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2018.03.15
知ったかぶり対談 第十回:愛媛県 落ちてるみかんは、食べていい
デイリーポータルZがいろいろな場所で取材してきた記事を読むことで、その県の出身者に負けないくらい知ったかぶりできるんじゃないか。それが知ったかぶり対談です。
記念すべき10回目は愛媛県。今回はとくべつに愛媛県で青春時代をすごした「知ったかぶり47」の担当であるアイデム藁品(わらしな)さんと、デイリーポータルZの取材で愛媛に行ってもらったライター小堺さんに登場してもらいました。インタビューはデイリーポータルZ編集部安藤が担当します。
10回目にしてコンセプトを説明します
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今回は3人での対談となります。藁品さんには「中の人」としてサイトの運営をしてもらっているわけですが、こうして登場してもらうのは実は初めてなんですよね。ちょっと自己紹介をお願いします。
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はい!「知ったかぶり47」を担当している藁品(わらしな)です。
「知ったかぶり47」はイーアイデムの「地元ルネサンス」という枠組みの中で運営しているwebメディアのひとつです。この機会にちょっと説明させてもらうと、ここで掲げている「地元」というのは、必ずしも「生まれ故郷」という意味ではなくてですね。 -
サイトのコンセプトの部分ですね。10回目にしてようやくちゃんと説明することができます。
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そういえばそうですね。わたしたちの言う「地元」というのは「自分が自分らしくいられる場所」を指す言葉なんです。そこで自分が輝ける仕事を見つけよう!というのが地元ルネサンス、そしてイーアイデムのコンセプトです。
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なので誰しも生まれ故郷以外にも地元と呼べる場所はあるはずで、私にとって大学四年間過ごした愛媛は、生まれ故郷ではありませんが、まさに「地元」というわけです。愛媛に関しては本当に濃い四年間を過ごした場所なので、思い入れは人一倍、いや人百倍はありますよ!
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このコーナーでは毎回その県の出身者にインタビューする形をとっているんですが、今回はギリギリまで出身者が見つからなかった、という事情もありまして。藁品さんの愛媛愛(上から読んでも下から読んでも!)に期待して登場してもらいました。よろしくお願いします。
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デイリーポータルZの記事で愛媛を取材してくれたライターの小堺さんにも来てもらいました。今回は小堺さんが愛媛で撮ってきた写真を見ながら進めたいと思います。 (小堺さんのレポート記事はこちら)
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よろしくお願いします!
お接待文化が作り上げた過剰なまでの人のよさ
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今回取材してみて愛媛県の印象はどうでしたか。
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これまでいろいろなところでいろいろな優しさにふれてきましたが、愛媛県は中でも頭ひとつとびぬけて優しい人が多い印象でした。
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うれしい!やっぱりそうですよね。私もそれは思います。
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愛媛にかぎらず四国って全体的に人が良すぎませんか。おもてなしというか、よそから来た人を歓迎する姿勢がすごい気がして。
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地元の人たちの自己分析だと、お遍路さんがいるから「おせったい」の文化があるかもってことでしたね。あとは暇だから、っていってました。
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暇!でもお接待文化は間違いないですね。
実際にお遍路を体験したライター木村さんが書いた記事
「温かいお接待と冷たい橋の下~遍路日記まとめ~」より。
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自転車で走っていても追いかけてきてみかんくれたりしますからね。
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過剰!でも確かにわたしも取材中に食べたみかんの3分の2はもらったものでした。
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ちょっとよくわからないんですが、愛媛にはみかんをあげあう文化があるんですか?
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みかんは基本的に買うものじゃなくもらうものですよ。関東に来るまでみかんがこんなに高いものだとは知りませんでしたから。
みかんが落ちている島
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興居島(ごごしま)という島に行ったんですが、道にみかんが落ちてて最高でしたよ。
道にみかんが落ちている
「地元の人頼りの旅」より
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興居島だ!
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藁品さん、興居島に思い入れがありそうですね。
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みかんですか。
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はい。大学時代、おかねがなかったので興居島に渡ってみかんを食べていました。
興居島(ごごしま)
「地元の人頼りの旅」より
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ほんとにみかん目当てだった。
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落ちてるの拾いました?
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はい。勿論、敷地内には入りませんし、道路に落ちているものも、農家の方に拾っていいか聞きますよ。落ちてるやつはだいたい収穫し損ねたやつとか、商品にならないものなんですよね。で、許可を得て拾っていると農家の人が「もっときれいなのあげるよー」ってくれるんです。
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夢の国ですね。
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半分くれるの期待しながら拾ってますからね、確信犯です。
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みかんは冬の果物だと思うんですが、夏はなに食べてるんですか?
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みかんゼリーとかを食べています。
愛媛の食べ物は甘い?
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これは愛媛では常識なんでしょうか。みかんご飯。
「みかんごはんを炊く」より。
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給食で出るものらしいので私は食べたことなかったんですが、友人に聞くと食べるみたいです。甘いらしいですよ、みかんご飯。愛媛の人は甘い味付けが好きみたいで。
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過去にデイリーポータルZで愛媛を取材した記事でもやはり愛媛は食べ物が甘い、って書いてありました。
「麺類が甘い街、松山」より。
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味付けが甘いというよりも、しょうゆが甘いので料理全体が甘くなる感じですかね。味噌も甘いですよ。
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しょうゆといえば愛媛で「鯛めし」食べました。鯛と卵とまぜて食べるんですがこれ、日本一豪華な玉子かけご飯なのかもしれないですね。ほんと美味しかった。
直視できないほど美味そう。鯛めし。
「地元の人頼りの旅」より
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鯛めしはめちゃくちゃ美味しいですね。私は東京に来たらもうこれが食べられないんじゃないかと思って、上京する日に食べましたから。
おすすめはパワースポット
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四国は4県がそれぞれに違う文化を持っていて面白いんです。あまりに違うので、私、卒業旅行で四国一周しましたから。
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それはお遍路ではなくて、ですか。
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88か所めぐりもやってみたかったんですが、さすがに日程的に無理で。それでレンタカーでまわりましたね。
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なんで隣県なのにそんなに文化が違うんでしょう。
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四国は真ん中に山があるから文化が行き来しなかった、って聞いたことがありますよ。
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なるほどー。お遍路といえば88か所のひとつでもある石手寺というお寺がすごかったです。
これが石手寺。なんだかわかんないけど確かにすごい。
「地元の人頼りの旅」より
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石手寺はぜったい行ってほしかったのでうれしいです!
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滞在時間が短かったんですが、パッと行ってすぐに理解できる感じの場所ではないですね。
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このお寺はデイリーポータルZの過去記事にもあったんですが、たしか洞窟があるんですよね。
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そうそう、洞窟ありました。あまり時間がなかったので、そこにいた人たちに「ここはなんなんですか?一番の見どころどこですか?」ってきくんですが、みんな分からないんですよ。
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こんなカオスな寺あとにもさきにも見たことないですから。気持ちが落ち込んだときとかに行くと意味がわからなすぎて浮上します。おかげで私も何度も行きました。
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ある意味パワースポットですね。
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パワースポットといえば興居島の重ね石というのしってますか?
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知らないです。わたし、興居島にはみかん目当てで行ってただけだし……。
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ほんとにみかん目的だったのか。で、なんですか重ね石って。
おじさんが指さすのが重ね石。
「地元の人頼りの旅」より
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この石なんですけど、雨水という時期にだけ、太陽が重ね石の間を通過するんです。なんと、今回そこに居合わせました!
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すごい。そんな神秘現象があったなんて。
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縄文時代に作られたらしいですよ。まさに神秘です。
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これ人工物なんですね。縄文の昔から愛媛の人たちはみかんを食べて人がよかったのかな。
小堺さんの愛媛の旅のくわしい様子はデイリーポータルZの記事 「地元の人頼りの旅」をごらんください。
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最後に藁品さん、読者のみなさんに言っておきたいこととかあればお願いします。
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そうでした、愛媛の話題だったのでつい興奮しすぎました。
私は他にも複数のオウンドメディアを担当していまして、それぞれターゲットや運営目的が違うのですが、この「知ったかぶり47」は、いい意味で一番ふわっとしているメディアなんです。 -
小堺さんには地元の人におすすめスポットを聞きながらその土地を回ってもらっているんですが、そこには、常にドラマやトラブル、そして思ってもみなかったストーリーや感動があって、読んでる人も、小堺さんと一緒に旅をしている感覚になると思うんです。
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小堺さんと一緒に旅をして、そして安藤さんのインタビュー記事を読んでもらうと、誰かの地元への思いがいよいよ自分事になってくると思うんです。「へーそんなとこあったんだ」とか「なにそれ知らない!」が「今度行ってみよう」「もっと調べてみよう」に変わるのかなと。
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「知ったかぶり47」は、より地元が好きになったり、もしかしたら自分にとっての新しい地元が見つかることだってあるかもしれないと思ってやっています。これからもまだまだ続きますので、よろしくお願いします!
藁品さん小堺さん、ありがとうございました。
次回は栃木県を知ったかぶります。(4月19日公開予定)。おたのしみに!
他の記事を見る- 藁品優子
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株式会社アイデムにてイーアイデムのプロモーションを担当。
オウンドメディアでは「知ったかぶり47」のほか、 「ジモコロ(https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/)」、はたらく女性の深呼吸メディア 「りっすん(https://www.e-aidem.com/ch/listen/)」も担当。
山口県出身。大学進学で海(瀬戸内海)を渡って、四年間を愛媛県松山市で過ごし、上京。愛媛愛と蜜柑愛は誰にも負けない。
- 小堺丸子
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東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われるが実は新潟と茨城のハーフ。 好物は酸っぱいもの全般とイクラ。ペットは犬2匹と睡魔。土日で40時間寝てしまったりするので日々の目標は「あまり寝過ぎない」。デイリーポータルZでは「地元の人頼りの旅」シリーズ、「知らない人のランチについていってみる」など、コミュニケーション能力の高さを発揮した記事が人気。代表作として「パンツとバレない帽子をつくる」など。
記事「パンツとバレない帽子をつくる」
https://dailyportalz.jp/kiji/160525196622デイリーポータルZでの記事一覧
https://dailyportalz.jp/writer/kijilist/177
- 安藤昌教
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デイリーポータルZ編集部
1975年生まれ。愛知県出身。
前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。
ものをむかずに食べる「むかない安藤」としての活動も6年目に突入。むかない安藤
https://www.youtube.com/playlist?list=PLI3lg7RZciQwJbfwfbzoo-ntIQV5IAEYhデイリーポータルZ編集部としてのプロフィール
https://dailyportalz.jp/writer/kijilist/212