新人パートの方が高い時給をもらっています。私の時給を引き上げてもらえますか?

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。
あなたの疑問に社労士がお答えします。

<質問>

私の職場に新人のパートタイマーが入社しました。雑談している中で分かったのですが、自分の時給は、その新人よりも20円低いのです。私は、現在の職場で5年間働いており、その新人よりも多くの仕事をこなしています。それなのに新人よりも時給が低いなんて納得できません。
このようなことは、他の会社でも起こっているのでしょうか?
また、会社に言えば、私の時給を引き上げてもらえるのでしょうか?

新人パートタイマーの時給のほうが高いことは、多くの会社で起こっている

<回答>

ここ数年、パートタイマーの時給が急激に上昇してきています。株式会社アイデムの調査によると、東日本エリアにおける9月のパート・アルバイト募集時平均時給は、2018年が1,060円、1年前(2017年)が999円、2年前(2016年)が981円となっており、この2年間で79円も上昇しています。皆さんの中にも、飲食店やコンビニに掲示されている求人ポスターを見て、「最近のパートタイマーは時給が高いな」と思っている人がいらっしゃるでしょう。(※「東日本エリア」とは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、栃木県、静岡県を指します。)

最近は、急激に上昇した募集時給が、すでに働いているパートタイマーの時給を上回るケースも出ています。
募集時給を引き上げるときに、すべてのパートタイマーの時給を引き上げている会社もありますが、こうした時給調整を行っていない会社の多くは、新人のパートタイマーの時給のほうが、もともと働いている人よりも高い状態になってしまいます。

中には、すでに働いているパートタイマーに知られないように、一部の求人広告やサイトだけに高い募集時給を掲載する会社もあります。このような会社では、ほとんどのパートタイマーが、新人の時給のほうが高いことに気がついていません。しかし、今回の質問者のように、何かの機会にそれを知ってしまうと、自分の時給に対する不満と会社に対する不信感を持つことになります。

「すでに働いているパートの時給を新人よりも高くすること」は会社の義務ではない

そもそも、会社は、すでに働いているパートの時給を、新人よりも高く設定する義務があるのでしょうか?

結論から言えば、そのようなことを義務付けた法律はありません。ですから、すでに働いているパートタイマーの時給が新人より低い状態であっても、それは法律違反にはなりません。

もちろん、すでに働いているパートタイマーは、仕事に慣れているでしょうし、会社に貢献してきた実績もありますから、普通に考えれば、新人よりも時給が高くなるはずです。しかし、そのようになっていなくても、法律違反をしているわけではないので、会社には、それを是正する義務はありません。

このような場合は、職場の上司や人事部などに相談してみること

「法律違反ではない」とは言うものの、すでに働いているパートタイマーからすれば、自分の時給が新人よりも低いことには納得がいかず、自分の時給の引き上げを会社に対して要求したいと思うでしょう。

このような場合は、まず、職場の上司に「自分の時給が新人よりも低い」ことを伝えてください。上司も「新人よりも低い時給はおかしい」と思えば、人事部などに掛け合って、新人の額以上になるように、時給の引き上げを行ってくれます。

上司が動いてくれない場合は、人事部などに相談してみましょう。人事部は、新人の時給のほうが高いことに気がついたパートタイマーが一斉に退職することを回避したいので、多くの場合、時給の引き上げに応じてくれます。

なお、「現在の時給で労働契約を結んでいる以上、時給の引き上げは、次の契約更新まで待ってほしい」と上司や人事部から言われることもあります。このようなときは、それに従い、契約更新時に時給が引き上げられたことを確認してください。

「いったん退職したほうが得だ」と安易に考えないこと

「新人の方が時給が高いのであれば、いったん退職して、新たに採用される方が得だ」と思うかもしれません。しかし、退職してしまうと、年次有給休暇を取得する権利を失ったり、新たに採用後1年間は育児休業や介護休業ができなくなったりします。こうした「損」も発生するので、「いったん退職したほうが得だ」と安易に考えるべきではありません。

自分の時給が新人よりも低くなっていることに気がついたパートタイマーは、まずは上司や人事部に時給の引き上げを求めましょう。そして、それに応じてくれない場合に、時給以外の労働条件のことも考えながら、転職するかどうかを判断するとよいでしょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。