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2018.07.19
知ったかぶり対談 第十四回:富山県富山のかまぼこは板に乗っていない
デイリーポータルZがいろいろな場所で取材してきた記事を読むことで、その県の出身者に負けないくらい知ったかぶりできるんじゃないか。それが知ったかぶり対談です。
今回は富山県出身の怪魚ハンター小塚拓矢さんに登場してもらいました。インタビューはデイリーポータルZ編集部安藤が担当します。
出会いは深海魚釣り
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小塚さんとは2012年に深海魚を釣りに行った以来かと思います。
小塚さんとはこの時が初対面でした
「深海魚を食べてもらいたい」より
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そうですね、あれからもう6年も経つんですね。あの時はずっと釣れなくて、一緒に行った平坂さんの顔色が悪くなっていくのを本気でまずいなと思って見ていました。最後の最後、釣れて良かった。
最後の最後で小塚さんが見たことない魚を釣りました。
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あの時平坂さんが小塚さんのことを「怪魚界のスターですよ」って小声で教えてくれて、すごく恐縮していたのを覚えています。僕は怪魚界という分類があるのか、とまずそこからして驚きでした。小塚さんは当時からずっと富山在住だったんですか?
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2012年にUターンしてからずっと富山ですね。
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それは富山に怪魚がいるから?
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いや、単に生まれ故郷なんですよ。まあ日本海側としては富山湾は最も深い海なので、太平洋側とは違った冷水系深海魚には出会いやすいかなというのはありますけど。
コロッケの街高岡
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富山の高岡でしたっけ。
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そうです。コロッケで有名な高岡です。コロッケ以外では富山県ではたぶん二番目の都市なんですけど、富山と金沢に挟まれた永遠のサブキャラというイメージですね。
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やっぱり高岡といえばコロッケなんですね。
高岡はコロッケの消費量が日本一らしいです
「コロッケの街高岡でコロッケを食べつくす」より
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コロッケは小さい頃からとにかくよく食べていますね。1個25円っていうのが基本なんですが、タイムセールで1個5円なんてのも見たことあります。
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25円!コロッケって自分で作ると面倒くさいイメージがあるんですが、その価格設定なら気軽に食べたくなりますね。
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うちの高校の近くに美味しい肉屋があって、ほら、肉屋といえばコロッケじゃないですか。彼女の部活が終わるのをコロッケ食べながら待ってる、みたいな青春がありましたね。そして彼女が来たらもう一個買ってほおばりながら駅まで歩く、みたいな。
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最高じゃないですか。駄菓子感覚なんですかね。大人になってからでもコロッケは食べますか?
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もちろん食べますよ。先週も友だちとバーベキュー用の肉を買いに行って、肉を切り分けてもらっている間にコロッケ揚げてもらって食べてました。
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肉屋のコロッケ、聞くだけでおなか減ります。
富山のかまぼこは板に乗っていない
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富山のかまぼこは板に乗っていないって聞きましたが、これは本当ですか。
これが富山のかまぼこ
「えっ!プールにかまぼこ板は必要ないの?」より
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本当ですね。かまぼこといえばぐるぐる巻いてあるやつか結婚式の時に出てくる鯛の形した飾りかまぼこか、どちらかだと思っていました。
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結婚式の飾りの鯛ですが、僕の出身の愛知だとあれが砂糖のかたまりでできていたりしました。じゃあ富山を出るまでかまぼこ板という存在を知らなかったんですか。
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知らなかったですね。小学生の頃、ルアー作りの本に「素材はかまぼこ板がいい」って書いてあって、何?かまぼこ板って?ってなりましたから。正直今でもどうしたらいいかわからないですもん、先に板ぜんぶ外したらいいのか、切った分だけ板から外すのか。
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たぶん切った分だけ外すんだと思いますよ。うちの親父は超切れる包丁で板ごと切っていましたが。
富山にはとにかく塩辛いラーメンがある
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ラーメンはどうでしょう?富山ブラックについては僕らも何度か記事にしました。
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この記事でも紹介されていますが、一店強烈なお店が富山市にありまして。「大喜」です。
大喜のラーメン
「とにかく黒いラーメン「富山ブラック」を食べてきた」より
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うま味とか辛味とか見た目とか、ラーメンにはいろいろな評価基準があるかと思うんですが、ここのラーメンは一言でいうと「塩味」です。
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塩味。
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よく言われるのは「醤油飲んでる感じ」です。スープも塩辛ければメンマはさらに塩辛いです。実は富山県内でも評価が分かれるところなんですが、僕は年に数回は行きますね。山登りの後に塩分を補給しにいく感じなのかもしれない。
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記事で読んだだけですが、僕は薄味派なので食べられないかもしれないです。
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大喜を食べるにはコツがあって、生卵を別の皿にもらって溶いておき、すき焼きみたいに麺を付けて食べるんです。そうすると多少まろやかになって食べやすいですよ。注意してもらいたいのは卵をスープに溶いちゃうと、まず飲み切れないのでもったいないことになります。
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そこまでして食べたいラーメンなんですね。おそろしい。
ガチパキとは?
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ロシアの中古車記事がありましたが、富山にはロシアの人が多いんですか。
ロシア向けに中古車が売られている
「中古車1台300ドル」より
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そうですね、僕らが子どものころは多かった印象ですが、今はパキスタンからの方が多いような気がします。じっさい住民人口に対するパキスタン人の割合は富山が一位だって聞きました。おかげでパキスタンカレーの食べ歩き、いわゆる「ガチ・パキ」なんて言葉があったりします。
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カレーの食べ歩き?そして「ガチ・パキ」っていうのは何の略なんですか。
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たぶんガチのパキスタンカレー、でガチパキなんだと思います。「ラーメンにする?ガチパキにする?」みたいな。パキスタンカレーのお店は射水(いみず)市っていう県の中央エリアに特に集中しているんですが、富山の人は射水市をイミズスタンと呼んだりもしています。
一年を通して魚が捕れる
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富山といえば魚がうまいイメージですが、最近釣ったり食べたりした中で印象に残っている魚ってありますか。
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最近だとミミズハゼですね。捕まえるのが楽しいうえに人に勧めると喜ばれます。道具もコンビニのするめとかでいいし、なんならイカなしでも手に入ってくるくらいですから。
手の中に勝手に入ってくる特殊なタイプの捕獲です
「イカを握った手を砂利浜に突っ込んでミミズハゼを捕りたい」より
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石の海岸ならばけっこうどこにでもいるって書いてありましたね。うちの近くも石なのでやってみようかな。
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ぜひぜひ。自然の生き物を捕まえて食べるっていうのは、ネットなんかではいろいろとややこしい話が持ち上がったりもするんですが、僕はやはり自然が好きですから。あまり変に考えずに地元に伝わるやり方で一年中海で遊んでいます。春はホタルイカの身投げ、夏はミミズハゼ、秋はソデイカ、冬はベニズワイガニ。いろいろありますね。
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本当に一年中海ですね。
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富山っていうくらいだから山の遊びもありますよ。黒部ダムとか立山、雪の大谷なんかはワールドレベルですね。最近では外国人観光客も多いです。山と海を網羅するともう一年中遊べますね。
小塚さん、ありがとうございました。
【次回予告】次回は埼玉県を知ったかぶります。(8月16日公開予定)!
他の記事を見る- 小塚拓矢(こづか・たくや)
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1985年生まれ、富山県出身。
大学1年生だった2004年に東南アジアへ釣行し、それを皮切りに2018年7月現在までの14年間で50カ国・計1174日、“怪魚”と呼ばれる淡水巨大魚を求めて釣り歩く。
いつの頃からか“怪魚ハンター”と呼ばれ、『情熱大陸』や『アナザースカイ』など、地上波テレビにも出演。
近書に「怪魚を釣る」(集英社インターナショナル)、「怪魚大全」(扶桑社)など。小塚拓矢Facebook
https://www.facebook.com/kozuka.takuya
- 安藤昌教
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デイリーポータルZ編集部
1975年生まれ。愛知県出身。
前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。
ものをむかずに食べる「むかない安藤」としての活動も6年目に突入。むかない安藤
https://www.youtube.com/playlist?list=PLI3lg7RZciQwJbfwfbzoo-ntIQV5IAEYhデイリーポータルZ編集部としてのプロフィール
https://dailyportalz.jp/writer/kijilist/212