知ったかぶり47

知ったかぶり対談 第十一回:栃木県栃木の食卓には天国と地獄がある

デイリーポータルZがいろいろな場所で取材してきた記事を読むことで、その県の出身者に負けないくらい知ったかぶりできるんじゃないか。それが知ったかぶり対談です。

今回は栃木県。18歳まで栃木で生まれ育った、指圧師でありライターでもある斎藤充博さんに登場してもらいました。インタビューはデイリーポータルZ編集部安藤が担当します。

遠くて近い、近くて遠い栃木

  • 斎藤さんは栃木のどのあたり出身なんですか。

  • 塩谷町っていうところなんですが、栃木県民にもおそらくどこにあるのか認識されていないくらいの町だと思いますよ。なにしろ最寄り駅の矢板まで車で30分以上かかりますから。

塩谷町。いいところ感がはんぱない。「ビジュアル系の次は大衆演劇?田んぼの中の劇場で今起こっていること」より。

塩谷町。いいところ感がはんぱない。
「ビジュアル系の次は大衆演劇?田んぼの中の劇場で今起こっていること」より。

  • ちなみにこの記事に出てくる劇団の土地はうちの実家が貸しています。

  • リアル地主じゃないですか。
    栃木に住んでいた頃は、東京に遊びに行ったりとかしましたか?

  • いっさい行かなかったですね。宇都宮ですべてが事足りると思っていましたから。
    高校生になってようやく大宮に一人で出かける機会があったんですが、大都会ぶりに圧倒されましたね。東京なんてもうブランチ(王様の)の中にだけ存在する世界だと思っていました。

  • この記事で撮影していた小学校は実家の近くです。

廃校になった小学校に宿泊できるようになっている。「悲劇・UULAなんかなくても生きていける~廃校で宿直編」より。

廃校になった小学校に宿泊できるようになっている。
「悲劇・UULAなんかなくても生きていける~廃校で宿直編」より。

  • 僕はこの撮影の時にこの小学校に宿泊させてもらったんですが、夜になると周辺が真っ暗になるんですよね。

  • あのへん夜になると暗さが本気です。この小学校とは子どもの頃野球の試合をやったことがあるんですが、この周辺ではなんというか、強くないチームでして。僕らも弱かったんですがここだけには勝てた記憶があります。

  • 栃木って東京からわりと近いのに行ってみると別世界なんですよね。他にも撮影で何度か行ったことがあるんですが、どこへ行っても景色が想像を超えていました。

洞窟とか。「洞窟コワーキングスペース始めました」より。

洞窟とか。
「洞窟コワーキングスペース始めました」より。

採石場とか。「特撮のロケ現場でばばーん!と爆破結婚写真を撮ってきた」より。

採石場とか。
「特撮のロケ現場でばばーん!と爆破結婚写真を撮ってきた」より。

  • 景色は確かにやばい。

  • きだてさんの爆破写真撮影の時はタクシーの運転手さんが「地震であの山のてっぺんの岩が割れたんだ」って言ってて、西遊記かなと思いましたよ。

  • そのおかげか、映画を作ったり撮影をしたりすることには協力的な文化がある気がしますね。高速使えば東京からそこそこ近くて、それでいて爆破したり洞穴に入ったりできるのって栃木くらいでしょうから。

そばにはニラを乗せる

  • そばに野菜乗せるの。これは本当ですか?

栃木ではそばに野菜を乗せる。「栃木のアレンジ麺類めぐり」より。

栃木ではそばに野菜を乗せる。
「栃木のアレンジ麺類めぐり」より。

  • 本当です。大根そばもニラそばも、どちらも家でふつうに作って食べますよ。特に父が好きでした。

  • どういうことでしょう。薬味的な位置づけなんですか?

  • いや、薬味というよりも単にかさ増しなんじゃないかなー。ニラそばは美味いと思うんですが、大根そばってほら、想像してみてください、その通りの味だから。食料がなかった時代の代用品から始まってるんじゃないかと思いますよ。

  • なるほどなるほど。ではもしかしたらこれも代用品から始まったパターンですかね。いもフライ。

いもフライ。「佐野市のいもフライ人気が想像以上」より。

いもフライ。
「佐野市のいもフライ人気が想像以上」より。

  • あーーー、そうだと思いますね。なんだか芋とか大根とかニラとか、栃木にいた頃はそういう華のない野菜をよく食べていたような気がします。まあ美味いんですけどね。

県北vs県南

  • 記事の中で斎藤さん、栃木は県北と県南とで文化が分断されている、みたいなことを書いているんですが、そうなんですか?ちなみに斎藤さんはどっち?

  • 僕は県北ですね。県南のやつらめ。

  • いきなり怒りだした。

  • 栃木県は宇都宮を中心にそれより以北と以南とで完全に分断されていると思います。県北は本気の田舎、県南はおしゃれな田舎、といった感じですね。
    県南は、あいつらちょっと東京に近いからっていい気になりやがって。県北からするとなにが『秒速5センチメートル』の舞台だよ、とか思いますよまったく。

  • どちらかが手を回して宇都宮を取り込もうとしたりしないんですか。

  • 無理ですよ、だってほら、宇都宮は最強だから。その上にさらに埼玉、東京と続くんですけど、高校生にはそんな上の方は見えないし。
    でも栃木を離れてから、県北には日光や那須なんかがあって実は意外とイケてたんじゃないかと思うこともありますね。

これまたすごい景色。「世界最長の並木道「日光杉並木」を踏破したかった」

これまたすごい景色。
「世界最長の並木道「日光杉並木」を踏破したかった」より

  • 一大観光地じゃないですか。

  • 身近すぎると見えないってことありますよね。住んでた頃はこんな田舎、としか思っていなかったですから。

餃子はおやつ

  • そろそろ餃子の話をしてもいいですか。やはり栃木の人に餃子の話を聞かないのはよくないかなと思ってタイミングを見計らっていました。

  • はい、餃子ですね。栃木のことを、とうかがった時から避けて通れない話題だとは思っていました。

栃木といえば餃子。「5つの店の餃子を盛り合わせで食べられるフードコートが宇都宮に!」より。

栃木といえば餃子。
「5つの店の餃子を盛り合わせで食べられるフードコートが宇都宮に!」より。

  • やはり栃木の人は年中餃子を食べているんですか。

  • 感覚的には月に2~3回くらいなものだと思うんですが。家で出てくるとうれしかったですね。
    ああ、でも小学校の頃、一番体が大きいやつの家に行ったらおやつが焼き餃子でびっくりした思い出があります。

  • スナック感覚ですね。なにしろ宇都宮は駅を出た瞬間から餃子一択な感じがしますからね。

宇都宮駅前にはご存じ餃子像が(いまは場所が変わりました)。「5つの店の餃子を盛り合わせで食べられるフードコートが宇都宮に!」より。

宇都宮駅前にはご存じ餃子像が(いまは場所が変わりました)。
「5つの店の餃子を盛り合わせで食べられるフードコートが宇都宮に!」より。

  • あれは観光誘致のためのプッシュということもあるんですが、地元の人も本当に餃子が好きなんですよね。人気店だと並んだりしますから。乙幡さんが書いてるこのフードコートも行ったことありますよ。

  • 地元の名物を地元の人が並んで食べてるのって、本当に好きなんだなと思いますね。
    レモン牛乳はどうですか?給食に出たりしましたか?

レモン牛乳。「栃木のソウルドリンク、レモン牛乳」より。

レモン牛乳。
「栃木のソウルドリンク、レモン牛乳」より

  • これ、僕が栃木にいた頃は今ほど流行っていなかったんじゃないかと思いますよ。たぶんお笑いのU字工事がつっこんでからですよね。給食には出たことないと思います。今はわかんないけど。

  • 記事には「人類が作った初めての甘味みたいな味」って書いてありますね。

  • それは言い過ぎだろう。たしかに素朴で美味しいですけどね。まんじゅうとか飴とか、人類はもっと他にもうまいもの作ってるから。

栃木の天国と地獄はどちらも美味い

  • しもつかれはどうでしょう。

これがしもつかれだ!「しもつかれ連食で無病息災」より。

これがしもつかれだ!
「しもつかれ連食で無病息災」より

  • しもつかれはマジで給食に出ますし家でもがんがんに作ります。大量に作ってちょっとずつ食べるんです。

  • 最初は誰もがビジュアルにひるみますが、前に栃木に行った時に冗談半分で食べてみたら意外と美味かったですよ。

  • え!ほんとに?僕はきらいですが!!

  • 栃木でも嫌いな人いるんですね。

  • しもつかれについては栃木県民でも好き嫌いがすぱっと分かれますね。酒粕が苦手な人はダメなんじゃないかな。いろんな意味でかなり人を選ぶ食べ物だと思います。餃子なら天国、しもつかれなら地獄、自宅ではそう思っていました。

  • 家の食卓に天国と地獄が存在したんですね。

  • 地獄は言い過ぎですが、ほら、子どもにとって晩ごはんのおかずって重要な問題じゃないですか。

  • そうですよね。今日の晩ごはん、餃子にしたくなりました。

斎藤さん、ありがとうございました。

次回は兵庫県を知ったかぶります。(5月17日公開予定)。おたのしみに!

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斎藤充博
斎藤充博

栃木県塩谷町生まれ。現在は東京で指圧師をしながらライターをしている。
栃木県あるあるを網羅した『栃木のおきて』という本を作ったら栃木県だけでベストセラーになった。デイリーポータルZでは特定分野の専門職に素朴な疑問をインタビューする「○○に論破されたい」シリーズに力を入れている。

安藤昌教
安藤昌教

デイリーポータルZ編集部
1975年生まれ。愛知県出身。
前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。
ものをむかずに食べる「むかない安藤」としての活動も6年目に突入。

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