「働くことから少し離れたい。でも、無収入になるのは不安……」
そんな葛藤を抱え「リゾートバイト(リゾバ)」を始めたという暇真さん。前職を退職したあと「次のキャリアを考えるまでの猶予期間」として“30歳までの2年限定でリゾバ生活”をスタートさせました。
住居費や食費を抑えながらも、全国各地をめぐりしっかり稼げるリゾートバイト。社会人経験を経て飛び込んだから分かった「メリット・デメリット」をつづってもらいました。
「焦って転職して失敗したくない」私がリゾバを選んだ理由
- 新卒で入った職場を退職し転職するも半年で再び退職
- 貯金が減る中で「焦って転職をしてもまた失敗するだけでは?」と思うように
- 収入を得ながら“次”を考える期間として、リゾバ生活を開始
新卒で就職した職場では管理職と良好な関係が築けず、4年半働いたのち退職。その後ベンチャー企業に転職したものの、またもや馴染めずたった半年で辞めてしまった。
その後は食品工場や農業関係の単発バイトで食い繋ぎつつ、次の転職先を探した。
「どこに行っても働くことは同じくらいしんどいんだから、諦めて適当な職場でやり過ごすしかない」という気持ちと、「残り何十年も続く労働人生をそんな簡単に諦められない、自分に合った仕事を探したい」という気持ちがバチバチに対立しながら転職活動を続けていた。
しかし、面接の移動交通費や引越し費用、バイト代が支払われるまでの生活費......。ろくに貯金をしないまま前職を辞めてしまったので、ジリジリと生活が困窮していった。
「このまま焦って転職しても、また同じことの繰り返しになるんじゃないか」
「すぐに転職するのではなく“次”をじっくり考える時間がほしい」
そんな思いから「30歳になるまでの約2年間」と区切りを決め、リゾバ生活を始めた。
あれから半年以上が経過し、私は現在もリゾートバイトを続けている。次で3つ目の拠点になる。
1拠点目は広島の旅館で仲居をした。
2拠点目は兵庫にあるホテルショップの販売員。
3拠点目は徳島でアクティビティスタッフをすることになっている。
せっかくリゾバをするならと、住む場所も仕事内容もまるで違う3拠点を選んだ。
数カ月後の自分がどこで何をしているのか分からない不安定な毎日だが、変化が好きな私は今の生活が気に入っている。
「リゾバ=大学生の長期休みのアルバイト」というイメージを強く持つ人は多いだろう。でも実際は、私と似たような理由で来ている社会人経験者もちらほらといる。
そこで今回は、社会人経験のあるアラサー目線からリゾバ生活のメリットデメリットをお伝えしたい。
リゾートバイトのメリット3つ
- メリット①生活費がほとんどかからない
- メリット②働きながらいろんな土地で暮らせる
- メリット③全国に友だちができる
メリット①生活費がほとんどかからない
まずはメリットから。私がリゾバを推す最大の理由がこれだ。
リゾバには「寮費無料」「3食まかない付き」といった条件の求人が多数あるため、選び方次第で家賃や食費、光熱費をほとんど支払わずに暮らせる。

こういった生活費が浮くと、懐はかなり安定する。将来を見据えて思いっきり貯金するも良し。見聞を広めるためにパァッと海外旅行に使うも良し。
金銭的な見通しが立たないと、どうしても将来に対してネガティブな妄想が掻き立てられてしまう。だからこそ、こうしてひとまず支出が抑えられるのは、精神的にもとてもありがたい。
メリット②働きながらいろんな土地で暮らせる
働きつつ、さまざまな土地で暮らせるのも魅力だ。
以前は遊びに行くにしても近場か東京ばかりで、馴染みのない土地にエイヤッと弾丸旅行できるほどの度胸がなかった。

しかし今は、「働きに行く」という大義名分があるおかげで、知らない土地にも気軽に訪れることができる。休日に近隣を観光すれば、より多くの土地を経験できるのも良い。
中には、リゾバで訪れた土地が気に入って、そのまま移り住んだ人もいるようだ。
メリット③全国に友だちができる
そして何より、友だちが増える!
特にスキー場やホテルのバイキング会場など、リゾバで派遣されたスタッフが多い職場では、友だちが増えやすい傾向がある。
よく「リゾバは大学生が多いんでしょ」と聞かれるが、20〜30代の社会人経験者もわりといる。場所によっては定年退職後にリゾバに初挑戦する方もいて、さまざまな年齢層の方と知り合うことができた。
リゾバ参加者はほぼ全員が見知らぬ土地に働きに来ているだけあって、気軽に遊びに誘ったり誘われたりする機会が多い。
社会人になるとどうしても人間関係が職場に依存しがちだが、リゾバでは短期間のうちに年齢を超えてグッと仲良くなれてしまうのが魅力だ。
仲良くなった友だちのうち何人かとは、契約を満了して離れ離れになった後も連絡を取り合っている。
誕生日を祝いあったり、赴任地が近いときは中間地点で合流して再会したり。全国に友だちができるのはとても心強い。
私は今「全国8地方をめぐり、各エリアで友だちをつくる」ことを密かな目標にしている。
リゾートバイトのデメリット
- デメリット①職場との相性が合わないことも
- デメリット②不確定要素が多く頭の中がずっと忙しい
- デメリット③キャリアが積み重なっていない不安がよぎることも
デメリット①職場との相性が合わないことも
次にリアルなデメリットを紹介する。
求人票を見ただけでは、実際の職場の雰囲気までは分からない。リゾバは特に、事前の面談や職場訪問がない場合がほとんどなので、「赴任してみたら想像と違っていた」という話もよく耳にする。
そうなった場合、いくら短期間であろうとわりとしんどい。時には「あの人、ばっくれたらしいよ」なんて噂を聞くこともある。
リゾバの紹介会社によっては「延長率」や「満了率」を掲載していたり、リゾバスタッフから社員への登用実績やリピーターを紹介していたりする。
気になる方はそういった事前の情報収集で働きやすいかどうかを判断したり、ギャップを極力埋めておいたりすることをおすすめしたい。
私も、一度指導者の言動がキツくて辞めたくなったことがあったので、このあたりはしっかりチェックするようにしている。
デメリット②不確定要素が多く、頭の中がずっと忙しい
リゾバは旅行気分で勤務地を転々とできる身軽さがある反面、その土地に慣れるまでは大変だ。
アクセスがよくない場所も多く「最寄りのスーパーまで片道徒歩40分」「繁華街までバスで1時間半」なんてこともあった。
寒暖差や環境の変化によるストレスで体調を崩してしまう人も少なくない。特に残業が多い年末年始は、過労も相まって次々に病欠が出た。
そして慣れたと思った頃には任期満了。どうやって移動するか、荷物はどうするかなどを考えなければいけない。
また「次」の赴任先への不安もある。
「リゾバは誰でも受かるもの」と思われがちだし、実際私自身もそう思っていた。
しかし、希望休が多かったり、赴任可能な期間が短かったりすると普通に落ちる。選考には1週間程度かかるため、赴任先が決まるまでは毎度ソワソワしてしまう。
未来が不確定で、常に頭の中が忙しいのはデメリットと言えるだろう。
デメリット③キャリアが積み重なっていない不安がよぎることも
ふとした瞬間に「28歳」「独身」「アルバイト」という自分の状況を客観視して、将来への不安が頭をよぎることがある。
同世代がキャリアを積み上げる様子を見たとき。
あるいは、自分が雇用された理由が「同世代の社員さんが育休に入ったから」だと知ったとき。
「住む場所や仕事を3カ月ごとにリセットする生活をずっと続けるわけにはいかないな」と強く思わされる。
この経験を何かに生かせる明確なビジョンも今のところないので「こんなことしてて良いんだろうか」と時々虚無ってしまうのも事実だ。
まだ答えは出ないけど。リゾバ生活で見えてきた“これから”
- リゾバ生活を送る中で、地域の拠点やイベントづくりに関心が沸いた
- 明確な“次”を決めるためもう少し時間をかけたい
リゾートバイトを始めてから、いつの間にか半年以上たった。
私は今、各地を転々としながら、もともとの趣味であった自主制作の本づくりに励んでいる。そして、赴任した先々で、自主制作本の即売会や読書会などのイベントに足を運ぶようになった。
そんな中で、地域の拠点づくりやイベントづくりに取り組む人たちと出会い、強い関心を持ち始めた。
今はまだ、あいまいな興味があるだけで、地域おこし協力隊になりたいのか、地域に根ざしたイベンターになりたいのか、はたまた一過性のマイブームなのかは、自分でも掴みかねている。

思えば、リゾバは私にとって最初から“逃げの選択”だった。
楽しすぎるゆえについ前向きな選択と捉え直してしまいそうになるけど、私はこの生活をずっと続けたいわけじゃない。
「前向きな時間だった」と言って良いのは、リゾバ期間を終えて、再就職を果たし、この日々を振り返ることができた未来の自分だけだと思う。
「次、どう働くか」という具体的な目標に落とし込むには、もう少し時間がかかりそうだ。「30歳まで」と決めたリゾバ期間の終わりまで、残り1年をかけて探っていきたい。
そしていつか、このリゾバ生活を「前向きな時間」として振り返りたいと、思っている。
編集:はてな編集部

