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2020.11.19
知ったかぶり対談 第三十八回:岐阜県サービス精神がエスカレートする土壌
デイリーポータルZがいろいろな場所で取材してきた記事を読むことで、その県の出身者に負けないくらいに知ったかぶりできるんじゃないか。それが知ったかぶり対談です。
今回は岐阜編。岐阜県出身でヘボコンマスターとして知られるデイリーポータルZ編集部石川に話を聞きました。インタビューは同じくデイリーポータルZ編集部安藤が担当します。
岐阜はスイスなのか
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僕は隣の愛知県出身なんですが、実は岐阜のことをほとんど知らなくて。いったい岐阜とはどんなところなんでしょう。
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岐阜は大きく分けて北の方の飛騨と、南の方の美濃があります。僕は美濃そだちで、母方の祖父母が飛騨にいたので夏休みには毎年飛騨に行っていました。
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投稿募集の時にも北はスイス、南はイタリアみたいなものって言ってましたよね。
(投稿募集ページ)

岐阜はスイスなのか。(スイスのダムめぐり)
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そんなこと言いましたっけ。でも県外の人が想像する岐阜の観光地はほぼスイスというか飛騨だと思いますね。山の中に古い町並みが残ってて雪が降ってる感じの。
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なるほど。愛知からだと大垣とか岐阜は近いけど飛騨の方まではなかなかいかないので、だからあまり印象がなかったのかな。
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岐阜は南北に長い県なので愛知からでも飛騨だと結構遠いですよね。ワイドビュー飛騨っていう列車に乗っていくと楽しいですよ。でかい窓の電車で山の中のきれいな景色の中を通っていきます。
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前にムーンライトながらなら乗ったことがあって、あれもすごい面白かったんですよね。岐阜は電車が面白いのか。

シャイだから家でプログラムを書いていた
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石川さんはヘボコン(技術力が低い人限定のロボットコンテスト)の創始者なんですが、岐阜には物づくりカルチャーを生み出す土壌みたいなものがあるんですか。

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あるのかなー、あんまり意識したことなかったですけど、僕が育ったあたりは田んぼや畑が多くて、あぜ道みたいなところを2キロくらい歩いて通学するんですね。そうするとほら、田んぼとかって手作りの小屋があったりするじゃないですか。
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ありますね。風呂釜が水槽に再利用されていたりして。

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そうそう、こういうの。こういうのは面白いなーと思いながら眺めてたのを覚えています。
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子どもの頃から「手作り」には興味あったんですね。
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どうだろう、ブロックは小さいころからけっこう凝ったもの作ってたみたいで、そのあとプラモデルとかちょっとやって、あとは電子ブロックとか。小2くらいからはパソコン買ってもらって、プログラムをちょっと書いてみたりとか、今思えばわりとずっと何か作ってましたね。
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小2でパソコンはなかなかのものですよ。そういえばMaker Fairも岐阜の大垣でやってますよね。石川さんもヘボコンで何度も出ていると思いますが、ほかの地域に比べてお客の反応に違いがあったりしますか。
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他の会場と比べてお客がちょっとシャイなイメージはありますね。体験型の展示をすすめると「いやいや、いいっすよー」みたいな感じで遠慮されちゃうことがあって。
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シャイな県民性だから家でプログラミングするのかも。
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当時は家でプログラミングしてたの僕だけでしたけどね。
強すぎる海への憧れ
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岐阜にあるという淡水魚だけの水族館について聞かせてください。

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アクア・トトぎふですね。あそこはいいですよ。淡水魚ってサンゴ礁の魚とかに比べると地味なイメージがあると思うんですが、全然そんなことなくて、面白いです。
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岐阜には海がないってところを逆手にとった感じですね。
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そうですね、岐阜の人はよく「海なし県」を自虐っぽく使うんですが、海のないところに水族館作るのって面白くないですか。
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岐阜の人たちにはやっぱり海へのあこがれみたいなものがあるんですか。
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それは間違いなくありますね。前に乙姫滝っていう滝を見に行ったことがあるんですが、そんな竜宮みたいな名前を山の中につけちゃうの?って思いました。

これが乙姫滝。(乙姫滝の音で音姫を作る)
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乙姫滝は海どころか本気の山でしたね。
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山ですね。夏は郡上踊りやっているあたりですよ。

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僕は中学のキャンプが確か郡上八幡でした。オオサンショウウオがいるところですよね。

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たぶんいますね。まえに岐阜市内にある公園の中の小さな建物にひっそりとオオサンショウウオが飼われていて。
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さすが岐阜!
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その展示が薄暗くて、ぬめっとした感じでオオサンショウウオがいるんですが、それが子供心に怖かったのを覚えていますよ。
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オオサンショウウオは川に行くとわりといるんですか?
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いやー、野生のは見たことないですね。
カラシ豆腐とこも豆腐
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カラシ豆腐も岐阜ですよね。これ、愛知ではあまり見たことがないんです。

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そうです岐阜ですね。岐阜が発祥で全国に広がったと思っていたんですが、そんな広がってないですかね。
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見たことないです。岐阜ではよく食べるんですか。
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とうぜん全国で売ってるものだと思っていたからあまり気にしたことがなかったんですよね。この記事を読んだ後、帰省したときに久しぶりに食べたくなって親に食べたいって言ったら「なんで?」って顔されました。
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当たり前すぎて見えなくなっているんですね。
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そうですね。実は岐阜にはもう一つ「こも豆腐」っていう豆腐もあって、これは穴の開いた豆腐みたいなものなんですが。

こも豆腐(岐阜の極み)
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知らないなー。写真を見てもまったく知らない。美味しいですか。
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まあ素朴な味ですけどおいしいですよ。茶碗蒸しを蒸しすぎると巣が立つじゃないですか、ああいう感じです。
サービス精神がエスカレートする土壌
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喫茶店のモーニングにいろいろついてくるのも、もともとは岐阜から始まったって聞きましたよ。

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そうかもしれないですね。岐阜も愛知も喫茶店の数がやたら多いから、し烈な生き残り競争がエスカレートしていった結果なのかもしれません。
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中部地方というか、愛知とか岐阜って喫茶店の数がほんと多いですよね。親と出かけるとちょっと歩くとすぐ喫茶店に入ろうとするんですよ、ちょっと休もうって。
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あはは。ベンチ代わりだ。
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いろいろついてくるから入っても損した気分にならないのかも。
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岐阜には食べ放題のモーニング出す喫茶店もありましたからね。サービス精神がエスカレートしていく土壌はあるかもしれない。
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パッケージに入ったお菓子がコストダウンで年々小さくなっているなんて話を聞きますが、マーケティングとしては逆なのかもしれないですね。
石川さん、ありがとうございました!
【次回予告】次回は12月17日公開予定です!
他の記事を見る
- 石川大樹(いしかわだいじゅ)
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1980年岐阜県生まれ。デイリーポータルZ編集部。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」創始者(ヘボコンマスター)として世界中にその名をとどろかせている。
個人サイト nomoonwalk

- 安藤昌教
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デイリーポータルZ編集部
1975年生まれ。愛知県出身。
前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。
ものをむかずに食べる「むかない安藤」としての活動も8年目に突入。むかない安藤
https://www.youtube.com/playlist?list=PLI3lg7RZciQwJbfwfbzoo-ntIQV5IAEYhデイリーポータルZ編集部としてのプロフィール
https://dailyportalz.jp/writer/kijilist/212
今回話題にもならなかった岐阜県の記事(デイリーポータルZのサイトに移動します)
