「派手な服装での出社を認めない!」と言う上司の命令。従わなきゃダメですか?

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。
あなたの疑問に社労士がお答えします。

<質問>

先日、お気に入りのワンピースを着て出社したところ、上司から「職場は、おしゃれをしに来るところじゃない。そんな派手な服装では出社を認めない」と怒られてしまいました。確かに普段よりは派手目でしたが、周りの人に不快感を与えるような格好ではなかったと思います。その日は早退し、翌日から地味目な服装で出社していますが、何となくスッキリしません。

上司から「派手な服装」と判断されたら、出社してはいけないのでしょうか?

服装などに関するルールが定められている場合は、それに従わなければならない

<回答>

仕事をするときの格好は、昔と比べると自由になりました。Tシャツやデニムのようなラフな服装で仕事をしている人も、今では職場で普通に見かけるようになっています。

その一方で、勤務時の服装や身だしなみに厳格なルールを定めている会社もあります。例えば、食品製造会社では、衛生管理上、担当者の髪型などに制限を設けています。

勤務時の服装や身だしなみについては、仕事の内容などに応じて、各社が独自にルールを決めることになっています。ですから、質問者は、まず、自社の就業規則や服装に関する社内ルールなどを確認してみてください。就業規則などに服装に関するルールがあれば、それに従わなければなりませんし、規則に違反しているのであれば、出勤停止などの処分を受けることもありえます。

服装に問題があるかどうかは、「業務への支障の有無」で判断される

就業規則などの定めが、「他人に不快感を与えない服装にする」などの曖昧な表現になっている場合、どこからルール違反になるのかが分からず、会社・上司と従業員の間でトラブルになることがあります。

過去には、長髪でひげをはやしていた郵便局職員が、身だしなみを理由に人事評価を下げられ賃金もカットされたこと、および、ひげをそるように上司から執拗に指示されたことに不満を持ち、裁判を起こした例があります。この裁判では、職員側が勝訴し、裁判所は、会社に対してカットした分の賃金と慰謝料の支払いを命じました。(郵便事業事件・大阪高裁・平成22年10月」)

一方で、「暑いから」という理由で制帽を着用せずに乗務したバスの運転手が、会社から受けた減給処分を不当として起こした裁判では、会社側が勝訴し、処分は妥当とされました。(神奈川中央交通事件・横浜地裁・平成6年9月)

これらの例を見ると、服装や身だしなみが適しているかどうかは、上司や本人の感じ方ではなく、業務への支障の有無で判断されていることが分かります。郵便局職員の裁判では、長髪やひげが業務に支障を及ぼすものではないので「問題なし」とされ、バスの運転手の裁判では、規則に定められた制帽を着用していないことが乗客に不安を与えることにもなりかねないので「問題あり」とされたのです。

今回のケースも、質問者の服装が業務に支障を及ぼすかどうかで、問題の有無が判断されます。顧客と接する機会がない仕事であれば、どのような服装で勤務しても構わないのでしょうが、落ち着いた感じで顧客応対する仕事であれば、「派手」と感じる人が出てきそうな服装は避けるべきです。つまり、服装に対する指示が、上司の個人的な趣味ではなく、業務の必要性に基づいたものであれば、質問者は、それに従うべきと言えます。

服装や身だしなみは、職場の雰囲気などに合わせておく方が無難

ただし、「業務に支障を及ぼすかどうか」も上司と本人との間で見方が異なってくるので、結局、判断は難しいと言わざるをえません。また、業務に支障がないとしても、あるいは、就業規則にルールが定められていなくても、職場のマナーとして、従業員は服装や身だしなみには気をつけなければいけません。

このように考えると、基本的に、服装や身だしなみは、会社の雰囲気や職場の同僚などに合わせておいたほうがよいと言えます。個人的な趣味やセンスが関係する服装や身だしなみについて、問題があるかどうかを議論したところできりがありません。それならば、議論にならないように、職場の人と同じような「無難な格好」をしておくべきです。

質問者も、「『おしゃれをしに来るところじゃない』と言うような上司がいる職場に、お気に入りの服を着て行く必要はない」と割り切って、無難な格好で出社されたほうがよいのではないでしょうか。

なお、上司や同僚が「女性(男性)らしい服装をしてこい」とか「身だしなみがだらしないから仕事もできない」などと執拗に言ってくる場合は、セクハラやパワハラが絡む問題になります。このようなときは、会社の人事部門などに相談してください。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

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