パートで働くなら知っておきたい!パートタイム労働法の基礎知識

~パートが知っておくべき法律の知識~

パートタイム労働法とは?

新年度を迎えて、パートとして働き始める人もいらっしゃることでしょう。そういう人たちに是非知っておいてもらいたい法律が「パートタイム労働法」です。

パートタイム労働法は、正式名称を「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」といい、パートで働く労働者の適正な労働条件の確保や正社員への転換の推進などを図るために制定された法律です。

労働条件について定めた法律としては「労働基準法」がありますが、これは、国内で働くすべての労働者に適用されるものです。(もちろん、パートにも適用されます。)

一方、パートタイム労働法は、パートで働く人にだけ適用される法律です。パートの中には、正社員と比べて賃金や福利厚生などの労働条件が低く設定されている人もいますが、「所定労働時間が短いから」という理由だけで、このような差別的な取扱いが行われることは不合理と言わざるをえません。ですから、パートで働く人の労働条件を正社員と均衡のとれたものにするため、パートのみに適用される特別な法律が作られたのです。

「パートだから」という理由で正社員よりも低い待遇にすることは法律違反

パートタイム労働法には、パートでの待遇に関して重要なことが定められています。

まず、第8条では、パートの待遇を正社員と異なるものとする場合、その待遇の相違は、職務内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない、という定めがあります。

さらに、第9条では、職務内容、人材活用の仕組みが正社員と同じパートについては、パートであることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない、とも定めています。

例えば、パートの賃金が正社員の50%であった場合、パートの職務の大きさも正社員の50%程度にしなければなりません。また、パートと正社員の職務の大きさなどが同じ場合は、待遇についても、パートと正社員の間で同じにしなければなりません。

つまり、「パートだから」という理由だけで、パートの待遇を正社員よりも低く設定することは、この法律に違反する行為になり、禁止されているのです。

「職務内容や人材活用の仕組みが同じ」とは、どういうことか

この法律において、正社員と比較して待遇面で差別的取扱いをしてはならないとされているパートは、あくまでも「職務内容、人材活用の仕組みが同じ」場合に限られています。ところで「職務内容、人材活用の仕組みが同じ」とは、具体的には、どういうことでしょうか。

ここでいう「職務内容」とは、実際に行っている業務とそれに伴う責任の程度(臨時・緊急時に求められる対応の程度、ノルマなどの成果への期待度なども含む)を指しています。例えば、正社員とパートが同じように接客・販売業務を行っていたとしても、正社員だけが日々の販売数を集計、報告する業務を行っている場合、あるいは正社員だけにノルマが設定されている場合は、「職務内容が同じ」とは認められません。

また「人材活用の仕組み」とは、転勤や配置転換の範囲などを指しています。例えば、正社員は全国転勤が行われるのに対して、パートは自宅から通勤できるエリア内での配置転換に限定されている場合は、「人材活用の仕組みが同じ」とは認められません。

つまり、パートタイム労働法は、正社員と同じ業務を行っており、かつ正社員と同様に人事異動が行われるパートについては、待遇面も正社員と同じようにすることを求めていますが、それ以外のパートの待遇については、正社員との不合理な相違を認めないものの、同じにするところまでは求めていないのです。

「正社員と比べて待遇が低すぎる」と思ったときには、どうすればよいか?

「正社員と比べて自分の待遇が低すぎる」あるいは「会社が定めた労働条件がパートタイム労働法に違反している」と思ったとき、パートは、どのような対応をすればよいでしょうか?

このような場合、まずは勤務先の人事部門などに相談してみてください。

パートタイム労働法では、パートを雇用している会社に対して、パートからの相談に応じ、適切に対応するための相談窓口の設置などを義務づけています。まずは、そこに相談を持ち掛けてみましょう。

それでも納得できない場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談してみてください。

なお、前述したとおり、「パートタイム労働法に違反しているかどうか」は、職務内容や人材活用の仕組みに照らし合わせたうえで判断されます。社外の機関に相談するときには、勤務先のパートと正社員の職務内容や人材活用の仕組みを自分なりに整理するなどの準備をしておくとよいでしょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。