副業収入が20万円以下であれば、確定申告は不要でしょうか?

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あなたの疑問に社労士がお答えします。

<質問>
私は、A社でパートとして働きながら、子育てサイトのコラム執筆やセミナー講師などの「副業」もしています。昨年1年間、A社から支給された給与総額は150万円、副業の原稿料・講演料の総額は18万円でした。A社の給与については年末調整を行ないましたが、原稿料・講演料については年末調整を行っていません。
副業収入を得た場合、年末調整に代わる手続きを行う必要はあるのでしょうか?

副業の所得が年間20万円以下であれば、原則として確定申告は必要ない

<回答>
終業時間後に別の会社でアルバイトをする、原稿執筆や講演などを行うなど、最近は、様々な形で副業が行われるようになっています。副業収入についても、所得税が課せられますが、本業の給与収入とは異なり、年末調整(会社が各従業員の給与等から徴収した源泉所得税と納付するべき所得税との差額を調整すること)は行われません。それでは、副業収入については、どのような手続きが必要になるのでしょうか?

基本的に、年末調整が行われなかった収入については、従業員が自分で税務署に申告して、所得税の計算や納付などを行う手続き(確定申告)が必要になります。

ただし、副業については、所得(収入から必要経費を差し引いたもの)が20万円以下であれば、原則として確定申告は不要とされています。つまり、副業でアルバイトをしたときの給与が年間20万円以下だった場合、あるいは原稿執筆やセミナー講師として稼いだ所得(報酬から交通費などの経費を引いた額)が20万円以下だった場合は、基本的に確定申告は不要です。

質問者の場合は、原稿料・講演料の総額が年間18万円(副業の所得が20万円以下)ということなので、確定申告は必要ありません。

原稿料・講演料については、確定申告をすれば所得税が返金されることもある

「確定申告が必要ない」といっても、副業収入に対して所得税がかからないわけではありません。副業で行ったアルバイトの給与であれば約3%、原稿料・講演料であれば約10%の源泉所得税が、それらが支給されるときに徴収されているはずです。「確定申告が不要」というこことは、すでに徴収された源泉所得税と納付するべき所得税との差額調整に関する手続きを行わなくてもよい、ということに過ぎません。

場合によっては、副業収入から徴収された源泉所得税が、納付するべき所得税の額を上回っていることがあります。このような場合、確定申告をすれば、納め過ぎた分の所得税が戻ってきます。質問者の場合、原稿料・講演料から徴収された源泉所得税の税率は約10%、本業と副業の所得の合算額にかかる所得税率は約5%となりますので、確定申告をすれば「副業の所得(18万円)×税率の差(5%)」の約9千円が所得税の過払い分として返金されます。

インターネット上に公開されている税金の自動計算サイトなどを使って、自分が納付するべき所得税を試算してみて、すでに徴収された源泉所得税額がそれを上回り、所得税が戻ってくる見込みがあるならば、副業の所得が20万円以下であっても確定申告を行うようにするとよいでしょう。

フリマアプリやネットオークションで得た収入も確定申告が必要なことがある

フリマアプリやネットオークションを通じて、洋服や本などの中古品を売り、収入を得ている方もいらっしゃるでしょう。これらの日常生活に関わる物品のやり取りは、一般的には「事業」として行われているものではないため、その収入については所得税が課せられず、確定申告は必要ありません。

ただし、利益を得るために、仕入れた洋服を転売したり、高額な貴金属などを販売したりすると、それは、もはや「事業」になってしまいますので、そこから得られた収入には所得税が課せられ、確定申告が必要になります。

これについても、確定申告の必要性については、「所得が20万円(無職で物品販売以外に収入がない場合は38万円)以下かどうか」によって判断されます。フリマアプリやネットオークションによる物品の販売による収入についても、確定申告が必要になることがあるので注意しましょう。

所得税の確定申告は不要だが、住民税に関する届け出は必要になる

なお、副業の所得が年間20万円以下で所得税の確定申告が不要であっても、都道府県や市町村に納付する住民税は、副業で所得を得たことを届け出なければなりません。(確定申告をした場合は、税務署から市町村に所得に関するデータが自動的に送られますので、この届け出は必要ありません。)これについては、自分が住んでいる市町村に問い合わせてみてください。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。