
こんにちは、YONA YONA WEEKENDERSの磯野くんです。
前回の記事では田園調布が誇る二郎インスパイア系ラーメン店「麺でる」に赴き、僕のサラリーマン黎明期を回想しました。
朝から晩まで仕事に追われ、身も心もすり減っていたあの頃。
そんな僕を支えてくれていたのは、昼休みに自転車を漕いでたどり着いた一杯のラーメンでした。

ムチムチの極太麺、豪快な豚の肉塊、パンチの効いたスープ。
それは単なる昼食ではなく、「まだまだ頑張れるだろ!」と自分を奮い立たせてくれる、厳しくも温かい味わいでした。

『あのご飯を食べると、あの時の記憶が蘇る』
そんな思い出の味も、今回で最終回・・・。
いつも以上にエモーショナルマシマシでお届けしていきたいと思います。

さて、前回の記事で綴った通り、僕は一度音楽の道を諦め、社会人としての生活をスタートさせました。
上京してから「音楽で一旗あげる」という夢。しかし、現実はそんなに甘いものではありませんでした。6年間続けたメロコアバンドは解散。就職活動を経て、僕は普通の会社員として働き始めることになります。
「周りの友達みたいに、もう一度普通の人生を歩んでみよう」
そう決意した僕でしたが、社会人生活は想像していたものとは少し違っていました。終電ギリギリまで働き、休日も会社からの連絡に怯える日々。
自分で望んで飛び込んだ世界なのに、心も身体も常に乾いているような感覚が続き、潤いを求めるように、次第に僕は酒に逃げるようになっていきました。

仕事を終え、終電で最寄駅へ。コンビニでストロング系チューハイを購入し、家までの道のりを遠回りして帰ります。家に帰れば、明日の準備をしなければなりません。
眠気と闘いながら商談の資料を作り、ワイシャツにアイロンをかけ、また朝が来る。その現実から少しでも逃げたかったのです。
そんな生活をしていると、どんどん人恋しくなっていきました。
「誰かと飲みたい」
「話を聞いて欲しい」
そんな思いから、暇そうな友達を片っ端から捕まえては、酒を飲みながら会社の愚痴をこぼしていました。
今考えればめちゃくちゃ面倒臭いやつだったと思います。当時僕にくだを巻かれた皆々様に、この場を借りて謝罪させて下さい・・・。

そして、そんな犠牲者の一人が他の誰でもなく、YONA YONA WEEKENDERSのベース、スズキシンゴでした。
シンゴはメロコアバンド時代からの仲間。お互い別々のバンドで活動していましたが、ライブハウスでよく共演したり、主催イベントに誘ったり誘われたり、一緒に地方遠征に行ったりするような間柄でした。
ある日の夜。会社で重大なミスを犯し上司にこっぴどく叱られた僕は、例によって誰かにくだを巻きたくなっていました。そして思いつきます。
「そうだ!シンゴ、呼ぼう」

バイト帰りのシンゴを捕まえ、向かった先が今回の記事の舞台、やきとん野方屋方南町店。
当時シンゴも、もう一人のメンバーであるドラムスの小原”Beatsoldier”壮史も方南町に住んでおり、野方屋は僕らにとって、気軽にフラッと立ち寄れる日常使いの飲み屋という存在でした。
その日もいつものように酒を飲みながら、あのバンドがどうだとか、あの時のライブ覚えてる?など、音楽話に花を咲かせました。
そして酒が進んでいくにつれ、仕事の愚痴も吐き出しました。上司への不満。終わりの見えない仕事。将来への不安。そんな僕の話を聞きながら、シンゴは時たま相槌を打って、静かに酒を飲んでいました。
酔いもまわり呂律も怪しくなってきた頃、ふと店内のテレビに目をやると、そこではボーカルオーデション番組が放送されていました。画面の中では、夢を追いかける若者たちがキラキラした表情で一生懸命に歌っています。
「いいなぁ・・・」
無意識にそんな言葉が漏れたその瞬間、黙っていたシンゴが口を開きました。
「まだ歌いたい気持ちはあるの?」
突然の問いかけに僕は戸惑いました。

もちろん、音楽が嫌いになったわけじゃない。仕事に追われ、毎日を必死に生きる中で、「もう自分には音楽は無理なんだ」と、本心に蓋をしていた。本当はまだ歌いたかった。
一度諦めた夢をもう一度追いかける勇気がなかっただけ。
そんな僕に、シンゴは続けました。
「俺、磯野の歌好きなんだよね。このまま辞めちゃうのもったいないと思ってた。もう一回バンドやったら?自分のバンドがあるから片手間になっちゃうけど、俺で良かったら手伝うよ」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に仕舞い込んでいた何かが、少しだけ動いた気がしました。
自分ではとっくに消えたと思っていた音楽への気持ち。
でも、まだ小さな火種は残っていたのです・・・。

というわけで今回訪れたのは、僕に再び歌う気持ちを灯してくれた場所。
そして、YONA YONA WEEKENDERSが始まるきっかけとなった思い出の味。やきとん野方屋方南町店です。

方南町駅から新宿方面に歩いて2分ほどの場所にある、昔ながらの大衆酒場。飾らない外観、漂う焼きとんの香ばしい匂い。扉を開ける前からなんだか懐かしい気持ちになります。

今回は折角なので、メンバーであるスズキシンゴ、小原“Beat Soldier”壮史、そしてサポートメンバーのKey高橋遼、Gt一戸まさゆきにも集まってもらい、来る「想い出の予感」EPリリースツアーに向けた決起集会を開催することにしました。
果たして、10年以上前に僕の人生を変えたこの場所で、彼らとどんな時間を過ごすことになるのか・・・。
胸を躍らせながら暖簾をくぐります。

瓶ビールで乾杯しつつ、先ず注文したのは、野方屋名物のひとつ「もつ煮込みアブノーマル」。
名前からして只者ではありません。ちなみにこちらはBeat Soldierさんのレコメンドです。
一般的なもつ煮込みと言えば、味噌ベースの優しい味わいを想像しますが、野方屋のアブノーマルはピリッと効いた辛味がアクセントになっていて、濃厚なもつの旨味を引き立てています。
柔らかく煮込まれたもつは臭みもなく、ビールとの相性は抜群です。

ちなみに野方屋で提供されている瓶ビールはサッポロラガー、通称「赤星」。数あるビールの中でも、個人的に一、二を争う大好きな銘柄でテンションぶち上がりです。

続いて注文したのは、ポテマカ二点盛り。ポテトサラダとマカロニサラダという、大衆居酒屋界の二大名脇役。派手さはありませんが、こういう気取らない家庭的な味わいが最高だし、何歳になっても、結局みんなマヨネーズが大好きなのです。
続いては、てっぽうねぎポン酢。ホルモンを扱うお店ならではの一品で、コリッとした食感のてっぽうに、さっぱりしたポン酢とネギがよく合います。

そしていよいよ、野方屋の主役。やきとんの登場です。野方屋では注文用紙に食べたい串を書いて渡すスタイル。初めてだと少し戸惑うかもしれませんが、店員さんが優しく教えてくれるのでご安心を。
この距離感も、昔ながらの大衆酒場らしい魅力です。

気付けばテーブルには、かしら、タン、ハラミ、ハツ、レバー、しろなど、焼きたての串がずらり。一本一本丁寧に焼かれたやきとんは、噛むほどに肉の旨味が広がります。
特に印象的だったのがハラミ。ジューシーで柔らかく、肉汁が口いっぱいに広がります。これは白米・・・
いや、やっぱり酒ですね。

ホッピーセット、麦ソーダ、キンミヤ焼酎を使った自家製の青唐辛子焼酎など、みんなそれぞれ好きなお酒を片手に、話は尽きません。
しょうもない話から、ちょっと真面目な話。そして、これからのYONA YONA WEEKENDERSについて・・・。
気付けばあっという間に時間が過ぎていました。

すっかり腹パンになったところで、ビーソルが空気を読まずに注文したのが「カルボナーラ風焼きそば」。
彼以外の全員が
「いやいや、流石にもう食えないっしょ・・・」
という言葉を飲み込み、なんとも言えない表情をしていました。

しかし、人間というのは不思議なもの。目の前にうまそうなものが出てくると、胃袋は第二形態へと進化を遂げます。
まろやか濃厚なホワイトソースが麺によく絡み、重すぎない味わいでスルスルと胃袋へ。気付けばあっという間に完食していました。
恐るべし野方屋。恐るべし別腹。
改めて考えると、ここからすべてが始まりました。
あの日、シンゴを飲みに誘って良かった。野方屋に来て良かった。
あの夜シンゴがくれた「もう一回バンドやったら?」という言葉が、止まりかけていた僕の音楽人生をもう一度動かしてくれたのです。

今年でYONA YONA WEEKENDERSは結成10周年を迎えます。
振り返れば、楽しいことばかりではありませんでした。思うようにいかないこと、悔しいこと、メンバーとぶつかったこと。いろんなことがありました。
それでも今、こうして同じ仲間と音楽を続けられていること。そして、10年以上前に人生の迷子になっていた僕を救ってくれた場所で、またみんなで笑って酒を飲めていること。それだけで、十分幸せなことなのだと思います。
この連載を書きながら、改めて感じたことがあります。
思い出というものは、不思議なもの。
写真や映像が残っていなくても、ひと口食べた味や、ふと鼻をくすぐる香りによって、あの日の景色が鮮明に蘇ることがあります。
一緒に笑った人。
悩んでいたこと。
夢を語り合った夜。
そして、その時の自分自身。

もしかすると「思い出の味」というのは、食べたものを記憶に残しているのではなく、人生の一部を味の中に残しているのかもしれません。
僕にとって野方屋のやきとんは、ただの酒のツマミではありません。
もう一度歌う勇気をくれた味。YONA YONA WEEKENDERSの始まりを思い出させてくれる味です。

これから先、どんな未来が待っているのかは分かりません。でも、この仲間たちとなら、きっとまたたくさんの思い出を作っていける、そんな予感がしています。
その時にはまた、新しい「思い出の味」が生まれていることでしょう。
ごちそうさまでした!

追伸:二次会のカラオケも大変盛り上がりました。

▼やきとん 野方屋 方南町店
住所:東京都杉並区方南2丁目18−3
営業時間:16時30分~2時00分
定休日:なし
■記事執筆:YONA YONA WEEKENDERS 磯野くん
■YONA YONA WEEKENDERS 7th EP『想い出の予感』
CD+よなよなエール×YYW コラボ特製ビアグラス
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A026624/VOSF-16172.html
配信URL : https://jvcmusic.lnk.to/OmoidenoYokan
■7th EP “OMOIDE NO YOKAN” Release Tour
2026年10月9日(金) 宮城・仙台 darwin
2026年10月23日(金)福岡・BEAT STATION
2026年10月25日(日)広島・CLUB QUATTRO
2026年10月30日(金)北海道・札幌 PENNY LANE 24
2026年11月13日(金)愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
2026年11月14日(土)大阪・梅田 CLUB QUATTRO
2026年11月21日(土)東京・渋谷 CLUB QUATTRO ※SOLD OUT
https://eplus.jp/yonayonaweekenders/
■YONA YONA WEEKENDERS ONEMAN LIVE 2026 “NOUKAI”
2026年12月26日(土)横浜 YOKOHAMA Bay Hall
OPEN : 17:00 / START : 18:00
https://eplus.jp/yonayonaweekenders/
この記事を書いたライター
“ツマミになるグッドミュージック” を奏でるメロコア・パンク出身の4人組バンド「YONA YONA WEEKENDERS」のフロントマン。グルーヴィーで表現力豊かな歌声が魅力。好きなものはお酒とラーメンと乃木坂46。
































