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2021.03.18
知ったかぶり対談 第四十二回:千葉県②千葉の人はチーバくんで場所を語る
デイリーポータルZがいろいろな場所で取材してきた記事を読むことで、その県の出身者に負けないくらいに知ったかぶりできるんじゃないか。それが知ったかぶり対談です。
今回は千葉県。千葉県出身の松本圭司さんに話を聞きました。インタビューはデイリーポータルZ編集部安藤が担当します。
トンネルを抜けると文化が変わる
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松本さんは千葉県鴨川市の出身ということで。
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はい、鴨川市です。合併前は天津小湊町でした。引くくらいなんもないところですよ。
何もないかもしれないけど、夕日がこんなにきれい。
(港町で錆びに萌え萌え)
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去年の夏に家族で鴨川シーワールドに行きましたよ。勝浦も行ったけど、なんというか景色が日本離れしてますよね。街路樹がヤシだったりするし。
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南房総って冬はそこそこ寒いんですが、なぜかヤシの木とかソテツなんかを植えたがるんですよね。崖が多くて海岸が入り組んでいるので、他の地域、たとえば九十九里あたりとは景観がだいぶ違うと思います。
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たしかにあのあたりは崖が多いし地層なんかもむき出しですよね。僕は愛知の平野で育ったので、地層とか化石とかに憧れがあったんです。ここにあったのか、と。
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地層や断層だらけですよ。房総の感じって伊豆に似てると思うんですよね。山が迫ってくる感じとか。それから、僕が生まれた小湊のあたりって町がトンネルでくぎられていて、だから町のスケールが小さく感じてました。天津と小湊の間も、鴨川との間もトンネルなんです。
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たしかに伊豆も房総も車がないと手に負えない感じは似てますね。トンネルを越えると文化が違ったりするんですか。
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文化も学区も違うから、自転車で10分くらいのところなんですが気持ち的にトンネルを越えられない感じがありましたね。いまにしたら近所なんですけどね。
千葉の人はチーバくんで場所を語る
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鴨川はチーバくんでいうと尻のあたりですかね。
チーバくんで言うところの尻のあたり。
(千葉の県境を一周して実物大のチーバくんをえがく)
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そうですね、腕とか尻のあたりだと思います。
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千葉の人ってチーバくんの体の部位で自分の地域を言ったりするって本当ですか。
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言うらしいんですが、僕はチーバくんが生まれる前に千葉を出ちゃったんで、じつはチーバくんにそれほど思い入れがないんですよね。
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チーバくん、わりと最近なんですね。千葉に住んでる友だちがチーバくんの目のあたり、とか言ってたので。
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チーバくんの顔の方は都会感ありますね。実際はけっこう山とか沼だったりするんだけど。
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ヨシダプロの地元が沼のあたりですね。
ヨシダプロの地元が印旛沼の近く
(千葉県の印西市が「住みよさ」6年連続全国1位ってマジか)
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大都会ですよ。房総からしたら千葉県の上半分はもう東京みたいなもんです。
ハバノリ、干物、ピーナッツみそ
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千葉のもので、たまにどうしても食べたくなるものとかありますか。
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なんだろう、ハバノリとか?
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なんですかそれは。海苔?
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磯に生えてる海藻で、形は海苔なんですが質感が薄い昆布みたいなんです。房総だと縁起物として正月に雑煮に入れたりするんですよね。ふつうの海苔よりも磯の風味が強いです。
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美味そうだなー。鳥取とか島根で食べてる板わかめみたいなやつかな。
これが島根の板わかめ
(鳥取・島根名産「板わかめ」の美味しさを皆様に知っていただきたい)
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雰囲気は近いかも。板わかめもですが、ハバノリも高いんですよ。一枚1000円くらいするかな。
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高っか!!それはおいそれとは食べられない。
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漁期が短いのと天然ものしか無いからだと思いますね。うちは実家が魚屋で、漁業権を持っていたので親父が採ってきてましたが。
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そうだ、松本さんの実家は魚屋さんでしたね。
松本さんの実家で作っていたという干物
(松本商店の美味しい干物レシピ)
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干物とかイカの塩辛なんかを作っていて、あとはアワビとかサザエとかの魚介類を売っていましたね。
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じゃあ実家にいたころは魚をよく食べてたんですか。
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魚、当時はそんなに好きじゃなかったんですよね。
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なんと。
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小骨が多くて食べるの面倒で。ふつうにカレーとか好きでした。
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そういうものか。でも確かに魚うまいなって思い始めるのって大人になってからかも。落花生はどうですか。千葉と言えば落花生のイメージですが。
みそピー
(千葉県最強ソウルフード「MAXみそピー」作成法)
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ピーナッツみそは給食にでましたね。でも、落花生なんて房総では誰も作ってないから、千葉の名産って言われても…って感じはあります。
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やはり広い分、地域差がありますね。
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房総は秘境ですからね。前に記事で千葉のチェーン店について書かれているのがあったんですが。
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これですね。
千葉のローカルチェーン「ランドローム」
(千葉には赤門が、ランドロームが、オランダ家が、ボンメゾンがある!)
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そうそう。これ読んで、千葉のローカルチェーンっていっても房総にはぜんぜんないので、やっぱり隔離されてるなーって思ってました。
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なにしろトンネルをくぐらないといけないから。
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そう。チーバくんでいうと尻あたりは壁みたいな山が多いんです。進撃の巨人を見てると、あれって城壁に囲まれてるじゃないですか、どこかシンパシーを抱くんですよね。
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房総は雰囲気が進撃の巨人のよう。
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海が開けてるのであそこまでの閉塞感はないんだけど、町の狭さとか閉じ込められてる感とか、なんとなく。まあなにしろ子どもにとって、房総は秘境だったってことですね。
松本さん、ありがとうございました。
【次回予告】次回は4月15日公開予定です!
他の記事を見る- 松本圭司(まつもとけいじ)
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1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。現在江戸川区在住。
マツモトケイジ@ジオグラフィカ開発者
https://twitter.com/keizi666
- 安藤昌教
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デイリーポータルZ編集部
1975年生まれ。愛知県出身。
前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。
ものをむかずに食べる「むかない安藤」としての活動も8年目に突入。むかない安藤
https://www.youtube.com/playlist?list=PLI3lg7RZciQwJbfwfbzoo-ntIQV5IAEYhデイリーポータルZ編集部としてのプロフィール
https://dailyportalz.jp/writer/kijilist/212