「アルバイト・パート」と「業務委託」の違いって何ですか?

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。あなたの疑問に社労士がお答えします。

<質問>
フードデリバリーの求人広告を見たところ、働き方として「アルバイト・パート」と「業務委託」の2種類があるようです。「アルバイト・パート」と「業務委託」とは、具体的に何が違うのですか?また、できるだけ多く稼ぎたいと思っている私の場合、どちらを選べば良いでしょうか?

「アルバイト・パート」と「業務委託」の違い

<回答>
「アルバイト・パート」は、会社の従業員となって、労働する場所や時間を決めて働きます。報酬は、基本的に時給制で、労働時間に応じて支払われます。一方、「業務委託」の場合、働く人は自営業者として扱われ、注文を受けたときにだけ働きます。注文を受けるかどうかは自分次第なので、好きな場所、時間で自由に働くことができます。報酬は、出来高払いで、実際に配達した件数などに応じて支払われます。
業務委託は、配達件数をこなせば多く稼ぐことができますが、仕事がまったく無いと報酬もゼロになってしまいますので、注意が必要です。

業務委託は、自由に働くことができるが、収入は不安定になる

フードデリバリー(食品の配達)の仕事は、「雇用型」と「業務委託型」の2種類があります。

雇用型は、デリバリーの注文を受ける会社にアルバイトやパートとして雇用されて、就業場所や労働時間を決めて働くパターンです。報酬は、基本的には時給制で支払われますが、配達件数に応じて歩合給が加算されることもあります。なお、雇用型の場合、配達件数がまったくなくても、注文を待っている時間分の時給が支払われるため、収入がゼロになることはありません。一方で、労働時間内での配達件数には限界があるため、収入が極端に多くなることもありません。

一方、業務委託型は、働く人が自営業者となり、顧客から注文を受けたときにだけ、配達の仕事を行います。雇用されているわけではないので、原則として、会社から指示や命令を受けることはなく、働く場所も時間も自分で決めることができます。報酬は、基本的に配達件数等に応じて支払われる完全歩合制となっていて、デリバリーの仕事がまったく入らないと収入はゼロになります。一方で、長時間働いて、配達件数を多くこなせば、多額の収入を稼ぐこともできます。

業務委託型は、雇用保険や健康保険には入れない

雇用型と業務委託型の違いは、生活保障の面でも表れます。

雇用型で働く者は、「1か月以上働く見込みがあり、週の労働時間が20時間以上である」等の要件を満たせば雇用保険の被保険者となり、その会社を退職して失業状態になったときには、賃金の50~80%に相当する保険給付(いわゆる失業手当)を受けることができます。また、週30時間以上働く等の要件を満たせば、健康保険に加入することもできます。

業務委託型は、会社に雇用されているわけではないので、雇用保険の被保険者にはなれません。したがって、デリバリーの仕事を辞めて失業状態になったとしても、雇用保険からの保険給付を受けることができません。また、健康保険に加入することもできないので、自分で国民健康保険に加入する等の手続きをしなければなりません。雇用されている者が加入する健康保険には、業務外のケガや病気で休業する期間中の報酬の一部を支給する「傷病手当金」という仕組みがありますが、国民健康保険には、それがありません。したがって、業務委託型で働いている者は、ケガなどによりデリバリーの仕事を休むことになると、報酬も傷病手当金ももらえず、無収入の状態になってしまいます。

デリバリーの仕事ができなくなったときの生活保障の面では、雇用型のほうが業務委託型よりも充実していると言えるでしょう。

アルバイト・パートと業務委託の違いを理解して、自分にあった働き方を選ぼう

このように、アルバイトやパートなどの雇用型は「場所や時間に制約はあるものの、収入や生活保障面は安定している働き方」で、自営業者となる業務委託型は「会社に属さず、自由にできるものの、収入や生活保障面は不安定な働き方」ということになります。
フードデリバリーの仕事に就こうとしている人は、このような両者の違いを理解したうえで、自分にあった働き方を選ぶとよいでしょう。

例えば、「安定した収入を得たい(報酬がゼロになることは避けたい)」と思う人は、アルバイトやパートなどの雇用型が向いています。一方、「空いた時間に自由気ままにやりたい」または「配達件数をこなして多くの報酬を稼ぎたい」と思う人は、業務委託型が適しています。
質問者の場合は、「できるだけ多く稼ぎたい」ということですから、業務委託型のほうが向いていると思います。ただし、業務委託型を選ぶのであれば、「何事も自己責任で行わなければならず、稼げるかどうかも自分次第」ということを忘れないようにしてください。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。