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2020.05.21
知ったかぶり対談:とくべつ編③地元について、知らないことが多すぎる
デイリーポータルZがいろいろな場所で取材してきた記事を読むことで、その県の出身者に負けないくらい知ったかぶりできるんじゃないか。それが知ったかぶり対談です。
今回はとくべつ編として、最近の記事を振り返りながらデイリーポータルZで「投稿頼りの旅」を担当しているライター地主さんと、知ったかぶり47担当のアイデム藁品さんにお話を聞きます。インタビューはデイリーポータルZ編集部安藤が担当します。
在宅勤務で首が回らなくなる
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在宅勤務が始まって外に取材に行けないということで、今回はリモートでの対談となりました。なんだか新鮮ですが、お二人とも元気ですか。
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私は基本的にいつも家にいるので大きな変化はないんですが、長年の在宅勤務がたたって首を痛めました。
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私もまだ在宅勤務の環境が整っていなくていろんな意味で首が回らないんですが、地主さんの首はそれどころじゃなさそうですね。
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はい。医者に風呂以外では外すなって言われてコルセットを巻いてます。
いまリアルに首が回りません。
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状況とピースとが合っていない。
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たいへんだ…。
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みなさん健康第一で、お願いします!
酷道ものらいぬも、情報が地元ならでは
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地主くん、投稿頼りの旅で行った場所で印象的だった場所とか県ってありますか。
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最近だと徳島県の国道439ですね。「酷道」なんて言われたりするくらい道がとにかく細くて、対向車が来たらもうどうしようもない感じなんですが、近くで工事してるのかトラックがばんばん通るんです。
酷道と呼ばれる国道439
(山深い天空の村と渦巻く海と群れる鯉に出会う旅~投稿頼りの旅in徳島県~)
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この道で前からトラックが来たら終わりですね。
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終わりです。逃げようにも逃げ場もないので。
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私もこの道、学生の頃に卒業旅行で通ったことがありますよ!しかもペーパードライバー3人で。この写真よりももっともっと狭いところありませんか。
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ありますあります。これ本当に合ってる?っていう道が。でも一人で運転してるから写真が撮れないんですよね。
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一人撮影だとそうですよね。僕も山口県で運転中にのらいぬが現れたときに写真撮るために路肩に停めましたから。犬に「ちょっと待ってて!」って言いながら。
山口で遭遇したのらいぬ。そしてガードレールが黄色いのも山口ならでは。
(3億年のカルストと123基の鳥居~地元の人頼りの旅in山口県~)
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のらいぬ、いま珍しいから駐車してでも撮りますね。
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ずっと前に茨城に住んでいた頃には近所にのらいぬがいた気がするんですが、最近は他ではあまり見ないですよね。山口出身の藁品さん、そのあたりどうですか。
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のらいぬいますね。うちの実家の裏山にも何匹かいました。当時は普通だと思っていたんですが、そうでもなかったのか。
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山口のおおらかさを象徴していると思います。のらいぬ以外でも、山口は行く先々でなにしろ景色がすごくて印象に残っています。
秋吉台も
元乃隅稲成神社も、とにかくすごかった。
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元乃隅稲成神社はCNNが「日本の最も美しい場所31選(Japan’s 31 most beautiful places)に選んだっていうのも納得でした。現場で見ると写真の10倍良いです。
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出身者としてうれしいです!最初に安藤さんからおすすめを聞かれたので即答でういろうをすすめたんですが、まずはこっちでしたね。
なによりもまずういろうをすすめる。
各県の推しが集まったういろう対決
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山口ではちゃんと生ういろう食べましたよ。しかも藁品さんが落ちたっていう池の前で。
山口、御堀堂の生ういろう。
藁品さんが落ちたという池にて。
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まさかあの池がフィーチャーされる日が来るとは。
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子どもの頃に落ちた池っていうのはまさに地元ならではの情報ですよね。まったく思い入れがないはずなのに、見つけた時にはうれしかったです。
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ガイドブックに載っていない地元情報を頼りに巡るのはこの企画の醍醐味ですね。で、ういろうどうでした?美味しかったでしょう。
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御堀堂の生ういろう、確かにやられたなと思いました。
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ういろう対決では私がおすすめした宮崎のういろうが勝ちましたけどね!
ういろう対決では地主くんの推す宮崎のういろうが一位に。
(最高のういろうはどれだ~ういろう7県7種食べ比べ~)
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あれはね、僕も愛知出身者としてもうちょっとストレートなやつを用意したらよかったなと、終わってから思ったんですよね。
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悔しかったですよね。きっと判定員がもう少し甘い物が苦手な人だと山口が勝っていたと思うんです。
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参加者のういろうリテラシーを把握しておくべきだった。
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勝負を終えてもおさまらない情熱。
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ういろうに限らず、名産品対決はまたやりたいですね。
天気も熊も地元の人に聞くと早い
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記事を読むと地主さんの取材はだいたい毎回天気に恵まれている感じがしますが、安藤さんはなんというか、わりと悪天候が多い印象が…。
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自分でもそう思っていました。
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安藤さんが地元の人頼りの旅で取材した北海道は特に荒れてましたね。
北海道にて。
(雪雲の切れ間から見えた知床連山が神がかっていた~地元の人頼りの旅in北海道~)
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この冬一番の寒波と一緒に北海道入りしましたから。地吹雪で身動きが取れませんでした。風が痛いんです。
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まさに「試される大地!」
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北海道のキャッチコピーそのものですね。
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地元の人におすすめを聞いても、どこにも行かない方がいいって言うんです。特に山には近づくな、と。
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リアルな地元の人の声だ。
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しかも今年は暖冬で熊が冬眠せずにうろついているらしくて、おかげで知床は行くとこ行くとこことごとく立ち入り禁止でした。
行き先に熊が出てるかどうか、ウェブでリアルタイムに確認できます。
雪道には明らかに人じゃない足跡がたくさん。
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そういう情報は地元の人しか知りえないですから、貴重です。
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こういうリアルな情報はネットで調べるより現地で聞いた方が早いし詳しいんですよね。
もっと狭い情報を!
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天気以外に「地元の人頼りの旅」で苦労する点ってありますか。
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苦労というほどでもないんですが、地元の人におすすめを聞くとだいたいその県の一番有名な観光地をすすめてくれるんです。
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なるほど!でも僕らが知りたいのはそこじゃない。
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有名どころは知ってますからね。でも思ったんですけど、それが普通で、他県から来た人にいきなり近所の八百屋のおばちゃんの話が面白いから行けとか勧めないですよね。
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確かに!地元で旅行客からおすすめ聞かれたらまずは有名どころを勧めますね。
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そうなんですよ。その点「投稿頼りの旅」はガイドブックに載っていないような情報がほしいって言って集めてますから、毎回ほんと細かくていい情報が集まりますよね。
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そうなんです。宮崎の回で勧めてもらった旧都城市民会館は、行った日がちょうど取り壊しの開始日でした。
取り壊されてしまう直前の旧都城市民会館。
(南国の雰囲気が漂い、馬が走り、田の神が微笑む宮崎を旅する~投稿頼りの旅in宮崎県~)
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ギリギリのタイミングでしたね。
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壊しちゃうのはもったいないですが、ほんと情報もらってなかったら行ってなかったのでラッキーでしたね。
地元ならではの美味しい物には出会えるのか
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食べ物はどうですか?投稿頼りや地元頼りだと、普段出会わない美味しい物に出会えたりとかするんじゃないですか。
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投稿で知って行ってみてよかったのは熊本にある「おべんとうのヒライ」ですね。取材中に6回行きましたから。
熊本のみなさんの台所、おべんとうのヒライ
(謎の穴とカラフルな石室と海の中の電柱に感動する旅~投稿頼りの旅in熊本~)
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6回!
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記事によるとちくわサラダが有名なお店ですね。
熊本名物「ちくわサラダ」
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知ったかぶり対談でお話を聞いた熊本出身の中山さんもちくわサラダ食べたいって言ってましたよ。いまフランスにいるので食べられないのがつらいんだと。
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安藤さんはどうですか?地元の人に勧められて食べて印象に残っているものってありますか?
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印象に残っているのは新潟で食べたバスセンターのカレーですね。味もさることながら、バスセンターで立ったままカレーを食べたっていうのが思い出深いです。
これがバスセンターのカレー
(バス乗り場ではカレーを食べよう~地元の人頼りの旅in新潟~)
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味より状況で印象に残る食べ物ってありますね。
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その場所で食べるっていう体験も込みの味なんでしょうね。
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地元にしかないローカルパンもあります。長野にはうずまきパンっていうのがあって、甘いんだけどちょっとしょっぱくて、中が空洞なんです。
これが長野のうずまきパン
(雪道を2キロ歩き、ソースかつ丼を食べ、温泉に入るサルに会う~地元の人頼りの旅in長野県~)
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なぞなぞみたいなパンだ。
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ひっくり返して温めると美味しいよって言われたんですが、なぜひっくり返すのかもわからない。
中が謎の空洞です。
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確かに美味しいんだけど、東京に進出してくるほどの向上心は感じないんですよね。地元で愛されていればいいや、という。だけどそれがいい。
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僕等はそういう土着のグルメ情報を欲しています。
再開を楽しみにしています
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この企画を何年もやってきて、なんとなくわかってきたことがあるんです。
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なんでしょう。
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まだまだ知らないところが多すぎるなと。
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それはほんと思いますね。名前は聞いたことあるけど行ったことないとかならわかるんですが、聞いたこともない場所とか食べ物が、行ってみると平気な顔して見つかりますから。
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そういう地元の情報は地元の人の話とか投稿が一番詳しいわけです。
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そしてみんな自分の地元の話なので愛がこもってますね、やっぱり。
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せっかく来てくれた人に自分の地元でがっかりさせるわけにはいかないですから。
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みんなどこかで自分の地元が一番っていう気持ちがあるんでしょうね。
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このコロナ騒動が終息したら、また日本各地にいって自分なりの地元を見つけていきましょう!
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はやく通常運行がしたい、、
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ほんとですね。
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読者のみなさんは、それまでは知ったかぶり、投稿頼み、地元の方のおすすめの記事を読んで、旅に出た気持ちになってください!
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いつでも動き出せるように体を作っておきます!
【次回予告】次回はとくべつ編④をお届けします!(6月18日公開予定)
他の記事を見る- 地主恵亮
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ライター。1985年福岡生まれ。
基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。 深刻な友達及び彼女不足により、2012年より一人なのに彼女がいる風の写真を撮り始め、一人でもキラキラして逆に眩しいとすら感じる生活を送る。 2014年より東京農業大学非常勤講師。 著書に「ひとりぼっちを全力で楽しむ」(すばる舎)、「妄想彼女」(鉄人社)など。
- 安藤昌教
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デイリーポータルZ編集部
1975年生まれ。愛知県出身。
前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。
ものをむかずに食べる「むかない安藤」としての活動も8年目に突入。むかない安藤
https://www.youtube.com/playlist?list=PLI3lg7RZciQwJbfwfbzoo-ntIQV5IAEYhデイリーポータルZ編集部としてのプロフィール
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