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2018.06.21
知ったかぶり対談 第十三回:千葉県マックスコーヒーに見る過剰なおおらかさ
デイリーポータルZがいろいろな場所で取材してきた記事を読むことで、その県の出身者に負けないくらい知ったかぶりできるんじゃないか。それが知ったかぶり対談です。
今回は千葉県出身のインテリアデザイナー岩沢卓さんに登場してもらいました。インタビューはデイリーポータルZ編集部安藤が担当します。
子どものころは空が赤かった
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この前千葉に取材に行ってきまして、まず思ったのは広いな、ということでした。行きたいところが離れすぎていてまったく回り切れなかったです。
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どこからどこまでが千葉なのかよくわからなくなりますね。そして地域ごとにものすごく印象が違います。
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岩沢さんは千葉市ですよね。房総半島の方とか、県内ではどういう印象なんですか?
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千葉市からすると海側はぜんぶ観光地ですね。その中でも内房はおとなしく、外房は荒っぽい印象はあります。

外房の荒々しさ。
「ドラマで犯人が全てを告白しそうな場所めぐり」より
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千葉市民にとっては、川崎製鉄の見える景色こそが千葉でしたね。

この景色こそが千葉だった。
「さようなら、第5溶鉱炉」より
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海岸線を走ると製鉄所があって、海をはさんでも川崎が見えるので、工業地帯のイメージですね。子どもの頃はちょっと高いビルに上ると遠くに鉄工所が見えて、蘇我のあたりなんて夜でも空が赤かったですよ。
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それは鉄を溶かしている赤ですか?すごい。
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溶鉱炉が稼動していたからだと思うんですけど、夜でもうっすらと空が赤いんですよね。
休みの日には「ジョイ本」へ
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投稿でも集めたんですが、千葉県民として千葉に行くならここ、みたいなおすすめスポットはありますか。
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ジョイフル本田には今でもよく行きます。本当に広くてオススメです。

広すぎるホームセンター、ジョイフル本田
「ホームセンター・ジョイフル本田は巨大すぎて2泊3日で行くべき」より
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「ジョイ本」ですね。僕も茨城に住んでいたころは毎週のように行っていました。いろんなフロアがゆるいスロープみたいな廊下でつながっていて横移動が楽しいんですよね。
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そうそう、館ごとに廊下でつながっていてコンベアみたいな装置で運んでくれます。
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都内にある東急ハンズなんかだと階ごとにわかれているんだけど、ジョイ本はひたすら横に広いんですよね。
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そうですね。その広さのおかげで売られている資材もすごく充実しているんですが、実は完成品っぽい商品も多いんです。でかい看板とか農耕機械とか、誰が買うんだよというものも普通に買って帰ることができます。
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庭に建てる家なんかも売っていますね。

家が売られていたりする。
「ホームセンター・ジョイフル本田は巨大すぎて2泊3日で行くべき」より
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ジョイ本で家買うの興奮するでしょうね。
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家を買って持ち帰るのってすごいですね。そのへんに建ててしばらく住みたいです。
過剰なほどのおおらかさ
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千葉のぼたもちはみんなこんな感じなんですか?

ぼたもちが違う。
「千葉の伝説のぼたもちがすごい」より
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こればかりじゃないと思うけど、こういうのも確かに見たことありますね。赤福を見た時には「お、仲間!」と思いましたから。
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あんこに境目のないタイプですね。このタイプのぼたもちは佐賀にもあるようです。

これは佐賀のぼた餅。ちょっと似てる
「佐賀のぼた餅が我々の知るぼた餅とは全然違う問題」より
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これの流れなのかよくわかりませんが、ご飯にあんこを乗せて食べてた記憶はうっすらあります。温かいごはんにあんこです。
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えっと、それはおかずとして、ですか。
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おやつじゃないですかね。丸めるのがめんどうだから、ということだと思います。ほら、食べてしまえば同じだから。みそピーなんかもご飯に乗せますね。

これがみそピー
「千葉県最強ソウルフード『MAXみそピー』作成法」より
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そうそう、みそピーもどういう位置づけなのか聞きたかったんです。これはご飯のおかずなんですか?
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明確な決まりのない食べ物だと思います。単体でも食べるしご飯のお供にもする。こういうなんだかわからないけど、美味いからなんとなく食べているものが、他にもいろいろあった気がします。いわしの角煮とか。おおらかなんですよ、千葉は。きっちり定義しないというか。
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マックスコーヒーなんかを飲んでるとおおらかさの裏に過剰さが潜んでいるように思うんですけどね。開発段階で誰か「これちょっと甘すぎない?」って言わなかったのかな、と。

千葉、茨城、栃木あたりでは常識となっている甘いコーヒー、マックスコーヒー
「自宅でマックスコーヒーの味を再現する方法」より
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過剰におおらかなんですね。成田を新東京って呼ばせちゃうのもちょっとおおらかすぎますよね(新東京国際空港は成田空港の旧称)。浦安くらいならまだわかるんですが、成田まで行って東京ってつけるの普通は憚られますから。
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どっちかというと茨城の方が近いですからね。
印旛沼もおおらか
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カミツキガメは小さい頃からいましたか?

千葉にはカミツキガメいるらしい。
「カミツキガメを捕まえて食べた」より
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印旛沼あたりで増えているらしいですね。子どもの頃には見た記憶ないかも。
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印旛沼にはヤギもいるって聞いたんですが。
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ウナギもいますね。どうなっているんですかね。あの巨大な水を沼って呼んじゃうあたりも含めておおらかで細かいこと気にしない感じが出ていると思います。
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千葉の懐の深さの源流を見た気がします。
千葉といえばジャガーさんとなのはな体操
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グッゲンハイム駐車場なんかは家から徒歩圏内だったのでよく覚えていますよ。あとは千葉だと「なのはな体操」とか「ジャガーさん」なんかをご当地ものとして認識している節がありますね。

千葉そごう近くのグッゲンハイム駐車場
「グッゲンハイム駐車場めぐり」より
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千葉都市モノレール周辺とか、こういう最初っから廃墟建築みたいなのが多いですよ。あえてディストピア感を演出してるというか。
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夢の国と言われるディズニーランドの反動ですかね。ジャガーさんはあのジャガーさんですか?
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はい。「ファイト! ファイト! ちば」のジャガーさんです。自分で買った千葉テレビの番組枠に自分で編集した番組を納品していたらしいです。
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ジャガーさんは有名なので聞いたことあるんですが、なのはな体操というのはなんですか?
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千葉県が制定した県民体操ですね。これを流すと千葉県民だけが空に向かって手を伸ばすと思います。
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集団の中から千葉県民だけを見分ける方法だ。
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あ、でもいま調べたら「千葉県では2001年になのはな体操PR予算の削減をした」って書いてありますね。もうやってないのかも。
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おおらかさが足りないですね。
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本当ですよね。もしくはすでに全県的に浸透したか、ですね。
岩沢さん、ありがとうございました。
次回は富山県を知ったかぶります。(7月19日公開予定)!
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- 岩沢卓
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岩沢兄弟・有限会社バッタネイション
1978年生まれ、千葉県出身。
実の兄と二人で空間・家具デザインから、デイリーポータルZ向けの大きなものを作ったりしている。
動画コーナー「プープーテレビ」では、日本の伝統工芸というシリーズで、ニセの職人動画もアップしている。有限会社バッタネイション
https://battanation.com/岩沢兄弟instagram
https://www.instagram.com/iwasawa_bros._design/

- 安藤昌教
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デイリーポータルZ編集部
1975年生まれ。愛知県出身。
前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。
ものをむかずに食べる「むかない安藤」としての活動も6年目に突入。むかない安藤
https://www.youtube.com/playlist?list=PLI3lg7RZciQwJbfwfbzoo-ntIQV5IAEYhデイリーポータルZ編集部としてのプロフィール
https://dailyportalz.jp/writer/kijilist/212
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