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2020.08.27
知ったかぶり対談 第三十五回:東京都青い鳥は東京にいた
デイリーポータルZがいろいろな場所で取材してきた記事を読むことで、その県の出身者に負けないくらいに知ったかぶりできるんじゃないか。それが知ったかぶり対談です。
今回は東京編。東京で生まれ育ったDJ karyang(かーやん)にリモートで話を聞きました。インタビューはデイリーポータルZ編集部安藤が担当します。
DJはリクエストには応えない
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今回はDJかーやんにリモートでインタビュー収録させてもらっています。いま何か音楽かけていますか。
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テレビ見ていました!DJの練習する時以外は実はあまり音楽聴かないんですよね。
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そうなんですか!DJの人って普段どうやって音楽と接しているのかなと思っていたんですよね。僕は音楽を選ぶのが苦手で、選んでかけてもすぐに他の曲を聴きたくなってしまうので、だいたいiPhoneからランダムに再生しているんですが。
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それでいいと思いますよ。iPhoneに入れている時点ですでに選ばれた曲なので。僕は人前でDJをやるときには「おれの好きな曲を聴いてくれ!」みたいな主張だけが前に出てしまわないように気をつけています。
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そうなんですね。自分の好きな曲をつないで聴かせるのがDJの楽しさかと思っていましたよ。
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それもありますけど、現場の雰囲気や流れを読むことが大切です。いまの繋ぎ最高!って自己満足に浸っても聴き手には全く伝わっていなかったり、なんてこともありますからね。
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なるほど。確かに音楽は全体の流れでその場の空気を作りますもんね。
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そうなんです。なので最近は自分の好きな曲をかけるタイミングはとくに考えちゃいますね。場を読むという意味では「迎合する」っていうのも大切な要素だとは思いますし、かといってリクエストにばかり応えちゃうとそれはもうDJとはいえないですから。
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そうか、DJはリクエストに応えるのが仕事じゃないんだ。深い。
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そこがラジオなんかのいわゆるディスクジョッキーとは違うところでしょうね。
車がなくてもほとんど困らないのが東京
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かーやんは東京生まれ東京育ちですか。
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そうです。昭島市で30年暮らしていました。だからみんながイメージするいわゆる都心とはちょっと違うかもしれないですね。
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東京の人って場所によっていろいろ思いがあると思うんですが、僕みたいな地方出身者にとっては首都圏をまとめて「東京」と認識していて、その響き自体がすでに憧れでしたよ。東京が地元ってどんな感じなんですか。
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東京っていろんな意味ですべてが揃っていて便利なところだとは思いますね。特にインフラはすごく便利。東京にいるかぎり車は持たなくていいですから。僕なんて免許すら持ってないです。
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地方だと衣食住の次に車がきますからね。ないとどこにも行けなかったりします。
地方に行くと車がないと困ることもあります(前澤社長より先に月へ行ってきました)
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でもいまはインターネットが普及して、地方に住んでもほとんど東京と同じように便利に暮らせるんじゃないですかね。僕も10年ほど神奈川の藤沢市に住んでいましたが、レコード屋さんにしても都内とほぼ品揃えが変わらなかったりします。
おすすめは山田うどんのパンチセット
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東京は食べ物もおいしいと思うんです。
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うんうん、それは本当にそうですね。
東京にはうまいものが集まってきているのではないか(あえて魚を食べない築地うまいものめぐり)
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東京で特にこれがうまい!という食べ物ありますか。
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山田うどんですね。
山田うどんは関東にあるチェーン店です(山田うどんを作りたい(店舗を))
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山田うどん!?
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山田うどんです。パンチ定食っていうのがあって、知ってますか?もつ煮込みにうどんとご飯が付いてきてもう最高なんです。行くとこればかり食べていますね。
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山田うどんは関東にあるチェーン店ですよね。もともと埼玉みたいですよ。
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埼玉と西多摩地区のものと思っていたんですが、藤沢に住んでた頃にもあったのでうれしかったなあ。
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山田うどんはそうでもないと思いますが、東京のうどんは黒いっていいますよね。ほんとですか?
東京のうどんは黒いのか(東京のうどんは真っ黒だという神話)
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東京に住んでいると特に黒いなと思ったことがなかったんだけど、確かに関西に行くと薄いなって感じますね。
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住んでいるとその土地のことって意外とわからないものですよね。僕は愛知県出身なので冷ややっこには味噌を乗せるものだと思って暮らしていました。でもそんなことするの愛知だけでしたね。
立ち飲み屋と銭湯で非日常を
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東京に来たならここだけは行っておけ!みたいなオススメってありますか?山田うどん以外で。
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山田うどん以外か!今はコロナ禍でこんな状況だから密な場所にも行きづらいでしょうけど、落ち着いたら立ち呑み屋とか角打ちとか、そういうお店を巡ると楽しいんじゃないですかね。
これぞ東京という飲み方だと思います(移動電車賃140円のみ都内近郊改札内はしご酒の旅)
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そういえば立ち飲み屋って東京っぽいですね。
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サッと呑んでサッと出るっていうのが江戸っ子らしいのかもしれないですね。あとは銭湯なんかもいいと思います。立って飲み食いするのとか銭湯とかって、ちょっとした非日常じゃないですか。東京のそういう日常と非日常のゆれみたいなところを楽しんでほしいですね。
日常こそが東京の良さ(銭湯の鏡に広告を出した話)
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銭湯いいですね。高層ビルとかキラキラした部分ばかりが見えてしまいますが、東京って意外と古いものと新しいものがうまく混ざり合っていると思います。
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そうですね。藤沢に住んでた頃はまわりに自然がいっぱいあって、やっぱり田舎暮らしはいいなぁーなんて思っていたんです。ある日、尾の長いセキレイっていう鳥を見かけたんですよね。あー、これは東京では見られないなーって。
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田舎には田舎の良さがありますね。
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そうなんです。でも東京の地元に戻ったときに近所の畑を歩いていたら、いるんですよ、セキレイ。いるじゃん!って。東京ってそういう街なんだと思います。なんでもあるのに暮らしているとちゃんと見えていないというか。
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まさに青い鳥ですね。
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そう、青い鳥!東京には青い鳥がたくさんいると思いますよ。
かーやんさん、ありがとうございました!
【次回予告】次回は9月17日公開予定です!
他の記事を見る- かーやん(DJ karyang 川添智宏)
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昭和48年、東京都目黒区生まれ。昭島市育ち。 2009年から神奈川県藤沢市に引っ越し、DJ karyangとしてDJを始め『ぎょーざ会』『藤沢エクスペンダブルズ』等を主催。現在は東京都立川市在住で、都内を中心にDJ活動中。 コロナ禍の最中なかなかイベントがしづらい状況下で、オンラインDJイベント『舞麗選盤(ぶれいせんばん)』を主催し現在も毎月開催。 得意分野は昭和歌謡。好きな曲は南佳孝の『スローなブギにしてくれ』。
- 安藤昌教
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デイリーポータルZ編集部
1975年生まれ。愛知県出身。
前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。
ものをむかずに食べる「むかない安藤」としての活動も8年目に突入。むかない安藤
https://www.youtube.com/playlist?list=PLI3lg7RZciQwJbfwfbzoo-ntIQV5IAEYhデイリーポータルZ編集部としてのプロフィール
https://dailyportalz.jp/writer/kijilist/212