パートで働き続けた場合、老後の年金はいくら支給されますか?

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。
あなたの疑問に社労士がお答えします。

<質問>
夫と離婚した後、子育てをしながらパートタイマーをしてきました。現在40歳で、パートとして働いた期間は10年間、この間の年収は200万円くらいです。
最近、「公的年金だけでは、老後の生活は厳しい」という話をよく聞くので、将来に不安を感じています。このままパートとして65歳まで働き続けた場合、老後にもらえる公的年金は、いくらぐらいになるのでしょうか?
また、老後にもらえる年金が少ないのであれば、いっそのこと社会保険から抜けたいと思っています。これは可能でしょうか?

加入や納付などの年数に応じて変わります

<回答>
まずは老齢年金の仕組についてみてみましょう。
老後に国から支給される公的年金には、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2種類があります。

老齢基礎年金は、国民全員を対象としたもので、国民年金の保険料を納付した期間(厚生年金保険に加入していた期間、厚生年金保険に加入している者の配偶者であった期間も、国民年金保険料を納付していた期間とみなされます)が10年以上あることなどの要件を満たせば支給されます。支給額は、国民年金の保険料を20歳から60歳までの40年間納付していた場合は、満額の780,100円(年額:2019年度)となります。ただし、保険料を納付していない期間があれば、その分だけ、年金支給額は減額されます。

老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給要件を満たしている人が、厚生年金保険に1か月でも加入していれば老齢基礎年金に上乗せする形で支給されます。支給額は、厚生年金保険に加入していた期間と、その期間中に支払われた報酬の額に基づいて決まり、大まかには「在職中の平均年収×0.0055×厚生年金の加入年数」で算出される額となります。

老後に支給される年金の概算額を計算してみよう

では、質問者のケースについて、老齢年金の支給額を試算してみましょう。

●老齢基礎年金
20歳から60歳までの40年間が、国民年金の保険料を納付した期間、厚生年金保険の加入期間および厚生年金保険の加入者の配偶者であった期間のいずれかで満たされていれば、65歳以降、年額780,100円の老齢基礎年金が支給されます。

●老齢厚生年金
質問者の場合、厚生年金保険に加入していた期間は、これまで働いた10年間およびこれから65歳までの25年間の合計(35年間)になります。この間の平均年収が200万円とすれば、年額で約385,000円(=200万円×0.0055×35年)の老齢厚生年金が、老齢基礎年金に上乗せする形で支給されます。

ですから、質問者の場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合算した年額約1,165,100円(月額にすると約97,000円)が、65歳以降、本人が亡くなるまで支給されます。

もらえる年金が少なくても、社会保険から抜けることはできない

ここで問題となるのは、月額97.000円の年金が、質問者が老後生活を送るうえで十分な額かどうかということです。ある程度の貯金があれば、この年金額でも生活ができますが、貯金がまったくなければ、年金だけで生活を送ることは楽ではありません。

そうなると、質問者のように「老後にもらえる年金が少なそうだから、社会保険から抜けたい」と思う人がいるかもしれません。しかし、これは認められません。基礎年金(国民年金)は20歳以上60歳未満であれば、また、厚生年金保険は労働時間が週30時間以上であれば(規模が大きい事業場の場合、労働時間が週30時間未満であっても一定の要件を満たせば)、それぞれ加入が義務付けられているもので、加入するかどうかを本人が選択することはできないのです。

もっとも、仮に社会保険から抜けることができたとしても、国から年金が支給されない状態になると、その人は、将来に対する不安を一層大きくするものと思われます。ですから、働いているうちは、社会保険に加入して、老後に支給される年金を少しでも増やすようにしておいたほうがよいと言えます。

公的年金以外にも、老後のために貯金しておくことが望ましい

最近、「老後のために2000万円の資金が必要」とのニュースが流れて大騒ぎになりましたが、これは「毎月約20万円の年金をもらえる夫婦が26万円の生活費を支払い30年間生活したら…」という前提に基づく試算にすぎません。老後の生活に必要な費用は人によって大きく異なり、すべての国民について「2000万円の貯金が必要」ということではありませんので、ご安心ください。

ただし、老後に余裕のある生活を送りたいのであれば、国から支給される年金以外にも貯金があったほうが望ましいということは確かです。働いているうちは、老後の生活に備えて社会保険に加入し、さらに少しずつでも貯金をしておくとよいでしょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。