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2020.10.22
知ったかぶり対談 第三十七回:福島県ふつうのご飯が異様に美味い
デイリーポータルZがいろいろな場所で取材してきた記事を読むことで、その県の出身者に負けないくらいに知ったかぶりできるんじゃないか。それが知ったかぶり対談です。
今回は福島編。福島県のおいしいお米で「おむすび」をむすんでいる山田さんに話を聞きました。インタビューはデイリーポータルZ編集部安藤が担当します。
おにぎりではなく、おむすび
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山田さんの活動は主におにぎりをにぎること、ですか。
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そうです!そうなんですが、わたしは「おにぎり」ではなく「おむすび」と呼んでいます。
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おむすび!それは失礼しました。響き的にも「おむすび」の方がころんとしていて可愛いですね。
山田さんのつくる「おむすび」はかわいい。
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はい!「おむすび」はもちろん食べる「おむすび」なんですが、人や地域を「むすぶ」イベントの企画や福島県のPR的な活動もしています。
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なるほど!だから「おむすび」って言うんですね。「にぎる」より「むすぶ」の方が優しい感じがしていいですね。僕もこれからおむすびって言おう。
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ぜひ!「むすぶ」っていう言葉は深くて、人と人とをむすんで新しいなにかを生み出していく「産む」みたいなニュアンスもあります。言ってしまえば命の象徴ですね、おむすびは。
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そうだったのか!いままで「おにぎり」として何も考えずに食べていました。ちなみに山田さんの作る「おむすび」で、人気の具ってなんですか?
山田さんの作る「おむすび」はどれも美味しそう。
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私のイチオシは、なんといっても…。
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梅?いや、鮭かな。
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塩むすび!!!なんです。
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なんと!簡単そうで一番難しいやつですね。
デイリーポータルZでもいろいろな人が作った塩むすびを食べ比べしたことがあります。
(誰の塩むすびが一番おいしいのか)
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そうなんです。イベントなんかだといつも8種類くらいのおむすびを出すんですが、食べた人の感想を聞くと「全部食べましたが、塩むすびが一番美味しかったです!」って言ってくれる人が多いんですよね。
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それは、食べたい…。
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とくに子どもたちって美味しいものに敏感だと思うんですが、何度か来ているリピーターの子は塩むすびにまっしぐらですよ。
ふつうのご飯が異様に美味しい
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先週福島県の郡山市に行ってきまして、ちょうど稲刈りのシーズンで田んぼが金色でしたよ。
郡山にて。
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それはスペシャルな時期に行きましたねー。お米は食べましたか?
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もちろん食べました。普通にビジネスホテルに泊まったんですが、朝ごはんのご飯が異様に美味しかったんですよね。
山田さんとおむすび。テンションの高さよ。
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そうなんです!福島は普通のご飯がおどろくほど美味しいんです。何気ないご飯が異様に美味しかったって福島に旅行に行った人によく言われます。
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水が美味しいのもありますよね。取材で磐梯山に行って湧き水を飲んだんですが、これもまた異様に美味しかったんです。
磐梯山で飲んだ弘法清水。異様に美味しい水でした。
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水が美味しいのももちろんですが、山に囲まれた地形とか土の良さとか、ぜんぶが合わさって福島のお米を美味しくしてるんでしょうね。うちは実家が米農家なので、お米にはうるさいですよー。
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いい名前ですね、やまだズ。
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そんな社名にしたと聞いたときにはびっくりしましたけどね。
たまに食べたくなる「こづゆ」とは
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福島は餃子も有名なんですか。
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私も最近まで知らなかったんですが、福島市では有名みたいです。
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お米が美味くて餃子が有名だと、もう無敵なのでは。
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福島といっても広いので、地域によって名物がいろいろありますね。円盤餃子は福島市、ラーメンは喜多方ですよね。
これは郡山市で食べたラーメン。美味しかったなー。
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喜多方ではないですが郡山ラーメンは食べましたよ!あと郡山ではクリームボックスも食べました。
郡山名物クリームボックス。
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郡山名物のパンですね!あとは会津だと地鶏とか馬刺しも有名だし、ソースカツ丼もあります。
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美味い物だらけだ!地元の食べものが美味しいと、東京で暮らしていて食べたくなるものとかあるんじゃないですか。
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ありますねー。家庭の味「こづゆ」が食べたい。ご存じですか?
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聞いたことないです、なんですか「こづゆ」って。
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会津地方の郷土料理で、ホタテの貝柱でだしを取って、にんじん、里芋、きくらげなんかを入れたお汁です。慶事のときに作ってふるまわれるんですが、何杯おかわりしてもいいことになってるんです。家によって具や味付けがそれぞれで、うちはお盆とか親戚が集まるときに作るんですが、小さな子どもたちもみんな大好きですよ。
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まさに地元の味という食べ物ですね。こづゆは給食に出たりするんですか。
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作るのにめちゃめちゃ手間がかかるので給食には出ないですねー。基本的には行事の食べ物だと思います。あ、でも東京にもある会津の居酒屋でも食べられます。
災害から学ぶこと
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山田さんは震災の時には福島にいたんですか。
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あの時は東京で働いていました。震災のあとに岩手を中心に復興ボランティアに行って、そこから福島の復興に関わる何かがしたいと思い今の活動を始めました。
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では震災復興からのつながりでおむすびの活動を。
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そうですね。米農家をしている実家のお米を使って、福島のお米が厳しく全量検査をしていることなんかを伝えられたらと思って活動していました。あの頃はみんな福島の農作物を買わなくなってしまったので。
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あの震災があってそこから復興に向けてがんばって、それでいまの活動があるわけですね。
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ああいう体験をしているからこそ、そこからいろいろ学ばないといけないんですよね、本当は。
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本当にそうですね。いろいろあったけど、今年も福島の田んぼは金色に輝いていたので、農家の方は頑張っているんだな思いましたよ。
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みんなで頑張ってきました。
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福島の美味しいお米を食べると、それが実感としてわかりますよ。
山田さん、ありがとうございました!
【次回予告】次回は11月19日公開予定です!
他の記事を見る- 山田みき(やまだみき)
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「OMUSUBIで地球をむすぶ!」をテーマに人と笑をむすびながら、おむすびをむすんでいます!
実家は会津の米農家。東日本大震災をきっかけに、おむすびやになりました。人と人をむすび、地域をむすび、よきことをむすびながら、世の中によきことを生み出していきたい!という想いが「おむすびや」という肩書きに込められております。
おむすびケータリング、ワークショップ、イベント、福島&会津のPRなどなど、ご縁のある人や場所のもとへ飛び回りながら、いろいろむすんでいます。
- 安藤昌教
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デイリーポータルZ編集部
1975年生まれ。愛知県出身。
前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。
ものをむかずに食べる「むかない安藤」としての活動も8年目に突入。むかない安藤
https://www.youtube.com/playlist?list=PLI3lg7RZciQwJbfwfbzoo-ntIQV5IAEYhデイリーポータルZ編集部としてのプロフィール
https://dailyportalz.jp/writer/kijilist/212