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2021.09.22
知ったかぶり対談:とくべつ編⑦川を泳いで学区を越える
デイリーポータルZがいろいろな場所で取材してきた記事を読むことで、その県の出身者に負けないくらいに知ったかぶりできるんじゃないか。それが知ったかぶり対談です。
今回はとくべつ編として、東京都出身のライター小堺丸子さんに話を聞きました。インタビューはデイリーポータルZ編集部安藤が担当します。
東京に来たら銭湯に行ってほしい
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小堺さんは生まれも育ちも東京ですか?
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そうです!葛飾区の四ツ木というところです。下町なので、いわゆる都会生まれの意識が薄いかもですね。
小堺さんの地元「四ツ木」の商店街。
(記事:「クリップから始める、商店街わらしべ長者」より)
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僕らみたいな地方出身者から見ると、東京生まれ東京育ちってドラマの中の人みたいなんですが、確かに下町の方はまた雰囲気が違いますね。人情があるというかドライじゃないというか。東京に住んでいてよかったなと思うことってありますか。
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なんだろう、駅と駅が近いところですかね。最近よくウオーキングしてるんですが、駅がたくさんあると疲れたときにすぐ電車に乗れるから楽です!
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それは確かに思いますね。僕が育った愛知なんて次の駅は隣の市でしたから。
地方の一駅は遠い。
(記事:「健康のために一駅歩く、ただし地方で。」より)
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歩き疲れたら銭湯に行くのもおすすめですよ。歩き疲れなくても、東京に来たらぜひ銭湯に行ってほしい。東京にはいい銭湯がいっぱいあるんだけど、いますごい勢いで減っていってるので。
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今のうちに行けるだけ行っておくべきですね。前に銭湯好きの友人に小平浴場というところに連れて行ってもらったんですが、知らない東京を見た気がしました。
小平浴場。最高でした。
(記事:「今しか見られない東京を見に行く」より)
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いいですねー。東京の銭湯は宮造りだったり富士山の絵が昔ながらの絵師によるものだったりと、みどころ満載なんです。東京銭湯のアプリを入れるとスタンプラリーができて楽しいですよ。
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それいい!東京でも地方でも、銭湯はもっと気軽に行った方がいいですね。
川を泳いで学区を越える
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東京の子どもたちってどこで遊んでるんですか?川でザリガニ取ったりとかしなさそうなイメージなんですが。
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わりと普通ですよ。近所の公園で手打ち野球したり、友達の家で百人一首したりとか。あと四ツ木は土手があったのでそこで遊んでましたね。
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土手はわかるんですが、百人一首とはまた文化レベルの高い遊びを!
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坊主めくりなのでそんなことないです!
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学区ってありましたか?
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学区?
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小学校の領地というか。管轄してる地区のことなんですけど、愛知の子どもたちは常にケッタマシーン(自転車)で移動しているので、すぐに学区の境界線にあたるわけですよ。で、一歩でも隣の学区に出ると叱られる。
小堺さんも名古屋でケッタマシーンに乗っていました。
(記事:「名鉄のナナちゃん人形の股を覗いてはいけない」より)
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区の区切りはあったと思うけど、出て叱られたことはないですね。出るとばれるんですか?
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女子に見られてて、翌日先生に報告されるんです。せんせー、安藤くんがきのう学区出てましたー、って。
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あははは。
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で、職員室に呼ばれるんです。「お前、学区でたんか」って。「出てません!」って言っても信用されない。まあ出てるから信用されなくて当然なんですが。
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何しに出るんですか?学区。
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見えない境界線というか、国境みたいなものがあると、外の世界に興味を持つのは当然だと思うんですよね。学区が違うと知らない子どもが住んでるから、外国みたいでした。
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あー、制限されるから出たくなるんですね。自由を求めて。
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そうかもしれないですね。出ること自体が目的になっていたのかも。学区の境は川だったりするんだけど、橋を渡ると女子に見られるからって川を泳いで渡ったりしてました。
当時はこんなに堂々と学区を越えられなかった。
(記事:「多摩川、野川、落合川。東京の川を堪能する!」より)
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びしょびしょの他学区の子どもが川から上がって侵入してくるんだ。
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今考えると何がおもしろかったんでしょうね。
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私は意外と真面目というか、その場で満足しちゃうタイプだったかも。だからもし地方に生まれてたら東京にも来てなかったかもしれないです。もちろん他学区にも行ってなかった。
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それは地方出身者とのマインドの違いですね。僕らからすると「上京する」っていうのが漠然とした憧れみたいなものでしたから。
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私はきっと地方都市で満足してましたよ。東京怖い!行きたくない!って思ってたかも。
住むなら四国
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小堺さんには地元の人頼りの旅でいろんな地元に取材に行ってもらってますが、ここなら住んでみたい!って思った場所とかありますか。
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どこもほんとにいいなと思ってましたが、なかでも印象深かったのは愛媛ですね。愛媛なら住みたいかな!
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道にみかんが落ちてる県ですね。
道にミカンが落ちている県、愛媛。
(記事:「松山には道路にみかんが転がっている島がある」より)
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そうそう!たしか取材が冬だったんですけど、原付でもそんなに寒くなかったし、何しろ海が見えたときの景色が最高でした。
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瀬戸内海ですね。僕も次に住むなら四国がいいなと思ってました。みんな酒飲みなのが心配ですが、高知が好きで。
天狗の鼻がじゃまで置くことができないから飲み干すしかない高知のおちょこ。
(記事:「高知へ行ってトマトばかり食べてきました」より)
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高知もいいですよね。知り合いがいるので何度か行きました。食べもの美味しいし。
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そうそう。でも実は東京も食べものは美味しいですよね。あの地方のあれが美味い!とか、地元ならではの味!とかいうけど、全体で見ると東京の方がぜったいに美味いと思う。
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まあねー。確かになんでもあるけど、あえて東京の名物は?って考えると難しいですよ。これ!っていうものがないというか。
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愛知でいうところの手羽先みたいな代表選手がいないですかね。でもそもそもの選手層が厚いでしょう、東京は。
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そうかもしれないですね。べたですが、もんじゃ焼きは好きですよ。浅草とか月島とか。あと巣鴨の駅前にあるもんじゃ屋さんは量が多くてよかったなー。昔は駄菓子屋でも食べられたって言いますよね。
下町名物?駄菓子入りもんじゃ焼き
(記事:「もんじゃに駄菓子を入れると超うまい」より)
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駄菓子屋でもんじゃ、「こち亀」で読んだことのある東京ですね。
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私、葛飾区出身のくせに実は「こち亀」って読んだことなくて…。
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え!!たぶん知ってる景色が無限に出てくると思いますよ。僕は「こち亀」で得た知識で東京のイメージを作り上げていたので、今でも葛飾の方に行くと「あ!この景色、なんか見たことある!」って思いますから。
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なるほど!今度読んでみます。
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ぜひ!
小堺さん、ありがとうございました!
【次回予告】次回は10月21日公開予定です!
他の記事を見る- 小堺丸子(こざかいまるこ)
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東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。 好物は酸っぱいもの全般とイクラ。ペットは犬2匹と睡魔。土日で40時間寝てしまったりするので日々の目標は「あまり寝過ぎない」
Twitter
https://twitter.com/pekorinnote
- 安藤昌教
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デイリーポータルZ編集部
1975年生まれ。愛知県出身。
前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。
ものをむかずに食べる「むかない安藤」としての活動も8年目に突入。むかない安藤
https://www.youtube.com/playlist?list=PLI3lg7RZciQwJbfwfbzoo-ntIQV5IAEYhデイリーポータルZ編集部としてのプロフィール
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