インフルエンザが治ったのに、会社が許可してくれず、仕事ができずに困っています。どうすればよいでしょうか?

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。
あなたの疑問に社労士がお答えします。

<質問>

インフルエンザにかかり、1週間ほど会社を休みました。熱が下がり、咳も出なくなったので、「明日から出勤します」と上司に連絡を入れたところ、「完全に治っていないかもしれないから、あと1週間は出勤を許可しない」と言われました。

私は、すでに年次有給休暇を使い切ってしまったため、会社を休むと「欠勤」になり、その日の分の給料が支給されません。月々の収入を確保するため、私としては、なるべく早く出勤したいと思っているのですが、どうすればよいでしょうか?

インフルエンザで休むと、一般的には「欠勤」または「年次有給休暇」になる

<回答>

インフルエンザにかかった場合、1週間ぐらいは熱が出て働けなくなり、会社を休むことになります。医師からは「熱が下がってから2日間は外出を控えるように」などと言われることが多く、そのため、熱が下がった3日目ぐらいから、各自の判断で仕事に戻ることになります。(出勤にあたりインフルエンザが治ったことを証明する診断書の提出を求める会社もあります。)

高熱により働くことができない期間、および(医師から外出を禁止された)解熱後数日間は、他の病気で会社を休んだときと同様に「欠勤」として取り扱われます。一般的に欠勤とされた日は、賃金が支給されません。ですから、会社によっては、インフルエンザで欠勤した日を年次有給休暇に振り替えて、休んだ日の分の賃金が支給されるようにしているところもあります。

会社の指示により休んだ場合は、休業手当が支給されることもある

さて、今回のケースのように、インフルエンザが治り(少なくとも本人が「治った」と思っており)、従業員が「働きたい」と思っているのに、会社が出勤を許可しないときは、どのような取り扱いになるのでしょうか?

このようなときでも、従業員自身が「同僚にインフルエンザをうつしてはいけない」と考え、自分の意思で会社の出勤禁止の指示に従ったのであれば、引き続き「欠勤」または「年次有給休暇」として取り扱われます。

しかし、従業員が働こうとしているのに、会社が、一方的に出勤を禁止して、強制的に休ませたのであれば、その日は労働基準法第26条に定める「使用者の責に帰すべき事由による休業」となり、従業員は、会社から平均賃金の60%に相当する「休業手当」を受け取ることができます。

会社から休むように指示された場合は従ったほうがよい

実際には、会社は「あと数日間は休みなさい」と指示するだけで、休業手当を支払うことはほとんどありません。だからといって、従業員側から「会社の指示に従って休んだのだから休業手当を支払ってください」と請求することは、ちょっと気が引けます。

それでは、会社から出勤禁止の指示を受けた従業員が、会社の指示に従わずに出勤したら、どうなるでしょうか?

そのようなことをしても、職場で見つかった時点で帰宅を命じられ、最悪の場合、会社の指示に従わなかったものとして制裁措置の対象となることもあります。また、インフルエンザをうつす可能性がある状態で出勤すると、同僚の中にも「迷惑だ」と思う人が出てくるでしょう。ですから、自分が「働きたい」と思ったとしても、会社から出勤禁止の指示が出された場合、従業員は、その指示に従ったほうがよいと言えます。

健康保険に加入している従業員は、「傷病手当金」を受け取ることができる

「欠勤による収入減少は困るけど、会社に休業手当を請求するところまではやりたくない。」このような場合、健康保険に加入している従業員であれば、傷病手当金の支給を受けるとよいでしょう。

傷病手当金は、業務外の病気やケガで会社を休み、会社から賃金が支払われない場合に健康保険から支給される給付金で、その支給額は、おおよそ1日分の賃金の3分の2に相当する額となります。(ですから、休業手当とほぼ同じ金額をもらえることになります。)傷病手当金は、病気などにより会社を連続して3日間休んだ後、4日目以降の仕事につけなかった日に対して支給されます。なお、連続した3日間の休みには、年次有給休暇や会社の所定休日も含まれるため、例えば、インフルエンザにかかった最初の3日間は、年次有給休暇を取得して、4日目以降は欠勤扱いにして健康保険から傷病手当金を受けることも可能です。

傷病手当金であれば、健康保険の仕組みとして支払われるものなので、会社に気兼ねすることなく請求することができるでしょう。

なお、傷病手当金の支給手続きは、通常は、会社の人事部門を通して行います。インフルエンザで4日以上欠勤した従業員(あるいは、これから欠勤することになりそうな従業員)は、なるべく早めに人事部門に連絡して、傷病手当金の申請用紙などをもらっておくとよいでしょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

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