「誰よりも低く名刺を渡すマシーン」を作って社会人としてレベルアップしたい|藤原麻里菜

 藤原麻里菜

藤原麻里菜

こんにちは、無駄なものを作っている藤原麻里菜です。

みなさん、名刺交換していますか?

働いているとなかなか避けて通れない名刺交換。私はふんわり社会人になってしまったので、名刺交換のマナーをGoogle先生に聞くところから始まりました。

どうやら名刺交換は「相手より若干低く差し出す」ということがポイントになるそうです*1。なるほど。私は人に敬意を払ってなさそうな顔をしているのでせめて名刺くらいは誰よりも低く差し出して、「ちゃんとしてますよ感」を出したい。そう思いました。

それからというもの、私は常に人より名刺を低く渡すことを念頭に置いて生きているのですが、たまに、私と同じタイプの人間に出くわすことがあります。

私が相手より低く名刺を出すと、相手はそれより低い位置に持ってくる。そして、私もそれより低い位置に持って行く。相手はそれより……。無限に続いて、最終的には地面にめり込んでしまうのではないかというほどまで低くなってきます。


エンカウント中の様子

頭の中で、ポケモンバトルの音楽が鳴ってしまいます。

人に敬意を払うために心がけているマナーなのに、同じように考えている人とエンカウントするとバトルが始まっちゃうなんて……。


もう私は、「名刺を低く差し出すバトル」に疲れました。もっと楽に名刺交換をしたい。いや、普通の位置で名刺を出しなよ。そう思う方も多いかもしれませんが、一度低く出した名刺。死ぬまで貫き通したいという謎の男気もあります。

そこで、私の持つ技術を使って「誰よりも低く名刺を差し出せるマシーン」を作ろうと考えたのです。

「誰よりも低く名刺を差し出せるマシーン」を作る

設計図

設計図を描きましょう。そう、体の一番低い場所である靴から名刺を発射することでこの問題を解決しようとしているのです。……しかし、私はもう一つのマナーに気づきました。

それは、「手を添えて差し出す」というものです。

相手より低く差し出すより優先度の高いマナーのはずです。名刺を発射するのは、完全にこのマナーに違反した行為であり、最悪の場合、社会から追放されるでしょう。

設計図

ということで、こういったマシーンを考えました。手のマネキンを使って足下から相手に渡すというマシーンです。これなら、すべてのマナーを守った上、ストレスフリーで名刺を相手に差し出すことができるはずです。


金具をつける様子

早速作っていきましょう。

まずは、角材にL字型の金具をいい感じに付けていきます。角材も白壁バックにこうやって持つとタピオカみたいに見えますねー。見えますよねー。

手

そして、先ほどの金具に、手のマネキンをいい感じにつけました。

このマネキンはネイルの練習用のもので、インターネット通販で買うことができます。見つけたときは、ネット通販にはこの世のすべてがあるなあと思いました。

サーボモータをつける様子

次に、サーボモーターに角材を固定していきます。

サーボモーターというのは、ミニ四駆などに使われているモーターと違って、角度を調整することができるのです。

制御

このサーボモーターをMESHというデバイスにつなげてアプリ上で制御していきます。

MESHはSONYから発売されているIoTデバイスです。専用のアプリとBluetoothでつなげることで、複雑な電子工作や専門知識が必要なIoTデバイスの制作がとても簡単になるすげえやつなのです。

デバイスアプリ

これがアプリの画面。スマートフォンのマイクから音を拾うとモーターが動く仕組みを作りました。

ちょっと分かりづらいかもしれませんが、とにかく名刺交換するときにスマートフォンに向かって何か音を鳴らすことで、マシーンが作動するというわけです。

「そもそも、名刺交換中にスマホをいじっていいのか」というご意見に関しては、一度スルーさせていただきます。

 

「誰よりも低く名刺を差し出せるマシーン」完成

完成

完成しました。

ご覧ください。これが、「誰よりも低く名刺を差し出せるマシーン」です。

マシーンの様子

この指の間に名刺を差し込み、スマートフォンで操作することで、誰よりも低く名刺を差し出すことができるのです。

マシーンと藤原さん


実際に装着するとこんな感じになります。

自分で作っておきながら、ちょっと訳が分からない見た目になってしまいました。動かすためにはコンセントが必要なので、会社訪問や懇親会などでは必ずコンセントの有無と位置を事前に尋ねなくてはなりません。便利なものの代償ということです。
 

誰よりも低く名刺を差し出してみよう

テストする藤原さん

それでは、実際に使ってみたいと思います。目がバキバキにキマっておりますが、自分が作った発明品を初めて動かすときはみんなこうなるものです。

スマートフォンのマイクを叩いて音を伝えると……。


テストイメージ


ちゃんと両手で名刺を持ちながら差し出すことができました。

すごく便利じゃん。こんなに便利なものある?

私は、去年、取っ手が取れるフライパンを買って「すげえ便利だ」と感じたのですが、それを超えるほどの便利さを感じちゃいました。

テストの様子

せっかく作ったから横からも見てほしい。

テストの様子

こんなに素早く


テストの様子

動いて


テストの様子

誰よりも低い位置で名刺を渡せちゃうなんて……。


マシーンと藤原さん

めっちゃ便利じゃないですか? 私のこの熱意に誰もついていけてないんじゃないかなと薄々感じてはいますが、とりあえず嘘でも便利だねと言ってくれたらうれしいです。

名刺交換をしてみよう

名刺交換の場

ということで、新しい仕事の打ち合わせに、とある会社にお邪魔しました。名刺交換のチャンスです。

相手が名刺を差し出してきたところで、

名刺交換の様子

私はスマホを操作して、

名刺交換の様子

マシーンを動かします。

マシーンの様子

「手を添えて差し出す」「相手より低くする」という2つのマナーを守ったこのマシーン。果たして、受け取ってもらえるのでしょうか。


「さあ、あなたはどうする……」と、神のような気持ちになりながら打ち合わせ相手を見守ります。

image

「あ、頂戴いたします……」


何かを察してくれて、名刺を受け取ってくれました。

体を全く動かさずにマナーを守れる。そんな、ストレスフリーに名刺交換ができるマシーンを作ってしまいました。よし、汐留あたりで露店開いて売ろう!

受け取る様子

ひざまずかせてしまった


そして、社会人の優しさも身にしみました。

おわりに

藤原さん

これで、社会でのストレスを解決することができました。うれしいです。よかったね。
名刺交換の相手をひざまずかせるのはマナー違反ではないか、という意見もあるとは思いますが、「うるせえ!」という言葉を返させていただきます。

ちなみに、卓上に置いても使えるということも発見したので、極力体を動かしたくない社会人のみなさん、いかがでしょうか。

著者:藤原麻里菜

藤原麻里菜

頭の中に浮かんだ不必要なものを何とか作り上げる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeを中心にコンテンツを広げている。2016年、Google社主催の「YouTube NextUp」に入賞。2018年、「無用發明展- 無中生有的沒有用部屋in台北」を開催。総務省異能vation採択。でも、ガールズバーの面接に行ったら「帰れ」と言われたことがある。
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編集/はてな編集部

*1:実際には交換相手との関係や、どちらが先に名刺を差し出したかなど、常に低くすることが正解とは限らないようです