「働き方改革」によって、パートタイマーの働き方や待遇は変わるのでしょうか?

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。
あなたの疑問に社労士がお答えします。

<質問>
最近、「働き方改革」という言葉をよく耳にします。
そもそも、「働き方改革」とは、どのようなものでしょうか?
そして、それは、パートタイマーの働き方や待遇にも影響を及ぼすのでしょうか?

働き方改革の主なテーマは、「働き過ぎの防止」と「パートなどの待遇改善」

<回答>
最近、「働き方改革」という言葉をよく耳にしますが、これによって、何がどのように変わるのでしょうか?
働き方改革の主なテーマは、「働き過ぎの防止」と「パートタイマーや有期雇用者の待遇改善」の2つです。

「働き過ぎの防止」については、次のルールが法律で定められました。
(1)残業時間の上限は、原則として月45時間、年360時間とする。なお、特別な事情がある場合でも、残業は月100時間未満、年720時間以内にしなければならない。(ただし、自動車運転や建設業務などは除く。)
(2)年次有給休暇が年10日以上与えられる労働者について、会社は、年5日以上の休暇を取得させなければならない。

一方、「パートタイマーや有期雇用者の待遇改善」というテーマに関しては、正社員と非正規社員との間で不合理な待遇差をつけることを禁止するルールが整備されました。具体的にいえば、職務内容などが正社員と変わらないパートタイマー・有期雇用者については、待遇面も正社員と同じ取扱いにしなければいけないことが定められました。

働き方改革によって、パートの労働時間や勤務日が増える可能性がある

「働き過ぎの防止」に関して言えば、月45時間以上の残業をすることが少ない、また(正社員に比べれば)休暇を取得しやすいパートタイマーの場合、残業の上限や休暇取得に関するルールができても、直接的な影響をほとんど受けないものと考えられます。

一方、正社員については、長時間残業をなくす、休暇を積極的に取得するという動きが、これから加速していくことになるでしょう。その中で「正社員の仕事を減らして、パートタイマーにその仕事を割り振る」とか「正社員に休暇を取得させるために、パートタイマーの勤務日を増やす」などの対応策が講じられるものと考えられます。

つまり、働き方改革によって正社員の残業が減り、休暇が増えると、その分だけ、パートタイマーの労働時間や勤務日が増える可能性があるということになります。

パートにも通勤手当が支給されるようになる

2つ目のテーマである「パートタイマーや有期雇用者の待遇改善」は、パートタイマーの給料などに大きな影響を与えます。

例えば、厚生労働省が公表した「同一労働同一賃金ガイドライン」の中では、パートタイマーや有期雇用者に対しても正社員と同じように通勤手当を支給しなければならないことが示されています。通勤手当を正社員にだけ支給している会社は、今後、パートタイマーにも通期手当を支給することが必要になります。

通勤手当以外の待遇についても、「同一労働同一賃金ガイドライン」の中では、正社員とパートタイマー・有期雇用者との間の不合理な格差を是正するように会社に求めています。なお、正社員とパートタイマー・有期雇用者との間の不合理な待遇差を禁止する法律の施行日は2020年4月1日(中小企業は2021年4月1日)です。パートタイマーや有期雇用者の待遇改善は、これから多くの会社で行われていくことになるでしょう。

一人ひとりが「自分にあった仕事・働き方」を考えることが重要

このように、パートタイマーは、「働き方改革」の影響を受けて、労働時間や勤務日が増えたり、給料などの待遇が改善されたりする可能性があります。

そうなると、パートタイマーと正社員の働き方や給料などの違いは、今後、小さくなっていくものと考えられます。将来的には、正社員やパートタイマーなどの雇用区分が無くなり、労働者一人ひとりが自分で労働時間や勤務日を決めて、会社は、それぞれの仕事や働き方に見合った給料を支払うことになるかもしれません。

実は「働き方改革」が目指しているのは、正社員やパートタイマーなどの区分をなくし、各労働者が自分にあった仕事や働き方を選べるようにすることなのです。

これからは、労働者一人ひとりが「自分にあった仕事・働き方」を考えることが重要になります。皆さんも「どのような仕事・働き方が自分にあっているのか」ということについて、この機会に考えてみるとよいでしょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。