緒に連結しまsy」

    「さあ!二軒目行くどー!!!」

    「はーやぶさっ!はーやぶさっ!」

    「あっ……」

     

    誰か、いっしょに連結しませんか…?

     

     

    【おまけ】ステージ乱入! 某テレビ番組に出演⁉︎ 驚きの裏話をまだまだ紹介

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    タカダハルナ
    タカダハルナ

    1996年青森生まれ。りんごに似てるとよく言われます。「とりあえずビール」が口癖。

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