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2020.07.16
知ったかぶり対談:とくべつ編⑤アメリカのコンビニはコンビニエンスじゃない
デイリーポータルZがいろいろな場所で取材してきた記事を読むことで、その県の出身者に負けないくらいに知ったかぶりできるんじゃないか。それが知ったかぶり対談です。
今回はとくべつ編として、アメリカで暮らす河合さん、小野さんのお二人に海外居住者にとっての「地元」について、オンラインでインタビューしました。インタビューはデイリーポータルZ編集部安藤が担当します。
地元は日本
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お二人はアメリカで暮らして何年ですか?
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2015年からだから、5年くらいですね。

シリコンバレーのジャンク屋を紹介してくれる河合さん(右)(若きジョブズも来たという、アメリカのでかいジャンク屋に行く)
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思わず計算しちゃったんですが、私は高校からアメリカなので、28年?ですかね。
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ということは地元どこ?って聞かれたらどうでしょう。小野さんの場合アメリカの方が日本よりも長いからアメリカってなるんですか。
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うーん、どうだろう、こっちが地元なような気もするけど、地元は?って聞かれたら「日本」ってことになるのかも。
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なるほど、長く離れていると地元は広く「日本」になるんですね。河合さんはどうでしょう。
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僕は出身が岐阜でそのあと大学から名古屋にいたから、地元といって思い浮かぶのはそのあたりですかね。
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一人暮らしした場所の記憶って強く印象に残りますよね。僕は地元は愛知ですが大学に入って一人暮らしを始めたのが石川県だったので、遠くに見える山とかそういう景色は石川の記憶が強いんです。お二人が地元っていうキーワードで思い出すのもやはり景色ですか。
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やっぱり風景ですかね。一人暮らしをはじめて自己を確立したのは名古屋だけど、遠い山の景色とか、そういう原風景は岐阜にあります。
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私も日本だと子どもの頃によく行ったカフェとか、アメリカだと高速道路とか山の風景とか、そういう景色が浮かびますね。
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僕は景色もだけど、地元と聞くと友だちとか実家なんかかも浮かぶんですよね。

安藤と実家(ヤンキー、年賀状になって実家に届く)
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あー、自室っていうのはあるなー。あとは経験の積み重なりによって思い出すときの解像度が違うというか。
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印象が濃い場所は鮮明に思い出せる、っていうことですね。
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それはありますね。
鮎が食べたい
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食べ物はどうですか?地元の景色と紐づいているものとかあります?
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私は和菓子の鮎焼き!

これはたい焼きですが(おいしいたい焼きを食べたい旅)
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毎回帰省するたびに鮎を食べるんですが、今年は帰れてないから食べたいなーと思ってました。あとはピーナッツみそとか、わりとどうでもいいものがなぜか記憶に残ってますね。

千葉が誇る地元の味、みそピー(千葉県最強ソウルフード「MAXみそピー」作成法)
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鮎焼きに鮎、期せずして二人とも鮎でしたね。
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ほんとだ!
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小野さんの鮎焼きは東京ですか?
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東京ですね。東横線の玉川駅近くのお店。カステラみたいな皮の中にこしあん派です。
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僕は和菓子だとなごやんですね。
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でた!名古屋銘菓なごやん。僕も好きです。
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ああいう食べ物はアメリカにはないですから。
刺身はアメリカでも食べられます
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家で和食とか作りますか?
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めちゃくちゃ作りますよ。結局日本で食べてたものになるのかな。
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うちも普通に和食が多いです。
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食材は手に入るんですか。味噌とかしょうゆとか。
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この辺はわりと簡単に手に入りますね(お二人はシリコンバレーに住んでます)。そういう点では恵まれてる。魚なんかも日本に比べたら高いけど手に入ります。
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刺身なんかも?
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あるにはあります。豊洲から送られてくる魚が出回ってますけど、やっぱり高いですね。こっちの人はSashimi gradeとは言っても生で食べられるとは言っていない、みたいな感じなので。やっぱり鮮度は日本産じゃないと辛かったりします。

まさかアメリカで豊洲の魚が買えるとは(日曜も営業している魚屋はクオリティが高かった)
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私は刺身は日本食スーパーでパックのやつを買っちゃいますね。凝った物でなければ食材も調味料も、日本食スーパーやアジア系のお店で普通に買えるので苦労しません。
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刺身も買えるんですね。流通すごいな。
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日本だと海なし県なんて言うけど、実際は2時間も車で走ればどこでも海に行けますよね。アメリカだと大半が海なしなので、ほんとに流通は偉大だと思いますよ。
アメリカのコンビニはコンビニエンスじゃない
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日本に帰ったらぜったいやることとかありますか?
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牛丼食べます。
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コンビニ行って洋服買います。

牛丼(牛皿は奇跡の食べ物)
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どれもアメリカにもありそうですが。
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コンビニといえばおにぎりとおでんも必ず。
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そう!コンビニのおにぎり!
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コンビニはアメリカには存在しないと言ってもいいので。
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そうなんですか!

日本でも特に福井のコンビニはすごい(福井のコンビニ「オレボステーション」がすげえ)
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アメリカにあるのはまったくコンビニエンスじゃないですよ。本当に困ったときにコーラを買うお店です。
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サンドイッチとかも信じられない味だったりするしね。言われてみれば便利なコンビニは日本の原風景なのかもしれない。
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慣れすぎていて気付きませんでした。
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塾帰りにコンビニで肉まん買うのとか、今思うと本当に幸せだった。
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高速のSAも日本の原風景ですね。
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アメリカ、あんなに車社会なのにSA充実してないんですか。
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ないですよ。テレビとかで日本のSA見るとすごいなって思うもの。

確かに日本のSAはちょっとやりすぎかなと思うこともある(美しすぎるサービスエリア・パーキングエリアのトイレ)
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高速でトイレに行きたくなったらどうするんですか。
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いったん降りてショッピングモールに行くんです。高速沿いに作られているので、まあ実質的にSA的な役目を果たしているんですが、それでも日本のSAとは違って、単に高速沿いにあるショッピングモールですね。
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日本だと高速のSAに温泉が併設されていたりするんですよ。

高速のSAに温泉があったりする(美しすぎるサービスエリア・パーキングエリアのトイレ)
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ああ!風呂!
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お風呂!!
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やはりこちらに暮らしていると日本自体が地元になりますね。
河合さん、小野さん、ありがとうございました。
【次回予告】次回は8月27日公開予定です!
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- 河合太郎(かわいたろう)
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位置情報エンジニア、器用貧乏家 岐阜県出身。名古屋を経てシリコンバレー在住。 Windowsで地図ソフトを作っていたら会社がWeb企業に買収され、そこで地図サービスを作っていたらスマートフォンが登場し、その地図アプリをこき下ろしたところ「じゃあお前が何とかしろ」と言われて現在に至る。 様々な分野に手を出し、深く短くハマってはまた他に気を取られることを繰り返す能動的器用貧乏家。 現時点ではビールを造っている。
Twitter:https://twitter.com/inuro

- 小野理(おのりこ)
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会社員、Sony Corporation of America勤務。
1977年東京生まれ。10歳まで東京で育ち、その後15歳まで神奈川在住。
父の仕事の関係で高校からアメリカ、シリコンバレー地域に在住。そのままアメリカにふわふわと暮らしています。40歳手前で始めたトレランにはまり、今はベイエリアのトレイルを走るのが大好き。

- 安藤昌教
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デイリーポータルZ編集部
1975年生まれ。愛知県出身。
前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。
ものをむかずに食べる「むかない安藤」としての活動も8年目に突入。むかない安藤
https://www.youtube.com/playlist?list=PLI3lg7RZciQwJbfwfbzoo-ntIQV5IAEYhデイリーポータルZ編集部としてのプロフィール
https://dailyportalz.jp/writer/kijilist/212
今回話題にもならなかったアメリカの記事(デイリーポータルZのサイトに移動します)
