退職後に雇用保険の給付を受けるためには、どのような手続きをすればよいのですか?

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。
あなたの疑問に社労士がお答えします。

<質問>

持病の悪化により会社を退職することになりました。新しい勤務先は、しばらく休んで体調が回復してから探そうと思っています。失業期間中は、雇用保険から給付金が支給されると聞いていますが、どのような手続きをすればよいのでしょうか?

退職日前に「離職票」の交付を会社に請求することが必要

<回答>

雇用保険に加入しているパートタイム従業員は、「退職日以前2年間に雇用保険に加入していた期間が通算して12か月以上ある(倒産や病気等の理由で退職した場合は、退職日以前1年間に通算して6カ月以上の雇用保険加入期間がある場合でも可)」などの条件を満たせば、退職後に雇用保険から基本手当(給付金)をもらうことができます。

基本手当の受給手続きには、退職した会社が交付する「離職票」が必要になります。退職日が近づき、会社の人事担当者から「離職票は必要ですか?」と質問されたら、必ず交付してもらうようにしてください。次の就職先が決まっている人も、できるだけ離職票は交付してもらいましょう。再就職先を短期間で退職することになった場合、その前に勤めていた会社が交付した離職票が必要になることがあるからです。

離職票には、会社が退職理由を記入し、退職者が、その理由に対する異議の有無を記入する欄があります。退職理由によって、基本手当がもらえる日数(給付日数)が異なってきますので、退職者は、会社が記入した退職理由に納得できない場合は、「本人の判断」欄を「異議有り」としてください。(退職理由は、ハローワークが最終判断します。)

会社には離職票は、通常であれば、退職してから10日後ぐらいに会社から郵送されます。退職日から2週間たっても離職票が手元に届かないときには、念のため、会社に確認してみるとよいでしょう。

退職したら、なるべく早めにハローワークに行き、「求職の申込み」をする

離職票が届いたら、退職者は、ハローワークに行き、「求職の申込み」をします。これは、自分が退職して求職活動中であることを届け出るもので、この手続きがハローワークの給付金を受けるための出発点となります。

求職の申込みを行った後、ハローワークに離職票などの必要書類を提出して、「受給資格の決定」を受けます。これは、ハローワークが、各退職者の受給資格を確認して、離職理由の判定を行う手続きです。この手続きの後、ハローワークから「受給説明会」の日時が通知されますが、退職者は、それに必ず出席しなければなりません。受給説明会では、ハローワークが「失業認定日」を通知します。退職者は、その指定日にハローワークに行き、失業状態にあることの認定を受けます。このような一連の手続きを経て、ようやく基本手当が支給されます。

なお、基本手当は、求職の申込みを行った日から7日間(待期期間)を経過しなければ支給されず、さらに自己都合退職等の場合、待機期間終了後3カ月間は支給されません。

また、基本手当の受給期間は、原則として退職日の翌日から1年間となっており、この期間を過ぎると、基本手当の給付日数が残っていても支給されなくなってしまいます。

このように、基本手当は、退職者がハローワークに行って所定の手続きをしない限り支給されず、ハローワークで手続きをしてから支給されるまで1カ月くらい(自己都合退職の場合は3カ月以上)かかるもの、さらに、退職日の翌日から1年間が経過すると支給されなくなってしまうものなのです。「退職後、数か月間はのんびりしたい」という人もいるとは思いますが、自分で手続きをしないうちは基本手当を受けられませんし、のんびりしすぎて手続きが遅れると、基本手当をもらい切らないうちに受給期間が終わってしまうこともあります。ですから、退職者は、退職したら早めにハローワークに行き、求職の申込みだけは済ませておくことが必要です。

病気などの場合は、申請すれば基本手当の受給期間を延長してもらえる

ところで、質問者のように病気により退職した人は、体調不良のため失業認定日にハローワークに行けないこともあります。このような場合、その期間が継続して15日未満であれば、次の失業認定日に医師の証明書などを提出すれば基本手当が支給されますし、15日以上であれば、基本手当に代わって傷病手当が支給されます

また、病気やケガ、妊娠・出産、親族の介護などの理由で30日以上職業に就くことができない場合は、本人が申請すれば、基本手当の受給期間を最大3年間まで延長することもできます。受給期間を延長しておけば、退職後しばらくは療養に専念して、体調が回復したら、あらためて基本手当を受け取りながら、求職活動をすることができます。

このように傷病手当を受けたり、基本手当の受給期間の延長を行ったりする場合も、求職の申込みが行われていることが必要です。雇用保険の給付を受けたい人は、ともかく、退職後なるべく早くハローワークに行き、求職の申込みなどの手続きをするようにしましょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

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