仕事や家事育児で毎日バタバタ……。そんなときに頭を悩ませる「毎日の献立」問題。お惣菜や外食、ミールキットなどを活用するのももちろん一つの解決方法ではありますが、「自炊」が今夜の選択肢になることも多いはず。
でも、忙しい中で献立を考え、食材を準備するのもなかなか大変なもの。そんなときには「これさえ買っておけば、どうにでもなる」ものを知っていると気持ちが楽になるかもしれません。
そこで今回は、シンプルな材料・調理工程かつおいしさもバッチリなレシピで話題を集める料理家・今井真実さんに日頃買い出しをするときに必ず購入する食材リスト、またそれらを活用したある日の献立を作り方と合わせて教えていただきました。今井さんが提案するレシピはフライパン一つであっという間に完成。アレンジも効きやすく、忙しくてもう脳が思考停止状態……というときでも、ひとまず手を動かしたら作れるはずです。
皆さん、こんにちは。料理家の今井真実と申します。
新年度が始まり約1ヶ月。新生活を迎えた方も、そろそろ慣れてきたという時期かもしれません。
我が家も下の子が小学校に入学して毎日の送迎から解放されましたが、まさかこんなにラクになるとは!
しかし、まだまだ習い事の送り迎え、自分の仕事など、相変わらずバタバタしています。
毎日夕方16時くらいになると、
「お風呂…」「ご飯…」「宿題…」「寝かしつけ…」
と近い未来にやらなくてはいけない事を考えて、疲れがどっと襲ってきます。
もう夜の献立なんて考えたくない!洗い物も極力少なく!
そう思う人も少なくないのではないでしょうか。
今回は、そんな疲れていて献立を考えるのも面倒! と感じた時に活躍する、私の夜ご飯の作り方をご紹介したいと思います。おかず2品と汁物が、15分で出来上がりますよ。
これは絶対買う! 今井家の買い物リスト&買い足し食材
献立を考える前に、そもそも買い出しで「悩む」ことはありませんか? まとめ買いする人もいればほぼ毎日買い物をする方など、買い方は人それぞれかと思いますが、疲れていると、何を「買う」かを考えることすら面倒に感じてしまうことも……。
そんなときは「これだけは買っておく」ものを決めてあるだけでも、かなり気持ちが楽になると思います。
私が食材を買うとき、必ず購入する食材はこちら。
- 牛乳
- お豆腐(絹、気分で木綿)★
- アボカド
- 納豆
- 長ネギ ★
- 青ネギ ★
- 豚肉 切り落とし ★
- 海藻(わかめ、もずくなど)★
- 豆苗
- キノコ類(えのきやしめじ、マッシュルーム、キクラゲなどその日の気分で)★
- 季節のお買い得野菜
何はなくとも必ず買うお肉は、豚肉の切り落とし、豚こま肉などです。
何が良いって、切る手間がありません。すぐにいろんな用途に使えます。フードプロセッサーにかければひき肉にもなります。余っても冷凍しておけばいつでも助かります。
そして、お野菜は火の通りやすいものや、皮むきの手間が少ないなど下処理が楽なものを選ぶようにしています。
おねぎ類は長ねぎ、青ねぎ2種類を必ず買います。お出汁にもなり、具材にもなり、少し入れるだけで風味もUPします。きのこ類も同じ理由で欠かさず購入しています。
もし冷蔵庫が空っぽの状態で買い出しをしたときに「何を買うか」すら考えるのも億劫! と感じたときは、まずはこれらの食材だけでもそろえるようにしてみるといいかもしれません。
次は、なくなったら買うようにしている食材たちです。上記よりは優先度が下がりますが、いずれも使い勝手がいいもののため、常備してあると安心な食材たちです。
- きゃべつ
- にんじん
- たまねぎ
- じゃがいも
- レタス
- ピザ用チーズ
- キムチ
- 塩鮭
- しらす
- ツナ、鯖水煮缶
- 卵
- トマト
- おうどん、おそうめん、パスタなどの乾麺
- トマトピューレ
- 豆類(乾物)
- ヨーグルト
- ハーブ類 (その時による)
- スパイス類(その時による)
キャベツ、レタスはちぎればすぐに使えるのでとても便利。一玉で買い、葉を剥がしながら使うと長持ちしますよ。
最初から「買う!」と決めるもの以外には、その場で買うか決める食材もあります。特にお刺身類などがお安くなっていたり、新鮮な旬の野菜が売っていたりしたら、手に取ることが多いです。
おかず2品と汁物を一気に作る! 今井家・ある日の献立
ここからは、わが家のある日の夕食を例に、食材をどう組み合わせて調理をしているのかを実際に紹介します。
この日の献立はこちら。
- 茹で肉と野菜(メイン)
- キクラゲのおひたし(副菜)
- 豆腐とわかめの味噌汁(汁物)
豚こま肉と、お出汁にも具材にもなる長ねぎ、そして、火の通りやすいもやしが冷蔵庫にあったので、これらをメインの一皿にして、ご飯を作っていきます。
なんと、フライパン一つでメインだけでなく副菜、汁物も完成する献立です。
工程は
1. 野菜やきのこを茹でる
2. お肉を茹でる
3. 茹で汁でお味噌汁を作る
の順で作っていくだけ。茹で汁を活用していくことでメイン、副菜、汁物ができあがっていきます。
お味噌汁もお出汁を取らずに作ります。きのこやおネギ、お肉、ワカメを使うため、十分旨みがたっぷり! お鍋の後のお汁が美味しいのと同じです。
それでは、順に作っていきましょう。まずは 1. 野菜やきのこを茹でるところから。
副菜とメインを同時に調理開始
1. 野菜やきのこを茹でる
└ 副菜とメインを一気に調理
2. お肉を茹でる
3. 茹で汁でお味噌汁を作る
まず、フライパンにお水を入れ沸かします。家族4人で800mlほど。ざっくりとしたお水の量で大丈夫です。
一番最初にきのこを茹でます。きのこでも何でも構いません。今の時期ならスナップエンドウやアスパラなど、季節のお野菜でも良いでしょう。芋類、灰汁の強いお野菜以外ならなんでも大丈夫です。
副菜を「ただ茹でた野菜やきのこ」にすることで、調理の手間がぐっと省けます。
茹でて引き上げるタイミングはお好きな時で。
この日は副菜として、キクラゲのおひたしを作ります。私は柔らかいキクラゲが好きなので、最後までよく茹でておきます。えのきやしめじ、エリンギの場合はしんなりしたら、さっさと引き上げた方が美味しいでしょう。
キクラゲを茹でつつ、次にフライパンへ切った長ネギを入れます。
そして、もやしも入れてしんなりしたら、さっと器に引き上げます。
菜箸で水気を切りながらよそえばOK。同じように柔らかくなった長ねぎもよそいます。これでメインの一皿はほぼ完成。
お肉を茹で、メインも副菜も完成!
1. 野菜やきのこを茹でる
2. お肉を茹でる
└ メインのお肉もできあがり
└ (1)で茹でていたきのこも取り出して、副菜も完成!
3. 茹で汁でお味噌汁を作る
次は豚こまです。ここで火加減に一工夫。フライパンの火を止め、お肉を入れて広げます。
再び火をつけ、色が変わったらすぐにお野菜の器に引き上げます。
これで、しっとりとしたお肉に仕上がります。仕上げにごま油、全面にお塩をぱらぱらとかけて。お好みのタレ、ポン酢やお醤油で召し上がれ。
この日は私はトムヤムペーストで食べました。子供達は焼肉のタレです。なんでもお好きなように。
お肉を茹でた後はフライパンのお湯を沸騰させ、アクをすくいます。
アクを取り切ったら、キクラゲを器によそいます。よく茹でたから、柔らかくぷりぷり。
熱いうちに、黒酢、オイスターソースをかけ和えて、仕上げに青ネギのみじん切りをかけたら、キクラゲのおひたしの完成です。
出汁をとらずに、パッと汁物を作る
1. 野菜やきのこを茹でる
2. お肉を茹でる
3. 茹で汁でお味噌汁を作る
└ (1)(2)の茹で汁を、そのまま味噌汁に活用!
最後はお味噌汁。刻んだワカメと、お豆腐をおたまですくいながらフライパンに入れます。お味噌を溶かして出来上がりです。
お味噌汁のコツはすぐに火が通る具材を選ぶ事です。
いろんなエキスが溶け込んで、お出汁がなくてもとっても美味しいお汁になります。
とはいえ、旨みが足りない場合や不安な方は、顆粒だしの素、昆布、出汁パック、鰹粉などを使っても!
もちろんお味噌汁でなくても醤油味のスープにしたりと、バリエーションが効きます。
フライパン一つでできる献立に+して……
そしてこの日は更に!
買い出しに行った日なので、ブリのお刺身も加えました。
お刺身は家族全員の大好物。ちょっとあるだけで食卓が盛り上がるので、安くて美味しそうなのがあるとついつい買ってしまいます。わかめと、キクラゲのおひたしに使った青ネギのみじん切りの余り、冷蔵庫に入れていた玉ねぎの酢漬けもかけて、量も、栄養も嵩増しです。
そのまま食べてもOKですが、普段からお刺身には、アボカド、貝割れ大根、きゅうり揉み、サラダに使う葉野菜、トマト、などを合わせることが多いです。お刺身の量が少なめでもボリュームが出て、栄養もちょい足しできます。
調理開始から完成まで、20分足らずで出来上がりました!
メインの茹で肉と野菜ですが、今日使った豚こま肉だけではなく、鶏もも肉の唐揚げ用などもおすすめです。もう切ってあるから急いでいる時には助かります。お魚や貝類などで作ってもおいしいですよ。
この日みたいなご飯の作り方だとただ順番に茹でていくだけなので、精神的負担も少ないです。
ポイントは、普段からお買い物の時に、火の通りが早そうなお野菜を買うこと。そうすれば忙しい時は野菜室から選んで茹でれば良いんです。
調理した後の洗い物も少ないですし、食材の応用も効くので覚えておくと頭や体が忙しい日に必ず役に立つ方法です。
味付けもシンプルなので、市販のお惣菜と組み合わせるにもぴったり。
この方法で1品1品お料理が出来上がっていくのを見るたびに安堵のような気持ちになります。
ご飯を食べ終わる頃には、きっと今日もよく頑張ったと自分を労りたくなります。
買い出しの少しの工夫や、目からうろこの調理法が、お料理の時もちょっと楽しい気持ちになりますよ。
おいしいご飯で、明日も良い日になりますように。あなたの毎日を応援しています。
仕事の合間・終わりのごはん作りはちゃちゃっとすませたい!
著者:今井真実さん