休業期間中に賃金が支給されなかったパートは、自分で支援金の申請ができます!

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。あなたの疑問に社労士がお答えします。

<質問>
飲食店にパートとして勤務しています。今年の4月から6月までの間、新型コロナウイルスの影響でお店が何日か休業しました。休業日については、正社員には賃金の60%に相当する休業手当が支払われたようですが、パートやアルバイトは、何も支給されません。

先日、テレビのニュースで、「休業手当が支給されない労働者でも、個人で申請すれば、国から支援金をもらえる」という話を聞きました。

この支援金をもらうには、どうすればよいのでしょうか?

所定の手続きを行うことで、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」がもらえる

<回答>
新型コロナウイルスの影響により休業させられた中小企業の労働者のうち、休業中に賃金や休業手当が支給されなかった人は、自分で所定の手続きを行うことにより、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」をもらうことができます。

支援金の額は、原則として「休業前の1日あたり平均賃金×80%×休業した日数」で、「休業した日数」には、1日の一部だけを休業した日も含みます。

休業手当が支給されなかったパート等に対する支援金が新設された

新型コロナウイルスの影響で、4月以降、多くの会社や店舗で休業が行われました。

休業には、「一定期間ずっと従業員を休ませるもの」から「一日の労働時間を短縮するもの」まで様々なパターンがありますが、どのパターンをとるにせよ、働かなかった時間の賃金の取扱いが問題になります。

新型コロナウイルス感染防止のための休業は、原則として、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」ととらえられますので、休業期間中、使用者は労働者に対して賃金の60%以上の休業手当を支払わなければなりません。

ここでいう「労働者」とは、正社員に限らずパートやアルバイト等も含みます。しかし、会社によっては、「休業手当を正社員のみに支払い、パートやアルバイトには支給しない」というところもあります。

最近、「雇用調整助成金」という言葉をよく耳にすると思いますが、これは、休業期間中に支払われた賃金や休業手当の一部を、国が使用者に対して支払う助成金です。つまり、雇用調整助成金が使用者に支払われた場合、休業期間中に労働者が受け取った賃金や休業手当の一部は、実は国から支給されたものということになります。休業手当をもらっていない労働者からすれば、「国からのお金は、使用者ではなく、休業した労働者に直接支払ってほしい」と思うことでしょう。

そこで、使用者から休業手当が支給されなかった労働者に対して、休業期間中の賃金の一部を国が直接支払う支援金の仕組み(新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金)が新設されることになったのです。

4月から9月までの休業日について、1日分の賃金の80%が支給される

この支援金の対象者や支給額などは、以下のとおりです。(なお、ここに記載されている内容は、2020年7月10日時点のものです。)

(1)支給対象者
2020年4月1日から9月30日までの間に使用者の指示を受けて休業した中小企業の労働者で、休業手当が支払われなかった者。(ここでいう「中小企業」は、小売業、飲食業は労働者数50人以下、卸売業、サービス業は100人以下、その他業種は300人以下であれば該当します。)

(2)支給対象となる休業
2020年4月1日から9月30日までの間で使用者の指示により休業した日。

1日のうち一部の時間を休業した場合も含みます。(就業した実績に応じて支援金・給付金の金額が算定されます。)

(3)支給額
休業前の1日当たり平均賃金 × 80% ×休業日数

※「休業前の1日当たり平均賃金 × 80%」は11,000円を上限となります。
※「休業日数」は、「各月の日数-就労した又は労働者の事情で休んだ日数」で算出します。一部休業の場合は、休業時間に応じて「0.5日」でカウントします。

まずは、厚生労働省のホームページで申請手続きなどを確認すること

この支援金を申請するときには、使用者の指示による休業であること、休業手当が支払われなかったことを証明する「支給要件確認書」を使用者に作成してもらうことが必要となります。なお、使用者が休業証明を拒む場合、労働者は、その旨を申告すれば(「支給要件確認書」に事業主の協力が得られない旨や事情を記載すれば)、支援金の申請を行うことができます。

ただし、この場合、申請を受けた機関(労働局)が使用者に報告を求め、使用者の回答をもとに審査が行われることになるので、支給決定までに時間がかかってしまいます。支援金を早くもらいたい人は、できるだけ使用者に「支給要件確認書」を作成してもらうようにしましょう。

この支援金の具体的な内容や支給手続きについては、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.htmlに掲載されています。まずは、そのホームページを確認して、必要書類を揃えたり、申請書を記入したりするなどの準備を始めてください。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。