
日々のささやかな出来事や友人との楽しい時間を描いた絵日記で人気のつづ井さんは、今年で作家デビュー10周年を迎えます。
アラサーからアラフォーへと年齢を重ねる中で、環境やマインド、体力に変化があったとしても「自分に向き合い続けることは諦めたくない」というつづ井さん。
10年後の自分に寄せる期待を語っていただきました。

👉️10周年をお祝いしてもらいました🎉
10年後も人生楽しんでる?
- 「やったことのないことをやってみる」が人生のテーマ
- 10年後も遊び心を持って新しいことに挑戦していたい
つづ井さん(以下、つづ井):私の人生の大きなテーマに「やったことのないことをやってみる」があるんです。「それは10年後も続けられてる?」と最初に聞いてみたいですね。
例えばここ2〜3年は「年の初めに決めたテーマに沿って1年間生きてみる」ことにチャレンジしています。

最初の年は「ギャル」を目指して、今年は「ミステリアス&セクシー」を目標にしてて。今、なったことのない自分になって過ごしてみるのがすごく楽しいので、10年後にもそういう遊び心を持って人生を楽しめているか気になりますね。
つづ井:それが「ミステリアス&セクシー」とエッセイマンガ家ってかなり相性が悪いことに気づいて……。
友人も読者の方もみんなマンガを通じて私の人生の進捗を知ってるので、ミステリアスでいるのはちょっと難しいぞと(笑)。でも、諦めずにしばらく続けてみます。
母のように周りの人を大切にできる人でありたい
- 筋トレにハマり中。10年後の「体力」が楽しみ
- 「思い切りの良さ」は変わらないでほしい
- 人生のロールモデルは「母」
つづ井:変化していたら面白そうだなと思うのは「体力面」です。
自分の長所である「フットワークの軽さ」を維持するためにもっと体力をつけたいと思って、最近筋トレにハマっているんです。
もしこれから先このペースでジムに通い続けられたら「10年後の自分はどれだけムキムキになってるんだろう?」と楽しみですね。
逆に変わらないでほしいのは「思い切りのよさ」です。
これまでにも兼業をやめて専業作家になったり、犬の介護のために仕事をお休みして実家に帰ったり、最近だと初対面の人(マンガ家の宇佐崎しろさん)と友達になって急にルームシェアを始めたり……。思い切りのよさを人生の大切な局面で発揮してきました。
だから10年後も「いま、この流れに乗ろう!」と感じたとき、思い切って決断できていたらいいなと思います。

つづ井:そうなんです。私、母が自分の人生のロールモデルなんですよ。
母は友達が大好きで、もう70代なのにいまだに小学校の同級生とLINEグループで毎日やりとりをしてるんです。
「今日は孫の運動会です」「今日の畑の様子です」みたいなメッセージを男女関係なく送り合っていて、すごく楽しそうで。
年に一度は集まって温泉旅行やお花見に行っているそうなんですが、「昨日は朝4時までUNOしちゃった~」とか言ってて(笑)。
つづ井:すごいですよね!
いままでは、大人になるとライフステージが変わり、友達とは少しずつ離れ離れになって、どうしても家族が人間関係のメインになるものだと思ってたんです。
でも、家族だけじゃない居場所を自分から能動的に作りにいっている母の姿を見ていたら、これってすごい希望かも、と感じて。
70代になっても楽しく友達との関係を続けている姿を見せてくれる人が近くにいるのは、本当にラッキーなことだと思います。
仮に今、大切な友達と離れてしまうことがあっても、また何十年後に重なり合うことができるかもしれない。
だから、私も母のようにその都度周りにいる人たちを大切にできる人でありたいです。
自分が過ごしてきたこの10年に、なんの後ろめたさも感じない
- 何か嫌なことを言われても「私、つづ井さんだしな」と思えるようになった
- 絵日記を始めてから10年。作品や読者の声が今の自信につながっている
- “バグ”で入り込んだ人生は最高
つづ井:幸いにもいまの私の周りには、私のことを「つづ井さん」だと知っている友人や知人が多いので、そういった言葉をかけられることは少なくて助かっています。
ただ地元に帰ったときなど、偏見のナイフを向けられることはやっぱりときどきありますね。でも、何か言われても「私、つづ井さんだしな」と思えるようになったというか。
私も「りっすん」さんと同じく、絵日記を描き始めてから今年で10年なんです。この10年間を振り返ったときに、自分がしてきたことや過ごしてきた時間に、なんの後ろめたさも感じていなくて。
自分の描いたマンガや読者さんからの声が自信となって自分を支えてくれている。だから「年相応」という言葉の持つ圧力を感じることはあっても、それが自分の人生を左右することはいまのところなさそうです。

つづ井:運がよかったことも大きいと思うんですけどね。RPGでいうなら、私はいまの自分の生き方を「正規ルートから外れた“バグ”で入り込んだ人生」だと思っていて。
だから「正規ルートを歩んでいた自分なら、いまどんな人生を送ってたんだろう?」と思いを馳せることもたまにあります。
とはいえ、次に何が起こるかまったく分からない自分の人生のことを、かなり最高だと思いますね。
つづ井:そうですね、不安は……(少しの間)なんかいまの間、不安を感じていない奴の間でしたよね。
つづ井:ありがたいことに新しいお仕事や挑戦をたくさんさせていただいているので、いま目の前のことを楽しむのに精いっぱいで不安は感じていないと思います。
もちろんホルモンバランスが崩れたりすると「私の老後って……」と考えることはあるんですけど、たいてい忘れちゃいますね。
一方で、不安って大事な感情だとも思うので、今後はもう少しいま目の前のことだけじゃなく、未来のことも考えながら暮らしていきたいなとは思います。
10年後の自分に伝えたい「ご自愛ください」
- 新連載で初めて向き合った「自分を大切にすること」
- 「甘えてる」「怠惰」というレッテルを自分に貼っていることに気づいた
- 友達を大切にするように自分のことも大切にしたい
つづ井:「自分を大切にする」ことは10年後も諦めないでいてね、と思います。
いま『つづ井さんのご自愛ください』という作品を連載しているんですが、これはいままで描いてきたような日常的な絵日記からもう一歩踏み込んで、自分自身の内面と向き合いながら描いているコミックエッセイなんです。
この連載を続けることは、ある意味カウンセリングや禅問答みたいなものなので、描くのに時間がかかって結構大変なんです。でもその分、自分に向き合う機会になっています。
つづ井:そうですね。連載を通じて「私って自分のこと全然分かっていなかったんだな」と感じることがすごく多くて。
例えば、私は朝起きたときに顔を洗うのが長年ずっと嫌で、自分のことを「顔も洗えない怠惰な人間」だと思い込んでいたんです。
でも、あるときふと洗顔用のリストバンドをつけて顔を洗ってみたら、まったく嫌じゃなくなって「あ、私って洗顔で腕が濡れるのが嫌だっただけなんだ」と気づきました。

そのくらいささやかなことばっかりなんですけど、私はこれまでそうやって自分に「甘えてる」「怠惰」みたいなレッテルをたくさん貼ってしまっていたなと。
いろいろ実験しながらそのレッテルを1枚ずつ剥がしていく時間が私にとってすごく豊かなものだと知りました。
つづ井:ありがたいことに、私には大切な人たちがたくさんいるんですけど、その人たちに愛を向けるのと同じように、自分のことも大切にできないのはおかしいなってあるとき気づいたんです。

だからもし10年後に悩むことがあったなら、初心に戻ってその気持ちを思い出してほしい。周りの人たちを楽しませるみたいに自分のことも楽しませてあげたいです。
一方で「何が楽しいか」という感覚は年齢とともに変化していくものだと思うので、「もしかしたら私ってこういうことも楽しめるんじゃない?」「こういうことにチャレンジしてみてもいいんじゃない?」という好奇心を忘れずに過ごしていてほしいですね。
取材・文:生湯葉シホ
編集:はてな編集部

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