会社が残業代を支払ってくれません。どこに相談すればよいでしょうか?

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。あなたの疑問に社労士がお答えします。

[質問]
この6か月間、会社は、残業代を支払ってくれませんでした。社長は「業績が良くなったら、これまでの残業代をまとめて支払う」と言っていますが、そういう気配がまったく感じられません。そこで、社外の人に相談して、この問題を解決したいと考えています。
しかし、弁護士に相談すると費用がかかりそうですし、裁判をすることになったら手続きが大変そうなので、悩んでいます。私としては、できるだけ費用や時間をかけずに、この問題を解決したいのですが、どこに相談に行けばよいでしょうか?

公的機関の窓口で気軽に相談できます

[回答]
都道府県に設置されている労働相談窓口、または都道府県労働局の「総合労働相談コーナー」に行けば、専門家が無料で相談に応じてくれます。公的機関なので信頼できますし、電話やメールでの相談にも対応してくれるので、誰でも気軽に利用できます。

残業代の未払い、上司のハラスメント、突然の解雇…。このような労務トラブルについて社外の専門家に相談したいと思っている方は大勢いらっしゃることでしょう。
インターネットで調べれば、労務トラブルの無料相談に応じてくれる弁護士事務所等の連絡先が掲載されているものの、「無料でどこまで相談に乗ってくれるのか」という不安がぬぐいきれません。また、裁判をするとなれば、費用や時間がかかりそうです。
「無料で、しかも気軽に労働相談ができる窓口はないか…」このようなニーズに対応するために、各都道府県には労働相談窓口が、また都道府県労働局には総合労働相談コーナーが、それぞれ設置されています。これらの機関には労務問題に詳しい専門家がいて、労働者や使用者の相談に無料で対応してくれます。相談は、原則として面談や電話で行われますが、メールでの相談を受け付けてくれるところもあります。
これらの相談窓口は、公的機関ですから信頼がおけますし、誰でも気軽に利用できます。利用したい方は、インターネットで最寄りの相談窓口の連絡先を調べて、まずは電話で相談してみてください。

相談窓口に行くときには、出退勤記録や給与明細などを持参する

労務の専門家であっても、残業代が支払われていなかった事実が確認できなければ、相談者からの質問に回答したり、適切な助言を与えたりすることはできません。ですから、窓口に出向いて専門家に相談するときには、残業代が支払われていないことを証明できる書類(例:出退勤記録や給与明細など)を持参しましょう。また、残業代を会社に請求した記録(例:会社宛てに送信したメールの写し)や会社の就業規則等があれば、それらも持参したほうがよいです。
なお、出退勤記録については「労働者はデータを見ることができない」あるいは「会社がデータを改ざんしてしまった」などの理由により、相談窓口に正しいデータを提供できないこともあります。こういうときには、自分で記録した日々の出退勤時刻のデータを提出するしかありません。ですから、残業代の未払いが発生した時点で、労働者は日々の出退勤時刻をメモなどに記録して、いざというときには相談窓口に提出できるように、準備だけはしておいてください。

それでも問題解決に至らなければ、弁護士等への相談を検討

なお、公的機関の相談窓口は、相談者に問題解決の助言を与えることを目的としているのであって、会社との交渉を進めて、残業代が支払われるように手配してくれるわけではありません。相談者は、助言をもとに、自分自身で会社に未払い残業代の請求をすることが必要になりますし、最終的に残業代が支払われるかどうかは、相談者と会社の間での話し合いにかかっています。(なお、労使による自主的な問題解決が進まない場合、相談窓口によるあっせんや労働基準監督署による指導が行われて、残業代が支払われるようになることもあります。)
会社と話し合っても問題解決に至らない場合、相談者は、弁護士や社会保険労務士に依頼して、会社との交渉を行ってもらったり、労働審判・裁判などを進めてもらったりすることになります。この段階になると、弁護士等への報酬の支払いや裁判の手続きなどで、相談者にも費用や時間の負担が発生します。ですから、このような手段に訴えるかどうかは、相談者が、費用や時間負担を考えたうえで慎重に判断してください。

なお、会社が倒産してしまったために賃金の未払いが発生している労働者に対しては、国が未払賃金の一部を立替払いする仕組み(未払賃金立替払制度)があります。これについては、最寄りの労働基準監督署にご相談ください。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。