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家事 育児 仕事でキャパオーバーにならないために、積極的に周囲を「頼る」ことにした

家事 育児 仕事でキャパオーバーにならないために、積極的に周囲を「頼る」ことにした

仕事と家事育児の両立に疲れキャパオーバーになっていませんか。

イラストレーターの山田だりさんも、第一子の出産時、あらゆるタスクを一人で抱え込もうとして「限界」を感じた経験があります。その時の反省から、今では育児でも仕事でも「周囲に頼る」ことを意識するようになったそう。

うまく頼るためにどんな工夫をしているのか、頼ることでどんな変化があったのかを振り返っていただきました。

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こんにちは、イラストレーターの山田だりです。フリーランス6年目で、東京で共働きの夫と共に6歳の娘と3歳の息子を育てています。

山田だりさん一家

わたしの母は出産を機に保育士の仕事を休み、中高生になるまで専業主婦としてつきっきりでお世話してくれていました。

そんな環境で育ったからか「将来は仕事もしたいけど子どもにとってよりよい生き方をしたいな」とずっと思っていました。

それに、昔から「自分のケツは自分で拭きたい」といいますか、何事も責任を持って取り組みたいタイプ。かつ時間に縛られるのがとても苦手で自分のペースで動きたい。

そんなわけで、2年ほど画廊に所属した後独立しフリーランスになり、結婚・妊娠なども経験する中で「わたしにとって願ったりかなったりの働き方だ」と感じていました。

そう、子どもを産む前までは……。

産後の「時間の足りなさ」から一人で抱え込む限界を知った

💡POINT
  • 産後はとにかく時間がない
  • 睡眠時間を削って数カ月ダウン。妹と母に助けられた
  • 育児も仕事も一人では無理と気付き、頼ることを意識するように


産後は日常の家事に加え、授乳、おむつ、夜泣き、細切れ睡眠と、とにかく時間が足りない!

最初は「仕事をしたいなら睡眠時間を削ればいいか〜」と考えていたんですが(アホ)、その結果体調を崩して、数カ月寝込んでしまった時期がありました。

寝室に一つ点いているLEDの光すら刺激が強くて気持ち悪くなってしまうほど、最悪の体調。ずっと気を張っていて、寝ている子どもが少し動いただけで目が覚めてしまい、体は四六時中覚醒モードでした。

「全部自分でやろう!」と意気込んでいたことが全て音を立てて崩れていき「わたしは一人では何もできない、ちっぽけな人間なんだ」と感じました。

寝込んだ時期、激務の夫は月単位の出張中で、妹と母にたくさん助けてもらい本当にありがたかったです。1カ月健診で母体の消耗を指摘されていたこともあり、限界を感じて産後ケア入院もしました。

産後ケア入院時
産後ケア入院時(Xの投稿より)

しんどい思いをして周りにも迷惑をかけた結果「自分で抱え込むのではなく、最初から周囲を巻き込んでいくのが大事だな」と思い始めました。

そもそも古来の人間は、社会性を持って群れで生活する生き物だったはず(世界史履修者の走馬灯) 。そこで、これまでの自分のやり方を改めようと考えました。

もちろん最初は「ねえ!? 周囲を巻き込んでいくって具体的にどういうこと!?」となりましたが、どうすればいいか自分なりに考え、工夫してきました。

仕事は自分だけでなく「チーム」でこなす

💡POINT
  • 自分で受けきれない仕事や他に適任者がいる仕事は人に渡す
  • 監修の立場に回るなど仕事への関わり方を柔軟に
  • つながりを生かして仕事をすることは、関わる全員にメリットが


まずは仕事。フリーランスだからといって一人で全てやるのではなく、友人や知人を巻き込んで「チーム」で取り組む機会が増えました。

より適している人に「タスクを渡す」

自分が立て込んでいるときに依頼された仕事や、そもそも「わたしより他の人の方がマッチするかも」と思った仕事について、得意そうな友人や知人に紹介することがあります。

「えっフリーランスでそれって大丈夫なの? 自分の仕事がなくならない?」と思われるかもしれませんが、「依頼主が求める結果を得るための道を示す」立場でいい友人・知人を紹介することができれば、「だりさんに頼めばいい感じになる」という印象が残ります。するとまた、新しい依頼を紹介していただけるんです。

わたしにとっては仲介役としての実績になるし、紹介した相手には新しい仕事が舞い込むし、依頼してくれた相手にはよりよい成果物を届けられる。まさに幸せの輪、win-win-winですね。

人と仕事をつなげる

会社で働く方にとっては、こういった「役割」や「動き方」ができるケースはなおさら多いのではないでしょうか。

元からあるつながりを大切に、多様な関わり方を

他の人にまるごと任せる以外に「自分は全体の監修として関わり、実際の作業を他の人にお願いする」という形を取ることもあります。

例えば、背景やパーツは他の人に描いてもらって、仕上げは私が担当するなど。マンガ家がアシスタントを雇う感覚に近いのかもしれません。

私が美大出身で先輩・同級生・後輩のつながりがあることに加え、妹も同じ大学だったので、その広いネットワークを生かせるというのは大きいです。私の場合は「美大」でしたが、昔の経験や関係性が今の自分を救ってくれるというケースは少なくないのではないでしょうか。

SNSでの新しいつながりは自分への刺激にもなる

さらに、SNSで知り合った友人に手伝ってもらうこともあります。

ネット上だと建前なしでつながれて、お互いの発信を見ているので、それぞれのやりたいことが事前に知れる。さらには「今忙しそう」「今仕事探してそう」など空き具合も分かるので、頼みやすいです。

それに、みんなががんばっている様子を見ていると、自分にとってもすごく刺激になります。

育児で「頼る」ようになって精神的負荷が減った

💡POINT
  • 子どもの気を「ママ以外」にも分散させて精神的負荷を軽減
  • ベビーシッターの利用はストレスなく頼める「保育園送迎」に限定
  • ハンズフリー通話で「大人と会話する時間」を設け気持ちを楽に


育児では、友人やサポートサービスに頼るようになって、実務の面でも精神的な面でもとても支えられました。

外で友人も交えて遊ぶことで、子どもと自分の気を逸らす

相手の負担にならなければ、自分の友人と子連れで遊ぶこともよくあります。

その際はできれば外で会うのがおすすめ! 子どもの興味が「ママママママ!」から逸れて外の景色や他の人に分散し、自分の精神が楽になります。これは自分と子どもだけで遊ぶ時も同じです(もちろん、目を離さないように)。

外に出ることで興味を分散
外に出ると興味を分散させられる(Xの投稿より)

「自分と子ども」の社会で暮らしていると、どうしても子どもに自分の意識が向かい過ぎて、考えなくていいことまで過剰に心配しがちなように思います。

「子どもから親」への意識を分散することは、同時に「親から子ども」への意識を分散することにもつながり、精神衛生が保たれやすいです。

予期不安(将来起こるかもしれない出来事を想像して、強い不安や恐怖を感じる心理状態)は、大概気のせいなので…… 。

手伝ってほしいポイントに絞ってベビーシッターを利用

キャパオーバーになって以降は、ベビーシッターさんも利用しました。ただ私は「家に他人がいると落ち着かない」タイプなので、最初はどう活用していいか迷い……試行錯誤の末「家での保育」ではなく、「保育園の送迎」を任せたところかなり助かりました。

特に朝、いつもはママに甘えて保育園の準備をしない子どもたちが、シッターさんがいると「ちゃんとしよう」と多少思うらしく、準備がスムーズで助かります。そして私も同じように「ちゃんとしなきゃ」と思うので、ダラけず準備できます(笑 )。

友人とのハンズフリー通話が大きな癒やしに

イラストレーターの界隈では知り合い同士で音声コミュニケーションを取りながら作業をしている人が多いのですが、私もよく家事・育児中にハンズフリー通話をしています。

通話をする時間帯は主に夕方で、黄昏泣き、夕飯の準備、日中の疲労の蓄積により精神的体力的にキツい中、同じく育児中の友達たちと話す時間が大きな癒やしになりました。

好きなマンガが今度アニメ化するとかソシャゲの推しの供給が足りないとか、ずっととりとめのない話をしていました。

大人としゃべっているだけで、不思議と気持ちが楽になるんですよね。 赤ちゃんとの一方的な会話ではない双方向の会話によって、脳内が整理されるからかなと思っています。

いつでも通話しやすいように、一念発起してAirPodsを買ってみました。最初は落としそうで怖いなと持っていたものの、家の中ならその心配も少ないし、買って大正解でした。

良いつながりを作るために、大事にしていること

💡POINT
  • 頭の中の「ふせん」が人とのコミュニケーションを深めるきっかけに
  • 相手の感情も自分の感情も、まずは否定せずに一旦受け止める


周囲の人にうまく頼るには、相手にとってもメリットがあると思ってもらえるような良い関係を作っていくことが欠かせません。

頭の中に「人の好きなもの」などを書いたふせんをたくさん貼る

相手とのコミュニケーションのきっかけになりそうな話題などを、頭の中で「ふせん」にメモするイメージで、なるべく多く記録するようにしています。

頭の中にたくさんのふせんが貼られた壁があり、それぞれのふせんには友人・知人の好きなものなどが書いてある。日々の生活の中でふせんをたくさん貼っておくことで、そこに書かれたものを街で見かけた時などに思い出しやすくなるんです。

頭の中のふせんのイメージ

そうすると「前教えてくれたアーティストこの前ネットでバズってたよ〜どの曲が特におすすめ!?」「あのドーナツ屋さんよく見るけどおいしいの? あなたスイーツ好きだから詳しいかなと思って!」 などと、人に会った時の話のネタになります。

時には「あの子の好きなお笑い芸人がおしゃれ雑誌に出てる! ちょっとLINEしてみよう! ついでに近況も聞いてみよう」などと、うざくない程度に久しぶりの連絡をするきっかけにもしています。

大学の時に習ったふせんを使ったブレインストーミングを応用した形ですが、アイデア出しだけでなく、人との縁をつなぐ上でもとても役に立っています。

相手や自分のどんな感情も「一旦受け止める」

相手に寄り添ったコミュニケーションをするために、子どもに対しても大人に対しても、まずは相手の感情(=喜怒哀楽)をできるだけそのまま受け止めるようにしています。これは、育児本を読んだり育児について調べたりする中で学んだ考え方です。

「うれしかった」「嫌だった」などの相手の素朴な感情に対して、それは「正しい」「それは間違っている」と判断するのではなく、まず「そう思ったんだね」と受け止めることで「自分の気持ちを受け入れてもらえた」「信頼して話せる相手だ」いう安心感が生まれ、良い関係構築につながっていくのだそうです。

例えば友人が「仕事しんどい……」と言ったら「え〜やめればいいじゃん!」と過去の私は言っていました。でも今はそうやってすぐに断ずるのではなく、まず「それはしんどいね……」と受け止めるようにしています。

解決法を考えようよ! とはもちろん思うのですが、まずはつらいと思ったその感情を、一緒に大切にしたいと思っています。

子どもが泣いて怒って理不尽なことを言っても、できるだけ「そうなんだね、そう思ったんだね」と受け止めるように、「そんなこと言わないの!」と上から押さえつけたりしないように心がけています。(もちろん危険なことや、人を傷つけることはちゃんと止めるとして)

とはいえ完璧にやるのはなかなか難しいので、なるべく、なるべくね……という気持ちで向き合っています。こういう時、親は自分の元気度を試されている感覚がありますよね、皆さんお疲れさまです…… 。

自分の中に生まれた感情に対しても同じで、まずは「受け止める」その後に「考える」ことを大切にするようになりました。

いまうれしかったな、とか、いま嫌だったな、とか。自分のことを大事にするって、栄養バランスのいい食事を取ったり、髪や爪の手入れをしたりするイメージだったのですが、そもそも根本としてはこういうことなのかもな〜と思っています。

仕事も育児も「他人と助け合うこと」で続けていける


30数年生きてきてやっと「一人でできることなんてたかが知れている」ということに気付きました(今更〜!) 。

以前の私は、無意識に「人に頼ることは甘え」と思っていたのかもしれません。 今振り返ると視野が狭かったな、と思います。

出産をきっかけに周囲と協力するようになって、気付いたことがあります。

力のあるチームで創作をすると、一人で作るよりも速く、クオリティーの高いものが生まれるんです。さらには、自分の力を世の中によりよい形で還元できたりもする。チームで手がけた仕事の成果を街で見かける時が、とてもうれしいです。

今になって、大学の恩師の「最後まで続けたやつが勝ちだ」という言葉がすごく心に響いています。

持続可能な生き方を常に考えて、実行し続けなければいけないんだなと、十数年遅れでかみ締めています。

一人で抱え込まず、他人と助け合える関係を持つこと。それがわたしの人生を続けていくための、わたしの生き方そのものだと思います。

編集:はてな編集部

著者:山田だり

山田だり

6歳と3歳の2人の子どもを育てるイラストレーター。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」劇中イラストをはじめ、装画、挿絵、ポスター、パッケージ製作等を手掛ける。
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