雇用保険に加入する要件は? どうやって加入するの?

~パートが知っておくべき雇用保険の知識~

雇用保険とは?加入するメリットは?

会社などで働いている人は、失業すると、収入が無くなり生活に困ってしまいます。そこで、一定の加入要件を満たす労働者は、働いている期間中に保険料を国に支払い、失業したときには、国から給付金が支給される仕組みに加入することになっています。これが「雇用保険」制度で、一般的には「失業保険」などと呼ばれています。

雇用保険の給付金は、失業したときだけではなく、育児・介護休業の取得によって賃金が休業前の80%未満になった場合、あるいは定年後も働き続けるときに賃金が75%未満になった場合にも支給されます。(これを「雇用継続給付」といいます。)

また、一定期間、同じ勤務先で働いた人は、在職中または失業中に、国が指定する教育訓練を受講し修了した場合に、受講に伴う諸経費の一部が給付金として支給されます。(これを「教育訓練給付」といいます。)

労働者は、雇用保険制度に加入することによって、失業したときや育児・介護休業を取得したときでも一定の収入を確保することができる、教育訓練を受講する負担を軽減することができるなどのメリットを受けられます。

パートタイマーでも週20時間以上働く場合は、雇用保険に加入する

パートタイマーの場合、次の2つの要件を両方とも満たすと雇用保険に加入することになります。

(1)1週間の所定労働時間が20 時間以上である。
(2)31 日以上、雇用される見込みがある。

雇用保険に加入するかどうかは本人が選択できるわけではなく、上記の2つの要件を満たしたパートタイマーは、自動的に加入することになります。逆に言えば、雇用保険に加入しないようにするためには、1週間の所定労働時間を20時間未満にする、あるいは雇用期間を31日未満にする、という働き方にしなければなりません。

雇用保険の加入手続きは、入社時に会社が行ってくれます。なお、転職によって入社する場合は、その前に勤務していた会社から交付された「雇用保険被保険者証」を転職先に提出します。(紛失してしまった場合は、そのように転職先に伝えます。)労働者が行う手続きはこれぐらいで、あとは会社がハローワークに書類を提出することになっています。

自分が雇用保険に加入しているかどうかを確認したいのであれば、賃金明細を見てみましょう。賃金から「雇用保険料」が徴収されていれば、雇用保険に加入していることになります。また、労働者は、自分が雇用保険に加入しているかどうかを、会社やハローワークに対して確認することもできます。

「雇用保険に加入していると思っていたのに、実は未加入だった」ということだと、失業期間中に支給されるはずの給付金がもらえないことになってしまいます。保険料が徴収されていないなどの不審な点があったら、自分から雇用保険の加入状況を確認するようにしましょう。

雇用保険の保険料として、賃金の0.3%が徴収される

雇用保険に加入すると、賃金や賞与などを受け取るたびに、その総額の0.3%(農林水産・清酒製造の事業及び建設の事業は0.4%)が雇用保険料として徴収されます。

例えば、月額10万円の賃金を支給されている人が、5年間勤務した後に会社を退職したケースを考えてみましょう。この場合、5年間の雇用保険料の負担は、18,000円(=10万円×0.3%×60カ月)です。一方、この人は、失業前の1日分の賃金の80%に相当する額を最大で90日分の給付金(基本手当)を受けることが可能で、その総額は約24万円になります。

このように、雇用保険料は、賃金の0.3%に相当する保険料を支払っていれば、失業したときに、失業前の賃金の50~80%に相当する給付金を受けることができる「お得」な仕組みと言えます。このほかにも雇用継続給付や教育訓練給付を受けられるというメリットを考えると、パートタイマーであっても、雇用保険にはできる限り加入しておいたほうがよいでしょう。

雇用保険の給付金が支給されるのは、失業期間中の90~150日間が基本

雇用保険の給付金が支給される日数(所定給付日数)は、雇用保険に加入していた期間と年齢、および失業した理由などによって決まります。自己都合で退職した場合、雇用保険の給付金が支給される日数は、加入期間に応じて90~150日間となっています。

したがって、失業した場合には、雇用保険の給付金が支給されている期間内に再就職できるように努力しなければなりません。90~150日という日数は、再就職先を探す期間として考えると、十分に長い期間とは言えません。労働者は、「雇用保険に入っているから失業しても大丈夫」と安心しきってしまうのではなく、働いているうちから能力開発に努める、求人サイトなどを見て再就職に関する情報を入手するなどの準備をしておくことが望ましいと言えるでしょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。