ボランティアをやりたい!有給休暇を取得してボランティアをすることはできますか?

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。
あなたの疑問に社労士がお答えします。

<質問>
スポーツイベントのボランティアをしたいと思っています。ボランティアをする日は会社を休まなくてはいけませんが、その日を年次有給休暇にすることはできますか?

ボランティア期間中の収入を減らしたくないため、私としては、ボランティアをする日を年次有給休暇の取得日にしたいと思っています。

年次有給休暇の取得日は、労働者が自由に使うことができる

<回答>
会社は、入社日から6カ月間継続勤務し、その期間内に8割以上出勤した従業員に対して、10日分の有給休暇(通常通り働いたものとして賃金が支給される休暇)を与えなければなりません。さらに、そこから1年以上継続勤務した従業員に対しては、継続勤務年数1年ごとに一定の日数を加算した有給休暇を与えなければなりません。(ただし、パートタイマーについては、所定労働時間や労働日に応じて付与日数が少なくなります。)この休暇は、労働基準法で定められたもので、「年次有給休暇」と言います。

従業員は、年次有給休暇を取得した日を自由に使うことができます。病院に行く、子供の学校行事に参加する等の理由で使うことが多いようですが、例えば、旅行に行く、私用をする等の理由のために休暇を取得しても構いません。

したがって、年次有給休暇を取得し、その日にボランティアを行ったとしても、まったく問題はありません。

年次有給休暇を別の日に取得するように、会社から指示を受けることもある

年次有給休暇は、原則として、従業員が希望する日に取得することができます。ただし、その日に休暇を与えると事業の正常な運営を妨げることになる場合、上司は、別の日に休暇を取得するように従業員に対して指示することができます。(これを「時季変更権」といいます。)

例えば、業務が忙しい時期に休暇取得の申請をすると、上司は「業務がひと段落してから休んでくれ」と指示してくるでしょう。この場合、従業員は、できる限りその指示に従って、別の日に休暇を取得するようにしなければなりません。

なお、上司が時季変更権を行使することができるのは、その従業員に休まれると全体の仕事が止まってしまうくらいの状況に限られています。それほど差し迫った状況にないのであれば、従業員は、上司から「休暇は別の日に取得してくれ」と言われても、それに従わず、自分が希望する日に休むことができます。(ただし、業務が忙しい時期の休暇取得は、同僚に負担をかけることにもなるので、なるべくなら避けるべきです。)

ボランティアを行うことが決まった段階で、まず会社に報告すること

質問者の場合、スポーツイベントのボランティアをするために、年次有給休暇を取得したいということでした。最初に申し上げたとおり、従業員は、希望する日に年次有給休暇を取得し、その日にボランティアをすることが自由にできます。

ただし、同じ職場に、質問者以外にもボランティアとして参加する人やイベントを見に行く人がいると、その日は、休む人が多くなりすぎて、仕事が回らなくなってしまいます。こうなると、会社から、「イベントの日は、できるだけ年次有給休暇を取得せずに、出勤すること」という指示が出てくるかもしれません。

つまり、イベントのボランティアをするために年次有給休暇を取得すること自体に問題がないとしても、多くの従業員が同じ日の休暇の取得申請を出すと、会社が申請の承認を絞りこみ、結果として、休暇を取得しにくい状況になる可能性があります。

このような状況になったとしても、年次有給休暇を確実に取得したいのであれば、質問者は、ボランティアをすることが決まった段階で、まず会社に報告し、さらにボランティアをする日が確定した段階で、休暇の取得申請を出すようにしてください。ボランティアで休暇を取得することを早めに報告をしておけば、会社は、その人の申請を優先して承認してくれるはずです。

人事部門と相談しながら、仕事とボランティア活動の両立を図りましょう

会社によっては、従業員がボランティアをした日を「ボランティア休暇(特別休暇)」として処理してくれるところもあります。ボランティア休暇の有無、およびその日数や取扱い等は会社によって異なるので、まずは会社の人事部門に相談してみてください。

日本国内では、今後、様々なイベントの開催が予定されています。これらのイベントにボランティアとしての参加を希望している人が大勢いらっしゃると思います。仕事とボランティア活動を両立させるためには、ボランティアとしての参加が決まった段階で勤務先に報告し、その日の取扱い等について人事部門と相談してみるとよいでしょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。